コーチングの勉強
1投稿者:まりや  投稿日:2003/03/09(日)23:09:31
コーチへの道
2投稿者:「社員をやる気にさせる10の法則」  投稿日:2003/03/09(日)23:29:49
社員のやる気を高めるのに一番よい方法は、楽しんで働ける環境を
創ることです。今週は、社員をやる気にさせるティップスをお届けします。

 1.常にその人にふさわしい仕事を与える
   やりがいと責任を与えられた仕事には、やる気が自然に起こります。
 2.エネルギーを与える
   決断し、プロジェクトを運営する機会を社員に与えることです。
 3.チームワークを活用する
   目標を共通に持ち、協力しながら仕事をしたほうが、ゴールは近づきます。
 4.勤務時間をフレックスにする
   オフィスにいる時間数ではなく、業績に焦点をあてます。
 5.情報を共有する
   会社の中での新しい展開やプロジェクトの情報を常に社員と共有し
   ます。そしてそれは会社の成功に欠かせないということを示します。
 6.存在を認める
   社員は常に承認と賞賛を求めています。可能な限り充分に仕事に対する
   フィードバックを返し、承認を与えるようにします。
 7.生活の安定を保障する
   社員が安定した仕事と収入、安全な職場環境などを求めるのは当然です。
   それが彼らにとって重要な条件であることを忘れないように。
 8.社員に対してはコーチとして接する
   キャリアアップを目指す部下に対してのサポートする機会を創りましょう。
 9.服装についてうるさく言わない
   どうしてもプロフェッショナルな服装を求められる仕事でない限り、
   ドレスコードを緩めてください。
 10.社員は公平に扱う
   勤務時間、仕事の内容、給料など、他の社員との差があるのはやる気を
   そぐ原因のひとつ。差が生じるなら、そのことを明確に説明しましょう。
3投稿者:名捨て人@深夜です  投稿日:2003/03/19(水)00:23:26
「世界でいちばん楽しいチーム。これが神奈川ブルーベアーズ
のポリシーです」と語るのは、上記アイスホッケーチームの
コーチを務める山家正尚さん。昨年1月からコーチ・
トレーニング・プログラムに参加し、コーチング・スキルを
スポーツ・コーチングに独自に活かしていらっしゃいます。
主に小学生以下の子どもをコーチしているのですが、小学生の時に筋肉や
 スピードを身に付けさせるよりも、運動神経とかその子が
持ってる感性を伸ばすほうに重点をおきたいと考えます。
独自の良さを見つけ出し、リーダーシップがとれるように
なっていくことを目指してコーチしています。
 CTPを学んでから工夫していることは、まず生徒に
「今日はみんな何をやってみたい?」と聞くようになりました。
子どもたちのリクエストから、メニューを組み立て、
自発的な練習を促します。
4投稿者:名捨て人@深夜です  投稿日:2003/03/19(水)00:24:42
合宿ではアクノリッジメント(承認)も実践しています。
生徒が半円に並んで一人ずつ前に立ち、ホッケーの得意技や
ホッケー以外のことでもとにかく自分の強みについて
発表するのです。聞いていた他の生徒が、その人の発表を
聞いて「○○がすごいと思った」など承認の言葉を
投げかけています。これが大変機能して、子ども達は
「すごく嬉しかった」「やる気が出た」と言い、すぐに
練習場に向かって行くようになりました。お母さん達からも
喜びの言葉をいただくようになりました。
普段の練習では、良いプレーを見たらすぐに誉めて
あげる事を心がけています。練習前後にも、コミュニ
ケーションを取り、良い所をみつける心掛けをしています。
これからもどんどんコーチング・スキルを取り入れて、
もっと楽しいチームにしていければと思います。
5投稿者:「海外コーチング情報」  投稿日:2003/03/25(火)03:11:41
−コーチング養成機関の取り組み・ACTOとは−
コーチングの養成機関が手を組み、お互いに卒業生同士
の交流に取り組む「ACTO(Association of Coach
Training Organizations)」の理事会が今年1月
アトランタで開かれました。コーチ・トゥエンティワン
が、正式にACTOの理事会のメンバーとして招待
されています。今週は、この「ACTO」について。
              ◇◇◇
 コーチという職業と社会的地位を確立するために
1992年に設立された国際コーチ連盟(本拠地アメリカ)
は、「コーチのコンピテンシー」や「コーチの倫理規定」
を明確に定義しています。そして、その基準を満たしている
コーチの育成プログラムを、「認定コーチ・トレーニング・
プログラム」として認定しています。現在認定されている
プログラムは15で、日本、アメリカ、フランスなど、
世界的になってきました。
6投稿者:最初に認定を受けたのは、  投稿日:2003/03/25(火)03:13:30
アメリカのコーチUを初めとした8つのトレーニング
スクールです。ACTOは、これらのスクールの代表が
手を組み、設立した組織です。目的は、トレーニング
プログラムを修了した卒業生が、引き続き、スキルアップ
のために生涯学習的にコーチングの勉強を続けられる
環境を作ることにあります。
ACTOが今後どのようなサービスを展開するかは、
今後の課題ですが、最初のステップとして、今年11月に
アメリカ・デンバーで行われる国際コーチ連盟のコーチング
大会に先立って、ワークショップを提供することを計画中。
ライバル同士のスクールが手を組むことは興味深いこと
ですが、見方によれば、コーチングがそれだけ一般的に
浸透し、「コーチになる」というところから「コーチとして
あり続ける」ための学習環境が求められる時代に
なったといえるでしょう。
 ▼参考サイト
 ACTO(Association of Coach Training Organizations)
 http://www.assnofcoachtraining.org [そーす]
7投稿者:今週のテーマ:「会社を辞めたくなるとき」  投稿日:2003/03/30(日)02:53:50
誰でも一度は、「こんな会社、辞めてやる」と
思うときはないでしょうか?もし、部下があなたを見て
そう感じているとしたら、原因は何でしょうか?
----------------------------------------------
●「上司との距離を感じたら」オージンジ オージンジ
 スタッフサービスのテレビCM <会社のオフィスで
遠く離れた上司のコピーをとるために、女子社員が
広い社内を走りまわる、電話が鳴り、さらに上司が一言
「○○君、書類、間違えているぞ」
社員は走りながら派遣会社に電話をしてしまう>
思わず笑ってしまう、良くできたCMですが、
部下は職場でどのようなときに上司との距離を感じて
辞めたくなるのでしょうか?
8投稿者:用事を頼むときに要件だけを伝える社会人  投稿日:2003/03/30(日)02:55:57
●用事を頼むときに要件だけを伝える社会人が
たくさんいます。
「おい○○君、このコピー50部4時まで、ヨロシク」
 と・・・
本人は部下を使って効率良く仕事をこなしていると
考えているのですが、自分がその部下本人であったなら、
どう感じるでしょうか。社員としての楽しさ、やりがいは
増していくでしょうか?それとも、減っていくでしょうか?

仕事の効率は働かせる側としては重要な要件です。
また、社員の働く理由として経済的要素は欠かせない
でしょう。しかし人は経済的欲求や効率だけで動いて
いるのではありません。他者に認めてもらいたい想いや、
人の役に立ちたいと感じる気持ち、価値観、自己の成長、
やりがい、自己実現、使命感、などの多くの要素が
働く理由として存在しています。
9投稿者:●「おい○○君、  投稿日:2003/03/30(日)03:10:02
●「おい○○君、このコピー50部4時まで、ヨロシク」
この言葉を
「おい○○君、4時に急に会議が入ってしまって、
どうしても50部の書類が必要になってしまったのだが、
あいにく私も来客があって・・・」

と、緊急にコピーを頼みたい理由・目的から話せば、
きっと部下は喜んで仕事をしてくれるでしょう。
人は自分が、他者にとって(またはその組織にとって)
重要な人間である事、他者の役に立つ人間である事を
感じられるかどうかは、やる気の高低について大きな関係
があります。他者にとって自分が大切な、重要な存在で
あることが感じられること、これを「自己重要感」
といいます。テレビCMで、「上司との距離感を感じる」と
言っていることは、上司が部下に対し「自己重要感」を
与える事が出来ていないことを意味しています。
10投稿者:さらに言えば  投稿日:2003/03/30(日)03:13:35
人は、評価してくれて、楽しくて、お祭り騒ぎが出来る
ような会社が好きです。そして、自分の働きがみんなに、
会社に役立っていると伝えられたとき、自分に実感できたとき、
もっと働こうとするものです。
部下が会社を辞めたくなるとき、上司であるあなたが、
部下に「自己重要感」を与えていない事が原因である
ことは知っておくべきです。「自己重要感」を与えているか
どうか、出来れば部下本人に訊いてみたらよいでしょう。
人事部も管理者の多面評価項目の一部に加えるべきでしょう。
あなたの部下が オ−ジンジ する前に・・・・
11投稿者:■グループコーチングの現場から■  投稿日:2003/04/14(月)02:20:24
−それぞれ考えていることは違う− 

急成長を遂げている出版社に入社した新人5人に
グループ・コーチングを行ったときのことです。
彼らはすでに、3ヶ月の研修期間を通じてお互いの
仕事ぶりも分かっている様子でした。
その日のセッションは、入社して今までで感じている
ことをひとりづつ3分間話し、残りの4人は聞いた感想を
本人に伝えるというものでした。
一番バッターのAさんは、「毎日緊張している」と
話しました。Bさんは「アルバイトに対する社員の
指示の仕方にもっと工夫が必要だと思う」。
Cさんは、「早く一人前になって現場に出たい」と、
内容はそれぞれ個性的なものでした。しかし、
それよりも興味深かったのは、聞いた後の反応でした。
特に緊張している、と話したAさんは他の4人には
一番自信に満ちている人、と映っていたのです。
12投稿者:「実は自分が思っていることと  投稿日:2003/04/14(月)02:22:55
人が考えていることは違うんですね」と全員が
心底驚いていました。コーチが行ったのは、新人たちに
話す機会を提供し、今思っていること、考えていることを
引き出すことでした。
グループコーチングでは、コーチがひとつの質問をし、
複数の参加者に話をしてもらいます。同じ質問に対して
多くの違った答えや考え方を聞くことはカルチャー・
ショックのようで、誰にとっても新鮮な驚きの体験
となるのです。答えはひとつだけではない。たくさんの
選択肢があって、私たちはその中から選ぶことができる
――これに気づくだけで、思考や行動のパターンは
ぐーんと拡がり、その人の可能性を広げると言えるでしょう。
コーチの役割は、発言の機会を作ることです。そして、
たくさんの考えを引き出すことです。 
ところで、冒頭の新人グループですが、お互いが
思っていることを積極的に伝え合うのが習慣となり、
団結力が高まっていると聞いています。チームワークは、
それぞれの違いにおびえるのではなく、違いを見つけ、
違いを受け入れる過程で生まれているのだと思います。
13投稿者:■知識を行動にかえる  投稿日:2003/04/19(土)02:16:28
〜借りものではなく、自分のものとする〜
ある外食企業の社長からこんな依頼がありました。
「せっかくつくったマニュアルを、社員に徹底させて
欲しいんです」社長はサービスレベルの均質化と底上げを
狙い、多大な時間とコストをかけて、店舗マニュアルを
作りあげてきたのです。しかしながら、実際の現場社員の
行動を観察すると、徹底されているとはいいがたく、
接客態度などに関してのマニュアル遵守率が30%
といった状態でした。社長はこう言いました。
「このマニュアルは、この業界で注目されている
A社のマニュアルをベースに作った完璧なものだ
と思うのですが・・・・」と。企業変革に取り組む
際に陥りやすい点がここにあります。もちろん、
他社のベストプラクティス(模範事例)を学ぶ
ことは必要です。しかし、他社と自社の状況が
異なるのにもかかわらず、それを十分に咀嚼せずに
取り入れてしまっても消化不良を起こすだけです。
良き事例に学び、それを自社にカスタマイズさせ
行動に結びつけるプロセスこそ、
コーチングの出番かもしれません。
14投稿者:この会社では、  投稿日:2003/04/19(土)02:18:35
店舗マネジャーにコーチングスキルを身に
付けさせるトレーニングを実施しました。そして、
その店舗マネジャー達は、店舗にてパート、アルバイト
のスタッフに対して、マニュアルを渡すだけでなく、
毎日、様々な質問を投げかけるようにしたのです。
「お客様にどういったイメージをもってもらいたい?」
「そのためにお辞儀の角度や声のトーン、顔つきは
どうしたらいいかな?」 勿論、はじめはあまりの
稚拙な回答に、マネジャーはめまいを起こしそうだった
と聞いています。しかし、このやりとりを数週間
継続していくうちに、スタッフ達自身が借り物では
ない自分の言葉で語り始め、ごく自然に行動できる
ようになったのです。そして、遵守率は3ヶ月ほどで
90%前後に向上させることができました。
人は知識を提供されただけで、うまく行動できる
とは限りません。それは「他人の靴を履かせて、
全力疾走させるようなもの」なのかもしれません。
知識を行動にかえるには、借り物を自分のものへと
チューニングしていくプロセスが重要です。
15投稿者:誰でも7年半は長く生きられる方法  投稿日:2003/04/19(土)02:23:14
エール大学の最近の研究によると、年齢を重ねることを
楽しめる人は長く生きられるということが報告された。
50歳以上の人を対象とした23年間にわたる研究の結果、
年をとることに対してポジティブな考え方をしている人は、
年をとることを憂えている人と比較して、約7年半ほど
長く生きていることがわかった。この研究では、健康状態や
性別、社会的なステータスなど、人間の寿命に影響すると
思われるその他のファクターによる切り口で調査したが、
年をとることに対するポジティブな態度が何にも増して、
寿命を延ばすことに大きな影響があることが明らかになった。
そのことと比較すると、血圧やコレステロール値を正常に
保つなど生態的な面で良好な健康状態を維持しても、
たった4年間しか寿命に影響しない。また、喫煙歴がない、
定期的に運動を続けている、など、一般的に健康にいいと
されている条件を備えていても、それらのファクターが
寿命に与える影響は1〜3年にしかならないという結果が
出ている研究もある。そのことを考えても、年齢に対する
ポジティブな態度というものが、いかに大きな影響を与えて
いるかがわかるだろう。
16投稿者:■コーチングで始まったゴルフ場の変革  投稿日:2003/05/05(月)02:54:21
田中敏尚さん(仮名)が、そのゴルフ場のキャディマスターに
なったのは二年前。ちょうど、ゴルフ場の売り上げが低迷し、
初めて給与カットが実施された時期でした。キャディマスター
としての田中さんの仕事は、キャディのサービス向上を図ること。
しかし、彼女たちは減給でやる気を失い、日々浮かぬ顔でコースに
出て行きます。ミーティングを開いても、会社に対する不平不満ばかり。
一向にモラルがあがらないキャディたちに、田中さんは
「それじゃだめですよ。もっと一生懸命がんばってください」と
励まし続けました。昨年、田中さんはコーチング・トレーニングに
参加しました。「彼女たちを励ましたい一心で伝えていた自分の言葉は、
結果的に全て彼女たちを否定することになっていたのだと気がついて
愕然としました」。それから田中さんは、とにかくキャディの話に
耳を傾けました。ルールから外れた行いをしたキャディには、
「どうしてそんなことをしたのですか」ではなく「何かあったのですか?」
と問いかけ、うまくお客さんに対応できないキャディには、「もっと
がんばってください」ではなく、「どんなところが難しいんですか?」と
話を促す。どんなに忙しいときでも一旦手を休めて、真剣に耳を傾けました。
17投稿者:そのうちに、  投稿日:2003/05/05(月)02:57:03
キャディたちは不満ではなく、サービスの質をあげるためにできる
ことを話し始めました。何を話すとお客さんとの会話が弾むのか、
グリーンのラインをどのように伝えるとよいか、優待券を渡すときに
どのような言葉を添えるとよいか。ミーティングは成功体験を共有
する場になっていきました。また、定例のミーティングに加え、
サービス向上のための自主的なミーティングを持つようにさえ
なりました。「モラルが、給料と密接な関係にあるのは確かです。
しかし、しばらくは給料をあげるのはむずかしいでしょう。
この現状の中で、彼女たちのやる気を高めるものがあるとしたら、
それはお互い同士のつながりです。そして、それは何よりもお互いに
耳を傾けるという行為から生まれます。そのことが実感できたのは
自分にとって貴重な体験でした」
 ゴルフ場の変革は始まったばかりです。
18投稿者:■アメリカ・コーチング情報〜  投稿日:2003/07/28(月)15:55:30
「国際コーチ連盟認定コーチ、資格取得への道」
アメリカでは、ビジネスコーチが世の中に出てきて、約10年経ちます。
最近では、インターナル・コーチ(企業内コーチ)や、コーポレート・
コーチ(コンサルタントと同じように企業にコーチが入る)が増えて
おり、コーチの能力や資質をどういう基準で見極めればいいのか、
ということが課題となっています。コーチとしての専門的な
トレーニングを受けていないにも関わらず、業務を提供する
「自称コーチ」によるコーチ業界の品質の低下を防ぐために、
国際コーチ連盟(ICF)では、今年「私たちが認めるコーチとは
コーチ・トレーニング機関で勉強し、実際にクライアントをコーチ
した実績を持つ『認定コーチ』であること」と定義しました。
 さて、この「認定コーチ」の資格ですが、現在、Accredited
Certified Coach, Professional Certified Coach, Master
Certified Coach の3種類があります。毎年世界各国から100件もの
認定試験を一手に引き受けるのは、元弁護士の辣腕コーチ、
マーガレット・クリグバウム氏。彼女は世界中の試験官(アセッサー)
を統括しています。このたび、日本語による認定試験を可能とするために
コーチ・トゥエンティワンと、コーチ・エィからマスター認定コーチ
5人がアセッサーとしてデビューすることになりました。
19投稿者:トレーニングは電話会議で行なわれ、  投稿日:2003/07/28(月)15:57:45
初回は「テクニカル・レビュー」と称して、申請書類のチェックの
仕方について扱いました。書類は全部揃っているか、クライアントや
メンターコーチからの推薦文は整っているか、コーチング時間は、
規定の時間数に達しているか・・・。基準に達していない場合は、
すぐにワシントンのオフィスに連絡する仕組みになっています。
一人の申請者に対して、アセッサーは二人体制になっているのですが
お互いのことは知らせないとのこと。すなわち、別々の結果を総合評価
して認定するシステムになっており、審査の客観性と平等性が保たれて
いることになります。
さて、トレーニングの最後にマーガレットが言った一言が印象的でした。
「これはコーチとしての倫理です。もし受け取った申請者があなたの
知り合いだったら、自己責任で拒否してください。私たちは公平に審査
することがミッションですから」。凛と言い放ったその様子に、私は
彼女が築き上げてきたコーチ認定制度への自信を感じました。日本で、
いち早く日本語による国際コーチ連盟の認定審査を提供できる日を楽しみ
にしています。 国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ
財団法人生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ 平野圭子
20投稿者:■ネイティブ・コーチの特徴−相手を安心させる−  投稿日:2003/07/28(月)16:00:45
今年で64歳になる母が白内障の手術を受けました。手術当初は何の問題も
なかったのですが、半年過ぎたぐらいから母は「なんかね、いつも眼が
ふわふわするのよね。」と言い出しました。「ふわふわ?」「他に表現が
見つからないんだけどね、ん〜、ふわふわなのよ。」何が自分の眼に
起こっているのか分からず母は不安そうでした。手術をした先生に再診
してもらったところ、「原因は良く分からないですね、多分大丈夫だと
思うんですが、、」。眉間に皺を寄せながら先生は言いました。母の
不安は消えませんでした。先週、知人から紹介されたK先生という眼科医
に母を連れて行きました。診療室に入るなりK先生は「鈴木さん、Kです。
よろしくお願いします」満面の笑みを浮かべ、はりのある声で挨拶
しながら、母に名刺を手渡しました。しばらく母の目をスコープで見た後
「飛蚊症だと思いますが念のため今隣にいる先生にも聞いてみましょう」
すぐ隣室にいた先生を呼びました。「飛蚊症ですね。」隣の先生も
同意しました。K先生は真っ直ぐに母の目を見て「鈴木さん、
飛蚊症はね、腕にできたシミみたいなものです。歳を取ると多くの
人の眼にシミができるわけです。大丈夫。これは絶対に慣れますから。
安心して。」と言いました。母の顔に安堵の色が浮かびました。
21投稿者:K先生は最初から最後まで、  投稿日:2003/07/28(月)16:02:14
いかに母を「安心させる」かを考えているようでした。出会う全ての
患者さんに対してその姿勢は貫かれているに違いありません。K先生は
決めているのでしょう。何があっても患者さんを「安心させる」
ために最大限のことをしようと。私自身コーチとしてクライアントを
「安心させる」ためにもっとやれることがあるのではないか、そう
考えながらK先生と母のやりとりを傍らで見ていました。帰りがけ、
母は笑いながら言いました。「先生に会った瞬間にもう治っちゃった
気がしたわ。いい先生ね〜。」K先生もまた間違いなく
ネイティブコーチでした。
*実際、最近医療に携わる方でコーチングを学ばれている方は
確実に増えています。
 株式会社 コーチ・エィ 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ  鈴木 義幸
22投稿者:■「夢」を「目標」に変える  投稿日:2003/07/28(月)16:04:15
5年前、Mさんが私にコーチを依頼してきたとき、Mさんは
それまでの勤めを退職してリゾートホテルのマネージャーに転職を
した直後でした。Mさんは独立してペンションを経営するという夢に
向けて、まずはサービス産業のノウハウを積もうと、思い切って
転職をしたのです。しかし、いざ働き出してみると、「ペンションの
オーナーになる」という夢を持っている自分に酔いしれることは
あっても、現実には何をしていいのかさえわからない。このままでは
結局「夢」で終わってしまうのではないか。そんなときに、Mさんは
私に「ペンション開業」のコーチングを依頼してきたのです。
当時のMさんは箱根のリゾートホテルでフロントとレストランの
マネージャーをしていました。コーチングの最終目標は
「ペンション開業」ですが、実際にテーマにしたことは
「マネージャーとして成功する」ことでした。セッションの中で
まず最初に行なったことは、「そのためにすること」のリスト化です。
レストランの売り上げをアップさせる。浴場清掃の時間を短縮する。
早出、遅出の申し送りの漏れをなくす。etc。
23投稿者:私はそのリストに基づき、  投稿日:2003/07/28(月)16:05:49
一つ一つのアイデアについて「今すぐやれることは何か?」
「具体的にはどのようにやるのか」「それをやることでどのような
未来が開けるのか」などといろいろな角度から質問することで、
Mさんのアイデアを具体的なビジョンにしていきました。そして
Mさんは毎週のセッションの度にアイデアを一つ一つ行動に移して
いったのです。「レストランの売り上げを伸ばすためにはサイド
オーダーとアルコールの売り上げを伸ばすしかない。そのために、
生ビールサーバーを置こう。そしてビールがすすむように、
サイドオーダーのメニューはピリカラのものを追加しよう。」
「清掃時間を短縮するには、パートタイムの従業員の動きをもう少し
良くしたい。一人一人と時間をとってじっくり話してみよう。」
 Mさんの行動は確実に成果を得ていきました。そして、
マネージャーとして自分の能力を具体的に発揮することが、
ペンションのオーナーを「夢」から身近にある「現実」へと
近づけました。Mさんは「今」にコミットし、行動を起こすこと
によって未来の可能性を確信していったのです。
 株式会社コーチ・トゥエンティワン 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ 桜井一紀
24投稿者:■コーチに適した人材  投稿日:2003/08/02(土)05:53:29
どんな職業にも適性があるように、コーチとしての適性があります。
 ・自分に対して客観的でいられる
 ・さまざまなタイプの人たちと人間関係を築くことができる
 ・フィードバックを受けることができる、それを活用することができる
 ・的確なフィードバックができる
 ・高い観察能力
 ・コンフロンテーション(直面)することができる
 ・質問で会話を創りだすことができる
 ・会話をコントロールすることができる
  (会話を始めて、変えて、終わらせることができる)
 ・的確な言葉を選ぶことができる
 ・高い自己認識
 ・人生を楽しむ能力
そして、少し抽象的ですが、他人の幸福が喜べる人。
25投稿者:現在コーチ・トゥエンティワンでは、  投稿日:2003/08/02(土)05:55:22
企業の優秀なマネージャーたちにインタビューをしています。
彼らが創りだす違いとは何かついて、私たちも学ぶためにインタビュー
を続けています。そして彼らに備わっている能力もまたコーチの
適性とリンクします。コーチ・トゥエンティワンにもマネージャー
がいます。それぞれに優れた能力をもっているのですが、その中の
一人は、業績が上がったり、新しい提案を持ってくるとき「この
提案は誰々さんのものです」「今回の業績アップには誰々さんの
貢献が大きかったと思います」と、必ず部下のクレジットを入れます。
ともすれば、自分が思いついた、自分の業績を吹聴したいのが人の情
ですが、彼は必ずクレジットを入れます。アイディアの出展を明らかに
するのは、モラルです。高いモラルを無理なく自然に保つことで、
質の高いマネージメントが実現されるのだと思います。クレジット
(功績を認める)をつけることはコーチのミッションです。同時に
いいマネージャーの条件でもあります。「今、私が話しているのは、
○○さんから聞いたものです。」「このアイディアはこの本から
見つけました」このような話を聞いていると気持ちがいいものです。
同時にその人に信頼がおけます。コーチの適性の中でもこの部分は
特に大切なものだといえます。
株式会社コーチ・トゥエンティワン 代表取締役社長
国際コーチ連盟マスター認定コーチ  伊藤守
26投稿者:■「ネットワークソリューション」  投稿日:2003/08/11(月)15:34:54
Kさんは大手の家電メーカーで、光ディスクに関する技術開発の
プロジェクトリーダーを勤めています。Kさんはコーチ・トレーニング
・プログラム(CTP)に参加して、「研究」に対するイメージが
大きく変わったと言います。現在CTPには企業のマネージャーを
はじめとして、多種多様な職業、役割、年代の方が多数参加しています。
KさんはCTPの中で行われる電話会議のプログラムを通して、何度と
なく自分とはまったく異なる立場や考え方に出会いました。それまで
研究開発というものは、人に聞いたり教わったりするのではなく、
ひとりで地道にやって、完成したところではじめて、製品開発の
部署に渡すもの、つまり、答えは自分の内側に探すものだと
思ってきました。ところが、CTPに参加し、いろいろな人との
ディスカッションを通して、答えは自分の内側だけではなく、
外側にもある、と考えるようになりました。Kさんの仕事は、
光ディスクの技術開発に伴う特許を取得することです。将来、
製品化されたときに関連する特許を今から全部取ってしまう仕事で、
そのためにチームを率いて「特許合宿」なるものを行なっています。
その合宿に初めて研究チーム以外の人間を入れることにしました。
営業担当者、異分野の研究者などに声をかけたのです。一部には、
専門知識がない人を呼んでもしかたがないという意見もありましたが、
KさんはCTPの体験から「きっと何かおもしろいことが起こる」と
信じて、混成チームによる特許合宿を実施しました。
27投稿者:信じて、  投稿日:2003/08/11(月)15:37:23
混成チームによる特許合宿を実施しました。
「その合宿はかつてない盛り上がりを見せました。特許のアイデアを
30件出すというゴールだったのですが、出たアイデアは100件以上。
それまでの合宿ではゴールを達成したことがありませんでしたから、
それだけでもすばらしい成果でした。その上、この技術をIDの認証
カードに使ったらどうか、という研究者からは絶対に出ないような
アイデアが営業担当者からも出て、スタートの合宿としては大成功でした」
現在、Kさんは、製品化のための最終段階の技術開発のプロジェクト
リーダーを任されています。「実は、今やっている開発テーマは
私にとって技術的には専門外なのです。ですから、自分ひとりの考えに
とどまらずに、いかに多くの研究者の知恵と技術を引き出して
まとめることができるかが勝負です。技術系の研究者は本当に優秀な
人が多い。ところが「ひとり」になりがちなのです。コーチング
によって、お互いの知識や技術、情報がシェアされればこの
プロジェクトもきっと成功すると思います。」
コーチングを学ぶことによって、Kさんにとっての「研究」は、
「スタンドアローン」から「ネットワークソリューション」へと
大きく変わったのです。
 株式会社コーチ・トゥエンティワン 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ
  桜井一紀
28投稿者:コンピュータソフトウェア開発会社  投稿日:2003/08/11(月)15:42:05
 テクノロジーセンター長
先日、偶然手にとった「コーチング・マネジメント」を読んで、
以前より娘と接していて感じていたことが理論として確立している
ことに強く興味を覚えました。それは本人の話を聞くこと・決めたこと
を認めること・本人の力を信じること、などです。この気づきを
スキルとして職場やプライベートでも活用したいと思い、CTP
(コーチ・トレーニング・プログラム)参加を決めました。
コーチングを学ぶにつれ、日常に活かそうと積極的に取り組んでいます。
しかし職場では、自分の立場を離れて部下の話を聞くことを学ぶまで
活用を難しく感じることもありました。
先日、部下が「私が意見を出すと、山路さんに『そうじゃない』と
言われるので、だんだん言うのをやめてしまっていました」と
話し始めました。私はコーチの役割を意識しているので冷静に
聞くことができました。しかし、部下の訴えには覚えがありません。
私はおそらくそのように言っているのでしょう。ただ『ここは
こういうふうに考えた方が適切だろ』と、彼の意識を変えようと
することに気をとられ、『そうじゃない』は心の中からすぐ消え去って
いたようです。しかし、部下にとっては否定された言葉だけが
心の中に残ってしまっていました。本人が伝えてくれて初めて
気づきを得ました。私は聞いてみました。
29投稿者:「ところで君、  投稿日:2003/08/11(月)15:44:31
どうして今このことを話してくれたの?」「えぇ、今日は初めから
ずっと話を聞いてくれたので、『そうじゃない』と言われない気が
しました。こんなに話したのは初めてですね」彼とは10年の付き合い、
一緒に飲みに行くことも度々でした。でも彼は今日ほど話を聞いて
くれた日はなかったといいます。私にとっても印象の強い出来事でした。
CTPには世代、職場、性別、上下関係なく意見が出されます。
「今までこんな視点から考えたことなかったなぁ」とか「この視点の
考え方いいねぇ」という具合に、今までになかったほどのさまざまな
気づきを毎回多く得ています。このことがクラスを続けるパワーに
なっていると思います。これから挑戦するクラスにも、さらなる刺激と
学びを期待しています。
30投稿者:【NHK「クローズアップ現代」  投稿日:2003/08/18(月)04:24:23
NHK「クローズアップ現代」にてコーチングが紹介されます。
 ぜひご覧ください。
 放映日時:2003年8月20日(水)NHK総合19:30〜19:56
 (放送予定は予告なく変更されることがありますのでご了承ください)

31投稿者:■行動させる  投稿日:2003/08/24(日)03:59:19
もう10年も前、アメリカの大学院に留学していたときの話です。大学院の
近くにオフィスを構えていた行動心理学者のセッションを受けました。
彼は当時コーチとは名乗っていませんでしたが、やっていたことはコーチ
そのものでした。オフィスは重厚なビロードのカーテンを窓にあしらい、
背丈の2倍ほどもある書棚が窓のない三方向の壁を覆っていました。
ソファに腰掛けた私に彼はまず聞きました。
「What brought you here?」 (どんな目的で来たの?)
私は答えました。「人のちょっとした表情の変化に影響を受けて思った
ようにコミュニケーションを交わせないことがあります。それを変えたい
んですが。」彼は一言「OK」と言って、しばらく思案するように床を
見つめていました。そして言いました。「君に一つやってほしいことが
あるんだけど、やる?」 「もちろん」 私は答えました。 
彼は真剣に私の目を見据え、もう一度聞きました。
「You really wanna do it?」 (本当にやる?)「もちろん!」
少し大きめの声で私は答えました。 彼はぐっと身を前に乗り出し、
さっきよりも少しゆっくりと、そして低く深い声で、もう一度
問いかけました。「You really, really wanna do it?」 
(本当に、本当に、やる?)私は一度大きく息を吸い込み、そして、
彼の調子に呼応して、少しゆっくりと、しかしはっきりと
「I wanna do it.」 (やりたい。)と答えました。 
32投稿者:ここまでで、  投稿日:2003/08/24(日)04:01:13
彼はコーチとしての役割をほぼ終えていました。クライアントの
コミットメントを高め行動させるというコーチの役割を。
その後、私は彼のオフィスを出て、ウォルマートと呼ばれる、
大型スーパーマーケットに足を運び、30分間で、100人の人ににっこり
笑って、周りが驚くくらい大きな声で「ハ〜イ!!」と言うという課題を
こなしました。東洋人にあまり好意的でない「レッドネック」と呼ばれる
日雇いの白人や、低所得の黒人が客の多勢を占める、テネシー州の平日の
昼間のスーパーで。100人目を終えた瞬間、思わず天井を仰ぎ、満面の
笑みを浮かべたことを今でもよく憶えています。
 クライアントのコミットメントを高め行動させるというコーチの
ミッションに立ち返る時、テネシーで出会った行動心理学者が繰り返した
「really」(本当に)という言葉がしばしば私の頭の中に蘇ります。
株式会社 コーチ・エィ 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ  鈴木 義幸
33投稿者:名捨て人@深夜です  投稿日:2003/09/10(水)00:52:08
Tさんは大阪で弁護士をしています。中小企業の法務や売掛金
の請求、離婚訴訟など、地元の生活に根ざした法律相談がTさん
の主要な業務です。Tさんは、昨年の10月から業務改善をテーマに
コーチングを受け始めました。コーチングを開始して1ヶ月ほどで、
人に話を聞いてもらうことのイメージが大きく変わったといいます。
「30分のコーチング・セッションが終ると、次の行動がはっきり
見えていて、毎回満足感を感じていました。自分もこんなふうに
人の話を聞けるようになりたいと思うようになりました」Tさんは
それまで弁護士としてほとんど依頼人の話を聞いていませんでした。
30分の法律相談のうち最初の5分で話の内容を咀嚼してしまう。
あとの25分は法律的な解釈や答えをずっとTさんが話している。
もちろん、仕事としては問題は無いものの、依頼人の表情を
見ていると、何か釈然としないまま帰っていくような気がしていた
というのです。
34投稿者:名捨て人@深夜です  投稿日:2003/09/10(水)00:55:04
コーチングのできる弁護士を目指して今年の2月からCTP
(コーチ・トレーニング・プログラム)に参加しています。
「大きく変わったことは、依頼人の目的や将来のビジョンを
聞くようになったことだと思います。現状を聞き、答えを出して
いただけの時と比べて依頼人が晴れやかな顔をして帰るように
なりました」事実、Tさんの法律事務所は「話を聞いてくれる
弁護士」として依頼人からの紹介が増え続けています。
「弁護士の仕事は、マイナスを0に戻すこと、コーチの仕事は0から
プラスに持っていくこと。少しづつですが弁護士業務とコーチング
の融合がうまくいき始めています。将来は法的知識をもったコーチ
として、コーチングを行いながら、経営者を法的にも守れるような
仕事をしてみたいと思っているのです」
アメリカでは弁護士がコーチとして活躍する例が急増しています。
もちろん日本でも、Tさんのようなコーチはビジネスオーナーの
心強い味方となるに違いありません。
 株式会社コーチ・トゥエンティワン 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ 桜井一紀
35投稿者:■クオンタムとコーチ  投稿日:2003/09/10(水)01:09:45
クオンタム(量子)は、それを観察する者が「点」のようなもの
だと思うと点に見えて、「波」のように動いているものだと思うと
動いて見えるのだという話を聞いたことがあります。観察者の
思っていることが被観察者に影響します。
 部下を前にして、最初から「あまり期待できない」という視点で
見れば、それは部下に伝わります。「期待できる部下だ」と思えば、
それが伝わります。コーチングにはさまざまなコミュニケーション
スキルがありますが、そのスキルを使う前に、どのような視点を
持って人と向き合うのか、これまではどのようなスタンスで人と
向き合ってきたのか、そのことを問わずに、スキルだけを身に
つけても、とてもコーチングは機能しません。
子供に時々聞いています。
 「どんな目つきや顔つきでお前を見ているかな?」
 「だいたい、笑っているよ」
 「それは、どう?」
 「なかなかいいと思うよ」
 「どうも」
36投稿者:コーチには  投稿日:2003/09/10(水)01:10:30
高度なコミュニケーションスキルが求められます。
同じように、コーチ自身の自己認識の高さも求められます。
コーチングの最中や終わりに、今日のコーチングセッションに
ついて、また、コーチの態度について、クライアントに自由に
フィードバックする機会を設けるコーチは信頼がおけます。

 株式会社コーチ・トゥエンティワン 代表取締役社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ
  伊藤守
37投稿者:■アメリカ・コーチング情報〜  投稿日:2003/09/16(火)13:58:29
「プロフェッショナルコーチとしてのプレゼンスを貫く」
アメリカのコーチたちと仕事をする機会が多いのですが、
その度に、彼らのコーチ的な仕事の進め方の早さと、コーチとして
の能力の高さを感じます。国土の広いアメリカですから、
ちょっと会って話しましょう、というわけにもいきません。
そこで活躍するのが電話会議とメールで、彼らのコーチ的な
コミュニケーションによってほとんどの商談はバーチャルに
(会うことなく)行われます。先日、組織開発のコンサルタント
であり、スモールビジネスのコーチングを専門とするリアドン氏
と会議を行いました。このたび、日本でプログラムを開催する
ことの可能性について話し合いをするために、リアドン氏、
コーチ・トゥエンティワンから2人、通訳1人の4人で電話会議
をしました。事前情報として企画書がメールで届いていました。
会議がオンタイムで始まると、ちょっとしたT−UP(前置き、
挨拶など)の後、彼はこう切り出しました。
38投稿者:「今日は  投稿日:2003/09/16(火)14:04:07
1時間のミーティングの時間を取っていますが、終了時には何を
達成していればいいですか?」。それは典型的なコーチング・
クエスチョンでした。その一言で、会議の目的が話され、焦点が
明らかになると、次は彼からの短いプレゼンテーションとなりました。
「プログラムを提案して欲しいということでしたが、私ができる
ことを知って欲しいのでメールで10の企画を出しました。その中から
目的に合うものを選んでいただきたいのですが、内容に関して質問や
リクエストはありますか?」。そして、話し合いが一区切りする度に
「そちらのことをきちんと理解していたいので、確認します。
つまり、、」と、話された内容を正確に繰り返します。
リアドン氏のアプローチはコーチそのものでした。目標を明確にする、
質問する、選択肢を提供する、聞いたことを復唱する…。これを行って
いるだけなのですが、会議が終わるころには、電話の向こうにいる彼に
対する信頼感がぐんと増していることに気づきました。さて、1時間の
会議が終わった直後にメールが来ました。「焦点が絞られた明快な
ディスカッションでした。私に信頼を寄せてくれたことに感謝します」
と。そのメールは、彼のウェブへリンクするHTMLメールでできて
いました。彼に対する私たちのレセプターが高まったところで、
次の選択肢を提供する--でも見に行くかどうかの選択権はこちらに
ある。彼は常にコーチとしてのプレゼンスを貫いているのです。
 国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ
 財団法人生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
  平野圭子
39投稿者:■「軸を持つ」  投稿日:2003/09/20(土)01:06:35
本日、私の新しい本が書店に並んでいるはずです。タイトルは
「心を動かすリーダーシップ」。ある会社の経営者を3年半に渡って
ワン・トゥ・ワンでコーチングした記録をストーリー仕立てで
まとめています。私のクライアントはお父様が病気で倒れたのに
伴い、ある日いきなりサラリーマンから、1000人の会社のトップ
になりました。会社は500億の借金があり、いつ潰れてもおかしく
ない状況でした。コーチングを依頼してきた彼は「経営者として
どう振舞うべきなのか分らない。」そう言いました。
初めてのセッションで会社の財務データを見せられたとき、自分
と彼との対話の向こうに1000人の社員の生活があることを思い、
「重さ」を感じました。役に立つコーチングを提供したいと思う
ほど言葉のやり取りがうまくいかず、苛立ちと焦りが募りました。
コーチングを始めて2ヶ月経った頃、自分のコーチである弊社代表
の伊藤に相談しました。彼はしばらく私の話にじっと耳を傾けた後
一言言いました。「君に軸がないんだよ。彼にどうなってほしいか
という軸が。だからぶれるんだよ、君も彼も。」目が覚めるような
一言でした。それ以降のセッションでは、彼がどんなに社員の
やる気のなさを嘆き、メインバンクである銀行の姿勢に文句を
つけようとも、彼に「全てはあなたの責任です。
40投稿者:だから、  投稿日:2003/09/20(土)01:08:31
あなた次第で解決できます。」と言い続けました。その言葉に
「超ど級」の信頼を乗せて。
半年経過した頃クライアントが言いました。ゆっくりとしかし
とても力強い口調で。「何があっても社員を大事にする。そして
社員に元気と勇気を与える。それが経営者として一番大事な仕事
だと思います。」3年半の間に、朝来て足を机に投げ出し小説を
読みふけっていた役員は、次から次へと企画を打ち出すように
なりました。他のセクションの悪口ばかりを言っていた管理職は
進んで情報を共有するようになりました。倒産寸前だった会社は
12億の営業黒字を出すまでに至りました。銀行が支援の停止を
匂わせることもなくなりました。全ては「軸」から始まりました。
コーチの私が「軸」を持ったことが、クライアントが「軸」を持つ
ことにつながり、それは会社と社員が「軸」を持つことに
つながったのです。
 株式会社 コーチ・エィ 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ
  鈴木 義幸
41投稿者:■「コーチとアセスメント」  投稿日:2003/09/28(日)05:06:13
アセスメントは効果的なツールです。アセスメントの種類は
多岐にわたっており、自分の強みの領域を知り、未来へ向けての
テーマを選び、方向性を決めるツールとして活用することが
できます。しかし実際には、私たちはあまりアセスメントを
使いたがらない傾向があります。これには次の三つの理由が
あります。これらを解消することでアセスメントを有効活用する
ことができます。
 1)スコアが低いと、悪く考えてしまう
 2)査定や評価は時間の浪費で面倒なだけだと考えてしまう
 3)結果をどのように解釈したらよいのか、また、収集した
   情報をどのように活用したらよいのかわからない
まず、アセスメントは実はそれ単体ではあまり効果がないという
ことを知っておく必要があります。たとえば人間ドックの結果も
それだけが郵送されて来たとしても、戸惑ってしまうだけで、特に
行動に変化が起こるわけではありません。しかし、結果について
医師と話す機会があれば、生活習慣をはじめ、何をしたらいいかが
はっきりするでしょう。どんなアセスメントにも同じことが言えます。
アセスメントの選択やその結果についてコーチングを受けることは、
「解釈の幅」を広げ、さらに焦点をあてるべき強みの領域とは
どこなのかを知る機会をもたらします。
42投稿者:また、  投稿日:2003/09/28(日)05:06:32
アセスメントはその設計の段階で、一つのモデルを
想定しています。そのモデルを基準に自分の位置を見つけるために
アセスメントは使われます。ただしアセスメントモデルは
あくまでも「仮説」であり、自分をアセスメントモデルと比較して
優劣を決めることは意味がありません。アセスメントはコミュニ
ケーションツールであり、コーチングツールであるにすぎません。
アセスメントを使うことで、違う視点で物事を捉えることができます。
アセスメントは単体ではあまり機能しません。コーチングとセットで
使うことでより効果的なものになるでしょう。
 株式会社コーチ・トゥエンティワン 代表取締役社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ 伊藤守
43投稿者:■「マネジメントに活かすタイプ分け」  投稿日:2003/10/03(金)19:04:11
Sさんは、外資系の大手コンサルティングファームで、
スタッフの教育研修を担当しています。Sさんは部下との
コミュニケーションに役立てようとCTPに参加しました。
Sさんが最初に興味をもったのは「タイプ分け」でした。Sさんは
ほとんどの部下とはうまくいっていたのですが、一人だけが
気がかりな部下がいました。「それまでの私は、どの部下に対しても
仕事を指示するときに一から十まで手順を全部説明するように
していました。そのやり方に何の疑問も感じていなかったのですが、
それはアナライザーの特徴で、誰にでもそのやり方がいいわけでは
ないことを知りました。私としては、仕事の手順を丁寧に説明
しているつもりなのにその部下はだんだんいらいらしてくるようで
いつもやりにくいと思っていました。一緒にプロジェクトを
組んでいても、私はこんなに忙しいのに何でこの人は暇そうに
しているのだろう、と思うことがよくありました」
「タイプ分け」を通してその部下がコントローラー的な要素が
強いことを知ったSさんは、少しずつタイプに合わせて
コミュニケーションを変えていったのです。
44投稿者:「まず  投稿日:2003/10/03(金)19:06:46
最初はプロジェクトの手順を決めるところから参加して
もらいました。そうすると、たくさんのアイデアを持っているし、
私が思っていた以上に能力もあるんです。今までは、部下が
できることを私がやってしまっていたんだと思いました。次には
ミーティングも持たずに、これをいつまでにやって欲しいとだけ
リクエストするようにしてみました。すると私が言った期限よりも
早く出てくるんです。早いねと言うと今までは言われたスケジュール
通りにやっていたから暇だったと言われてしまいました。」
その後、2,3ヶ月の内に、Sさんはそれまでやっていた
ほとんどの仕事を部下に任せるようになりました。Sさんは今、
かねてからやりたいと思っていた、グローバルなスタッフ
トレーニングの戦略立案とプロデュースの仕事に携わっています。
「タイプ分け」は相手とのコミュニケーションを発展させ
パフォーマンスを上げるための糸口を見つける強力なツールです。
 株式会社コーチ・トゥエンティワン 取締役副社長
 国際コーチ連盟マスター認定コーチ 桜井一紀
45投稿者:■「海外コーチング事情」  投稿日:2003/10/10(金)21:53:35
〜海外コーチに学ぶスピーキング・スキル〜
海外で活躍するコーチをスピーカーとして招待し、コーチ・
トレーニング・プログラム(CTP)の受講者に対して電話会議を
使った「ゲスト・コーチ・シリーズ」を始めて3年が経ちます。
電話会議システムというのは便利なもので、毎回40人の参加者と
海外からのコーチと通訳を交えて、1時間15分のスペシャルプログラム
を行っています。日本にいながら、海外のトップコーチの講義を
受けることができるというコーチングの「国内留学」とも
言えるでしょう。今まで行った約30回の「ゲスト・コーチ・
シリーズ」に参加する中で、毎回印象に残るのは、各コーチ
たちの高いスピーキング・スキルです。1時間15分(通訳を
入れるため賞味40分ほど)のほとんどの時間をプレゼンテーション
に使い、途中で質疑応答も入れますが通訳というハンデが
あるにせよ、ほぼ時間通りに終了します。ハンドアウト(配布物)
も毎回用意されており、手元に補足資料を置きながらじっと
話を聞いているだけでも飽きることはありません。これは、
彼らが「クラスリーダー」(電話会議システムを使ったクラスの
運営)を長年に渡って行ってきた努力の賜物と感心するばかりです。
46投稿者:先日、  投稿日:2003/10/10(金)21:55:13
リーダーシップを専門とするトレイシー・スティーブンズ氏を
迎えて、コーチングとリーダーシップに関するクラスが
行われました。その中で、次の質問が参加者から投げかけられ
ました。「リーダーには『聞く』スキルが大事だということ
ですが、特に何に気をつければいいですか?」。
スティーブンズ氏は、こう答えました。「リーダーはとかく
しゃべりがち。そのとき、ぜひこのアクロニム(頭字語)を
使ってみてください。”WAIT= Why Am I Talking" 話す前に
ちょっと間を置いて、『今話すべきか・・・』と考えてください。」
待つという意味の「WAIT」とひっかけたうまい表現だと
思いました。特別なことでもないのですが、この一言が残っただけで、
すぐに使えるツールを手に入れたように思います。実際日頃仕事
する中で何回か思い出します。
 国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ
 財団法人生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
  平野圭子
47投稿者:「対話を先延ばししない」  投稿日:2003/10/18(土)01:33:54
先日ある石油元売会社傘下のサービスステーション(SS)の
店長さんたちにコーチング研修をする機会がありました。
店長さんの一人に、油外商品(オイル交換や、洗車)において
全国トップ、毎月平均で他店の2倍の売上を上げている方がいました。
研修の途中でこのことを知り、その店長さんに前に出てきていただき、
どのようにスタッフを育成しているのかヒアリングしました。
他の店長さんのほとんどが40代の中、彼は26歳です。
髪は茶色に染め、スーツを着てはいましたが、いかにもたまに
着ましたという感じで、あまり体にフィットしていません。
足には白い靴下を履いています。どこにでもいそうな今時の
若者です。その彼に質問をしました。
「業績を上げるために一番大事なことは何ですか?」
彼は間髪入れずに答えました。
「コミュニケーションと雰囲気です。」
正直驚きました。売上トップの店長とはいえ、茶髪で
白靴下の若者がそのような言葉を返してくるとは全く予想
していませんでした。一瞬間をおいて、彼に再び質問をしました。
「雰囲気を良くするためにやっていること教えてもらえますか?」
彼は答えました。
48投稿者:彼は答えました。  投稿日:2003/10/18(土)01:34:12
「とにかく一歩離れてスタッフの表情をよく見ています。
ほんのちょっとでも、何かいつもと違うなと感じると、すぐに
そのスタッフのところに行きます。『なんかあった?』と
聞くときもあれば、『悩んでるだろ。』ってストレートに
言っちゃうときもあります。いずれにしても、気になることは
先延ばししない。その場でなんとかするって決めてます。」
あまりに自信に満ち溢れた言い回しに、私も他の店長さんたちも
圧倒されました。人を動かすことができる人は、決して「対話」を
先延ばしにしない。いつでも向かいあって、自分が相手に対して
思っていることを伝える準備がある。それは年かさが増したから
できるというものではなく、「やると決めた人」がやるんだと
いうことを実感しました。そう言えば、先日のサッカー日本代表の
ルーマニア戦でも、キャプテンを務めた中田英寿選手が、自分より
年上の選手を大きな声で叱咤していました。試合の次の日の新聞に
載っていた彼のコメント。
「今言っておかないと後で大きな問題になりますから。」
彼も26歳です。
株式会社 コーチ・エィ 取締役副社長
国際コーチ連盟マスター認定コーチ 鈴木 義幸
49投稿者:部下のモチベーションを上げるための7カ条  投稿日:2003/10/18(土)01:38:30
職場を生産的な場所とするのがリーダーの仕事です。
そのために部下のモチベーションを上げることは
リーダー必須の条件です。
1. リーダーの登場が一日を決める
会社に着くなり、リーダーが不機嫌で疲れた顔や態度で
いたらどうでしょう?部下のモチベーションはリーダーの
朝の一瞬で決まります。
2. 部下に何を求めているかを伝えている
あなたが要望を伝えたつもりでも相手が受け取っていない
可能性があります。特に変更があったらきちんと情報共有すること。
それがないと部下は混乱します。
3. 好ましくないことこそきちんと伝える
よいことを伝えるのは当然のこと。同時に失敗に対する
フィードバックも重要です。起こした問題について何の言及も
ないのはモーチベーションを大きく下げます。
4. やる気を出すシンプルな言葉を使う
成功の秘訣は周囲の人に好意を持ち感謝し適切なメッセージを
伝えること。「お願いします」「ありがとう」「よくやった」
など部下のやる気を引き出す短い力強いシンプルな言葉を
使いましょう。
50投稿者:部下のモチベーションを上げるための7カ条  投稿日:2003/10/18(土)01:40:09
5. 環境を作る
「部下をどうやる気にさせるか?」ではなく、「一人一人が
ゴールや行動に対するやる気をアップできる環境をどう作ったら
よいか?」がリーダーの考えることです。
6. インタラクティブな時間を作る
モチベーション向上は上司と持つポジティブでインタラクティブな
時間数で決定します。最低でも年に4回パフォーマンスアップ・
ミーティングを設定しましょう。
7. 部下の成長に焦点を当てる
人は仕事における成長を望んでいます。部下が求めている変化
について話すこと。何がやる気を引き起こすのか?どんなキャリアを
描いているのかなどを聞き、それに合ったサポートをしましょう。

今までやったことのない項目を選んでさっそく実行してみましょう。
51投稿者:リーダーとして「話す」  投稿日:2003/10/18(土)01:41:20
リーダーは部下/後輩の話を「聞く」ことが大切だと言われますが、
今回はあえてリーダーとして「話す」ことについて取り上げます。

●リーダーとして伝達する
チームメンバーを刺激し、巻き込み、行動に駆り立てるために、
リーダーは自分のヴィジョンを分かりやすく伝えなければなりません。
メンバーに伝わりやすく話をするには、言葉だけでなく、自分自身の
「プレゼンス」(あり方、外見)をマネジメントする必要があります。
声、表情、姿勢、身振り手振り、といった「プレゼンス」の質を、
目的に合わせて、最大限に高めることが必要です。


(CTP新モジュール『リーダーシップ』より)
あなたの思うリーダーとしての「プレゼンス」はどういうものですか?

52投稿者:リーダーとして「話す」  投稿日:2003/10/18(土)01:42:11
●部下/後輩と話すときのプレゼンス チェックリスト

あなたが普段会社で話をしているときを思い出して、あてはまる
ものにチェックしてください。

 □ 部下/後輩の顔を見て、目を合わせて話している
 □ 部下/後輩が話や説明の内容を理解しているか、随時確認している
 □ 部下/後輩がコメントや質問をするチャンスを与えている
 □ 部下/後輩の気持ちを考慮している
 □ 部下/後輩から発せられている戸惑いのサインを見逃していない
 □ 分かりやすい言葉で、明確に話している
 □ 話す声のトーンやしぐさ(言葉以外の動き)と言葉が合っている
 □ 声のトーンやペースに変化をもたせている
 □ 曖昧な話し方をせず、細部について話すときは複雑になりすぎない

チェックの付かなかった項目から2つ選んで、来週1週間、
意識的に実行してみてください。
53投稿者:リーダーの資質と部下から支持を得るためのスキル  投稿日:2003/10/18(土)01:44:08
● リーダーの資質

リーダーのあるべき姿について明確なイメージ像を持つようにします。

いつも自分の中に興味と好奇心を持ち続け、ヴィジョンがある。
部下のやりたいことに耳を傾け自分のヴィジョンとの接点を探る
ことができる。 現状維持ではなく変革と創造に積極的。
メンバーとのコミュニケーションが多く、必要であれば相手に
要望することができる。 決断ができる。
(CTP新モジュール『リーダーシップ』より)


あなたの周りの理想的なリーダーはどのような資質を持っていますか?
54投稿者:リーダーの資質と部下から支持を得るためのスキル  投稿日:2003/10/18(土)01:45:34
● 自分のヴィジョン・方針に支持を得るためには

 - 部下から支持を得るための具体的なスキル

自分なりの仮説を表明し、明確な理由付けをする。
 ・それらを裏付けるデータを提示する。
 ・仮定やメタファーを用いて自分の仮説に対する事例を提示する。
 ・第三者の意見を提示する。
事前に自分の話に関して、相手の了解をとる。
「まず私の考えた仮説とその根拠を話すので、聞いてもらえますか?」
記述的、客観的に話す。
「この話に似た事例として、**が**になった事実があります。」
相手から適時フィードバックを求める。
「私のいまの話について、あなたはどう思いますか?」
会話を結論で締めくくる。

上記のスキルのうち、どの項目であれば意識的に用いてみることが
できますか?ぜひどれか一つ、明日の会議で挑戦してみてください。
55投稿者:田原研児氏(サービス業事業企画)  投稿日:2003/10/18(土)01:48:07
「コーチングを学ぶということ」2003.10.17
コーチングを知るきっかけはコーチ・エィ(コーチ・トゥエンティワン
の関連会社)が実施した社内研修でした。その頃は人事を担当しており
研修に参加した社員の「やる気」が顕著に上がったことが印象的でした。
その後、コーチングスキルを本格的に身に付けたいとの意思が固まり、
コーチ・トレーニング・プログラム(CTP)の参加を決めました。
以前は自分の意志を相手に伝えることがコミュニケーションであると
考えていました。相手がどのような姿勢、心境で話を受け止めている
のかについて考えることはなく、一方的に言葉のボールを投げつけて
いる感じでした。コーチングを学び、どのような会話のボールを
投げると効果的か、と考えられるようになりました。
56投稿者:田原研児氏(サービス業事業企画)  投稿日:2003/10/18(土)01:48:21
現場店舗のマネジャーに定例報告が常に遅れる人がいました。再三
催促しても言い訳ばかりで、こうしたレポートの提出を重要視して
いないようでした。そこでふと、どのような会話のボールなら
受け取ってもらえるだろうか、と考えました。先日、責める言葉の
かわりにこう伝えてみました。「あなたの店舗は売上では
トップレベル、皆の手本となっていますよね。ぜひ事務の面でも
管理が行き届いているモデルとなってくれれば、私は嬉しいのですが。」
それ以来、このマネジャーは積極的にレポートを提出しはじめました。
ほんの少しボールの投げ方を変えた結果でした。
57投稿者:「関係を創る」  投稿日:2003/10/25(土)14:30:23
フランス人によれば、恋愛はフランス人による発明なのだそうです。
15世紀や、16世紀には恋愛という感情はなかったといいます。
そう言われてみれば、紀元前2、3世紀の頃には、「感情」と
いうもの自体存在しなかったという話を耳にしたことがあります。
さて恋愛に話を戻しますが、フランス人はどうしてそれが
フランス人の発明だというのでしょうか。それは、彼らが初めて
目に見えないものに価値をおくようになったことを意味します。
たとえば恋人同士の二人に「あなたにとって大切なのは?」と
訊ねると、おそらく彼らはその相手だと答えるでしょう。しかし、
フランス人の恋人たちに同じ質問をすると、彼らはその相手ではなく
「この二人の関係」だ、と言います。つまり、そこに築かれた
「関係」に価値をおいているということです。「関係」そのものに
自分達で創ったもの、創り上げたもの、というまるで芸術作品の
ような価値をおいているわけです。「関係を創る」という行為が
ある一方で、「関係を探る」という行為があります。人と関わる
ときに、相手の出身地や、学校、会社、趣味、知人、など
自分との「関係」の糸を探っていくという行為です。
そこでは、相手の中の、自分に対する「関係」は既に存在
しており、後はそれを壊さないようにすることしかできません。
58投稿者:「関係を創る」  投稿日:2003/10/25(土)14:32:45
そこから二人の関係を発展させるとか、その関係を問い直す
ことなど起こりえません。つまり「関係を探る」という立場に
いる限り、一度決定された関係については、その枠からなかなか
抜け出すことができなくなるのです。そこでは人との関係を、
どちらが上か下か、どちらが優れているか劣っているか、
損か得かなど、二極化してどちらかの立場にたつことで
維持しています。既成の関係の中では「対話」は制限される
ことになります。日本アカデミー賞を受賞した『たそがれ清兵衛』
という映画の中で、妹が義理の姉に質問をするシーンがあります。
そこで姉は言います。「あんた、妹が姉に向かって質問なんて
していいと思っているの?」既成の関係の中では、対等に、自由に、
話したり質問したりすることは許されません。だからこそよけいに、
自由な「対話」を通して創り上げられる「関係」には価値があると
思えます。心理学者のアドラーは「人が仕事で失敗するのは、
仕事に対する知識や経験が足りないからではない。そこに人間関係が
築けないからだ」と言っています。コーチとして人と関わるときの
一番の醍醐味は、「自由な対話」を体験することにあります。
コーチも自由にものを言い、クライアントも自由にものを言う。
そして、お互いの意見が食い違っても、相手の考えや思いを聞く
ことができ、そして相手を理解できるとき、人として少し成長
できているような気もちになります。
59投稿者:チーム内の「力」の配分をマネージする  投稿日:2003/10/25(土)14:38:47
チームは、様々なタイプの異なるメンバーで構成されている
「ジャングル」です。ジャングルをまとめ、率いるのがリーダーです。
メンバーの持つ特徴、つまり「力」を最大限に活用し、
チーム内でバランスの良い「力」配分をマネージするのは
リーダーの務めです。

【フクロウ】
いつでも答えを知っているかのようにふるまい、自分の答えが
唯一の正しい答えだと主張しています。でも、誰よりも知識を
持っているのはフクロウです。
  フクロウに対しては...
□ フクロウが意見を言う時間を制限します。同じくらいいい
 アイディアを持っているかもしれない人が萎縮しないで発言
 できるようにするためです。
□ 事前に提案を提出してもらいます。ミーティングで、質疑応答の
 時間を設け、全員がフクロウの提案について自分の意見を言える
 ようにします。
□ 新しいメンバーや経験の浅いメンバーの指導者になってもらいます。
60投稿者:チーム内の「力」の配分をマネージする  投稿日:2003/10/25(土)14:40:27
【ヒツジ】
いつも黙っていて、受身的で、チームへの貢献があまり顕著でない
のがヒツジです。でも、実はヒツジはいいアイデアを持っているのです。
しかし、どういうわけかその意見を言わないほうを選んでしまいます。

  ヒツジに対しては...
□ 貢献に対しては、大げさにならないようにさりげなくほめます。
□ よく発言するメンバーとペアを組ませ、その人を通して意見が
 言えるようにします。
□ 個人的に話をし、貢献を認めます。そして、もっと貢献して
 ほしいと伝えます。

【ハイエナ】
ハイエナがチームに参加する目的は、チームの掲げる理想に取り組む
ためではなく、他のメンバーと楽しくおしゃべりがしたいからです。
ただ、リラックスするコミュニケーションを創り出せるのは
ハイエナのよいところでもあります。

  ハイエナに対しては...
□ ミーティングでは、ハイエナのジョークをさえぎるような
 言葉を用意しておきます。
□ 調子に乗って私語をするハイエナに対して、眉をひそめたり、
 首をふったりして、身振りで示します。
□ 話題がそれないよう監視する役を誰かに任せます。
61投稿者:じゃろです 投稿日:じゃろです
じゃろです
62投稿者:じゃろです 投稿日:じゃろです
じゃろです
63投稿者:「マネジメントの『行動』を見つける」  投稿日:2003/11/07(金)05:30:26
Kさんは、現在セールスプロモーションの企画、コンサルティング
を行う会社を経営しています。
15年前、25歳の時に主婦業の傍らとしてデータ入力を
請け負う仕事を個人創業しました。当時はまだ珍しかった
SOHOという形態をうまく組み込み、3年後にはスタッフが
16人、SOHOでデータ入力を行う登録者が100人を
超えるまでにビジネスを拡大しました。
順風満帆だった事業に、ある事件が起こりました。
それは彼女にとってまさに青天の霹靂でした。
半年の間に、16人のスタッフ全員が会社を辞めてしまったのです。
そのころのKさんは典型的なボスマネジメントでした。
よく口に出していた言葉は「がんがん仕事しなさい」「たるんでる」
「根性が入ってない」「私の言うとおりにやりなさい」。
周りからの評価は「社長はいつも怒っている」。
Kさんは、何とか自分のやり方を変えたいと思って、
猛勉強を始めます。書籍はもちろん、マネジメントに関する
研修やセミナーに数え切れないほど参加しました。
ある研修で、「責める、批判する、文句を言う、がみがみ言う、
罰する、脅す、褒美でつる」ことをやめれば、1週間で
いい人間関係をつくることができるという話を聞きました。
64投稿者:「マネジメントの『行動』を見つける」  投稿日:2003/11/07(金)05:33:09
早速実践しました。確かに雰囲気はいい感じになりました。
ところが、それをやめたら代わりにどうやって部下と
コミュニケーションをとればいいのかがわからない。
Kさんは次のステップとして、自分がよりよいマネジメントを
する為に何をするかという「行動」を明確にする必要がありました。
Kさんは、その後もさまざまな研修に参加するたびに、講師に
何をすればいいのか教えて欲しいと尋ねました。 
その質問に対して、誰に聞いても返ってくる答えは同じでした。
「Kさん、テクニックじゃないんですよ」。Kさんは、
1999年の11月からコーチングを学び始めました。
学び始めてすぐ、今まで自分が求めていたものが
「コーチング・スキル」の中にあるかもしれないと感じました。
Kさんは、「こうしろ、ああしろ」と言う代わりに
「どうしたらいいと思う?」という質問をする。
返ってきた答えには「だめ」と言う代わりに「素晴らしい」
という承認をする。 この二つだけを意識し、部下の話を
「聞く」ことから始めたのです。まず最初に職場の雰囲気が
変わりました。ぴりぴりした感じが無くなり徐々にお互いを
認め合うようになりました。
65投稿者:「マネジメントの『行動』を見つける」  投稿日:2003/11/07(金)05:35:32
Kさん自身も、今までは許せないと思っていたことが、
「違い」として受け入れられるようになっていきました。
Kさんが、自身のマネジメントにコーチングを導入した翌年、
会社の経常利益は前年比の4倍となり、業績を回復するきっかけ
となったのです。「マネジメントの理屈はわかるが、
実際にどうしたらいいのかがわからない」
Kさんは、その答えを求めて、それまでにベンツが買えるほどの
額を研修費に投資したといいます。そして、Kさんはコーチングを
学ぶ中で、実際に行うことのできる「行動」を見つけたのです。
 -----
先日、KさんがCTP(※)参加者を対象としたコーチング研修
トレーナーコースに参加されたのですが、そのとき久しぶりに
Kさんにお会いしました。私がKさんに初めてお会いしたのは、
2000年の春でした。きりっとしたスーツ姿で、まさに
バリバリの女社長! という雰囲気がまわりに漂い、少し
近づきがたい印象を受けたのをよく覚えています。久しぶりに
お会いするKさんの表情は温和で、以前の人を寄せつけない
ような雰囲気がまったくなくなっていました。
66投稿者:「マネジメントの『行動』を見つける」  投稿日:2003/11/07(金)05:36:12
また、もともと
小柄で華奢な方なのですが、10歳ぐらい若返ったような
印象を受けました。そのことをKさんに伝えると、
「最近は周りの人からも、若くなったとか、かわいくなったとか
よく言われるのよ」と嬉しそうに話してくれました。

※ CTP:コーチ・トレーニング・プログラム
      コーチング・スキルを身につけるためのトレーニングコース

67投稿者:リーダーシップを発揮する  投稿日:2003/11/07(金)05:41:59
リーダーにならなくても、リーダーシップは発揮できる
上場企業の創業にも関わってこられた会社経営者本城愼之介さん
ご自身のリーダーシップの考え方について伺いました。
「リーダー」と「リーダーシップ」。似てますけど、同じでは
ありませんよね。リーダーは、役割。リーダーシップは、存在感。
アイドル(?)グループのSMAPを想像してみてください。
リーダーは中居正広さんです。いつもSMAPでリーダーシップ
を発揮しているのは、中居さんでしょうか?SMAPは、
メンバーそれぞれが各自の得意なシーンで、上手にリーダー
シップを発揮しています。だからSMAPは、いつも輝いて
見えるんです。リーダーシップのダイナミックな動きが、
SMAPを最強のチームにしているのです。中居さんが、
「リーダーはオレだ。だからオレがいつもリーダーシップを
発揮するんだ!」とか、他のメンバーが「リーダーは中居、
お前だ!だからお前がいつもリーダーシップを発揮すべきだ!」
とかやってたら、ダメですよね。
リーダーもメンバーも、リーダーという役割に固執しない。
リーダーシップというフレキシブルな存在感を大切にする。
その時に、チームとしての魅力が最大限に発揮されるんです。
68投稿者:リーダーシップを発揮する  投稿日:2003/11/07(金)05:42:21
プロ野球の日本シリーズも終わりました。今年は大熱戦でしたね。
強打者を目の前にしたピッチャーとキャッチャー。どっちが
リーダーなんて決めてなんかないのです。その場その場で、
自然にどちらかがリーダーシップを発揮する。そして、その
リーダーシップをもう一方が尊重する。その呼吸、タイミングが
ばっちりあったときに、見事にバッターを、最高に気持ちよく
仕留めることができるんです。「いい感じのチーム」は、リーダー
という固定的で静的な役割には依存していません。不安定で
動的なリーダーシップという存在感が、「いい感じのチーム」には
しっかりとあります。 そういうチームをつくりあげるのは、
メンバーそれぞれの「存在感」なんです。役割 より 存在感。
あなたは、明日からいつどんな場面でリーダーシップを発揮しますか?
69投稿者:パフォーマンス・マネジメントのしくみを理解する  投稿日:2003/11/08(土)04:00:53
組織は人で構成されており、組織の業績は社員一人一人の行動の
積み重ねと言えます。だからこそリーダー、マネジャーは「社員に
望ましい行動を起こさせる方法」を知る必要があるのです。
人の行動の原理原則を理解した上で、いかに望ましい行動を
起こさせ定着させるか。パフォーマンス・マネジメントは
「パフォーマンス=行動と成果」を最大限に引き出すための
科学的なマネジメントスキルです。

●行動の原則的サイクル
人の行動のすべては「誘発要因」→「行動」→「行動結果」
のサイクルに従っています。
 「誘発要因」 行動を起こす前の事柄
   ↓
 「行動」    それをきっかけとして起こる行動
   ↓
 「行動結果」 行動者の感じた、ポジティブやネガティブな結果
70投稿者:パフォーマンス・マネジメントのしくみを理解する  投稿日:2003/11/08(土)04:02:45
「行動を起こさせるために何をしたか(誘発要因)」ではなく、
「行なった行動に対してリーダーが何をしたか、部下がそれを
どう感じたか(行動結果)」を重視する。それが、部下に
望ましい行動を繰り返してもらうためのカギです。

●4つの「行動結果」
「行動結果」には4つあります。リーダーのアプローチは
どのようなものでしょう。部下はどう感じ、行動するでしょうか。

【承認による行動強化】
その行動をすると「承認=ポジティブなもの」が得られるので
行動頻度は増します。
 リーダー: 提出されたレポートに「良かったよ」などと
認めたり、的確なアドバイスを与える。
 部下: 「次もよいレポートを出そう。」
71投稿者:パフォーマンス・マネジメントのしくみを理解する  投稿日:2003/11/08(土)04:03:51
【脅迫による行動強化】
その行動をすると「嫌なものを避けられる」ので行動頻度は
増します。しかしその行動のクオリティーは低くなります。
 リーダー: 提案書を期限内に提出しないと減点するぞ、と伝える。
 部下: 「とりあえず減点されないように、適当に仕上げてしまおう。」

【処罰による行動弱化】
その行動をすると「処罰=嫌なもの」をもらうので
行動頻度は減少します。
 リーダー:部下のお粗末な提案を一蹴する。
 部下:「もう二度と提案なんかするもんか。」

【無視による行動弱化】
その行動をしても「無視=欲しいものをもらえない」ので
行動頻度は減少します。
 リーダー: 提出されたレポートを、数日間見もせずに
       机の上に置いたままにしている。
 部下: 「どうせ見てくれないなら、この程度のレポートでいいか。」
72投稿者:「『自責』で考えさせる」  投稿日:2003/11/15(土)05:31:41
先日ある大手食品会社の管理職約20人を対象にコーチング研修を
実施しました。2日目の朝、昨日を振り返って何か質問はありませんか
と参加者に問いました。 1人の参加者がすかさず手を上げました。
「コーチングが大事だというのはわかりました。でもね、いくら
自分達が部下の話に耳を傾け、彼らのよいところを認め、自発的な
行動を促したとしても、上司があれじゃあ、会社は変わらないですよ。」
聞くと、彼の上司は何事につけてもああしろ、こうしろばかりで、
ほとんど部下の意見に耳を貸そうとしない。指示命令型マネジメント
の権化のような人だと言います。彼の不満は他の参加者に飛び火し、
日頃抑えていた不満が噴出しました。「そうだよな、
トップマネジメントがコーチングしようという気がないんだから、
幾ら俺たちががんばったってしょうがないよ。」「そうだ!そうだ!」
部屋は蜂の巣をつついたような大騒ぎになりました。
私はじっと参加者一人一人の発言に耳を傾けていました。
1人の参加者が吐き捨てるようにいいました。「鈴木さん、
部下をどうコーチングするかもいいけど、どう上司を扱うかも
教えてくれないと、やっぱりだめなんじゃないの。
どうしたらいいのよああいう上司は?」
73投稿者:「『自責』で考えさせる」  投稿日:2003/11/15(土)05:37:09
他人事のようなその言い回しを聞き逃すことはできず、私はそれまでの
穏やかな表情を硬くしめ、真っ直ぐにその参加者を見据えて言いました。 「私の会社じゃないですからね。あなたの会社ですから。」きっと私が
何か「正しい」答えを返してくれると思っていたのでしょう。その
参加者は予想外の答えに鳩が豆鉄砲を食らったような顔になりました。
私はだめを押すように強い口調で言葉を続けました。
「どうするんですか、一体?誰かがなんとかしてくれるって思って
るんですか?」それまでの騒ぎはどこへやら、部屋はシ〜ンと静まり
返りました。しばらく沈黙が流れました。1分ぐらい経ったでしょうか、
沈黙を破って、一人の参加者が口を開きました。「俺たちがなんか
しないとだめだってことだな。」横に座っていた一人が呼応しました。
「だな。」コーチングは何であるかということについて、色々な言葉で
喧伝されていますが、一つの揺るぎない定義は、「相手に全てを『自責』
で考えさせるための手法」だということです。あの人のせいで自分は
こうなったというのを決してコーチは受け取りません。「他責」で
考えている限り解決策は生まれようがないですから。よく
「コーチングは仏のアプローチだね」などと言われます。相手を
認めるし、相手の話に耳を傾けるし。が、コーチはただ優しい笑みを
たたえただけの仏様ではありません。時には相手のために厳しい
表情をするときもあるわけです。
74投稿者:フィードバックを活用する  投稿日:2003/11/15(土)05:40:02
●パフォーマンスをあげるフィードバック
「社員のパフォーマンスが悪い」という問題には、大概
「フィードバックの欠乏」が要因となっています。ある部下に対し
なまけもの、やる気が無い、積極性にかける、トレーニングが必要、
といった状態を見つけた場合、問題点の多くはフィードバック不足に
あることが多いのです。しかし、マネジャーはこう言うかもしれません。
「何度もデータは見せているし、言葉でも伝えている」と。
フィードバックとは、過去の行動の情報やデータを用いて、その人の
行動を「目標を達成するのに必要な行動」に変化させることです。
従って情報やデータは少なくとも二つの機能を持つ必要があります。
まず「ある目標に対して、現在どういう状態であるか」を示す、そして
「向上するにはどうする必要があるか?」を示す必要があります。
フィードバックとは、もともと軍事用語で、「砲弾の着弾点が目標から
どのくらいずれているかを射手に伝える」という意味で使われています。
コミュニケーションにおけるフィードバックとは、「コミュニケーション
を交わしている相手が外界に向けて伝えていることを、その人に返す」
という意味です。組織の中で多くの人がひとつの目標に向けて関わり
合うとき、フィードバックは目標達成のサポートとして最大の効果を
発揮します。
75投稿者:フィードバックを活用する  投稿日:2003/11/15(土)05:41:09
●効果的なフィードバックとは
あなたが普段、部下に対してしているフィードバックの仕方を
振り返り、当てはまるものをチェックしてみてください。
 □ わかりやすいフィードバックをしている
 □ 社員がコントロールできる業績をフィードバックしている
 □ 即座にフィードバックされている
 □ フィードバックは個別に行っている
 □ フィードバックは動機付けとなっている

いくつ当てはまりましたか?足りないものは何でしたか?
あなたと部下が、共通の認識を持っていることが大切です。
今週1週間のうちに、「目標達成に必要な行動」について、
話し合う時間を作ってみてください。
出典: CTP新モジュール 「パフォーマンス・マネジメント」
  「フィードバック」
76投稿者:「目標とビジョン」  投稿日:2003/11/21(金)18:04:15
目標を持つことや、ビジョンを持つことがいかに大切なことであるか
については、誰でも理解しています。だからといって、未来に向けて
明確な目標やビジョンを持っている人は稀です。それが会社の経営者
であっても、例外ではありません。ある経営者とのコーチング・
セッションのときです。「伊藤さん、今年は前年度比150%の
伸びでしたよ」と経営者のクライアント。「それは、すごいですね」
「はい、とても順調です」「ところで、それは予定していて
150%伸びたんですか?それとも、結果としてそうなったんですか?」
すると、その経営者は一瞬言葉につまり、しばらくの沈黙の後に
言いました。「結果としてそうなったんですね」「偶然ですか?」
「たぶんにそういうところはありますね」それが良い結果であっても
そうでない結果であっても、偶然は、会社経営に自信をもたらしません。
また、健全な視点ももたらしません。経営からは偶然を減らす努力
が必要です。経営から偶然を減らすための条件、その一つは、
ビジョンをもち、目標を立てることにあります。では、なぜ、
それをわかっていながら、ビジョンや目標を設定をしないのでしょうか?
あるとき、プロゴルファーにゴルフのレッスンを受けて、
とても興味深いことを聞きました。
77投稿者:「目標とビジョン」  投稿日:2003/11/21(金)18:06:31
「ゴルフで大事なのは、イメージなんです。」「よく聞きますね」
「スイングのイメージ、ボールを目的に向けて運ぶイメージが
毎回必要なんです」「毎回ですか」「そうなんです」「毎回
スイングのイメージがいるんですか?」「ええ、必要です。
なぜならイメージは記憶できないから、毎回ショットの前に創る
必要があるんです。」私はそのときに初めて、
イメージは記憶できないものであることを知りました。
そして、振り返ってみればまったくその通りだったのです。
たとえビジョンを創っても、一回限りでは、それがどんなに鮮明で
すばらしいものであったとしても、次の日にはその大半を
忘れてしまうということです。次の日にまたビジョンを再現させ、
より細部にわたってビジョンを構築する。そのまた次の日も
ビジョンを描き、より鮮明にする。やがて象徴的な言葉やヒントで
そのビジョンをすぐに呼び出せるようになるまでビジョンを
創り続ける必要があるということです。それはちょうど、
コンピューターのデスクトップに「アイコン」を置き、
それをクリックすれば、いつでもほしい情報を引き出せるように
するのと同じです。そのためには、ビジョンを常に創り続ける
必要があります。ビジョンがどれだけ力を持つかについては、
誰でも薄々理解しています。しかし、それを体感している人は稀です。
78投稿者:「目標とビジョン」  投稿日:2003/11/21(金)18:08:39
ビジョンには力があります。例えば、私たちはときどき、過去の
不快な記憶に苛まれることがあります。そのときのことを思い出す
だけで、怒りや、失望に取り込まれてしまうことがあります。
そういう場合は大抵無意識に、そのビジョンの「アイコン」を
クリックして、過去の記憶(ビジョン)を呼び起こしてしまった
わけです。人間の心と身体はつながっていますから、思うこと
(ビジョン)の影響を受けます。たまたま、不快なビジョンを
呼び起こせば、その影響を受けます。当然、肯定的なビジョンを
持つことができれば、その影響を受けます。ビジョンを効果的に
用いるためには、一回限りではなく、ビジョンの創造を継続する
必要があります。また、自分が本当に実現したいと欲すること、
可能性が広がるもの そのビジョンを思い浮かべると、わくわく
するようなものが好ましい。そして、ビジョンを創造するためには、
たった一人で創るのではなく、会話を交わしながら、創るのことで
より具体的で、鮮明なビジョンになります。私はコーチングの中で
何度も「ビジョン」について質問します。「3年後、今と一番大きく
違うところは何だと思いますか」「自分との関係はどうなっていますか?」
「今やっていることへの興味の度合いはそれぞれどのくらいですか?」
「そのときには、健康のためにどんなことをしていますか?」
こうして、さまざまな角度から質問をします。
79投稿者:「目標とビジョン」  投稿日:2003/11/21(金)18:09:54
最初はメールで課題を出し、それに書き込んでもらい、
次のコーチングセッションでもっと具体的にし、
また、宿題を出し、コーチングセッションで話し合います。
ちょうどキャンパスに絵を描くように、
ビジョンをどんどんハッキリさせていきます。
ときどきは、その中の一つに「スポット」を当ててより
具体的にします。3年後、5年後のビジョンがハッキリしてくると、
今の行動に変化が起こります。3年後、5年後の自分からみるという
「視点」が生じるのですから、今取っている行動は、そのビジョンに
つながるかどうか、という判断が働きます。
また、誰かの価値基準ではなく、自分の価値基準というものも
同時に創られますから、自信をもって判断することができるように
なるでしょう。
80投稿者:『3つの解決案』  投稿日:2003/11/28(金)15:37:56
先日、NHKの「難問解決 ご近所の底力」というバラエティー
番組の収録がありました。題材となったのはある地方銀行の
支店長、Nさん。業績はいいが、あまりにも部下を怒鳴って
ばかりいてこのままではいけない、なんとかしたいという
「難問」に対して、実際に成功している職場の例を具体的に
あげ、三つの解決案をNさんに提案するという番組です。
私はその「解決案」について、コーチングという視点から
解説を加えるという役割で出演させていただきました。
まず最初に、支店の様子がスタジオのスクリーンに
写されます。Nさんが怒っている。かなり過激な言葉が
連発されています。部下は何も言い返せません。VTRが
終わって感想をNさん本人に聞きます。
「正直言ってこれは怒りすぎ、やりすぎだね。
でもとまらないんだよね。」まわりは大爆笑です。
部下からも正直な感じが伝わってきます。しかし、これだけ
怒鳴ったり、ものすごい言葉で罵倒されたら、部下としては
たまったものではありません。言いたい事があるなら
正直に言え!反論や意見があるなら俺に向かって来い!
俺の若いときは、、、、、これでは部下が萎縮してしまうのも
無理はありません。
81投稿者:『3つの解決案』  投稿日:2003/11/28(金)15:40:31
Nさんは確かに怒鳴っているし、ものすごい言葉で罵倒している。
けれども、その土台に支店を良くしたい、部下を成長させたいと
いう愛情も同時に感じるのです。部下も根底ではそのことを
わかっていて、怒鳴ることしかできない不器用なNさんのことを
信頼している様子がうかがえました。もしこのNさんが、
怒鳴る以外の方法で部下とコミュニケーションをとる方法を
手にすれば、さらに業績はあがる。部下はのびのびと仕事が
できるようになる、支店の雰囲気もよくなることは誰が見ても
明らかでした。さて、紹介された事例は、部下をしからずに、
解決策を引き出す(日産自動車の課長、Tさん)
部下の不満を聞きだし解消する(フォード東京の店長、Tさん)
仕事以外の部分についてお互いに知る(三重県庁のマネージャー、Kさん)
この3つの事例の根底にあるのは、「聞く」というコーチングに
とって最も基本となるスキルでした。部下への愛情あふれるNさんが
「聞く」スキルを身につければ、今以上の成功は間違いありません。
しかし、これからが、Nさんの本当の勝負だと思います。
なるほどと思っても、実際にそれを実行するのはなかなか
難しいものですから。Nさん、いつでもコーチします。
そしてまず最初に、なぜ怒るのか、怒ることの目的は何なのか、
を聞いてみたいと思っています。
82投稿者:タイムマネジメント  投稿日:2003/11/28(金)16:27:43
次のリストで、あなたはいくつチェックがつきますか?
 □ タイムマネジメントについてコーチの果たす役割を理解している
 □ タイムマネジメントを阻害する要因について説明できる
 □ 優先順位の決め方を知っている
 □ クライアントに効果的なタイムマネジメントを実践してもらうための
   コーチングプロセス(フロー)を説明できる
 □ タイムマネジメントのコーチングを効果的に行うポイントを
   5つ挙げることができる
 誰でも、人生や仕事をより充実したものにすることを望んでいます。
 そのためのポイントになるのが時間の使い方です。
 コーチングにおいて、タイムマネジメントは避けることの
できない重要なテーマです。
 CTPでは、タイムマネジメントを扱う際にコーチが
 押さえておくべきポイント、考え方について学びます。

 コーチング・スキルを身につけるためのトレーニング・プログラム、
 CTPで、自分自身のタイムマネジメントが向上すると同時に、
 クライアントがより効果的に時間をマネジメントできるよう
 コーチングできるようになります。
83投稿者:パフォーマンス・マネジメントにおける80/20の法則  投稿日:2003/12/01(月)01:59:31
●「80/20の法則」とはなにか?
イタリア経済学者ビルフレド・パレートは、母国における富の
不公平な配分に関して、20%の人が80%の富を抱えているという
数学的公式を表しました。パレートのこの考え方は「80/20の法則」
と呼ばれ、パフォーマンスマネジメントの分野に応用することが
できます。パフォーマンス・マネジメントの分野において
当てはめると、成果の80%は日頃のたった20%の事柄や行動から
生まれるということになります。在庫品の20%が倉庫の80%を占め、
80%の在庫が20%の供給者から来るのです。また、売上の80%は
20%のスタッフによって生み出されるでしょう。また、20%の
スタッフによって問題の80%は引き起こされ、その反対に、
20%のスタッフが80%の生産を上げているのです。マネジャー
にとって、このパレートの法則の価値は、重要である20%に焦点を
当てるということを思い出させてくれることにあります。
84投稿者:パフォーマンス・マネジメントにおける80/20の法則  投稿日:2003/12/01(月)01:59:45
●パフォーマンスを上手にマネジメントするために
時間と同様に、私たちの行動やエネルギーには限りがあります。
全てにおいて高いパフォーマンスを維持することにも限界が
あります。1日の仕事の中で、本当に必要な事はたったの
20%なのです。その20%が結果の80%をもたらします。
時間に忙殺されてしまいそうな時は、フォーカスすべき20%の
事柄を思い返しましょう。スケジュールの中で省かなければ
いけないもの、完了できないものが発生してしまった時は、
それらが20%の一部分でないことを必ず確認しましょう。
あなたが今取り組んでいることのうち、何が成果の80%に
つながる20%ですか?そして必要であるけれど大きな影響力には
ならない80%は、何ですか?
85投稿者:第二フェーズへ向かうコーチング業界  投稿日:2003/12/08(月)14:05:04
11月13日から15日まで、アメリカのデンバー市にて、
2003年国際コーチ連盟(ICF)大会が行われました。
総勢1200人のコーチたちが一同に集結、非常に活気の
ある大会となりました。また、参加者の評価からは「今までで
最高の大会」だったとの声を多く聞きました。
私も、今年のカンファレンスに参加して、
コーチ同士のネットワークが強化されたと感じています。
過去4年間参加して、同じように多くのコーチたちと
出会ってきたのですが、今年は明らかに違っていました。
今年の特徴を一言で伝えると「派手な個人技から、堅実な財産の
共有化へ」でしょう。アメリカのコーチングにおけるパイオニア、
トマス・レナード氏が今年死去したこともひとつの要因だった
ように思います。彼はある意味では「カリスマ性」をもっており、
確かに魅力を放っていました。
86投稿者:第二フェーズへ向かうコーチング業界  投稿日:2003/12/08(月)14:05:21
派手なパワーポイント、圧倒される量のコンテンツ、湧くように
出てくるアイディア。それに影響を受けたコーチたちが大半の
分科会を占め、どこかショーアップされていました。
参加するたびに私としては、「わかるけど・・・、これ、
使えるのかい?」という印象を受けたものです。
レナード亡き後、浮上してきたのが、確実にコーチングを
広げてきたコーポレートコーチやエクゼクティブコーチたちの
存在です。それは分科会のラインアップにも表れ、今年は
コーチングに関する学術的評価、リサーチ結果、エクゼクティブ
コーチングや企業におけるコーチングの成果発表など、
コーチングの有効性についてのナレッジが共有されていきました。
また、アジアやヨーロッパから参加している人たちの姿も多く
見られました。フランスやドイツのコーチと話していると、
いつも面白いのですが、彼らは「私たちはアメリカ人と違って
堅実でビジネスで通用するコーチングをやってる」と鼻息を
荒くして話します。私も、日本におけるコーチングの発展と
似た傾向が、世界的に起こっているのを感じています。
「この人たちとつながりをもって、情報やノウハウを共有していこう」
という態度を持つことが刺激されるようなカンファレンスでした。
これからコーチングを取り巻く環境は、第二フェーズを迎えるのだと
感じます。
87投稿者:『効果的な質問を創る』  投稿日:2003/12/08(月)14:08:02
下のリストで、あなたはいくつチェックがつきますか?

 □ 効果的な質問をつくるためにすべきことがわかっている
 □ オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンが
   有効な場合をそれぞれ理解している
 □ 5W1Hの疑問符が、それぞれどんな役割を担っているか
   説明することができる
 □ WHY(なぜ、どうして)は注意して使う必要がある理由を
   理解している
 □ コーチがさまざまな視点から質問をする理由を説明できる

 さて、あなたの質問力はどのくらいだったでしょうか。
「質問をつくる」スキルは、「聞く」スキルとならんで、
 コーチングにおいて非常に重要なスキルです。
 コーチは、質問によってクライアントの自発的な行動を引き出します。
 それらを引き出すためにどんな問いかけをするか、
 つまり、いかに効果的な質問をつくり出すかが、
 コーチングの大きな部分を占めます。
88投稿者:パフォーマンスを上げるために必要なこと  投稿日:2003/12/08(月)14:12:06
Coaching Business Schoolでは5回にわたり「パフォーマンス
・マネジメント」をお送りしてきました。最終回では、
広告代理店の営業チームでトップの成績を維持しているIさんに
パフォーマンス・マネジメントについてインタビューをしました。
「私は、自分自身のパフォーマンスを上げるために必要なことの1つには、
 仕事のゴールをどれぐらい自分自身のものにできるか、
という点にあると思います。自分自身のものにするために、
ゴールについて3つの切り口から具体的にイメージを持ちます。
ひとつは、そのゴールの外部基準〜数量化されたゴールが自分の中で
明確であるか。契約を何件とるか、売上をいくら上げるか等。
次に、そのゴールを達成することで、どのような体験を得たいと
思っているのか、内側で欲しいと思っている体験、状態はどのような
ものなのか。例えば、私自身で言えば、今月はとにかく気がかりに
なっている顧客を全部あたって、契約が取れるかどうか白黒はっきり
させたいと思っています。それができるとすっきりとした完了感が
手に入ることがイメージできています。3つ目は、そのゴールを
達成することで自分がどのように成長できるか何を学べるかを
知っていることだと思います。自分自身は、仕事のゴールも
自分自身の自己成長につながると思っています。
89投稿者:パフォーマンスを上げるために必要なこと  投稿日:2003/12/08(月)14:12:24
今月の営業のゴールを達成することでまずは自信が手に入ります。
さらに、ゴールに向かっていくプロセスでいろいろなやり方を
試したり周りから知識、情報、技術などを吸収していくので、
自分が確実に進歩していることが感じられます。そして、
自分自身への信頼感を確実に上げていけると思います。
ゴールに対して、様々な切り口で、イメージを持てると、
モチベーションも上がり、向かっていくエネルギーが違ってくる
のではないでしょうか?
90投稿者:ご近所の底力  投稿日:2003/12/08(月)14:15:36
http://www.nhk.or.jp/gokinjo/backnumber/031204.html
12/4(木)放送「手を焼く部下を何とかしたい」の再放送は
 ・12/5(金)午後4時15分〜[BS2]
 ・12/11(木)午前2時20分〜<10(水)深夜26時20分>
[総合テレビ](関西地域は除く)
91投稿者:「認める」  投稿日:2003/12/11(木)03:09:06
コーチングのワークショップで次のように聞くことがあります。
「普段みなさんは、人と会った時に、どのくらい自分が
『認められる』ことに意識を向けていますか?どのくらい
目の前の人を『認める』ことに意識を向けていますか?」
全体を10としたら、「認められる」が何点で、「認める」が
何点になるか点数を付けてもらいます。これまでの平均点は、
「認められる」が7点、「認める」が3点というところでしょうか。
平均的な7:3の配分で点数を付けた人の多くは、
「ああ、その程度しか他人のことを考えていないな…。」
という顔をされます。なぜこのような点数付けをしてもらうか
というと、どうも「認められる」ことを第一に考えている人よりも、
「認める」ことを第一に考えている人の方が、結果として人を
「動かしている」ことが多いからです。そのことを痛感した
「イベント」が最近ありました。弊社のトレーニングを企業に
紹介してくださっている会社さんがあります。
その会社さんにAさんという40代前半の女性がいます。
彼女は3つの会社を渡り歩き、15年近く営業をしていますが、
その間常にトップ営業マン(ウーマン)としての地位を堅持
してきました。後半の5年は娘さんがいて、10時から16時まで
という普通より短い勤務時間であったにもかかわらずです。
92投稿者:「認める」  投稿日:2003/12/11(木)03:11:25
そのTさんと先日某都市銀行に営業に行きました。ビルの前で
待ち合わせしたのですが、まだ50メートルくらい離れているのに
こちらを見つけるなり満面の笑みを浮かべて走り寄ってきて
くれました。「鈴木さん、今日はありがとうございます!」
さっと、手を伸ばしたかと思うと、「おかばん持ちますから!」
エレベーターに向けて歩き出しても、「そこ段差がありますから、
気をつけてくださいね!」まるでホテルマンに案内されている
かのようです。受付の女性を見るなり、彼女は走り寄りました。
「今週は2回目ね!お会いできて嬉しいわ!」とても大銀行に
営業に来たとは思えない、アップテンポな声なのです。
先方の担当者に私を紹介するときも、「鈴木さんです。鈴木さんの
話しを聞いているとほんとたくさんの感動があるんですよ!」
私の存在価値を思いっきり高めてくれます。私が担当者と
話している間も、彼女は傍らに座ってじっと視線で私を
応援してくれていました。ふと目が合うと、「いい感じですよ!」
そう目で語りかけてくれているかのようでした。
営業が終わった時間は予定を15分ほど過ぎており、急がないと
次のアポイントに間に合わないかもしれないという状況でした。
93投稿者:「認める」  投稿日:2003/12/11(木)03:13:32
Aさんは、「すみません、こんなに遅くなっちゃって!」
繰り返し言いながら駅に向かって私を先導してくれました。
駅につくなり、窓口の駅員さんに「田端駅までは何分ですか!」
「鈴木さん、快速で10分ですって、間に合いますね!」
ホームではけたたましくベルが鳴っていました。Tさんは突然
重い荷物を両手に持ちながら、階段を全速力がかけあがりました。
そして車掌さんに「今来ますから!ちょっと待っててください!」
意地でも発車させないぞと言わんばかりに、ドアを押さえて私の
到着を待っていてくれました。
「鈴木さん、本当に今日はお会いできて嬉しかったです!」
窓の向こうで彼女は電車が見えなくなるまで手を振ってくれました。
Aさんと過ごした2時間、私は承認のシャワーを浴びました。
体はホットになり、気持ちはとても軽くなりました。
「あそこまでやらないとだめなんだな、本気で人を動かそうと思ったら。」
つり革につかまりながらそう思いました。
94投稿者:『自分のキャリアは自分で築く』  投稿日:2003/12/11(木)03:19:04
会社や社会が個人のキャリアを保証する時代は過去のものとなりました。
現在では、自分のキャリアには自分で責任を持たなくてはなりません。
目標とするキャリアイメージを持ち、そのゴールに向かって着実に
行動すること。そのためにはまずは、自分のキャリアは自分で築く
ものだ、という意識を持つ必要があります。

■ あなたのキャリアマネジメントの自意識は?
1.転勤や異動など、キャリア上の岐路における進み方に、自主性が
強く感じられる。
2.常に次はどのようなキャリアの流れをつくろうかと考える機会を
自主的に持っている。
3.一つ前のキャリアにおける経験を、何らかの形で継承するように
次の選択をしている。

これら3つのうち当てはまるものが多いほど、キャリアマネジメント
を自主的に意識してやっていることになります。



自主性
満足度
得たものを次に活かしている度合い
はどの程度のものでしょう?
95投稿者:『自分のキャリアは自分で築く』  投稿日:2003/12/11(木)03:22:54
自分のこれまでのキャリアに対する
・自主性 ・満足度 ・得たものを次に活かしている度合い
はどの程度のものでしょう?

■ 自分でキャリアデザインを構築する
キャリアデザインシートを作成し、あなた自身のキャリア
マネジメントを始めましょう。作成のためのカギとなる手順は
以下の通りです。
  『キャリアマネジメントの自意識をもつ』
       ↓
  『ヴィジョンを構築する』
       +
  『現状を分析する』

   ・自分の大切にしている価値観は?
   ・自分の市場価値は?
   ・自分の強みは?
       ↓
  『行動計画を立てる』
96投稿者:『自分のキャリアは自分で築く』  投稿日:2003/12/11(木)03:24:16
キャリアマネジメントの自覚を持つことができれば、
次には自分のキャリアをデザインすることができます。
そのために、自分のキャリアに対するイメージを明確に
していくと共に、現状を正確に分析していきます。
そしてそれらの情報に基づいて次のステップとなる行動を
計画することでキャリアデザインシートが作成できます。
自分の培ってきた市場価値は?売りにできる強みは?大切に
してきた価値観は?これらの棚卸しにコーチングを有効に活用
することもできます。まずはキャリアマネジメントの自覚をもち、
キャリアデザインに取組むことから始めてみませんか。

CTP新モジュール 「キャリアマネジメント」より
97投稿者:『リーダーシップ』  投稿日:2003/12/18(木)02:57:21
組織によっては、リーダーが不在でも十分まわっているところ
があります。一方リーダーはいるのですが、組織のメンバーが
誰もリーダーとして認めていない場合やリーダーシップが
はっきりされていないというケースもあります。
リーダーの資質がどのようなものであるかについては、
たくさんの本が出版されていますから、特に目新しいアイデアが
あるわけではありませんが、私自身がコーチを受けている過程で、
気がついたことや、学んだことがあります。そのうちのひとつは、
リーダーは部下と接するときに、知らず知らずのうちに、
好き/嫌い、できる/できないなど、簡単に二極化して評価
してしまう傾向があるという点。リーダーは、それ以外の視点を
持たないと、部下の能力を正しく評価し、その能力を引き出す
ことができないということ。また、部下に対して、
「やるか/やらないか」に代表される二者択一をつい
迫ってしまう傾向があること。二者択一は選択ではなく、
むしろ脅迫の部類に入ります。本来、部下との間では、
三つ以上の選択肢を見つけ出し、部下がそれを選べるように
するのが、リーダーの仕事なのです。
しかし、気がつくと、部下に二者択一を迫ってしまっている場合が多々あります。

98投稿者:『リーダーシップ』  投稿日:2003/12/18(木)03:00:04
「部下の能力を引き出す」具体的には、部下が今の状況に対して、
三つ以上の選択肢を用意しその中から選べるように援助することに
あります。それができないときは、リーダー自身のリーダーシップの
選択肢が狭く、パターン化しているのだと思います。
数年に渡るコーチングを通して、「リーダーシップ」について、
数多く話す機会がありましたが、振り返ってみると、
「リーダーとは何をするのか」「リーダーシップとは何か」
これらについて、考える時間が大幅に増えました。
おそらくリーダーの条件の一つには、「リーダーシップとは何か」
それを四六時中考えていることにあるのではないかと思います。
また、コーチングの過程で、3年後、5年後のビジョン、
生きたミッションステートメントを創る、現状の棚卸、現実と
直面すること、自分の価値観をハッキリさせること、自分の価値観、
ビジョン、目標、これらのアラインメント(統一、統合性)を
もたせること、アクションプランを創る、行動の振り返り、
目標の修正、これらについてのコーチング・セッションや宿題を
通して、実際に着手し、完成させる過程で、リーダーシップに
ついても少しずつ学ぶことができたように思います。
99投稿者:『リーダーシップ』  投稿日:2003/12/18(木)03:07:04
今思うことは、こうしてリーダーシップについて考えるようになって、
やはり正しいリーダー像や、一般論で語ることができるような
リーダーシップというものがあるわけではなく、自分に合った
リーダー像とリーダーシップがあるのだということ。コーチングは、
現実的なリーダーの育成と、リーダーシップを創りだす過程に
不可欠だと改めて思います。15000人のマネージャー対象

<いいリーダーの特徴>
1 正直 87%     2 前向き 71%    3 人を鼓舞する 68%
4 有能 58%     5 公正 49%     6 人をサポートする 46%
7 寛大 41%     8 知的である 38%  9 率直 34%
10 勇気がある 33% 11 頼れる 32%    12 協力的 30%  
13 想像力豊か 28% 14 親切な 27% 15 分別のある 14%
16 決然   13% 17 野心的 10% 18 忠誠心がある 10%
19 自律できる 5% 20 独立している 5%
100投稿者: 投稿日:
101投稿者:『部下への叱責』  投稿日:2003/12/26(金)02:10:42
先日、部下の準備不足から緊急に対応しなければならない事態が
発生しました。出張中だった私は、携帯電話でその部下を
叱責しました。「どうしてこんなことになったんだ?」
「君はどうやってこの責任をとるんだ?」電話で部下を
問い詰めながら、ずっと脳裏をかすめていたのは、
このコミュニケーションの目的は何なのか?部下に自分が悪い
ということを思い知らせるためなのか?この状況に対応する
ためなのか?今自分がやっていることはどちらなのか、
そのことが頭の中でうずまいていました。なんのために部下を
叱るのでしょうか?その答えは、一言で言えば「失敗を
繰り返させないように」という言葉に集約されるのかもしれません。
しかし、叱ることでその目的は本当に達成されるのでしょうか?

マネジメント向けに行うコーチング研修の中で、
「質問すること」と「詰問、叱責すること」の違いを必ず
説明します。上司が部下に対して質問する目的の大部分は
「事実や情報をを知るため」だと言っていいと思います。
102投稿者:『部下への叱責』  投稿日:2003/12/26(金)02:11:52
ところが、その質問が「詰問」や「叱責」になってしまえば、
部下は萎縮し、出てくる言葉は「言い訳」や「謝罪」ばかりに
なってしまいます。上司として欲しかった、事実や情報を知る
ことはできなくなってしまうのです。私は、携帯電話で部下と
話しながら、自分がいつもしているそのレクチャーを
思い浮かべていました。

1月より、CTP(コーチ・トレーニング・プログラム)は
新しいモジュールでおこなわれます。
私は、CTPのオンライン・クラス(電話会議クラス)で行う
最初のケーススタディとして、このことをテーマにしてみよう
と思っています。他のマネージャーだったらどうするのか、
部下の立場だったらどう感じるのか、ぜひ様々な角度から
ディスカッションをしてみたい。権威や理論、ハウツーに
頼るのではなく、様々な視点に触れることでこのことに関しての
自分なりの答えを出してみたいと思っています。
103投稿者:『夢の情報収集』  投稿日:2004/01/09(金)04:12:40
目指したいキャリアの方向性が見えてきたら、再度自分に
問い直してみてください。
目的地であるビジョン(理念)を明確にすることで、
自分の進む道を確認することができます。
キャリアについてのビジョンを言葉で説明できるようにすると、
自分を助けようとしてくれる人も、手を差し伸べやすくなるはずです。

□ なぜこれをやりたいのか?
□ 短期的には、何を達成したいのか?
□ 長期的には、何を達成したいのか?
□ これをすることで、どう自分が変わるか?
□ これをすることで、私の周りにいる人にどう役立つか?
□ これをしないとどうなるか?
□ 現状からどうやってシフトしていくのか?
□ これをすることで、自分はどこへ向かおうとしているのか?
□ この計画のあと、次に何をするのか?

新しい仕事に就く前に、できるだけそれに関する情報を
集めることは大切なことです。初めての分野でも3日もあれば、
その道の専門家になれるはずです。
104投稿者:『夢の情報収集』  投稿日:2004/01/09(金)04:13:21
● 自分でできるリサーチのヒント

図書館に行く
その分野の教授や専門家とランチを共にする
大きな書店で関連のある書籍を手にとってみる
関連する雑誌を購読する
雑誌の記事を切り抜いてリラックスする
自分のビジョンを多くの人に話しておく
関連するテレビやビデオを観る
インターネットで検索する
関連する組織や団体に加入する
セミナーに参加する
簡単な方法はたくさんあるはずです。
キャリアを確実に花を咲かせるために、初めの1歩を踏み出しましょう。

【 出 典 】
『30日でキャリアアップする本 本当にやりたいことを仕事にしよう』
 著:ゲイリー・グラポ  訳:川村 透  出版:ディスカヴァー
105投稿者:『言わないのはもっと危ない』  投稿日:2004/01/17(土)11:56:15
今、ある通信会社の風土改革プロジェクトを手がけています。
経営陣と現場の対立、セクショナリズムの横行、世代間のギャップの拡大。
社内には淀んだ空気が流れ、社員一人一人のモチベーションは
下がる一方です。その会社の部長を20人集め、風土を改革する
ために何ができるのか、2日間のグループセッションを行ないました。
初日の朝、眉間に皺を寄せた部長達が、口角を下に押し下げ、
挑むような目を私の方に向けながら座っていました。
顔に書いてありました。
「このくそ忙しいのに、何をやらせようっていうんだ!」
彼らの表情を前にして、自分の息が少し浅くなるのを感じました。
肩と首の周辺は明らかに硬くなっていました。セッションが始まる
までの間、何度か彼らに気づかれないように息を細く長く吐き出しました。
部長達に、全社員にウェブ上で回答してもらったアンケートを基に
作成した風土診断シートを1時間近くかけて読み込んでもらった後、
彼らとのやり取りを始めましたまず私から聞きました。
「感想はどうですか?」腕組みしこちらを睨んだまま、
部長達は誰一人その問いに答えようとしませんでした。
20秒近く待ったでしょうか。相変わらず、ほとんどの部長は
まじろぎもせずこちらを凝視していました。
私は、自分自身の胸の辺りに鈍い重さを感じ始めました。
106投稿者:『言わないのはもっと危ない』  投稿日:2004/01/17(土)11:59:34
その胸の重さを取り払うために、後ろの列に座っていた、
少し小太りの部長に話しかけました。
「部長がどうしたいのかということが大事だと思います。
どんなWANTSを持っているかが。どうしていきたいですか?」
はぐらかすように、にやにやと笑いながらその部長は答えました。
「普通の生活でいいですよ。」
彼のその一言が自分の中にある「スイッチ」を「ON」にしました。
「逃げない」そんな声を自分の内側に一瞬聞いた気がしました。
そして、視線を少し強くして彼に問いかけました。
「何を基準にして普通と言うんですか?」
「まっ、ほら家庭が温かければいいかなと。」
よくやったと言わんばかりに周囲の部長達がニヤニヤと笑いました。
他には一切目をくれずに、その小太りの部長だけを見続けて
私は聞きました。「仕事では何かありませんか。WANTSが。」
「子供が受験なんで、やっぱりお金がたくさんほしいかな。」
周りがどっと笑いました。手をたたく人さえありました。
107投稿者::『言わないのはもっと危ない』  投稿日:2004/01/17(土)12:02:21
その笑いを裂き、大きく一歩彼の方に踏み出し、視線を更に
強くして言いました。「もし私が部下で、上司であるあなたに、
部長はどういうビジョンを持っていますかと聞いてもそういう
答え方をするんですか!○○さんは一般社員じゃないんですよ、
部長なんですよ!あなた達次第で会社は変わるんじゃないんですか!
部長としての意見を聞かせてくれませんか!」
彼は私の強い言い回しに虚を突かれたようでした。そして少し
上ずった声になりながら、「そっ、そうですね、、、仕事では、、、」
彼は仕事でどうしていきたいかを語り始めました。
周りの部長達も真剣な面持ちで彼を見ていました。
その後2日間に渡ってどうすれば会社の風土を変えることが
できるのか20人の部長は熱心に議論を交わしました。
私は、時に共感し、時に異論を唱え、彼らの議論がより活発に
なるよう促進役を務めました。2日間のセッション終了後、
小太りの部長が私のところにやってきて言いました。
「これまで結構あきらめてたんだよね。自分の上の役員が一方的に
全てを決めてしまって、それになかなか賛同できなかったので。
もう何を言っても無駄だろうと。
108投稿者:『言わないのはもっと危ない』  投稿日:2004/01/17(土)12:03:06
でも36歳の先生が僕ら50代の人間にあそこまで
言うのを見ていて、もう一回帰ったら役員に言ってみようと
思いましたよ。ほんとうに。今回参加できて本当によかったですよ。」
私は彼に言いました。
「言うのは危ないですけど、言わないのはもっと危ないですよね。」

風土改革はまさに今始まったところです。
109投稿者:キャリア・マネジメントの木  投稿日:2004/01/17(土)12:05:24
キャリア・マネジメント最終回は、
大手人材紹介会社に勤めるキャリアコンサルタントに
インタビューしました。プロが語るキャリア・マネジメントとは?

「僕は、キャリア・マネジメントとは、
 本当の自分を探すことだと思っています。
 そして、その『本当の自分を探す』ために僕は
 『木』をイメージしています。
 自分がいる、とうことは、太い幹があるということです。
 キャリア・マネジメントでは、太い幹を探すべきだと思っています。
 白い紙と鉛筆を用意してください。
 そして、大きな木を描いて下さい。
 その木の幹にはいろんな枝が生えています。
 『大学時代の枝』
 『高校時代の枝』
 『新人時代の枝』
 『趣味の枝』  
 『家庭の中の枝』  など・・・。
 思いつく限り枝を描いてください。
110投稿者:キャリア・マネジメントの木  投稿日:2004/01/17(土)12:08:04
そして、その枝には、細かく小枝をつけてください。
『大学時代』でいえば、サークル活動、
ゼミの勉強、1人旅、アルバイトなど。
そして、それに行動の葉っぱをつけてください。
 『サークル活動』で言えば、サークルの広報をしたことや、
  毎週練習に参加したことなど。

僕はいつもクライアントに、これを描いてもらいながら、
30分くらい話しています。そうすることで、不思議と、
クライアントの『自分』が見えてくるようになるんです。

コーチングでいうと、『価値』や『ニーズ』、
『パーソナルファウンデーション』に関連していると思います。
そして、この木を見ながら、あなたはどう先に走っていくの、
という話をしていくんです。
  1年後は?  2年後は?  3年後は?
 これが、僕の思うキャリア・マネジメントです。
111投稿者: 投稿日:
112投稿者:キャリア・マネジメントの木  投稿日:2004/01/17(土)12:10:33
転職、家族、親など、影響を受けてきたものを見ながら、
『こういう自分だ』、そして『これからは、こうなりたい』
と思ったところで、『じゃ、この木をどう活かしていくの?
この木の幹が更に太くなるにはどうするの?』と聞いていっています。
例えば1600CCの小さいベンツで北海道に行きたいと思った
としますね。それに、どうやっていくかということです。
ベンツはあくまでもツールです。 他にもツールとして、飛行機が
あるかもしれない。ヒッチハイクかもしれない。電車かもしれない。
そもそも、どこに行きたいかをハッキリさせたい・・・と話が戻る場合も
あります。
僕はいつも、こんな風にキャリア・セッションをしています。
キャリア・マネジメントをしたいという方へ、まず、木の幹を
作りましょうといいたいです。幹とは、自分自身の「価値観」を
はっきりすることです。何をしたら、自分がハッピーかを、
まず明確にして幹を作ってみてください。そうしたら、その幹に
合った仕事をしたらいいと思います。そうでなければ、今の仕事を
その幹の方向に仕向けてみてください。 物は言いようなんです。
僕は仕事が重く感じる時に、自分の幹に合わせて、いつもこのように、
仕事のとらえ方を変換させています。キャリア・マネジメントで、
幹を発揮できる仕事や価値を見つけみてください。」
113投稿者:『強みを見つける』  投稿日:2004/01/17(土)12:12:07
下のリストであなたはいくつチェックがつきますか?

 □ 自分の強みを活かす方法を把握している
 □ 人の強みをどのようにみつけるかについて理解している
 □ 人の強みをみつける際に、陥りがちな落とし穴を理解している
 □ 自分の強みをどのようにみつけるかについて理解している
 □ なぜ、不測事態の時に、強みが表出するかを理解している

    (CTP2004マニュアル K09「強みを見つける」より)

 私たちは多くの場合 
 部下やクライアントの弱点に目が行き、
 弱点を克服することに大きなエネルギーを使っています。
 CTPでは、強みに焦点をあてて、
 どのように人や自分の強みをみつけることができるのか、
 どのようにしたら強みを活かすことができるのか
 という視点を学びます。 あなたの強みは何ですか?
114投稿者:「チームワークのモデル」  投稿日:2004/01/22(木)03:31:12
今職場でチームづくりをする際に困難なことは、モデルとなる
例があまり身近にないということです。そこで、卑近な例として
スポーツを例にとり、日本であれば野球やサッカー、ラグビーなどの
チームをモデルにします。しかし、スポーツにおけるチームワークが、
本当に会社組織や会社内のチームに適応するかというと疑問が
残ります。その理由のひとつは、スポーツにおけるチームの場合は
チームが負けたとしても、個人の成績が評価されることがある
という点。たとえばペナントレースでチーム自体が最下位であっても、
三冠王やホームラン王が生まれ、注目されます。起死回生の働きを
する社員が会社を救うという例はありますが、基本的には会社の場合
チームが負けるということは、全ての選手(そのチームのメンバー)
の存在基盤がなくなるということを意味するわけですから、
会社組織ではこのようなことはありえません。もうひとつの理由は、
スポーツのチームは勝ったり、負けたりすることができるけれど
会社は負けるわけにはいかないという点です。会社は、常に
勝ち続ける、存続するという使命を持っています。
また、シーズンオフにチームワークに貢献した選手の働きは、
契約更新の際にどれだけ評価されるのでしょうか?
ここに北海道大学助手らの研究に関する新聞の記事を紹介します。
115投稿者:「チームワークのモデル」  投稿日:2004/01/22(木)03:34:02
「働き者」とされながら、ほとんど働かない「働きアリ」が
いることが北海道大学大学院の長谷川英祐助手らの研究で
わかりました。国内の森林などにいるカドフシアリ約30匹ずつ
3つの集団を室内の人口の巣にうつして、昨年の春から約5ヶ月
の間観察したところ、「えさをとりに行く」「たまごや女王アリを
なめてきれいにする」「ごみをすてる」などの仕事をほとんど
しないアリが、どの集団にも約2割(30匹あたり6匹)ほど
みられたそうです。ところがそのアリたちを取り除くと、
よく仕事をしていたアリたちの働きぶりも、少しにぶったと
いいます。──────(朝日小学生新聞より)
スポーツの場合、チームワークそのものよりも、個人の成績に
目がゆくようになりますが四番打者だけを集めたチームが必ずしも
優勝するわけではなく、スーパースターが一人もいないような
チームが優勝することも多々あります。振り返ってみると、
記録を残さないのに印象に残る選手もいます。直接そういう話を
耳にしたことはありませんが、チームを牽引したり、チームの
雰囲気を創ることに長けた選手がきっといるのだと思います。
そういう選手は、たとえ生産性という点では見劣りしたとしても、
チームに必要な人材なのでしょう。
116投稿者:「チームワークのモデル」  投稿日:2004/01/22(木)03:36:36
ところが現実は、残念ながらそういう人を評価する基準が
ないために、どうしても成績のいい選手、社員に目が行って
しまいます。会社はチームワークによって成り立っていると
いう現実がありながら、どうしても個人成績に注目するようになる。
こういう傾向は、職場でチームを形成しようとするときには、
マイナスに働くことがあります。それが高じると、社内競争が
激しくなります。激しい社内競争は、最終的に社内のチーム
ワークを壊してしまうことになります。また、ときどき不思議に
思うのですが、野球の解説者が「チームバッティングに徹する」
と言うことがあります。それはバントすることなのか、
または、ホームランを打ちたいときにヒットを打つことなのか、
それとも、犠牲フライのことなのでしょうか、いずれにしても、
そこには「チームのためにすること」は、自己犠牲を強いる
ようなものだというイメージがあります。また、「チームワーク」
とは、外敵や競争相手が出てきたときに生まれるものだという
イメージもあるかもしれません。
117投稿者:「チームワークのモデル」  投稿日:2004/01/22(木)03:38:01
しかし本来求められる「チーム」や「チームワーク」とは、
自己犠牲に基づくものではないはずです。
自己犠牲や他との対抗意識がチームワークをつくるのではなく、
チーム内のメンバー構成やチームリーダーの働き、
チームメンバー間で培われる信頼関係やコミットメントが
チームワークに影響するのです。
そしていまや、チームワークは会社組織にとっての資産として、
とらえられるようになってきています。

これまで、会社の資産は「ヒト、モノ、カネ、知的資産」などに
集約されてきましたが、ここに来て、組織内の人間関係も
「ソーシャルキャピタル(社会資産)」として評価されるように
なってきたのです。

「ソーシャルキャピタル」については次回続けたいと思います。
118投稿者:「コミュニケーションの全責任を負う」  投稿日:2004/02/03(火)14:12:19
今週からスタートしたCTPの新しいモジュールの中に
次のようなレクチャーがあります。コミュニケーションには
バーバル(言葉)とノンバーバル(言葉以外)があります。
伝わっているコミュニケーションを全部で100%とすると、
バーバルが7%、ノンバーバルが93%(話し方−口調、抑揚、
語調の強弱などが38%、ボディーランゲージ−表情、
身振り手振り、姿勢などが55%)の割合だといわれています。
言葉の意味そのもののインパクトはたった7%にすぎません。
(モジュールK−8 「コーチング・フロー」より)

先先日、ノンバンク系の中堅企業でコーチング研修を行いました。
その中でこのデータを紹介し、話の内容だけでなく、声のトーンや
態度も含めて、コミュニケーションの全責任を自分が負うことが
コーチングのスタートだという話をしたところ、マネージャーの
Aさんから反論がありました。Aさんは地方都市で支店長をしています。
119投稿者:「コミュニケーションの全責任を負う」  投稿日:2004/02/03(火)14:17:45
「桜井さん、それは違うんじゃないの。仕事してる上では
内容がすべてでしょう。言い方が悪い、顔が怖いっていうのは
確かにあるだろうけど、そんなことよりも。言ってることの
妥当性の方が何倍も大事でしょう。声とか顔つきを問題に
されたらかなわんなー。大切なのは何を話したかという
内容でしょう。あとは受け取る側の問題ですよ。
僕は間違いだと思ったら相手がどう思おうと間違いだと
言いますからね。それが僕のポリシーだから。言いたいこと
言うから会社ではまわりから煙たがられてると思うんですよ。
それはわかってる。でも、僕は会社のためだと思って、
言いにくいこともはっきり言うわけですよ。昨日も会議で
そういう場面がありました。みんな黙っちゃったけどね。
それで相手がどう思おうとそれは相手の問題でしょう。
桜井さんこの考え方は、間違ってますか?」
「間違ってるかどうかはわかりませんが、
ひとつ質問してもいいですか?」「どうぞ」
「Aさんにとっての会議の目的は何ですか?」
「建設的なディスカッションをして、会社をいい方向に
向かわせること」「その目的はどの程度達成していますか」
「100点満点で30点」「ずいぶん厳しい評価ですね」
120投稿者:「コミュニケーションの全責任を負う」  投稿日:2004/02/03(火)14:22:11
「僕がいくら発言しろ、いいたいことがあったら言えといっても、
 ほとんど出てきませんからね。」「なるほど。原因は何ですか?」
「反論できないようなこと言うからかな」「Aさんの意見が正しい
 からですか?」「いや、反論するのがこわいんじゃないのかな」
「どうしてですか」「うーん?僕の言い方の問題ってこと?怖かった
としてもそれを越えて反論してくるのが筋なんじゃないの?」
「ということは、建設的なディスカッションをするよりも、
 怖さを乗り越えさせる事の方が大切という事になりませんか?」
「いや、だから会社というのは目標達成のためにやるのは当たり前
 なんだから、それは相手の受け取り方の問題なんじゃないの?
 桜井さん、社員というのはそういう同意の下に働いているんじゃ
 ないんですか?」「Aさんのおっしゃってることは間違って
 いないと思いますよ。でも、周りから見れば怖すぎて、発言
 しにくいってことはあるんじゃないのかなー?こうやって
 話してても怖い感じありますよ」「確かにね。多少それは
 感じてますけどね。つい声が大きくなっちゃうんだよね。
 桜井さん、どうしたらいいんだろう?」「どうしたらいいと
 思いますか?」「うーん?」
121投稿者:「コミュニケーションの全責任を負う」  投稿日:2004/02/03(火)14:24:23
「Aさんの目的である建設的なディスカッションを生むためには
 どうしたらいいと思いますか?部下の受け止め方に委ねる
 のではなく、Aさんがつくりだすとしたら?」「うーん?
黙るってことかな。部下が発言するまで黙っている。」
「なるほど。ほかにもアイデア出してみましょう。どんなことが
できますか?」「大きな声を出さない。バカやろーとか!アホ!
とか言わないようにする」「それは大事ですね!バカやろーーと
言われたら、僕も発言しないだろうなー。ほかにもありますか?」
「思い浮かばないな」「そうですか、今あげた中で、実際に
やるとしたらどれをやりますか?」「やれるとしたら<黙る>かな。
部下が何か言うまで黙っている。」「Aさんが黙って部下の発言を
待つことができれば状況は良くなるということですか?」
「少しは良くなるんじゃないかな」「そのとき、どんな表情を
していたら部下は発言しやすいと思いますか」「あんまり
しかめっ面じゃ良くないだろうね。少しは優しそうな顔を
作らなきゃいけないのかな。でも、そんなに急には変えられないな」
「そうですよね。でもそれができたらなおいいですよね。
 Aさん、ここまで話してみてどんなことを感じていますか?
 最初にAさんは、受け取る側の問題だと言いましたよね。
 そのことについてはどうでしょう?」
122投稿者:「コミュニケーションの全責任を負う」  投稿日:2004/02/03(火)14:25:27
「その考えは今でも変わりません。でも、部下のせいにする
 だけではなくて、自分の方から何か試してみてもいいかなと
 少しは思ってます。」

 --今、相手から返ってきている反応が、自分のコミュニケート
したことである--これはコーチングのもっとも基本的な考え方です。
何を言ったかではなく、相手に伝わったことが自分の伝えたこと。
つまり、コミュニケーションの全責任を自分が持つということ。

言っている内容だけでなく、言い方、顔つきも含めて、
相手にどのような影響を与えるのかに責任を持つ。
そのスタンスを持つことがコーチングのスタートといえるでしょう。
123投稿者:「関わり方にはパターンがある」  投稿日:2004/02/03(火)14:29:21
職場や取引先などで「どうもあの人とは仕事がしにくい」
「コミュニケーションがかみ合わない」という人は
いないでしょうか。理由はいろいろあるでしょう。
「威圧的なものの言い方をする」「優柔不断でなかなかものを
決められない」「細かいことを聞いてくるのでイライラする」
「自分ばかり話しているから」
「性格的に合わない」「生理的に合わない」とあきらめてしまう
こともできますが、関わり方を変えるだけで、その人と新しい
関係を築くことができるかもしれません。その人は、あなたと
関わりのパターンが違うだけで逆にあなたに欠けている部分を
補ってくれる大切なパートナーになりうる可能性もあるのです。
コーチングで大事な考え方のひとつにテーラーメード(個別対応)
があります。多くの場合、私たちの他人との関わりのパターンは
固定化しています。しかし、固定化した関わりのパターンは、
周りの人を「合う人」「合わない人」という二つのグループを
分けてしまうなど、他人との関係を発展させる可能性をせばめる
ことにもなりかねません。誰に対しても同じ関わり方をする
のではなく、相手に合わせてインタフェース(接点)の取り方を
変えていく。優れたコーチは、状況や相手に応じて常に自身の
コミュニケーションをテーラーメードにすることができます。
124投稿者:「関わり方にはパターンがある」  投稿日:2004/02/03(火)14:31:14
テーラーメードのコミュニケーションをつくりだすためには、
まず自分自身がどのようなパターンをもっているかを知る事が
必要です。自分がどんな態度をとりやすいのか、どんな表現を
つかいやすいのか。そういったことを知り、意識するだけで
他人との関わりのパターンを変えることが可能になります。
次のステップとしては、相手のパターンを見分けること。
どういう表現を使うと相手に伝わりやすいのか、
どんな話の展開を相手は好むのか、どうすればやる気を
起こさせることができるのか。自分のパターンと照らし合わせ
ながら、関わり方を変えていくことができれば、人との関わりの
可能性は大きく広がるでしょう。私たちの他人との関わりの
パターンは、おおむね次の4つに分けることができます。
・ 人や物事を支配していく「コントローラー・タイプ」
・ 人や物事を促進していく「プロモーター・タイプ」
・ 分析や戦略を立てていく「アナライザー・タイプ」
・ 全体を支持していく「サポーター・タイプ」
あなたはどのタイプだと思いますか?
あなたの苦手なあの人はどのタイプだと思いますか?
125投稿者:『4つのタイプの特徴』  投稿日:2004/02/05(木)23:28:46
第1回目では、関わり方のパターンを見てきました。
以下の中で、あなたは、どのタイプだと思いますか。
また、職場で気になる人のタイプはどれだと思いますか。

 ・ 人や物事を支配していく「コントローラー・タイプ」
 ・ 人や物事を促進していく「プロモーター・タイプ」
 ・ 分析や戦略を立てていく「アナライザー・タイプ」
 ・ 全体を支持していく「サポーター・タイプ」

このタイプを自分で認識し、また、相手のタイプを認識することで、
より生産性のあがるコミュニケーションを交わすきっかけを
つかむことが出来ます。それぞれ4つのタイプの一般的行動傾向と、
対人関係を一部ご紹介します。それぞれのタイプで当てはまる人を
思い浮かべてください。
それぞれのタイプの人が思いうかびましたか?
それぞれのタイプの人に、どんなように接すると、
仕事に対するモチベーションがあがるかインタビューしてみましょう。
126投稿者:『4つのタイプの特徴』  投稿日:2004/02/05(木)23:29:46
◆コントローラータイプの特徴
 <一般的行動傾向>
 □行動的、野心的、エネルギッシュ
 □自分の思い通りに物事をすることを好む
 □リスクを恐れず目標達成に邁進する

 <対人関係>
 □人を寄せ付けない印象を与える
 □優しい感情を表すことは苦手で他者から怖がられる
 □人をコントロールしたがる

 ◆プロモータータイプの特徴
 <一般的行動傾向>
 □アイデアが豊富で創造力もある
 □人と活気あることをするのが好き
 □楽しいことが好きでエネルギッシュ
 
 <対人関係>
 □いっしょにいて楽しい人
 □ときにうぬぼれ屋、お調子者といわれる
127投稿者:『4つのタイプの特徴』  投稿日:2004/02/05(木)23:30:35
 ◆サポータータイプの特徴
 <一般的行動傾向>
 □人を支援することを好む
 □あたたかく、穏やか
 □職場では協調性が高く、意欲もある

 <対人関係>
 □他者の気持ちに敏感
 □親密な人間関係を築く

 ◆アナライザータイプの特徴
 <一般的行動傾向>
 □物事に取り組むとき、データを集め分析する
 □プランニングや計画するのが好き
 □客観的、冷静

 <対人関係>
 □他人からは頑固、まじめと言われる
 □対人関係も慎重
 □孤立してもあまり苦にならない
128投稿者:『あんた、そんなもんじゃないだろ。』  投稿日:2004/02/10(火)22:19:02
コーチは相手の可能性を引き出す。確かにそうです。でも、
どのようなスタンスで相手から引き出そうとしているかは
コーチによってずいぶん違うようです。あるコーチは
静かなトーンで『あなたのサポートをしたい。』と、また
別のコーチは熱く『あなたの中に答えがある!』と、頭の中で
繰り返し唱えています。で、私はというと、結構頻繁に
『あんた、そんなもんじゃないだろ。』と静かに熱く内側で
叫んでいます。先日ある企業で営業マントレーニングを実施しました。
営業マンにコーチングスキルを学んでいただくわけです。
丸1日のトレーニングの後、課題を出し、現場で実践してもらい、
1ヶ月後、その課題の振り返りのために、もう1日集まって
いただくというプログラムでした。フォロートレーニングの場で、
いい人そうに見えるものの、パッションを感じない30代前半の
営業マンに問いかけました。
「この1ヶ月間でどういう変化がありましか?」
彼はいい人らしく、真面目に答えました。「前回先生が言っていた
会話と対話というのをクライアントと話すときに意識したんですが、
なかなか対話ができないんです。さらっと終わってしまうというか。
どうするといいんでしょう?」
129投稿者:『あんた、そんなもんじゃないだろ。』  投稿日:2004/02/10(火)22:23:48
私は強いトーンで言い放ちました。「なんで対話できないんですか?」
こちらの先制パンチに彼はたじろぎました。「なんで。ん〜、、、」
追い討ちをかけるように立て続けに質問を投げかけました。
「そこまでクライアントのこと考えてないんじゃないですか。」
「、、、そうかもしれませんね」「かもしれませんっていうのは、
そうでないかもしれませんっていうこと?」「、、、もっと
本質的なことを引き出せたら、もっとこっちもプランを
考えていけると思うんですけど」「最初に考えるから、
引き出せるんじゃないんですか。」「、、、そうですね。」
突然それまでの「全部話しを聞きますよ。」オーラを急変させ、
ぐいぐい突っ込む私に、彼の眼は点になりました。
さらにスピードを上げて彼に次から次へと質問を浴びせかけました。
「営業やって何年ですか?」「まだ2年です。」「この2年間で
自分の営業スキルはどれくらい上がったと思います?」
「あんまり上がってないですね。」「100点満点にしたら、
2年前が何点で今が何点。」「ずっと50点ぐらいから変わって
ないかもしれません。」「まずいんじゃないの。」「まずいですね。」
「なんで成長してないの。」「目先のことに追いまくられていて。」
「それって、1年後も同じこと言ってるんじゃないの。」
「や、スキルあげたいとは思っていますけど。」
130投稿者:『あんた、そんなもんじゃないだろ。』  投稿日:2004/02/10(火)22:27:33
「あげたいとは思っていますけど?『たい』と『は』と
『思ってる』と『けど』がついちゃったらやらないでしょ。
だってもし彼女が、『結婚したいとは思っていますけど、、』
っていったらどう思います?可能性は高い、低い?」
「あんまり高くないですね。」「でしょ。やっぱり1年後も同じ?」
「いや、スキル高めたいです。」「たいっていうのは、高めるって
いうこと?」「はい。」「50点が何点になるわけ?」「80点。」
「おお〜、強く出たね。2年で1点も上がらなかったのに、
いきなり30点。」「はい。」「30点上がったら何が変わるの?」
「もっとクライアントのことを考えて、情報引き出して、提案してる
と思います。」「なんか教科書的だな。ほんとにそうするの?」
「ほんとに。」もう彼の顔は紅潮し、姿勢は前のめりになっています。
激しく二人でスポーツをやっているような感じです。「要するに
クライアントをどうしたいの?」「どうしたい?」「そう、
クライアントにどうなってほしいの?」「ブランドを高めて
ほしいです。」「ブランドって。」「今いろんな顔を出して
しまっているので、統一感がないなと。」「いいじゃん、
統一感なくても。」「いや、やっぱり他と差別化できないと。」
「差別化できたら自分にとってどういういいことがあるんですか?」
「自分にとって?」「そう。」「達成感ありますね。」
131投稿者:『あんた、そんなもんじゃないだろ。』  投稿日:2004/02/10(火)22:28:01
約15分のやり取りの間、私はずっと頭の中で
「あんた、そんなもんじゃないだろ。」といい続けていました。
そんなところで止まっていていいのかと。
もっとやれるだろうと。あんた次第で幾らでも状況を変えられるだろうと。

人の可能性を引き出すのは、やりがいに満ちた仕事だと、
最近つくづく思います。
132投稿者:『タイプ別のアプローチ法』  投稿日:2004/02/11(水)00:01:40
第1回と第2回では、ひとには4つのタイプがあり、それぞれの
行動と関わりの特徴を紹介しました。例えば、部下やクライアント
と向かい合った時に、相手のタイプが何であるかを考えると、
相手に対して興味が持てるようになります。今回は、具体的に、
それぞれのタイプとどのように関わったら効果的なのかについて
紹介したいと思います。

ひとつのタイプの診断が出たからといって、
人はいつもそのタイプの行動を取ったり考え方をしたりするとは
限りません。また、「あの人はこのタイプだから、こういう性格だ、
だからこういう関わりをすればいいだろう」という決めつけも、
かえってコミュニケーションを狭めます。
タイプ分けは、これまでコミュニケートすることが難しかった
相手に対して別のアプローチができる可能性が生まれたり、
複数のインターフェースを持って、人と関わることを可能にします。

タイプ分けによって人の傾向を知り、コミュニケーションの可能性を
広げるためのひとつの視点として利用することが何よりも大切なのです。
133投稿者:『タイプ別のアプローチ法』  投稿日:2004/02/11(水)00:03:51
◆ コントローラーとの関わり方
 〜人も物事も支配していくコントローラータイプ〜
 ・頭ごなしにものを言うと、回路が閉ざされてしまう
 ・くどくどと長く話すと、フラストレーションを起こす
 ・単刀直入に話してもだいじょうぶ
 ・コントロールしようとしない

◆ プロモーターとの関わり方
 〜人も物事を促進していくプロモータータイプ〜
 ・「どんなことがやりたい?」などと質問をし、
  アイディアを引き出してあげると、とてもモチベーションが上がる
 ・アイディアがどんどん出て来て拡散しやすいので、「どの
  テーマに絞ってやっていくか」について話し合うと有効に機能する
 ・ネガティブなアプローチは避ける

◆ アナライザーとの関わり方
 〜分析や戦略を立てていくアナライザータイプ〜
 ・「すぐ動きなさい」と言うと、それだけで動けなくなってしまう
 ・彼らは大量のデータを欲しがっていることを理解する
 ・少しずつ変わりたがるので、大きな変化を強いるとプレッシャーとなる
 ・感情表現が苦手なので、内面に注意を向けることが必要

◆ サポーターとの関わり方
 〜全体を支持していくサポータータイプ〜
 ・NOと言えないので、「NOと言ってもいいんだ」ということについて話す
 ・提案、要求をちゃんとさせることも必要
 ・やっていることをきちんと認めてあげる
134投稿者:『ソーシャルキャピタル』  投稿日:2004/02/18(水)13:05:01
1989年、パソコン通信が始まった頃は、毎晩のように
ホストにアクセスし、メールを交換したり、チャットを
楽しんだりしました。ときには、アメリカのホストに
アクセスすることもありました。特に必要があったわけでは
ないのですが、新しいことが始まるような気がして、わくわく
たものです。その頃はまだインターネットが普及しておらず、
もちろんプロバイダーもありませんでした。ごく限られた
研究機関などがインターネットのアクセスポイントであったと
思います。メールでやりとりをしているとき、彼からのメールに
次のように書いてありました。「伊藤さん、インターネットに
アクセスできませんか?パソコン通信だと電話代がすごく
かさむんです」彼は研究者で、すでにインターネットにアクセスし
他の研究者などと情報のやりとりをしていたようです。残念ながら
私にはパソコン通信とインターネットの違いがすぐには理解
できませんでした。パソコン通信は、ホストという大きな掲示板に
書き込んだり、書き込まれたりしたものを自分で見にいくという、
解りやすく、イメージしやすいものだったのですが、
インターネットとなると、私にはその仕組みがなかなか理解
できませんでした。実際、メール交換にしても、パソコン通信で
充分だと思っていました。
135投稿者:『ソーシャルキャピタル』  投稿日:2004/02/18(水)13:07:47
しかし、彼はさらに次のようなメールを送ってきたのです。
「伊藤さんとメールの交換をするためには、伊藤さんと同じ
パソコン通信の会社と契約しなければならないし、他の人と
メールの交換をするときには、また別の会社と契約を
しなければなりません。それだけではなく、メールを読むために
毎回ホストに電話をかけてアクセスしてメールを取りに
行かなければなりません、それでは、送ったり受け取ったり
する情報量やスピードが制限されてしまいます。」私は聞きました。
「そんなに大きな量の情報を交換しているの?」「そうです、
研究のデータなど」「研究データ?」「はい、今、研究者は
お互いにインターネットを使って、毎日、発見したことや、
研究のデータを交換したり、自分のサイトに紹介したりしています」
「協力し合っているということ?」「そうなんです。これまでは、
研究室という部屋の中での研究でした。または学会に行ったときや
学会誌を通して情報を得ていましたが、今はそうではなく、
インターネットを介して、毎日学会を開いているようなものなんです。
研究者の間では、情報の開示は常識なんです」
136投稿者:『ソーシャルキャピタル』  投稿日:2004/02/18(水)13:10:07
これまで、学術的な研究は、研究者とそのグループによって
なされていました。それに対して、インターネットを介することで、
ワールドワイドに、そしてジャンルを超えて役に立つ情報を
交換し合うことが可能になったというのです。研究が、
ネットワーク上で発展するようになっていることに初めて
気づかされました。同時に疑問も残りました。「でも、
大事な研究の成果を人にあげてしまったら、他の研究者に成果を
とられてしまうことにならない?」「もちろんモラルは必要ですが、
それにも増して研究のスピードを上げたいというニーズがあります。
また、他の研究者に情報を提供することは、同時に他の研究者からの
情報提供を受けることも意味するんです。」彼は薬品の開発者であり
研究者なのですが、システムの開発者のあいだでも、同じような
情報の交換が行われています。システム開発の途中で知りたい
ことがあると、メールやIM(インスタント・メッセージ)を
使って質問をします。ネットワークの中にいるメンバーは、無償で
情報を提供してきます。確かに情報の独占が有効なアドバンテージ
であることに変わりはないのでしょうが、同時に情報の開示
(リソースの開示)も同じように大事な意味を持つのだと思います。
137投稿者:『ソーシャルキャピタル』  投稿日:2004/02/18(水)13:12:14
およそ10年前にはすでにこのような新しいタイプの関係が
インターネットを介して広がっていました。そして今、
会社組織の中でもこのような関係が求められるようになりつつ
あります。お互いが持っているリソースをシェアしあうことによって
組織の知的財産を増やすことができる。たとえば、パソコンが
使える人が、隣の人に教える。自分の持っている人的な
ネットワークを会社の他の人にシェアする。どんなに価値ある
情報を持っているスタッフがいたとしても、彼らがそれを他の
スタッフにシェアしなければ、その会社は個々がもっている
リソースを活かすことができません。ソーシャルキャピタルとは、
リソースがシェアされる、または自分の持っているリソースを
安心してシェアすることができる、その関係を意味します。
リソースには、情報、アイディア、規範、ビジネスチャンス、
経済的、精神的サポート、善意、信頼、協力といったものが
含まれます。どんな会社にもソーシャルキャピタルはあります、
しかし、その量は会社によって異なります。枯渇することもあれば
増加することもあります。浪費されることも、それに投資される
こともあります。
138投稿者:『ソーシャルキャピタル』  投稿日:2004/02/18(水)13:12:59
単に会社に人がいて仕事をするだけでは充分ではなく
個々が持っている価値ある情報、役に立つ情報が
どれだけ他のスタッフにシェアされているか、
また、シェアできるようなベースがあるかによって、
ソーシャルキャピタルの量を測ることができます。
そして、高いソーシャルキャピタルは、当然会社に利益をもたらします。

会社のソーシャルキャピタルを主観的に判断するものとして、
その会社の雰囲気があります。
また、その会社の中で交わされている会話の中に見ることができます。


ソーシャルキャピタルとコーチングの関係については、次回にします。
139投稿者:『4つのタイプ別質問のしかた』  投稿日:2004/02/18(水)13:15:18
タイプ分けは、相手の物事の捉え方を理解する上で
とても役に立ちます。今回は、それぞれのタイプが行動
しやすくするための具体的な質問の仕方をご紹介します。
もちろん、人はそれぞれ違いますので、すべてがこのとおりに
いくわけではありませんが、タイプに応じて受け入れやすい
関わり方というものがありますので、コーチングする上でも、
参考にしてみてください。

有益な質問は、その人の中にある情報や知恵を引き出すための
黄金のツールです。どの人の中にもそのリソースはあるのですから、
いかに効率よく、相手が答えやすく質問をするかが、
コーチとしての腕の見せ所です。
140投稿者:『4つのタイプ別質問のしかた』  投稿日:2004/02/18(水)13:18:25
■コントローラーの場合:コントローラーは基本的に質問される
ことを好みません。それは質問は構造上質問する側が
コントロール権を持つからです。「何のためにこの人はこの情報を
自分から取ろうとしているんだろう」などと猜疑心をちょっとでも
持たれたらコントローラーから引き出すことは難しくなります。
コントローラーから情報を引き出すには、まず、なぜ何のために
それを知りたいのかを明示する必要があります。できれば、
より質の高い「判断」を下すためには、ぜひこの情報が必要である
というような言い回しがよいでしょう。質問も「教えてほしい」
「聞かせてほしい」というような表現で問いかけるのが得策です。
コントローラーは「先生」をやるのが好きですから。
■プロモーターの場合:プロモーターは問いかけられることを
好みます。たくさんのアイディアを制限なく自由に語りたいと
思っていますから、なるべく間口を広くとって質問してあげる
のがよいでしょう。「君の考えどこからでもいいから聞かせてよ」
「どんなアイディアがある?」そして何かプロモーターが発言したら
明確にレスポンスを返す。できれば同じあいづちを2回繰り返す
ぐらいがちょうどよいかもしれません。「それで、それで」
「なるほど、なるほど」「他には、他には」。プロモーターの
アイディアは更に広がりを見せること請け合いです。
141投稿者:『4つのタイプ別質問のしかた』  投稿日:2004/02/18(水)13:22:41
■サポーターの場合:サポーターに問いかける時はどんな時もまず
「最近よくやってくれてるな」「この前の仕事よかったぞ」などと
いった肯定的なメッセージを投げかけ、それから質問します。それがないと
サポーターの頭は「認められているだろうか」というところでぐるぐる
してしまい、質問に対してなかなか冷静に客観的に答えられないのです。
まず肯定し、そこに「合意」があることを示し、安心感を与えることで
相手の創造力を活性化することが可能になります。サポーターは
基本的にはどのような質問にも答えてくれます。ただし最初のこの
承認がないと自分の意図とは別に、相手が期待するような答えを
返してくる可能性がありますので、気をつける必要があります。
■アナライザーの場合:アナライザーへの質問は具体的である
必要があります。「最近どう?」などと間口の広い質問をされると
どこから始めてどこで終わらせたら相手の質問に「正確」に答えた事に
なるか、シミュレーションができず、困惑してしまいます。
アナライザーに質問をするときは、「○○について聞かせてほしい」
と間口を絞り、具体的に問いかけることが大事です。またアナライザーは
自分の主観よりも客観的な事実を語るのが得意です。主観には「正確さ」が
ないからです。相手がワインが好きだとして、「ワインの魅力をどんな
ところに感じるの?」と聞くよりも「ワインを選ぶコツは何?」と
客観情報を用いて答えられる質問をしてみましょう。
142投稿者:『タイプ分けのクラスを受講して』  投稿日:2004/02/27(金)02:38:00
タイプ分け最終回は、(株)ケン・コーポレーション人事部の
竹嶋康史氏に、タイプ分けのクラスを受講しての感想を伺いました。
竹嶋さんは、1月26日〜2月16日の毎週月曜日に、CTPの
新モジュール「タイプ分け(1)」のクラスを受講されています。

「以前からタイプ分けに関する本を読んだり、研修を受けていました。
 ですから、ある程度、内容については理解していました。
 ただ、実際の生活やコミュニケーションで活かす機会を
 自分は積極的に作っていなかったように思うんです。
 今回、クラスの宿題などを通して、実際の日常の中で実践できる
ようになったのは、成果だと思いました。第一回目のクラスの宿題で、
 それぞれのタイプに典型的に当てはまると思われる人を
 周囲から4人選び出し、インタビューするというものがありました。
そこで、アナライザーであれば、なかなか答えてくれなかったり、
 プロモーターであれば、ぽんぽん色々と答えてくれたり、回答の
内容だけではなく、伝え方や、質問に対する反応の速度が違う。
 コントローラーは、コントローラーの答え、サポーターは、
 サポーターの答えを持っていて、実際やってみて、
 コミュニケーションの中でタイプ分けの対応はできるものだなと
 実感することが出来ました。
143投稿者:『タイプ分けのクラスを受講して』  投稿日:2004/02/27(金)02:39:39
 私自身についていうと、環境や時間の経過で、
 多少自分のタイプが変わっていくことに気がつきました。
 昔は、コントローラーが強かったんですが、コーチングを
 勉強するようになって聞く耳を持つようになり、
 コントローラーの部分が低くなりました。
 意識して行動をすることで、タイプががらっと変わることも
 あるのです。ちなみに、プライベートと会社ではタイプが
 変わるということはありません。コーチングを勉強してから、
 会社でも、自分を素直に出せるようになったからだと思います。
 来週から「タイプ分け(2)」のクラスを受講します。
 そこで、また実践を積んで、タイプ分けを活用していきたい
 と思っています。」
144投稿者:『海外情報〜コーチング人口1千万人を夢みた男』  投稿日:2004/03/04(木)04:58:17
「世界中の1千万人の人がコーチングを体験をしたら、それは、
コーチ業界にどのような影響を与えるだろう?」
この問いを投げかけた人がいます。その名前はトマス・レナード。
アメリカでコーチ業界を大きく発展させた中心的な人物です。
このメッセージは、2002年の8月にレナード氏が配信する
メールニュースに流れました。その答えとして彼が提起したのは
次の3つです。
1.「コーチングって何?」と聞く人がいなくなる
2.コーチングの効果を実際に体験する人たちは、
その有益性ゆえに、一生涯コーチを雇うようになる
3.コーチが職業として世の中に認められるようになる
(認定制度が確立される)

これらを実現するために、レナード氏は、数多くのプロジェクトを
手がけ、コーチング業界を世の中で認知させるために勢力的に
取り組んでいました。私が始めて彼に会ったのは、1999年に
アトランタで行われたコーチの大会。当時レナード氏が取り組んで
いたのは、「コーチ業界を担うリーダーたち」をテーマに、
各国のコーチたちをホテルの部屋に招待し、インタビュー形式
による撮影を行うというものでした。
145投稿者:『海外情報〜コーチング人口1千万人を夢みた男』  投稿日:2004/03/04(木)07:14:18
弊社の伊藤守もそのインタビューを受けた一人であり、私は
通訳として参加しました。ソフトでいながら、意思の強さを
感じさせる鋭い視線が今でも鮮明に思い出されます。
レナード氏の情報収集力と整理力は尋常でなく、同時に、
それらを惜しみなく分かち合う精神も常識を超えています。
それを形にしたのが2001年に創設されたコーチングの
ポータルサイト、「コーチヴィル- Coachville」です。
このサイトは、コーチたちと、コーチングに興味がある人たちに
コーチングの「リソース(源)」をいつでもインターネットから
簡単に入手できるように用意されたもので、コーチングの
セッションで使える何百種類ものツール、ドキュメント、
ヒント集や、過去に行われた電話会議のオンラインクラスの録音、
Eカード、ウェブに貼るバナーなどが提供されました。
2002年までの2年間、誰でも無料で利用できたというのも
仰天するようなしかけです。これも1千万人プロジェクトを
達成するための第1フェーズだったと言えるでしょう。
このコーチヴィルとコーチ・トゥエンティワンが提携を
結んだのが2002年10月。日本のコーチングの現状に
沿ったコンテンツの翻訳から始まり、現在では、
1000人近い会員の方が利用されています。
146投稿者:『海外情報〜コーチング人口1千万人を夢みた男』  投稿日:2004/03/04(木)07:15:50
コーチヴィルのコンテンツを翻訳する際にそれこそ何百もの
ツールやドキュメントを目にしました。それらからは、世界各国の
コーチたちによる「私たちはこれを使ってうまくやっている」という
自信と誇りが伝わってきました。そのコーチの心意気を込めるために、
翻訳者も自身がコーチとして活動している人に依頼しました。

コーチヴィルのウェブサイトは日本のほか、スペイン、イタリア、
アイルランドにもあり、それぞれの国らしいコーチング事情を
垣間見ることができるのが興味深いところです。
残念なことに、レナード氏は昨年2月に47歳で急逝しました。
そのニュースはショックとして業界を駆け抜けたのですが、
コーチングを広めるために文字通り、命を懸けたといえるのでしょう。
彼が目指していた、「1千万人がコーチングを体験する」という意思を、
コーチとしての仕事する私たちは引き継いでいきたいと思っています。

147投稿者:『出会ったその場で関係を作る』  投稿日:2004/03/11(木)02:23:39
私が大学時代、一番仲の良かったのがM君でした。入学式当日
ラグビー同好会への入会の勧誘を受けた私は3年生に連れられて
喫茶店に行きました。そこに先に別の3年生に連れられて
来ていたのが、M君でした。白い、編込みの入った靴を
かかとをつぶして履き、タブタブのジーパンに、紫色の裏地が
付いた白いジャンパー。頭はほとんどパンチパーマです。
ほんとにK大生?と疑いたくなるようないでたちでした。
そのM君が私を見るなり、「おう、お前どこの出身?」
同級生とはいえ、いきなり「お前」と言われ、少し戸惑いながら
「し、静岡だけど。。」と答えると、「俺は愛知、豊橋。
知ってる?近いじゃん。よろしくな!」いきなり握手を求められ
力強く手を握られました。その頃、人と仲良くなるときは、
まずは2メートルを1メートル半に、次に1メートルに、
そして何回か会ったところで50センチまで、そんな風に
思っていた気がします。それが常識だと。M君はそんな私の常識を
一気に崩しました。いきなり30センチに入ることが可能なんだと
教えてくれました。それはとても新鮮な驚きでした。
その日、私は同好会への入会を決めました。それは、3年生の
勧誘がうまかったからでも、その同好会が強かったからでもなく、
M君という人間に魅力を感じたからでした。
148投稿者:『出会ったその場で関係を作る』  投稿日:2004/03/11(木)02:26:56
それからの4年間、何度も何度もM君がいきなり30センチに
入るのを目撃しました。一緒にレストランに行けば、水を運んで
きたウェイトレスをしっかり見ながら「サンキュー!」
誰でもウェイトレスに軽く会釈ぐらいはするでしょうが、
いちいち向こうの顔をしっかり見て、「サンキュー!」とは
なかなか言わない、いや言えないと思います。彼はそれを
いとも簡単に、当たり前のようにやってしまう。その
「サンキュー!」をきっかけにウェイトレスやウェイターと
話しが弾んでしまうということもよくありました。
M君に自分の友人を紹介すれば、かつて彼が私にしたように、
いきなり「ため口」で話しを始めてしまう。「オッス!俺はM。
よろしくな!」そして私の友人達はたとえM君と一回会っただけ
であっても、しばらくしてから「M君って元気にしてる?」
とM君のその後の様子を聞きたがるのです。どのくらいの時間を
かけて他人と関係を作るかについては、実は誰かが目の前に
来る前に、ほとんどの人は内側で決めてしまっています。
儀式を踏んでゆっくりと、と思っている人もいれば、
出会った瞬間に一気にと決めている人もいます。
149投稿者:『出会ったその場で関係を作る』  投稿日:2004/03/11(木)02:27:59
コーチは決められた契約期間の中で一定の成果を出さなければ
いけませんから、クライアントとの関係づくりはもちろん
早ければ早いほど良いわけです。私も頭の中ではM君のような
スピードでと思っていますが、まだまだあれ程早くはできません。
みなさんは、どのくらいのスピードで他人と関係を作ると
決めていますか?
ちなみに、M君は大学を卒業した後、某大手商社に入社しました。
最近はなかなか会う機会がないのですが、
先日風の便りに、同期でトップをきって課長に昇進したと聞きました。
150投稿者:『チームワークを棚卸する』  投稿日:2004/03/20(土)02:01:21
2年前に、弊社の4つのチームを対象に下のアセスメントを
実施しました。当時はまだ、『ソーシャルキャピタル』という
言葉を知りませんでしたが、感覚的には、チーム間の信頼や
コミュニケーションの頻度や質が業績に影響すると思っていました。
一方では単に雰囲気がいいことが、必ずしも、業績とは関係しない
という見方もありましたから、それをはっきりさせる目的もあって、
アセスメントを実施したのです。全部で12問あります。

1. すべてのチームメンバーが、グループのゴールを理解した上で、
   ゴールに対するコミットメントをもっている
2. チームメンバーがお互いのアイディアについて建設的な
   フィードバックをしている
3. グループの業績の基準や方向性に従うことに対して、
   メンバーが無理を感じていない
4. グループ内のコンセンサスに従うことを強制されるのではなく、
   反対意見も受け入れられている
5. メンバー間に活発なコミュニケーションがみられる
6. 重要な決定を下すための責任や権利は、チーム全体に
   与えられている
151投稿者:『チームワークを棚卸する』  投稿日:2004/03/20(土)02:05:18
7. すべてのメンバーが自分の意見を表現できる
   チャンネル(回路)が開かれている
8. メンバーには、自分の仕事に必要なスキルやトレーニングを
   受けるチャンスがある
9. メンバーは全員平等に扱われている
10. チームリーダーの指示がなくても、メンバーがお互いに
    サポートし合っている
11. チームの業績と同時に個人の業績も評価されている
12. グループ内で、さまざまな業務を遂行するための責任や
    役割がはっきりしている
2年後、チームごとにこのアセスメントのスコアと業績を比較すると、
確かに スコアの高かったチームの売り上げ、利益率はともに
他のチームに対して高いものでした。また、途中でそのことに気づき、
改善を試みたチームの業績にも変化が見られました。
スコアの高さがすぐに影響するわけではありませんが、
2年の間には違いを生み出しています。このアセスメントは、
ソーシャルキャピタルを計る一つのツールと考えられると思います。
152投稿者:『120人中、64位』  投稿日:2004/03/25(木)03:54:38
CTP(コーチ・トレーニング・プログラム)は現在120名の
クラスコーチによって運営されています。クラスコーチは、
CTPのモジュールの内容に基づいて、55分間のオンライン
クラスをリードします。クラスコーチは1課程(4クラス)が
終了するごとに、クラスの参加者から10項目について
あてはまっているかどうかを、10点満点で、しかもコメント
付きでフィードバックされます。 私もクラスコーチの一人として
毎月毎月しびれる思いで自分に対するフィードバックを読んで
います。特に1月のクラスからは項目が変更になり、より具体的な
コメントとともにフィードバックが行われるようになったために、
しびれる感じはより高まりました。その上先月からは平均点が
集計され、全クラスコーチの総合ランキングまでわかるように
なりました。当然、私の最大の興味は自分の順位に向いています。
CTPを主催している側の責任者である私が、もしもベスト10
から落ちるようでは沽券にかかわりますから。ところが今月の
順位は、なんと120人中、64位だったのです。
153投稿者:『120人中、64位』  投稿日:2004/03/25(木)03:56:53
〔 フィードバック項目 〕
1. クラスはインタラクティブ(双方向)だった
2. エクササイズの説明やレクチャーはわかりやすく役にたった
3. コーチングエクササイズ、ロールプレイは参考になった
4. クラスコーチからの効果的な質問があった
5. クラスコーチは参加者の発言の内容を正確に捉えていた
6. クラスコーチの声のトーンやスピード、言葉遣いは適切だった
7. クラスコーチからの効果的なフィードバックがあった
8. クラスコーチからの承認があった
9. クラスコーチは自分にとってモデルになるような聞き方をしていた
10. クラスに気づき、視点の変化、感動、驚き、楽しさの
   いずれかがあった

参加者からフィードバックを受けることによって、コーチとしての
技量がはっきりするわけで、それは見たいようで見たくない、
しかし実 際には自分の実力を知りスキルアップしていくためには
避けて通れないトレーニングなのです。私は、月に2課程の
オンラインクラスを担当しているので、毎月平均して40弱の
フィードバックをもらいます。結果は専用のwebサイトで
見ることができます。
154投稿者:『120人中、64位』  投稿日:2004/03/25(木)03:59:31
クリックして開くたびに、その点数を見ては、「お、10点だ。
やった!」「げ、6点だ。そんなはずない!」と、一喜一憂
するのですが、次から次へと読んでいくうちに、まるで
フィードバックのシャワーを浴びているような気分になって
いきます。先月のクラスのフィードバックを読んでいると
「クラスはインタラクティブ(双方向)だった」という
私がもっとも大切にしている1番目の項目に時々5点、
6点という数字が出てくるのです。そのような低いフィードバック
を見ると最初はただただしびれているだけなのですが、読み
進んでいくうちに、熱いシャワーに慣れるようにだんだんと
正気を取り戻していくのです。そして読み終わるころには、
このフィードバックを参考にしてどうやったら来月のクラスを
いいものにできるかを考え始めていました。
コーチとしてのスキルをアップさせていくためには、
自分のとっているコミュニケーションが相手にどのような影響を
与えているのかを知る必要があります。自分が良かれと思って
言ったひとことが、実際にどのように受けとめられたかは、
相手から直接聞かないかぎり知ることができません。
155投稿者:『120人中、64位』  投稿日:2004/03/25(木)04:00:16
相手からフィードバックを受け取ることではじめて軌道修正が可能になるのです。

毎月毎月熱いシャワーのようなフィードバックに身をおく、
このクラスコーチに対するトレーニングは、
私にとって最高のコーチングのトレーニングだと思っています。
156投稿者:『フォローする』  投稿日:2004/03/25(木)04:03:57
ゴールを立てはしたものの、そこに向かうプロセスがうまく
いかなかったり、ゴールの達成が難しくなることがあります。
クライアントが、約束どおりに行動を起こすかどうかは、
クライアント自身だけではなくコーチにとっても重要なことです。
行動を起こすには、「フォローする」ことが大切になります。
コーチングで最も大切なのは、クライアントを実際に行動させる
こと。ですから、確実に行動を起こすまでフォローすることが
必要です。
【ステップ6】 「フォローする」フォローする上において、
最も効果的なのは、今までご紹介したコーチング・フローを
繰り返すことです。
@行動を起こしてみてどうだった A現状はどうか B現状との
ギャップは何か C今どんな行動を取っているか
を聞くことです。そして、特に課題となっている領域に焦点をあて、
そこを明確にすることをメインにコーチングをしていきます。
ある意味においては、行動プランが明確になった後のコーチング
セッションは、フォローの繰り返しと言えるでしょう。
157投稿者:『フォローする』  投稿日:2004/03/25(木)04:05:06
フォローアップのための質問
フォローアップを確実にするためには、そのための質問や提案を
用意することです。以下はフォローアップするのに機能的な言葉です。
・今話したことについて、来週また時間をとって話したいです
・ことについて成果を確認できるまで、1ヵ月はサポートしたいです
・困ったことがあったら、いつでも相談して欲しいです
・行動を取ってみたらどうだったか教えてください
・行動を確実にするために私はどうサポートできますか

また、行動にリスクが伴うことや、非常にチャレンジを要する
内容のものである場合、行動を行う事前に勇気づけをし、事後に
やってみてどうだったかを振り返る「サンドイッチする」という
コーチングスキルを活用するのも、効果的な方法です。
フォローアップは、行動を起こさせることを確実にするだけでなく、
その行動内容をエヴァリュエーションする意味もあります。
そのためにも、フォローアップはコーチングフローの中でも、
大切な領域であるのです。
158投稿者:『コーチング・フローを仕事で活かす』  投稿日:2004/04/01(木)04:21:30
「コーチング・フロー」の最終回では、研修会社に勤務されている
村島さんに、コーチング・フローのクラスを受講しての成果を
お届けします。村島さんは企業内コーチを目指し、実践的に
コーチングスキルを習得されています。「このクラスを通して、
ゴールのイメージをクリアにする大切さに気がつきました。
自分の中では、『企業内のコーチになりたい』というイメージは
以前からはっきりしていました。クラスの中でそのことを話し、
クライアント役として、コーチ役の参加者の方にコーチングを
受けました。そこで、コーチ役の方に、『その企業内のコーチ
というのは、具体的にどういう立場の人ですか?』『社員から
どのような存在として見られていますか?また、どのように評価
されたいですか?』『実際に企業内のコーチになれたときの
イメージはどのようなかんじですか?』という質問をされて、
ゴールのイメージをクリアに描くことは、今後自分がとるべき
行動の選択肢をはっきりさせ、ゴール達成をするモチベーションの
向上を図る上でも、大変重要であることを改めて感じました。
企業内のコーチに興味があるのは、普通に上司が部下に対して、
コーチングをするだけでなく、 『コーチ』という存在が企業に
いることで、会社自体を、よりアクティブにする手段になると
思ったからです。
159投稿者:『コーチング・フローを仕事で活かす』  投稿日:2004/04/01(木)04:24:41
今、私はその第一歩として、社内の後輩をクライアントにして、
コーチングを始めています。 実際にコーチングを始めたことで、
後輩自身もモチベーションが上がり、以前に比べ目標に向かって、
意識して行動するようになったことを感じているようです。
また、行動についての振り返り(フィードバック)を行うために、
定期的にセッションの時間をもつことの重要性をお互いに
実感しています。
前回のコーチングの時に、『この時間がとても楽しい』と言われた
ことがすごく嬉しかったです。これからも、まずは後輩との間で
 コーチングスキルを使って定期的にサポートしていきたいと
思っています。」
160投稿者:『コーチングの品質管理』  投稿日:2004/04/01(木)04:26:45
コーチングについての関心が高まっています。書店で、
ビジネス書のコーナーにコーチング専門の棚が用意されている
ところも少なくありません。この傾向は、日本に限らず、世界
各国でも広がっています。同時にコーチングについて学べる
教育機関も雨後のタケノコのように増えています。
世の中にたくさん存在するコーチング教育プログラムの中で、
どれが信頼のおけるものなのかという基準となっているのが、
国際コーチ連盟(International Coach Federation アメリカ・
ワシントンDC)が行っている、コーチ・トレーニング・
プログラムの認定制度であり、世界で24プログラムが認定を
受けています。
認定コーチ・トレーニング・プログラム
(Accredited Coach Training Program:以下ACTP)として
認められるには、次の厳しい条件をクリアする必要があります。
ACTPは、国際コーチ連盟が打ち出す「コーチングの倫理と哲学」
に基づき、また、最高の学習環境を提供している
以下の条件を満たしているプログラムに与えられます。
161投稿者:『コーチングの品質管理』  投稿日:2004/04/01(木)04:29:14
認定コーチ・トレーニング・プログラムに求められている条件:
1.プログラムが国際コーチ連盟のコーチングの倫理規定と
  行動規範を守ることに基づいている
2.カリキュラムが、初級、中級、上級とスキルアップできるように
  構成されている
3.講師に対するトレーニングが用意されており、実施されている
4.参加者の学習履歴が残されている
5.修了するための試験制度があり、試験で70%以上の点数を
  取らないと修了を認めないこととなっている
6.プログラムディレクター(代表者)がマスター認定コーチである
国際コーチ連盟には、ACTPとしての認定を受けるべく、
数多くのプログラムが申請してきます。
最近では、医学の教育機関でも、コーチングを取り入れている
ところが増え、認定の申請を行ってくることもあります。
しかし、コーチングに特化した教育ではないことを理由に、
ACTPとして認められない、というケースもあります。
興味深いところでは、アメリカのジョージタウン大学には、
「リーダーシップ・コーチング」という講座があり、
こちらはACTPとして認められています。
162投稿者:『コーチングの品質管理』  投稿日:2004/04/01(木)04:31:07
大学という教育機関で認められているのはここが初めてで、
今後も増えることが予想されます。
コーチ・トゥエンティワンのコーチ・トレーニング・
プログラムも ACTPとして2000年に最初に認められ、
今年、全面的な内容のリニューアル後も正式に認定の更新が
認められました。これは、コーチングの教育機関として、
最適な学習環境を提供し、その上で、基準の高いプログラム内容を
実践していることを証明しているといえるでしょう。
現在国際コーチ連盟のウェブサイトには、世界各国の72の
プログラムが紹介されていますが、半年後には、ACTPとして
認められているもののみを掲載すべく準備をしています。
コーチング教育の品質管理がまさに問われる時代が来ている
ことをひしひしと感じます。
163投稿者:『チームに期待するもの』  投稿日:2004/04/15(木)04:03:59
コーチは単に個人をコーチングしているのではなく、個人が影響する
チーム全体を視野にいれながら、コーチングをします。
そこで、2週間ほど前、社内で「チームに個人は何を期待するか」
について、2つの質問をしました。
 1.あなたはチームというものに何を期待しますか?
 2.あなたがチームの一員であることで、手に入れているもの
   は何ですか?

ここでは全部の回答を紹介することはできませんが、要約すると
次のようなものになります。
 ・ チームの一員としてのアイデンティティー
 ・ コミュニケーションが保障された場
 ・ 学習の機会
 ・ 複数の視点
 ・ モデルを身近に見ることができる
 ・ フィードバックを受けることができる
 ・ 自分が貢献する対象
 ・ 相乗効果
 ・ 共感
 などです。
164投稿者:『チームに期待するもの』  投稿日:2004/04/15(木)04:05:22
チームは、個人にとってベースステーションのような役割を持っていて、
常にチームと行動を共にしていなくても、そこに戻ってくることで、
自分の知識や経験をシェアし、他のメンバーから新鮮な刺激を
受けることができます。また、自分を振り返り、フィードバックを
受け、自分のやり方や考え方の選択肢を増やすこともできます。
もちろんチームのメンバーであることによる代償もあります。
ひところ、組織に縛られず、一人で気楽に仕事をするというのが
かっこいい、組織にしがみつているのはかっこわるい、という風潮
がありましたが、ここにきて、スタンドアローンになることで失われる
成長や学習の機会が、決して少なくないことが明らかにされてきています。
しかし、代償を差し引いたとしても、チームの一員であることの
メリットは大きいと思います。
165投稿者:『ピアノのレッスン』  投稿日:2004/05/27(木)12:14:31
娘が二人います。長女は中学校1年生、次女は小学校1年生です。
長女は4歳のときからピアノを習い始めて、現在ピアノ歴9年。
次女も4歳から習い始めたので、ピアノ歴は3年です。
先日、玄関先で近所の顔見知りの人から声をかけられました。
「いま弾いているのは、お姉ちゃんでしょ。上手になったわねー」
ところが、そのとき弾いていたのは次女の方だったのです。長女は
近所に住んでいる元音楽教師のベテランの先生に習っています。
この先生は、厳しい指導方針で信頼を集めています。練習して
こないと怒ります。長女はこの7年の間、先生に怒られないように
レッスンの直前に練習するというかなり受身な姿勢でピアノに
取り組んできました。レッスンが嫌で、ピアノをやめる、やめない
という話が出たことも1度や2度ではありません。次女は、
世界的な音楽家を何人も育てていることで有名なある教室に
通っています。次女はこの3年間、おそらく1回も怒られた
ことがありません。次女が習っている先生は、怒りません。
生徒を萎縮させるようなコミュニケーションをとらないのです。
少なくとも次女がレッスンを受けているこの3年間、そのような
場面を見たことがありません。
166投稿者:『ピアノのレッスン』  投稿日:2004/05/27(木)12:18:44
次女は、ピアノは楽しいと言っています。レッスンは1週間に1度
ですが、時間が空くと嬉しそうに練習をしています。素人の私から
見ても、長女に比べて上達が早いのは明らかです。今年の4月、
長女は次女の影響を受けて、さんざん迷った末に先生を変えました。
長年通ったベテランの先生をやめて、次女の行っている教室に通う
ことにしたのです。1ヶ月ほどたった頃のことです。長女は運動会の
準備に時間を取られ、まったく練習をせずにレッスンに行くことに
なりました。レッスンから帰ってきた長女は、顔を少し上気させ、
びっくりした様子でこう言うのです。「練習していかなかったのに、
ぜんぜん怒られなかったよ!次のレッスン、楽しみにしてるって
言われちゃった。頑張って練習しなきゃ!」この先生と長女の間に
何があったのかはよくわかりませんが、たった30分ほどのレッスン
を通して、長女のピアノに対する取り組み方を根底から変えてしまった
ことは確かでした。教える側が知識や技術を持っていることはもちろん
重要なことです。しかし、受け取る側一人一人のタイプを見極め、
レセプターを開き、本人の学習意欲を高めることはそれ以上に
大切なことだとコーチングでは考えます。長女は優しくおっとり
とした性格なので、ベテランの先生から見れば、もう少し強く
なって欲しいという意図もあって厳しく指導してくれたのだと
思います。ベテランの先生には、ここまで長女を育ててくれた
ことをとても感謝しています。でも、もし先生が少しでも
コーチングを知っていたら、長女はもう少し早くピアノがうまく
なっていたかもしれません。
167投稿者:『出来事を物語の中に取り込ませる』  投稿日:2004/06/10(木)02:09:22
生きていてなんといってもつらいのは、起きている出来事を、
自分自身の「物語」に取り込めないときです。出来事が「物語」の
パーツとしてしっかり役割を担っているのであれば、意味を
持っているのであれば、その出来事にもはや思い悩むことは
ありません。恋人と一緒になるという物語を描いていた人が、
その恋人と別れなければならなくなる。当然別れという出来事を
すぐには物語に取り込むことはできませんから、心は曇ります。
しかし、新たな人に出会い、「この人と一緒になるために、
あの時の別れがあったんだ」と、別れを物語の一部にしっかりと
書き記すことができるようになれば、もはや別れは心を曇らせる
出来事ではありません。同じように、「自分はこの部署でこんな
仕事をして、こんなキャリアを積むんだ」という物語を持っていた
人に、急に転部の辞令が下る。転部という出来事は物語のどの
ページにも書かれていませんし、書き加えようにも、どのように
書き加えたらよいかわかりません。頭はただ「こんなはずじゃ
なかった」を繰り返します。転部という出来事が物語の一部となり、
「あの異動は自分の人生の中でこんな意味を果たしたんだ」と
思えるようになるまで、その出来事は胸の中のちょっとした
重さとして残ります。
168投稿者:『出来事を物語の中に取り込ませる』  投稿日:2004/06/10(木)02:11:44
企業でコーチングのトレーニングをしていて、参加者に
「どんなときに過去モチベーションが下がりましたか?」
と聞くと、結構多いのが「異動したとき」という意見です。
もう少し詳しく聞いていくと、どうも「なぜその部署に行くのか」
という説明をあまり上司から聞かされなかった、というのが
モチベーションが下がった大きな原因であるようです。
しかし一方で異動の時に強くモチベーションの高まりを感じた
という人もいます。行きたい部署に転部できたケースは
モチベーションが上がって当然ですが、中には、「望ましい
部署ではなかったけれど、何を自分に期待してくれているのか、
上司がとても丹念に伝えてくれたのでやる気が上がった」
という人もいます。「出来事を物語に取り込めないとき、
部下のモチベーションはさがる。」コーチングマインド溢れる
マネジャーはこのことをよく知っています。だから、異動を
はじめとして、ほんのちょっとでも部下が物語に取り入れにくい
出来事が起こると(高い売り上げ目標の提示、事業部方針の変更等)、
部下がそれらを物語に少しでも早く取り込めるようにマネジャーは
とことん話します。星野元阪神監督も、ヤンキースのジョン・トーリ
監督も、選手を2軍(マイナー)に落とすときには、相手が納得するまで
じっくりその理由について説明するそうです。
169投稿者:『出来事を物語の中に取り込ませる』  投稿日:2004/06/10(木)02:12:38
そしていついつ戻ってきて欲しいという期待もしっかりと伝える。
選手の中では2軍落ちというつらい出来事もいち早く物語の中に
取り込めるわけです。部下の物語に注意を払ってみませんか。
何を書き入れることができていて、何を書き入れることが
できていないのか。
170投稿者:『コーチングで6ケタ稼ぐ』  投稿日:2004/06/10(木)02:18:41
先月、アメリカのフロリダ州で行われた、コーチのためのセミナー
に参加してきました。名づけて「コーチングで6ケタ稼ぐ方法」。
かなり直接的なタイトルですが、要は、コーチングで10万ドルを
軽く稼ぐためのビジネス展開について扱う週末2日間の集中セミナー
でした。参加者は、コーチ業を長年営んでいる人、コーチ業界に
入ったばかりの人と半々ほどで、遠くは、イギリスから参加している
人もいました。みな、それなりにコーチとして成功している人たち
なのですが、よりビジネスとして成功させたい、とさらなる意欲に
燃えている様子。セミナーの内容は、自分がコーチとしてビジネスを
したいクライアントを特定すること、クライアントの紹介を生む方法や、
自分のコーチングビジネスについていかに具体的に伝えることが
できるか、などを扱いました。セミナーに入る前に、参加者ひとり
一人に対して、スタッフが事前インタビューを行いましたが、
これは興味深い体験でした。「あなたはコーチとしてどれほど
成功しているか」というチェックリストを事前に記入しておき、
それに基づいて60分の電話でのインタビューを行うのです。
・このセミナーに参加する目的は?
・あなたは、今クライアントが何人いるか
・どういう人たちがクライアントなのか
という棚卸から始まります。
171投稿者:『コーチングで6ケタ稼ぐ』  投稿日:2004/06/10(木)02:21:59
そして
・今から5年後はクライアントは何人か?
・フィーは?
・それを可能とするのは、1年後はどうなってる必要があるか?
・今それをやっていないとしたら理由は?
などど、次々と質問が投げかけられます。私を担当してくれた
コーチ、フィリップは、大ベテランのコーチ。質問内容は、
典型的なコーチング・フローの中で行われるのですが、
話していると、こちらがどんどんワクワクするのです。
それを作り出しているのは、フィリップの声。「あなたの話を
聞いているのが楽しくてたまらない」という感じがひしひしと
伝わり、一体感が生まれます。そして、絶妙な質問のタイミング。
「あ〜ちょっと待ってね・・・。(間)・・・・」
と真剣に考えているのです。私は、「この人は次にどんな質問を
してくるんだろう」と、前のめりになって待ってしまいます。
で、「5年後にそれを実現するには、今何をすればいいのですか」
という典型的な質問がくるのですが、この「間」があるおかげで、
一緒になって、「熟考」する体験が生まれるのです。次第に、
考えることが楽しくなり、思いもかけない発想が生まれてきたりします。
172投稿者:『コーチングで6ケタ稼ぐ』  投稿日:2004/06/10(木)02:22:16
最後に思わずこう伝えてしまいました。「フィリップ、この
インタビューは楽しい!」そのとき彼はこういいました。
「ヘイ、僕の仕事はなんだか知ってる?コーチだよ! 
I Love this business!」相手とともにその場にいる。
この根本的なスタンスこそが、コーチのあり方であり、それが
あるからこそ、クライアントが自ら発見することの楽しさを
体験できるのだということをあらためて感じました。
173投稿者:『知識と行動の溝をうめる』  投稿日:2004/06/10(木)02:39:54
私は講演でよく『コーチングによって知識と行動の間の溝をうめる』
という話をします。頭ではわかっているのに、なかなか行動に移せない」
という体験は、誰にでもあることではないでしょうか。そういった
場合に、コーチングは確かに機能します。では、その『知識と行動の
間をうめる』ためのコーチング、それを実践するにはどうすれば
いいのでしょうか。実は、「頭でわかっていても、行動に移せない」
というのは、「コーチング」の実践そのものにも当てはまります。
コーチングの本を読んだり、研修や講演に参加して、具体的に何を
すればいいかは知っているのだが、なかなかそれを実践できない。
そういう声をしばしば耳にします。「部下の話を聞いた方がいいと
いうのはわかった。でも実際にどうやってうまく聞いたらいいのか
わからない」「部下をアクノレッジした方がいいのはわかる。でも、
実際にその場になるとできない」「効果的な質問をした方がいいと
思うけど、気がつくと、アドバイスやティーチングをしてしまう」
このように、コーチングで何をしたらいいのかよくわかったけれど、
コーチングを実際に使おうと思ったときには使えないというのです。
では、コーチングで学んだものは、どうすれば実践に移せるの
でしょうか?そこで、私はまわりの人に聞いてみました。「それでも、
やっぱり練習することではないですか?練習するには、まず意識する
ことから始めないといけませんね」
174投稿者:『知識と行動の溝をうめる』  投稿日:2004/06/10(木)02:42:11
確かに練習することは有効かもしれません。でも、練習の時間が
ない場合は?いち早く使えるようにするには、どうしたらいいので
しょうか?私の答えは決まっています。「コーチをつけなさい」。
コーチングを学んだけれど、なかなかそれを現場で使えない。
そういう人にとって一番いい方法は、それがやれるようになるために
「コーチをつける」ことです。やはり、「知識と行動の間の溝を
埋める」ためにはコーチングが有効なのです。たとえどんな方法を
とったとしても、ひとりでやるということは、結局ひとつの視点から
しかものを見ることができないため、新しい知識を新しい行動に
結びつけるような認識やものの見方ができるようになるわけでは
ありません。コーチをつけ、コーチとのあいだで知識を行動に移す、
そのことを話題にすることによって初めてそれを意識化することが
できるのです。それをやることの意味、自分の価値観との関係、
障害になるものいろいろな角度から検証します。これら、コーチングの
プロセスを経て行動に対する、自分自身との同意がより深くなって
いくわけです。また、新しい行動を起こした後に、コーチとは、
エバリュエーションをすることもできます。それは、次への
動機づけにもなり、ステップアップにもつながるのです。
ひとりでやるということは、結局、従来の学習方法を繰り返すこと
になります。
175投稿者:『知識と行動の溝をうめる』  投稿日:2004/06/10(木)02:42:45
それがうまく行く行かないにかかわらず、
慣れ親しんだ方法を繰り返すものなのです。
コーチングは、従来の学習方法を超えるものです。
実際に、優秀なコーチはみんな、コーチをつけています。
176投稿者:『質問を創る』  投稿日:2004/06/22(火)02:46:50
コーチングの基本は、いい質問を創りだすことにあります。
そのことに対する理解はだいぶ深まってきたように感じますが、
未だに「その場になるといい質問が思い浮かばない」という声を
聞きます。しかし、質問は、何気なく自然に思い浮かぶもの
ではありません。質問は、目的に応じて創るものであり、
思い浮かぶものではないのです。コーチの質問は、単に
自分の興味を満たすためだけの質問でもなければ、
相手を困らせるために質問するわけでもありません。
コーチが質問をするには、目的があります。リソースを
見つけるために。モデルを見つけるために。物事をはっきり
させるために。未来をビジュアライズするために。
これらの目的をもって質問を創りだすのです。
コーチは常に質問を創りだすためのトレーニングを積む
必要があります。それは企業のマネージャー、経営者も同じです。
今の会社の状況を明らかにするために、リスクを予測するために、
社員一人一人のタイプや強みを知るために、質問を創る
トレーニングをする必要があります。たとえば、球技の場において、
いいコーチは「ボールをよく見て」とは言いません。
「ボールの回転は右回転? それとも、左回転?」と聞きます。
177投稿者:『質問を創る』  投稿日:2004/06/22(火)02:49:15
どんなに目をこらしてもボールの回転が見えるとは思えませんが、
それでも、そう言われると、最低ボールは見るようになります。
効果的な質問を創りだすことができれば、それによって視点を変え、
行動を促し、行動を変える機会を相手に提供することができます。
そのためにも、いい質問を創りだすトレーニングが必要です。
よく「相手の身になって考えろ」という言葉を聞きますが、それを
具体的にイメージしたり、行動に変えるためには、どんな質問が
考えられるでしょうか?会議などであまり発言しないスタッフが、
自分から発言するようにするためにはどんな質問が有効
なのでしょうか?私たちが日常ぶつかる障害を取り除くために、
どんな質問が効果的でしょうか?自己認識を深めるためには、
どんな質問を自分に向けてしたらいいのでしょうか?
効果的で、いい質問を創りだすためにどんなトレーニングが
効果的でしょうか?質問と何を組み合わせたら、
より自発的で自律的な人材の育成に成功するでしょうか?
問題が問題なのは、何が問題かがはっきりしていないことにあります。
だとしたら、問題をはっきりさせるためには、どんな質問が有効
なのでしょうか? もうすでにわかっている、知っていると
思っていることでも、再度質問をすることでよく知らなかったことに
気づくことがよくあります。
178投稿者:『質問を創る』  投稿日:2004/06/22(火)02:50:38
効果的でいい質問がなされれば、視点が変わり、自発的な
行動が触発されます。タイミングよく、質問を繰り出すためには、
普段から質問を創る練習が必要です。
質問が大事だという話は聞きますが、具体的にいい質問を
創るためのトレーニングやメソッドに出会ったことがありません。
質問が大事だといいながら、実際に質問を創るためのあり方や
スキルがないのだと思います。
できれば、自分が試されているわけではなく、正しい答えを要求
されているのでもなく、詰問されているのでもない、安心して
答えられる質問を投げかけられたい。そうしたら、きっと、
答えることにわくわくします。
いい質問を創るための第一歩は、効果的な質問を受ける体験を
もつことではないかと思います。
179投稿者:『K19』  投稿日:2004/06/22(火)02:56:47
映画の中に出てくるセリフには、どうすれば人を動かすことが
できるかということについて示唆を与えてくれるものがたくさん
あります。先日も『K19』という映画をDVDで見ていて、
「なるほど!」とうなるシーンがありました。(この映画は
実際にあったストーリに基づいて作られています。)

K19とは冷戦時代のソ連の原子力潜水艦です。その艦長、
アレクセイをハリソンフォードが演じています。
アレクセイ艦長は次から次へと厳しい指示を艦員に与えます。
最初は従順に艦長の指示に従っていた艦員たちも、次第にその
厳しさに内なる不満を溜め込んでいきます。そんな折、艦内で
放射能漏れが起こります。アレクセイ艦長は矢継ぎ早に命令を出し、
事態の収拾に努めようとします。しかし、艦長の思ったようには
事は運ばず、艦員の信頼は揺らぎ始めます。最後の一手を打つべく
艦内放送をしようとマイクを握るアレクセイ艦長に、
副長のミハイルが伝えます。
「Do not command, do ask.(命令ではなく、頼むのです)。」
マイクを握ったアレクセイ艦長のトーンには、それまでの命令調
でない、心から君たちの支援を求めているんだという真摯な想いが
込められていました。
180投稿者:『K19』  投稿日:2004/06/22(火)02:59:40
艦員は大声をあげて艦長の「頼み」に呼応します。一瞬にして、
全員でこの難局に立ち向かうんだという雰囲気が艦内に満ち溢れ、
K19は窮地を脱しました。命令は組織の中のある役割から
別の役割への情報の伝達です(通常は上位者から下位者への)。

メンバーの組織に対する忠誠心が強いときは、命令は組織を動かす
ための非常に有効なコミュニケーション手段ですが、メンバーの
組織に対する信頼が揺らいでいるときは、命令はその効能を奪われます。
実際には、上位者は組織内に「揺らぎ」が起こると、それを鎮静化
させようとより命令に頼ろうとするところがありますが、これは
逆効果です。そんなときは、アレクセイ艦長のように、思い切って
メンバーに「頼んでみる」ことも選択肢の一つです。

「頼む」というのは、それまでまとっていた役割を外し、
素の自分にならないとできない行為です。それはかなりの勇気を
必要としますが、その勇気にメンバーは応えようと思うのです
素の自分を見せるというリスクをとってまで自分達の力を求めて
くれるなら喜んで動こうと。時には役割をしっかりまとい、
時には役割を外し、素で関わる。全ては「WE」の成果のために。
部下をコーチングするときに大事にしたいあり方です。
181投稿者:『変わるのか、それとも代わるのか』  投稿日:2004/06/24(木)01:07:59
社内で360度フィードバックを行いました。コーチ21を
はじめとして、関連会社も含めた全マネージャーが対象です。
もちろん私も例外ではありません。私には27人の部下と
上司である社長、計28人からの答えが集計されて返ってきました。
「部下の話を最後まで聞くことができる」という項目に対して、
「殆どない」につけた人が4人。それ以外にも、「部下が
話しやすくなるような態度や言動を取っている」という項目は、
「殆どない」が5人。「部下が自ら考え、問題解決を促進する
ようにしている」にいたっては「殆どない」が4人、「全くない」
が1人と、コーチ会社の副社長としては、なかなか受け入れられ
ない結果なのです。しばし自分のマネジメントに対する姿勢を
考えさせられました。先日、美容室をチェーン展開している
経営者と話す機会がありました。「今の時代は、技術や価格では
差がつきにくくなっているので、最終的にはお店の雰囲気とか、
スタイリストの接客が勝負になるんです。そこでスタイリストに
対して、マナーの研修とか接客の研修とかをするわけですよ。
でもね、桜井さん、結局は店長次第なんだよね。店長が変わらな
ければ何をやっても無駄なんですよ。」
182投稿者:『変わるのか、それとも代わるのか』  投稿日:2004/06/24(木)01:09:04
私のコーチがよく言うのです。

 「マネージャーは部下を変えようとするけれど、
  本当は、マネージャーが変わるか、
  マネージャーが代わるかにして欲しいよね!」

 私はそのセリフを丸ごといただいて、
 コーチングの研修などで経営者の方々にお話するわけですが、
 いざ、自分のこととなると、ここだけの話ですが、
 多少逃げ腰になっている自分を感じているのです。
183投稿者:『選ぶ』  投稿日:2004/07/05(月)01:34:38
先週行われたゴルフのマスターズ・トーナメントで、
フィル・ミケルソンがメジャー初優勝を飾りました。
ミケルソンは米プロゴルフツアーで22回も優勝しています。
ところが、メジャー(最も権威のある4つの大会、マスターズ、
全米オープン、全英オープン、全米プロ選手権)では46戦して
2位が3回、3位が5回。マスターズではここ3年連続3位で、
無冠の帝王と呼ばれていました。最終日は6アンダーの首位で
スタートしたのですが、3番で1メートルの短いパーパットを
外してボギー。6番もボギーで通算4アンダーとなりここで
首位から陥落。誰しも「またか…」と思ったはずです。
ところが、今年は違いました。私は、生中継を見る機会に
めぐまれたのですが、プレーをしているミケルソンの表情が、
なんともうれしそうなのです。それは逆転されてからも
変わりませんでした。もちろん緊張はしているでしょうし、
プレッシャーもかかっていて当然だと思います。しかし、ピンチに
なっても笑顔が絶えず、なんともいい表情なのです。ミケルソンは
今年に入ってからゴルフに対する考え方が変わったといいます。
そのきっかけは、『オールドルーキー』という映画を見たことでした。
184投稿者:『選ぶ』  投稿日:2004/07/05(月)01:36:25
高校教師が大リーグに挑戦し35歳で史上最年長のルーキーとして
デビューを果たすというストーリーです。その映画のワンシーンに、
「野球がやれることだけで幸せだ」というフレーズがあるのですが、
ミケルソンはその映画を見終わった後、涙が止まらなくて席を
しばらくの間立てなかったといいます。ミケルソンは、ラストの
7ホールでバーディを5つとるという驚異的な追い上げを見せました。
最終ホールでは、難しい3メートルのバーディーパットを沈めて、
見事な逆転優勝を果たしました。最もプレッシャーがかかるその
パットに向かう瞬間でさえも、ミケルソンの表情は楽しそうで、
喜びに満ちていました。優勝インタビューで、ミケルソンは次の
ように話していました。「皆さんは、レジャーとして時々ゴルフを
する。私は大好きなゴルフを、しかも仕事として毎日プレーする
ことができる。今の私はゴルフをプレーしているだけで本当に
幸せなのです。」きっと、ミケルソンは、自分がプロゴルファー
であることをもう一度選びなおしたのだと思います。早朝のテレビ
に写っているミケルソンを見ていて私は少しめがしらが
熱くなるのを感じていました。
185投稿者:NLP神経言語プログラム  投稿日:2004/07/05(月)12:00:10
NLPとは、Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)
の略です。NLPは非常に優秀な分野の違う3人のセラピストの療法を
研究してモデル化した心理学と言語学をもとに体系化した人間の
コミュニケーションに関する学問です。人間は「神経」五感
(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)と、「言語/非言語」による
脳での意味付けによって、世界を認識したり、体験を記憶したり
しています。神経と言語によって人間の行動は「プログラミング」
されています。そしてプログラミングのとおりに反応し、行動
していると言われます。(例えば、ある音楽を聴くといつも
泣けてしまう。お袋の味を食べると一瞬にして子供の頃の記憶が
よみがえってくる。家族の写真を見るとやる気が出る。
イライラすると煙草を吸ってしまう。など・・・。)NLPでは
そのプログラミングの構造を科学的なアプローチも交えて学問的に
明らかにし、さらにそれらを本人が望む形に組み立てなおすことを
可能にする実践的な方法を開発してきました。NLPは人間の
無意識の心に働きかけ、その人の内に潜む能力を引き出し、今まで
とは異なる新しい生き方をする手助けをしてくれます。
NLPによって、他人から教えられるのではなく、自分自身の
求めている人生(エクセレントライフ)を見つけることができ、
また現状から自分の求める状態へ到達するため、
186投稿者:『斜めににらむ』  投稿日:2004/07/08(木)01:55:55
リーダーとしての自分の「外見」を意識的にコントロールし、
リーダーシップを発揮するために追い風となるような周囲からの
「見られ方」を獲得することを「プレゼンス・マネジメント」
と言います。フラット化する組織が増え、リーダーが一人一人の
メンバーとひざを突き合わせる時間が少なくなるにつれ、
リーダーのメンバーに対する「ぱっと見」の印象はその重要性を
増しています。3ヶ月前、ある大手企業の部長さんの
エグゼクティブコーチングをスタートさせました。
「どのようなテーマがありますか?」とお聞きすると、
「部下がもっと提案や意見を自由に言い合えるような部に
していきたいんですよね。」と答えられました。その部長さんは
決して人の話を聞かないタイプではないのですが、人を見るときに
下から斜め上を突き上げるように視線を送ってしまう。これは部下は
話しにくいだろうと思って、その部長さんに聞いてみました。
187投稿者:『斜めににらむ』  投稿日:2004/07/08(木)01:56:54
「ご自分が人を斜めににらんでいらっしゃることに、気づいて
いらっしゃいますか?」少し照れたような笑いを浮かべて
部長さんは言いました。「ええ気づいてますよ。これじゃあ
部下は話しにくいですよね。でも長年この顔でやってきましたから。
わかってはいるんだけど、なかなか変えられないんですよ。」
間髪入れずに部長さんに伝えました。「変えなくていいんですよ、
全然。」部長さんはきょとんとした顔になりました。
「変えなくていいんですか?」「ええ、変えなくていいです。
変えようと思うとつらいじゃないですか。部長が言うように
長年そうしてきたわけだし。そう簡単には変わらないですよ。
ただね、ひとつお願いがあるんです。この一週間、すごく
『かっこよく』にらんでほしいんです。歌舞伎役者がきめを
作るような感じで、かっこよく。ばしっと。」部長さんは
なにがなんだかわからないような顔をしていましたが、
とりあえず「わかりました。」といってオフィスへと帰って
いきました。さてそれから3ヶ月。先だって部長の部下の方に
お会いする機会がありました。彼は喜色満面で話してくれました。
188投稿者:『斜めににらむ』  投稿日:2004/07/08(木)01:57:15
「鈴木さん、うちの部長本当に変わりましたよ。すっごく話しかけ
やすくなりました。コーチングの成果ですね!」思わず心の中で
ガッツポーズをしてしまいました。いつもいつもこううまくいく
わけではありませんが、今回は「すごく」うまくいきました。
何故か。部長はいつも「無意識に」部下を斜めににらんでいた
わけです。それを「もっとかっこよく」とリクエストすることで、
「意識的に」にらみを効かせることができるようになりました。
それによって、今まではコントロールのきかなかったにらみが、
コントロールできるものになったわけです。結果として彼は人を
斜めににらむことをやめるという選択肢も選ぶことができる
ようになりました。「優しい表情をしてください」などと
言っていたら、表情をコントロールできないという気持ちが
より強くなって、表情を変えるということを諦めてしまっていた
かもしれません。表情をあまり変えない人にとって表情を変える
というのはそう簡単なことではありませんから。今行っている
ことを止めさせるのではなく、もっと「うまく」やってもらう
ことによって、クライアントがその行動を自分でコントロール
することができるようにするというのもあるわけですね。
189投稿者:『コーチとして認定されるには』  投稿日:2004/07/13(火)01:39:57
最近、コーチを雇う人が次第に増えてきました。その際、
どういう基準でコーチを選択したらいいのか、教えてほしいと
リクエストされます。
国際コーチ連盟(ICF)では次のように謳っています。

 「コーチを雇う際には、次の3つを確認し、
          いずれかに該当する人を選ぶこと。」

  1.ICFの認定コーチであること
  2.ICFの認定コーチを取得するための勉強をしていること
(ICFから認定されているコーチ育成プログラムで学んでいること)
  3.このコーチ自らが、
    ICFの認定コーチからのコーチングを受けていること

現在ヨーロッパでは、コーポレートコーチ(会社に入って
コーチとしてのサービスを提供する)の条件として、
ICFの認定を持っていることがあげられます。
ICFのコーチ認定制度は以下の通りであり、厳しい審査を通過
した人が認定コーチとして認められています。ここで、
あらためて、内容をご紹介したいと思います。
190投稿者:『コーチとして認定されるには』  投稿日:2004/07/13(火)01:40:37
▼プロフェッショナル認定コーチの条件
 −ICFの定める「コーチング」の定義、コア・コンピタンシー、
  倫理規定に関する同意書に同意する
 −コーチ・トレーニングを200時間受講していること。
 −750時間のコーチング・セッションに関する書類を提出する
  (うち無料セッションは75時間以内に限る)
 −5人のコーチング・クライアントからの推薦状
 −2人のICF認定コーチ(PCCまたはMCC)による、
  コーチングスキル・経験などに関する証明書を提出する
 −現在コーチとして活動していることを証明するもの3種提出する
 −ICFの認定コーチ・トレーニング・プログラムの
  プログラム修了証を提出する
191投稿者:『コーチとして認定されるには』  投稿日:2004/07/13(火)01:41:01
▼マスター認定コーチの条件
 −ICFの定める「コーチング」の定義、コア・コンピタンシー、
  倫理規定に関する同意書に同意する
 −コーチ・トレーニングを200時間受講していること
 −2500時間のコーチング・セッションに関する書類を提出する
  (うち無料セッションは250時間以内に限る)
 −10人のコーチング・クライアントからの推薦状
 −3人のICF認定コーチ(PCCまたはMCC)による、
  コーチングスキル・経験などに関する証明書を提出する
 −現在コーチとして活動していることを証明するもの3種提出する
 −コーチ業界に貢献していることを示す証明
  (本の出版、ICF・日本コーチ協会の活動、ボランティア活動ほか)
 −ICFの認定コーチ・トレーニング・プログラムの
  プログラム修了証を提出する

 ※なお、この条件は、ICFが定める
  認定コーチトレーニングプログラム(ACTP)修了者が
  対象となっており、それ以外の修了者については、
  別の申請条件があります。
192投稿者:『コーチとして認定されるには』  投稿日:2004/07/13(火)01:43:25
認定を取得するには、国際コーチ連盟に申請することが必要です。
なお、日本語にての申請は、日本コーチ協会にて、翻訳の代行
サービスを行っています。コーチの認定資格を持っている人は、
2つのことが証明されるといえるでしょう。

 1:コーチングに特化した教育を受けていること
 2:実際にコーチングの実績を持っていること

特に、2に関しては、プロフェッショナル認定コーチは750時間、
マスター認定コーチは2500時間のコーチングをしている証明
になります。コーチングを勉強している方は、ぜひ、この認定取得を
目指していただきたいと思います。

国際コーチ連盟 認定について
http://rd.coach.co.jp/cgi-bin/rd.cgi?m=040104063001030

日本コーチ協会 認定取得翻訳代行サービスについて
  http://rd.coach.co.jp/cgi-bin/rd.cgi?m=040104063001040
193投稿者:『コミュニケーションする気を起こさせる』  投稿日:2004/07/15(木)02:12:12
多くのマネージャーは、自分の考えていることや会社の方針を
いかにうまく部下に伝えることができるか、または、彼らを
どうしたら説得でいるかに腐心しています。しかし、組織内の
コミュニケーションは、部下にコミュニケーションする気を
起こさせるところからスタートします。マネージャーを経験
したことのある人なら誰でも思い当たると思いますが、
チームにおける一番の問題は、部下が黙ってしまうことにあります。
会議の席上や普段の会話でも、気がつくと話しているのはいつも
限られた者でありそれ以外の部下は黙っていることが多いものです。
賛成なのか反対なのか、それすらも意思表示がありません。
彼らはいくつかの理由があって、自分から発言しなくなりました。
ひとつは、話す内容を整理したり、言葉を選んでいるうちに
タイミングを逸してしまう。もうひとつは、発言することそのもの
を止めてしまっているケース。最初からに話すことをやめている
ケースと、条件によって話さないケースが見られます。
194投稿者:『コミュニケーションする気を起こさせる』  投稿日:2004/07/15(木)02:12:42
いずれにしても彼らは、黙っていながらも、頭では話したほうが
いいと思っています。しかし、頭でわかっていても、言葉が出ない。
身体がついていかないのです。
そういうときに、「はっきり言わないとわからない」とか
「コミュニケーションをとらないと」などと言って部下を
詰めても始まりません。今、チームにとっては、部下が
自分からコミュニケーションしようとする気にさせることが
求められています。それはすなわち、チームの活性化、
チームの行動力に直結するからです。では、どうしたら部下は
自分からコミュニケーションをしようという気になるのでしょうか?
彼らが自分から口を開き、提案や要望、質問を始める。そのためには
どんな環境を用意することができるのでしょうか?
このことについて、ぜひ考えてみてください。または、このことを
テーマにチームのメンバーと話してみてください。
195投稿者:『優秀なコーチとは』  投稿日:2004/07/22(木)09:49:20
先週行われたゴルフの全英オープンでタイガー・ウッズは9位に
終わりました。タイガー・ウッズはこれで2002年の全米オープン
に勝って以来、9大会連続でメジャートーナメントの優勝から
見はなされています。タイガー・ウッズは1997年のマスターズ
優勝以来、メジャータイトルを8回もとるなど、ゴルフ界の数々の
記録を塗り替えてきました。まさにゴルフの天才です。
そのタイガー・ウッズをコーチとして支えたのが、ブッチ・ハーモン
でした。タイガー・ウッズが2000年から2001年にかけて
メジャー4連勝をしたときに、たまたまブッチ・ハーモンが
テレビのインタビューに答えているのを見かけました。「いまや、
世界一の技術を持っっているタイガー・ウッズに対して、これ以上
コーチをすることなんてあるのですか?」というインタビュアーの
質問に対して、「私はタイガーにゴルフをティーチングしている
のではない、コーチング、つまりタイガーの力を引き出しているのだ」
という意味のことを言っていたのを良く覚えています。ブッチ・ハーモンは
1997年から2002年にかけてタイガー・ウッズのコーチを
していました。そして、この6年の間にタイガー・ウッズは8回の
メジャータイトルを取っています。しかし、タイガー・ウッズは
2002年の夏、どのような事情があったかは定かではありませんが、
突然、ブッチ・ハーモンを解雇してしまいました。
196投稿者:『優秀なコーチとは』  投稿日:2004/07/22(木)09:55:39
つまり、それ以来、タイガー・ウッズはメジャータイトルから
遠ざかっていることになるのです。今や、コーチをつけていない
プロゴルファーはいないでしょう。おそらくタイガー・ウッズも
別のコーチをつけているのだと思います。しかし、コーチはただ
つければいいのではなく、優秀なコーチをつけることが大切なのです。
スポーツでもビジネスでも、優秀なコーチとは、結果を出すコーチです。
全英オープンの直前に行われた全米オープンでも、タイガー・ウッズは
ショットが安定せずに早々と優勝争いから姿を消しました。
ヨーロッパ向けのテレビ中継で解説を勤めていたブッチ・ハーモンは
タイガー・ウッズのスイングについて「何を考えてスイングを
しているのかわからない」などとかなりの酷評をしたようです。
それを伝え聞いたタイガー・ウッズは、「友達なら直接言うべきだ」
と反論してギクシャクしているというようなことが報道されました。
しかし、全英オープンで再会した二人は、お互いに和解し、
もしかしたらタイガー・ウッズは今後ブッチ・ハーモンのコーチを
再び受けるかもしれないという噂が流れています。全盛期の
タイガー・ウッズは、あまりに強すぎて好きではありませんでした。
しかし、この調子でスイングが乱れっぱなしでは面白くない。また
あのスーパーショットが見てみたい。ぶっちぎりの優勝を見てみたい。
ぜひ、ブッチ・ハーモンのコーチ復活を実現してほしいと思っています。
197投稿者:『答えが得られない究極の質問』  投稿日:2004/07/29(木)01:22:29
国土の広いアメリカでは、電話会議がよく使われます。
電話会議を使ったコーチングは「グループコーチング」と
呼ばれており、ワン・オン・ワン(1対1)のコーチングと
同じくらい盛んに行われています。さて、私は現在、6人の
メンバーとともにアメリカのグループコーチングを受けています。
そのコーチは、バイロン・アースデール氏。電話会議における
効果的なリーダーシップの発揮とコミュニケーションスキルの
向上を専門としています。今日は、グループコーチングでの
コーチからの質問について話題が集中しました。最初にバイロンは
こう質問しました。「参加者が自由に質問したり、発言できるように
するには、コーチとして何に気をつければいいでしょうか?」
Aさん「誰かが発言したらそれをまず承認する」
Bさん「その前に、冗談を言ったりして気楽な雰囲気を作る」
Cさん「あなたの体験をぜひ聞かせてくださいと伝える」
そして、バイロンは次のように言いました。

私は以前、「何か質問がありますか?(Any questions?)」
と聞いていました。しかし、これが非常に愚劣な質問だということに
気づくのに、数年かかったのです。
198投稿者:名捨て人  投稿日:2004/07/29(木)01:24:21
「何か質問はありますか?」と聞くとたいていシーンとなってしまう。
なぜだろう、と思っていたのですが、実はこれは、人から質問を
引き出すようでいて、実は『質問はあるかないか』、イエスか、
ノーか、という選択を迫っているだけだったんです。だから、
こういう質問をするようにしたんですよ。「今学んだことを、
コーチとしてすぐに実践する中で、何か障害となるものがあると
したら何ですか?」するとみんな考えるんですよ。一生懸命。
逆にね、僕はこれ以上質問して欲しくないときに「何か質問
ありますか」と聞くんだよ。あはは。

私も、よくグループコーチングの中で、誰も発言しなくて苦心する
ことがあるのですが、その時に必ずしているのが「何か質問は
ありますか?」というものです。コーチングには、発想を促す
オープン・クエスチョンと、イエス/ノーを聞くクローズド・
クエスチョンがあることは知っていますが、まさか「質問は
ありますか」という究極のクローズド・クエスチョンをしているとは
私も気づきませんでした。次回からは、「何か質問はありませんか?」
にとって代わる質問を10個ほど用意してグループコーチングに
挑みたいと思っています。
199投稿者:『イメージの力』  投稿日:2004/08/09(月)23:58:27
先日『自己治癒力を高める』(川村則行著、ブルーバックス刊)
という本を読みました。お医者さんの書いた本です。
その中に、脳腫瘍を患った10代の少年の話が出てきます。
彼は腫瘍を敵にみたて、毎日戦闘機で攻撃しました。
イメージの中で。そうしたところある日その腫瘍がすっかり
消えてしまったというのです。本の中では、少年が一人で
イメージしたように書いてありましたが、実は彼にはドクターが
ついていて、一緒にイメージを創り上げていったそうです。
この話に詳しい心理学の先生から聞きました。早速自分も
試してみました。一人のスタッフに協力してもらい、わきに
できていた直径1センチぐらいの脂肪の塊を戦闘機で攻撃する
ところをイメージしました。「バババッッ!!!」一度
イメージを創り上げた後は、自分ひとりで、朝も昼も夜も、
会社にいても、家にいても、電車に乗っていても、気が付けば
「バババッッ!!!」すると、なんと、なんと、なんと、
わずか2日でその脂肪の塊はすっかり消えてしまったのです!
他のスタッフからは「そんなことあるわけないでしょ!」
と狼少年扱いされていますが、気をよくした私は、それ以来、
いろんなものを攻撃しています。お腹の脂肪、肩のこり、足のむくみ。
朝起きた時の目のはれまで。気が付くと戦闘機に乗っています。
200投稿者: 投稿日:
201投稿者:『イメージの力』  投稿日:2004/08/10(火)00:03:01
「パリコレ」に出るようなスーパーモデルは、ショーが近づくと
イメージの力で体型を整えるといわれています。
長嶋さんは現役時代、後楽園入りする前に、
田園調布の自宅で対戦投手のボールを打つところを
何度も何度もイメージしたそうです。スピードスケートの
清水選手は、長野五輪で滑走前に、自分が金メダルを取った
ところを想像して思わず涙がこぼれたとのことです。
要するにイメージした通りに体は反応し、動くようです。
一人でもできるのでしょうが、コーチがついた方がイメージを
創るのはずっと楽ですね。経験からそう思います。
アテネ五輪も近づいていることですし、誰かにサポートしてもらって
「イメージの力」を試してみてはどうでしょうか?
202投稿者:『プロのコーチ』  投稿日:2004/08/19(木)23:52:44
コーチをつけるとき、どんなコーチを選んだらよいかという
質問を受けることがよくあります。いくつかの条件が
考えられますが、まず第一に、コーチ自身がコーチを
つけていること。そしてもうひとつは、コーチとしての
経験といえると思います。ここで「経験」と言うのは、
単に年数としての経験ではなく、どのような人たちを対象に
コーチをしてきたかということも、実は大切なポイントです。
これまで多くのコーチに出会いました。やはり、力のある
コーチは、コーチとしての経験が豊富です。そして、さまざまな
レベルの人たちにコーチしてきたという実績をもっています。
コーチングは、その対象となるクライアントがビジネス上で
どのような領域にあるかによっておよそ次の4つのレベルに
分けることができます。

レベル1 パーソナル
レベル2 マネージャー
レベル3 ジュニアエグゼクティブ
レベル4 シニアエグゼクティブ
203投稿者:『プロのコーチ』  投稿日:2004/08/20(金)00:41:46
マネージャーに対するコーチングと、シニアエグゼクティブに
対するコーチングとでは、コーチングの内容に違いがあります。
テーマや取り扱う内容が違うといったことはではなく、
実はコーチングのスタイルそのものがまったく異なるのです。
どのレベルのクライアントに対しても同じスタイルでコーチング
をしていては、すべてのクライアントの成功に貢献できるわけでは
ないということです。どんなレベルのクライアントに対しても貢献
できるようになるには、さまざまなレベルのクライアントをコーチ
する経験を積み重ねていくことが必要です。そうして初めてコーチ
としての成長があるわけです。プロのコーチは、常にクライアント
を持ち、クライアントの成功に貢献しています。また、それを
通して、日々コーチとしての研鑽を積んでいます。プロのコーチは
コーチングを極めようとしているのです。学習を通して、そして、
日々のコーチングを通して。
204投稿者:『プロのコーチ』  投稿日:2004/08/20(金)00:43:24
プロのコーチとして、何よりも大切なことは、コーチ自身が
コーチングから刺激を受け、コーチングの価値を実体験として
もっていること。そしてクライアントが本当に成果を生み出して
いるかということを含め、自分のコーチングに対するフィード
バックを真摯に受け止めることだと思います。
今、私には、ローイング(ボート)の元オリンピックの強化選手を
コーチしていたコーチがついています。長きにわたるスポーツ
コーチの経験を経て、彼は現在、特にファイナンス関係の
エグゼクティブを対象にコーチをしています。
彼は私によく言います。「君の金メダルを取ろう」。彼と
話していると、彼からコーチとして誇り、そして、強いプロ意識
を感じます。
205投稿者:NLP  投稿日:2004/08/21(土)17:49:24
NLPは心理学的な理論でコーチングのスキルの多くは
もともとNLPで使われている手法からとり入れられたものです。
最近ではNLPコーチングなどとNLPとコーチングをミックスした
コーチングと行っている団体や個人の方も複数存在しているようです。
またコーチングのためのNLP講座なども多数開かれているようです。
実際私がNLPを学ぶ時の同級生にもコーチの方がいらっしゃいました。
さてNLPは奥が深く、一言で言い表すのは難しいのですが
コーチングをする際に、コーチングスキルの理論的根拠を得る
ことができ様々なタイプのクライアントの方とラポールを築いたり、
気づきを得やすいような質問ができるようになるのではないかと思います。
また、NLPは上記のような基本的な、思考の構造や言葉のモデルなどを
もととして、トラウマやPTSD、恐怖症などの治療にも用いられている
流れが系統だったスキルもあります。(コーチングと共通するような
目標の明確化や、恐怖症の治療など…)またそれが1時間などの
短時間で行えることも特徴と言われています。コーチングと同様に
NLPは、人それぞれ感じ方(現実の認識の仕方)が違うという
基本原則がありますが、その方の認識の仕方を鋭敏に感じて
柔軟に対応することで、カリスマといわれるセラピストでなくても、
その体系だった流れにそって恐怖症などを扱うことができると
いわれています。
206投稿者:NLP  投稿日:2004/08/21(土)18:24:28
目線の他にもNLPでは相手の言葉以外の様々な変化に
敏感になるようにと訓練します。
相手が好きなもの嫌いなものどちらを想像しているのかを、
見た目(顔色や筋肉の緊張など)だけとか、その相手の声だけで
見極めるような練習もします。
そして、自分の価値判断が入っているかどうかなど、言葉にも
敏感になることで、より相手と深いコミュニケーションが
可能になってくるのかなと思っています。
そしてそのように、相手を敏感に観察(キャリブレーション)
できるようになってこそ、効果的な一連のプログラム
(恐怖症を治すとかやめたくてもやめられないものをやめるなど…)
を、成功させるかにかかってくるのでしょう。
NLPの言葉の分類(メタ・プログラム)の中で、
全体とパーツをどちらを大切にする人かを見極めることを
したりする分野があります。
(他にはものごとに対して前向きか、後ろ向きかなど…)
207投稿者:『100%味方になる』  投稿日:2004/08/26(木)00:20:03
オリンピックも残すところあとわずかとなりました。今年の
オリンピックは、柔道、水泳、体操の男子団体、女子マラソン
など、近年にない日本選手の活躍もあり、私も何度か深夜まで
テレビに釘付けになっています。今回のオリンピックで、
日本選手の活躍や成績という興味以外で最も人目を引いているのが
アニマル浜口さん。ご存知の通り女子レスリングの浜口京子さんの
お父さんです。アテネに出発するときの成田空港での派手な
パフォーマンスをはじめ、しばしばその人目かまわぬ大仰な
応援振りが報道されています。特に23日に行われた準々決勝の
応援は一段とパワーアップしているように見えました。観覧席から
身を乗り出し、絶叫するアニマル浜口さんを会場の係員が下から
制止している姿が国際映像で繰り返し放映されていました。
「京子ー!」「気合だー!」
やりすぎ。父親のくせに出すぎだ。見ていられない。というような
声もききます。一年生になる私の娘も、子どもながらにも恥ずかしい
ようで、こんなお父さん嫌だと言っていました。しかし、ここまで
徹底的にやられると、これはこれですごいことだなと思うのです。
自分がまわりからどう思われるかとか、どう見られるかという気持ち
を脇におかなければこれだけの応援をすることはできないと思うのです。
208投稿者:『100%味方になる』  投稿日:2004/08/26(木)00:20:54
「相手の100%味方になる」

これは、コーチングの基本原則のひとつです。
好き、嫌いは別として、アニマル浜口さんの応援は
「100%味方になる」ことをまさに体現しているように思うのです。
絶叫はしないまでも、もしコーチがこのような迫力で
クライアントに対して応援の気持ちを伝えることができたら、
クライアントはそれだけで、ゴールに向けて動き出すに違いありません。
209投稿者:海外コーチング事情『電話で海外留学』  投稿日:2004/09/01(水)23:58:45
1997年に、コーチ・トゥエンティワンが最初のコーチ・
トレーニング・プログラム(CTP)を開始したときに画期的
だったのは、「ブリッジ(電話会議システム)」の存在でした。
CTPはブリッジを使って行われます。最初にアメリカと
ライセンス契約を結んだとき、ひとりのコーチが来日したのですが
その際に、私たちスタッフ3人でその人を取り囲むようにして
聞いた最初の質問が、「いったいブリッジって何?」でした。
ブリッジを使うのは簡単で、普通の電話と同じように、
ある電話番号に電話するだけ。しかし、普通と違うのは、そこに
電話すると、大勢の人(2人から100人まで)が同時に話せる
ということです。アメリカでコーチングを教えているスクールの
ウェブサイトを見ると、「ブリッジを使ってやります」と表記
しているところが多く、驚かされます。コーチ向けのポータル
サイトコーチヴィルの創設者であったトマス・レナードは、この
システム利用に最大限の創造性を発揮していました。電話会議の
スクールを開設したり、ただひたすら、30分のコーチングの
セッションをたくさん聞かせたり(数十人の参加者はそれを
聞いているだけ)、ラジオのようにトップコーチにインタビューを
行って聞かせたりしていました。(これも、参加者は聞いているだけ)。
210投稿者:海外コーチング事情『電話で海外留学』  投稿日:2004/09/02(木)00:00:14
コーチ・トゥエンティワンでも何回か、アメリカのコーチを迎えて
「ゲストコーチ・ブリッジ」というのを行いました。講師は、
アメリカから参加、受講者は日本から参加です。電話での講義を
体験するのは、とてもエキサイティングなものです。1時間、
そのコーチから専門的な知識を学ぶ。日本にいながら、海外留学
しているようなもの。それも電話料金は国内料金のみ・・・。
このプログラムは人気が高く、すぐに定員に達します。今年も
9月末から始まります。今までは、CTPの受講生に参加を
限っていましたが、今回からは一般の方にも参加をオープンに
していますので、ぜひ、体験していただきたいと思います。
CTPが始まって7年経ちます。ブリッジは私たちにとって、
日常的なツールとなりましたが、先日、あるシステム会社の方と
ブリッジの話になり、「それは、テレビ会議のようなものですか?」
と聞かれました。日本では電話会議を使って勉強する構造が浸透
するのに、もう少し時間が必要なのだなとしみじみ思うとともに、
その素晴らしさについてお伝えする機会をもっと多く提供したいと、
燃えるこのごろです。
211投稿者:『相手をプロとして扱う』  投稿日:2004/09/17(金)01:19:25
ストか否かで注目を集めているプロ野球ですが、
このままいけば後十数試合でペナントレースも幕を閉じます。
セ・リーグは今のゲーム差を考えると、おそらく覇者は
中日ドラゴンズとなるでしょう。そこで注目したいのが
落合監督のマネジメント手法です。
お気づきの方も多いと思いますが、新聞紙上から伝わる
彼の発言には、一切選手を否定するものがありません。
投手の起用等で失敗したとしても、「責任は監督である
自分にあります。」それで終わり。つい先だっては
「選手を叱ることはしませんよ。彼らはプロなんだから、
叱ったら失礼でしょ。」選手のセルフ・エスティーム(自尊心)を
徹底して守っています。企業研修で、この落合監督の話をすると、
参加者の方が決まっていいます。「そりゃあ、彼らはプロ
なんだから。僕の部下とは違いますよ。」でも、スポーツの世界
だけではなく、ビジネスの世界でも部下を徹底してプロとして
扱う人はいます。私がエグゼクティブコーチングをしている
大手複写機会社の営業本部長さんがそうです。彼はこれまで
行く営業所、行く支店、どこに行っても業績を飛躍的に伸ばされ、
若くして、本部長に抜擢された方です。
212投稿者:『相手をプロとして扱う』  投稿日:2004/09/17(金)01:21:16
彼曰く、「僕は絶対に部下を叱りません。業績が悪いときは向こうが
反省していますから。彼らもセールスのプロなわけですから。」
彼に尋ねました。「でも業績がなかなか上がらないときは
どうするんですか?」彼は間髪入れずに答えました。
「待ちます。待てるかどうかが管理職として試される瞬間だと
思ってますから。」「その間、私は自分の上司からどやされる
可能性があるわけですが、その叱責は部下に伝えず、
私のところでとどめます。私が感じているストレスをそのまま
部下に吐き出してしまっては部下がついてきませんから。」
ニューヨークヤンキースのトーリ監督も選手を叱らないようです。
不振の時に、どんなにあの強烈なオーナーのスタインブレーナー氏に
厳しい言葉を投げつけられようとも。全ての責任を自分で引き受けて、
選手を、部下をとことん自立したプロとして扱う。チームを勝たせる
一つの秘訣かもしれません。
213投稿者:『華のある人』  投稿日:2004/09/24(金)12:23:58
1996年、コーチングを始めるにあたって、経営者向けに
どのようなコーチング・プログラムを提供したらいいか、
自分のコーチにたずねたことがあります。彼は私に、直接、
経営者にどんなプログラムを求めているかについて聞くのが
早道だと言いました。それから、私は知人の経営者およそ
100人に声をかけました。そして、協力を約束してくれた
経営者100人を15〜20人のクラスに分けて、
ブリッジ(電話会議システム)を使ってセッションをもちました。
いま、経営者は何を求めているか?いい経営者とは? 
悪い経営者とは?経営者の資質とは?これらの質問に対して、
参加してくれた経営者、一人ひとりに答えてもらいました。
その中で記憶に残るストーリーがあります。
214投稿者:『華のある人』  投稿日:2004/09/24(金)12:24:21
それはある放送局のプロデューサーを経てコンサルタントを
始めた方で、彼は経営者の資質についてこう言いました。
「華のある人」
「それはどんな人ですか?」「俳優であれば、主役を演じたことの
ある人」「何か違いがありますか?」「ええ、違います。ですから、
華があるんです」「なるほど、ところで、ビジネスの世界では
どうでしょうか?」「それは、やっぱり責任を取ってきた人。
いま責任をとっている人でしょう。そういう人には華があります。」
頭のいい人、仕事のできる人、人に好かれる人はいます。
しかし、華のある人にはなかなか出会えません。できれば自分自身も、
またクライアントにも、華のある人になって欲しいという願望が
あります。そのためにも、私自身、すすんで責任を取っていこうと
思います。また、クライアントにもいま以上に
大きな責任を担って欲しいと思っています。
215投稿者:じゃろです 投稿日:じゃろです
じゃろです
216投稿者:目標を明確にすること  投稿日:2004/09/25(土)15:22:06
目標を明確にすることで現状とのギャップを知り、
そのギャップを埋めるために行動する。
これが、コーチングが機能する構造の一つ。
私達は、押しつけられた目標でも、自分で立てた目標でも最終的に
行動する判断は自分で下している。では、人から押しつけられた目標と、
自分で立てた目標とどちらが効果を発揮するだろうか。
押しつけられた目標の場合には「自分が本当にやりたいことではない」
というブレーキが無意識のうちに働いてしまう。アクセルを踏み込む
逆の足で、ブレーキを踏んでいるのでなかなか前に進むことができない。
目標に向うエネルギーを効率的に行動につなげるためには、
目標が『自分で立てた価値のあるものであること』がとても大切。
これは、企業が採用する目標管理制度についても当てはまる。
コーチとして目標管理制度を提案する時、
企業自身(=自分)で立てた、企業にとっても社員にとっても
価値のある制度が完成するように注意している。
提案のスタートでは、会社としてどんな社員を望んでいるのかを
じっくり聞く。
次の段階でどんな目標管理制度が望む社員を育てるかを考える。
決して始めからこちらが用意した案を押しつけることはない。
217投稿者:目標を明確にすること  投稿日:2004/09/25(土)15:24:57
制度を作り上げていく段階で、最低限注意していることが3つある。
1.対象となる社員の立場にたって検討すること。
2.会社独特の個性を大切にすること。
3.目標管理制度で失う可能性があるものを明確にすると。
細かいことはまだまだあるが、この3点は必ず押さえている。
1.2.についてはわかりやすいと思う。
社員一人ひとりの個性、部署の立場、役職などの個人の立場を
できるだけ収集し理解し、会社の理念や今までの歴史や風土を
考慮しながら制度を作りあげる。
3.については、分かっているようで案外見落とされていることが多い。
時間や経費などは目に見えるため判断はしやすいが、
目に見えないマインドの部分は見落としやすい。
しかし、ここがとても重要なポジションをしめている。
コーチとして、制度を作る側に絶えず問いかける。
『その項目を加えることにで、なにか失うものはありませんか。
社員が行動を止めてしまうものはありませんか。会社として
大切なものを壊してしまうことはありませんか』。得るものと
失うものを絶えずイメージさせる。頭で考えるだけでなく、
口に出し、紙に書くことで明確にしていく。
218投稿者:『組織の雰囲気を変える』  投稿日:2004/09/30(木)14:39:53
先日、あるオーナー企業の社長からコーチングを依頼され、
お会いしてプレコーチングを行いました。コーチングの目的は
「会社の雰囲気を良くしたい」。古くから、組織の財産は、人、
物、金、であるといわれてきました。さらに知的財産という
考え方が加わって、すでに長い年月が経っています。
そして、この数年で新たにソーシャルキャピタルという考え方が
広まりつつあります。組織開発の分野においては社会関係資本
(人と組織の間にある見えざる資産)と直訳されているようですが、
誤解をおそれず簡単に言ってしまえば「組織の雰囲気の良さ」
「組織の風通しの良さ」は、その組織にとっての財産そのもの
なのだということなのです。「あそこの会社は雰囲気がいいですね」
「あのお店は感じが悪い」などという会話は今に始まったことでは
ありません。私たちは、雰囲気や感じの良い組織が、結果的に
生産性の高い組織なのだということをどこか直感で知ってるのです。
ひと時代前までは、組織の雰囲気をよくするための方法として、
社員旅行や飲みニケーションがよく行われたものです。ところが、
高度経済成長、バブル経済の崩壊、長引く不況を経て、
日本の組織風土は大きく変化しました。今や仕事とプライベートの
切り分けは当たり前になり、会社帰りに若い部下を飲みに誘うこと
さえ難しい職場もあると聞きます。
219投稿者:『組織の雰囲気を変える』  投稿日:2004/09/30(木)14:48:01
今までと同じやり方ではソーシャルキャピタルを上げることが難しく
なってしまったのです。多くの経営者やマネージャーがあらたな
コミュニケーションの手法を求めて頭を悩ませているといっていい
でしょう。さて、私はその社長に質問しました。「今はどのような
雰囲気なのですか?」「もっと元気な会社にしたい。今の社員は
おとなしすぎる」と社長は言います。私はさらに質問をしました。
「社長と部下とのコミュニケーションはどの程度ありますか?」
「コミュニケーションはたくさんありますよ。なるべく部下と話そう
と意識していますからね。」「それはすばらしいですね。では、
もうひとつ質問していいですか?社長と部下と何対何の割合で
話していますか?」その質問に社長は顔を赤らめながら答えました。
「8対2かな、いや9対1かな、いずれにしろ私が一方的に話してます。
だってね、桜井さん、しゃべりませんよ今の若いものは・・・」「社長。
コーチングの最も大切なポイントは双方向のコミュニケーションを
とることなんですよ。コミュニケーションはキャッチボール。もっと
部下にボールを投げさせないとね。そうすれば会社の雰囲気はかわる
んじゃないですか?」「それはそうだろうけど、実際にはどうすれば
いいのかな。桜井さんはどうしてるんですか?」「ふむ。確かに
難しいことですよねぇ・・・。」『若い者にしゃべらせるための
戦略を考えてくる』次のセッションまでの二人の宿題になりました。
220投稿者:トルネードの真っ只中でビジネス会議  投稿日:2004/10/08(金)14:53:34
アメリカのコーチたちと仕事をする機会が最近多くなってきました。
その中で感じるのは、彼らのフットワークの軽さとツールの使い方の
うまさです。この連載でも、コーチングを教えるための電話会議
クラスについて、何回かご紹介しましたが、彼らにとって
コミュニケーションツールのシステムはなくてはならないもので
あるのを実感します。先日、朝早くに私がオフィスでメールを
書いていると、突然、インスタント・メッセンジャー(インターネット
で同時にログインしているもの同士が、お互いにチャットできるツール)
が飛び込んできました。「グッド・モーニング、今いい?」通常
あまりチャットすることのないコーチのデービッドからのお誘いでした。
「あなたがとっても興味を持つと思う人を紹介したいんだけど」
「今いいですよ。ちょうど時間あるし」と答えてる最中に電話が
かかってきました。「この間、君が興味を持っている分野についての
専門家を見つけたので、すぐにミーティングしない?金曜日の午前9時
なら空いているんだけど」「いいですよ。ではセッティング
お願いします。」さっそく、電話会議でのミーティングが
セッティングされました。相手は初対面のジョン。
ホストはデービッド。彼は当然私の関心ごとも、相手の魅力も
知り尽くしていますから、話はどんどん進み、協力関係を
結ぶことができる可能性を見出すところまでいきました。
221投稿者:トルネードの真っ只中でビジネス会議  投稿日:2004/10/08(金)14:55:25
こういうとき、コーチが進行係を務めてくれると、本当に助かります。
コーチはこのようなビジネスの進行役にもまさに適任であると思います。
フロリダのデービッド、ジョージアのジョン、東京の私。いる場所は
違っても、話を進める機会を逃さない。システムを使って
貪欲にコミュニケーションを進める力強さを感じました。
この話にはおまけがあります。実は約束した時間にデービッドは
電話会議に入ってこなかったんです。初対面のジョンとふたりきりに
なっていました。少しギクシャクしながら、お互いに自己紹介。
それでも入ってこない。「じゃあ、仕事の話をしましょうか」と
話している最中に、大音響とともにデービッドが入ってきました。
「ごめーん、今トルネードの真っ只中で少し静かなところに場所を
移るから待っててね」と。そんな臨場感たっぷりの会話の後で、
ブツッと電話が切れ、私はジョンと思わず苦笑い。デービッドが再度
入ってきたころには、すっかり、場も和んでいて話も進んでいました。
国土の広いアメリカだからこそ発展しているこのシステム。
日本では、まだ直接話すことを大事にする文化ですが、システムを
もっと気軽に活用すれば、いろんな新しい可能性が開けると思っています。
222投稿者: 投稿日:
223投稿者:『同じ質問』  投稿日:2004/10/14(木)04:10:08
この9月にコーチを変えました。新しいコーチが聞きました。
「鈴木さんならはじめてのクライアントにまずどんな質問を
します?」「単刀直入に『5年後は何を実現していたいですか?』
って聞きます。」「じゃあ、同じ質問をしていいですか?」自分の
クライアントには幾度となく繰り返してきた質問ですが、
改めて自分自身に向けられるとなんとも新鮮です。それまでの
コーチからは、主に「現在」についてコーチングを受けていたので、
久しぶりに正面から「未来」を聞かれて、心が躍りました。
次から次へ言葉が溢れ出ます。その一つ一つを丁寧に丁寧に
コーチがキャッチしてくれて。そうすると更にしゃべりが加速して。
考えてそれから言葉を外に出すというよりは、言葉それ自体が
意志を持っていて自在に外に飛び出していくような感じでした。
30分後、間違いなく30分前よりも5年後のビジョンはクリアに
なりました。1週間経って再びコーチングのセッション。
コーチが尋ねました。「鈴木さんが5年後に実現したいことは
なんですか?」「えっ、、、あっ、5年後ですね、、、」
同じ質問をされたことに正直驚きました。そして、なんと、
このコーチとはこれまで4回セッションを行いましたが、
毎回同じことを聞いてくるんです。「今日も5年後について
教えてください。」と。
224投稿者:『同じ質問』  投稿日:2004/10/14(木)04:12:52
自分の性格もあると思いますが、コーチをしていると、毎回
新しくて、クライアントをあっと言わせるようなセッションが
やりたくなります。常にクライアントの予想を裏切るような。
だから、5年後をテーマにしたら、次のセッションでは、突然
「で、今日の午後はどんな午後にするのか決めてます?」
というような意表をつく質問をすることが、クライアントの視野を
広めるために有効であると思いますし、同じ質問を繰り返していたら
クライアントに飽きられてしまうとも思います。でもこの
コーチは違った。同じことを聞いてくる。で、4回セッションを
受けて思いました。ずっと5年後について話していたいなと。
今週も来週も来月も来年も、ずっと5年後について話していたい。
毎週毎週5年後について問いかけられて、話をして、受け止められて、
また問いかけられて、それをずっと繰り返していったらどうなるだろう。
考えただけでわくわくします。同じ質問を投げかけられることの
力強さを実感している今日この頃です。
225投稿者:『コーチングとの出会い』  投稿日:2004/10/21(木)03:49:35
本日発売される『小さなチームは組織を変える』(講談社刊)を
記念して、伊藤守がコーチングと出会った経緯を柏原純が
インタビューしました。
─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・
1996年に初めて「コーチ」という名前を聞いたとき、ほとんど
同時にインターネットにアクセスして、アメリカのコーチ・
ユニヴァーシティに行き着きました。当時、インターネットの
プレゼンスプロバイダ事業を始めており、会社に専用線を引いて
いたこともあって、インターネットを通じて、
コーチ・ユニヴァーシティを始め、アメリカのコーチングに
関する情報を速いスピードで手に入れることができました。
私は1980年からコミュニケーションの研修事業を始めましたが、
1996年当時は、集合研修のほか、アクティブ・カウンセリングや
プレゼンスカウンセリングというネーミングで、ほとんど
One on Oneコーチングに近いことを始めていました。
ですから、すぐにコーチングの導入を決定し、実際に導入する
過程はとてもスムースなものでした。私にとって、もっとも
センセーショナルだったのは、「コーチ」というネーミングです。
私は「コーチ」、「コーチング」というネーミングそのものが、
教育におけるイノベーションであったと思っています。
226投稿者:『コーチングとの出会い』  投稿日:2004/10/21(木)03:50:25
「コーチ」という言葉によってもたらされる「明るくて活動的、
シンプル、可能性、目的志向、自由度が高い」などといったイメージが、
これまでの教育に対するイメージを一新したと思います。そして、
まず、私自身がコーチを受けてみたいと思いました。実際に、
1997年から今日に至るまで私はずっとコーチをつけています。
毎週のコーチングでは、コーチから本を紹介してもらったり、
資料を送ってもらったりしています。彼の持っているリソースは、
私自身のコーチングに使えるものを多く含んでいます。
また、常にコーチングに関する最新情報を入手するために
毎年アメリカで開催されるカンファレンスに出席しています。
自分自身が参加しないときでも、海外での勉強会やワークショップ
などに参加したスタッフを通して入手する情報は、現在の
マネジメントや教育に関する動向を知る上でとても勉強になります。
最近欠かさず読んでいるのは、英国のエメラルドという出版社の
発行する多数の学会誌に投稿された海外のコーチングや
マネジメントに関する学術論文です。現在コーチングについては
150以上、マネジメントについては、それ以上の論文が掲載
されています。コーチングの現状や、コーチングの将来を知る上で
欠くことのできない文献として、参考にしています。
227投稿者:『コーチングとの出会い』  投稿日:2004/10/21(木)03:50:44
コーチになることで、勉強の機会が増えました。そのことに、
とても満足しています。勉強の機会が増えるのは、自分自身が
コーチをしていて、アウトプットの機会が増えていることや
また、Evidential Based(根拠に基づいた)な
コーチングを目指していることも関係していると思います。
クライアントと同じように、コーチもまた成長する。
コーチとして成長することは、クライアントに対して
より大きく貢献できる機会をもたらすと思います。
228投稿者:『1%の気づき』  投稿日:2004/10/27(水)23:11:41
先週発売された『小さなチームは組織を変える』(講談社刊)を
記念して、伊藤守のインタビューを3回連続でお届けします。
第2回は「コーチングを受けて一番よかったと思うこと」
「コーチにとって、何が一番必要だと思うか」という2点に
ついて聞きました。インタビューは柏原純が担当しました。
─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・─・
●コーチングを受けて一番よかったと思うことは?
経営者というのは、警戒心を強く持っているものです。私も
例外ではありません。そのために、自分の話すことに制限を
加えてしまう傾向があります。制限を加えてしまえば、当然、
アイディアも萎縮します。故にコーチングセッションで、
コーチとの信頼関係を築き、「良質のブレンストーミング」を
持つことができていることに、大きな価値を感じています。
思うがままに話すことで、価値ある気づきを手にしていると思います。
99%はとりとめもない内容です。しかし、残りの1%、その1%の
気づき、新しい解釈や視点は、経営に大きな違いをもたらしていると
思います。それには、一見無駄な99%のアウトプットが必要です。
99%のアウトプットを経て、1%の本音に行き着いているように
思います。本音は、他人にはなかなか明かしません。
同時に自分でも自分の本音に気がついていないことが多々あります。
229投稿者:『1%の気づき』  投稿日:2004/10/27(水)23:14:23
自分の本音を知ることは、会社を経営する上での戦略につながります。
良質のブレーンストーミングとは、自分の本音に気づくプロセスだと
考えています。
●コーチには、何が一番必要か?
コーチには経験が必要です。それは年数だけではありません。
マネージャー、エグゼクティブ、そして、経営者に至る、対象の
異なるコーチングの経験が求められます。ちなみに今の私のコーチは、
経営者だけに特化して10年以上のキャリアをもっています。
その経験からくる落ち着きや安心感は、コーチに対する信頼感を
もたらします。また、彼はいまでも勉強を欠かしません。おそらく
この10〜20年に発行された主だったビジネス書にはほとんど
すべてに目を通していると思います。また、コーチングの最中、
私の話を聞きながら、少しでも興味のある話になると、
「その情報源は?」と、旺盛な好奇心を見せます。彼には経験
だけではなく、コーチとして成長しようとする強い意志を感じます
実際彼はこの15年間計画的にキャリアを積んできたと言っています。
年齢の高いコーチは他にもたくさんいます。しかし彼の創りだして
いる違いは、豊かな経験を持ちながらも、その経験からものを
言わない点です。それが、私には心地よく感じられます。
230投稿者:『質の高いコーチング』  投稿日:2004/11/07(日)22:46:25
●質の高いコーチングを実現するために必要なものは何ですか?
〜プレコーチングの徹底〜
私はコーチングを始める前に、クライアントと十分なプレコーチングの
時間を持つようにしています。ほとんどの場合は面談で、1時間半から
2時間使います。時にはそれでは足りなくて電話でプレコーチングを
続けることもあります。コーチングとは何かを理解するために、
コーチングに何を期待しているかをハッキリさせるために十分な時間を
取ります。

〜アセスメントの使用〜
さらに、学習スタイル、タイプ分け、リーダーシップ、
コミュニケーションなどに関するアセスメントも使います。
最近では360度フィードバックのシステムを開発し、コミュニケーションや
リーダーシップについて、クライアントの上司や部下からフィードバックを
受け、それらをテーマにコミュニケーションを交わします。
コンピューターとインターネットを用いたシステムで、短期間に情報を
収集できるため、時間差のない、新鮮なフィードバックを受けることが
できます。私も自分で試しましたが、とても参考になりました。
231投稿者:『質の高いコーチング』  投稿日:2004/11/07(日)22:48:43
〜エバリュエーションプラン〜
コーチングによる成果を計るための基準をクライアントとコーチが
お互いに確認するようにもしています。コーチングや研修についての
ROI(Return On Investment)がよく話題に上がります。実際に投資に
見合うリターンが無ければ、コーチを雇う意味が無いわけです。
ですから、エバリュエーションプラン(Evaluation Plan)をつくって
コーチングに臨んでいます。

 〜最後に〜
ともすると、コーチングは単にクライアントとのコミュニケーション
技術のように考えられています。しかし、実際には、アセスメント、
TIPS、リサーチ、360度フィードバック、ホームワーク、
エバリュエーションプランなどが用いられています。また、
クライアントがいつでも、コーチングのプロセスを振り返ることが
できるように、コーチとしてのセッションログも大事にしています。
質の高いコーチングを実現するためには、クライアントも何を実現
しようと思っているのか、何を変えようと思っているか、
それらについてできるだけ具体的にすることだと思います。
232投稿者:『最もシンプルで強力な質問』  投稿日:2004/11/11(木)11:04:57
Aさんは東京近郊の総合病院で病理部長を務めています。Aさんは
部下との関係はすこぶる良好。しかし上司にあたる院長とうまが
合いません。コーチングの中でAさんからよく出てくる言葉は
「院長は話にならない」「あの院長がいる限りだめだ」「今の
プロジェクトがうまくいかなかったら院長を糾弾する」「院長の
せいで自分の仕事が思うように進まない」「他責」の言葉の
オンパレードなのです。私はAさんに質問しました。
「院長とどういう関係を作りたいのですか?」「ことあるごとに
ぶつかってしまうので、今のままでは自分の仕事も思うように進まない。
別に仲良くしたいとは思わないが、自分の仕事がもう少し自由に
出来るようになったらいいとは思います」「どうしたらそれが
実現できると思いますか?」「院長がいる限り難しいんじゃないかな?」
「もしAさんに出来ることがあるとしたらどんなことでしょうか?」
「こっちから歩み寄るということですかねー?」「Aさんから
歩み寄るってどういうことですか?」「こちらから話しかけるとか、
出張に行ったらお土産買ってくるとか・・・」「なるほど。それを
やったらどうなると思いますか?」「多少は違うんじゃないですかね。
でもそんなことをするのは媚びるようで僕のプライドが許さないな」
「プライドと仕事のしやすさとどちらをとりますか?
Aさんが今出来る最善の選択は何ですか?」
233投稿者:『最もシンプルで強力な質問』  投稿日:2004/11/11(木)11:05:56
「ふむ、難しい質問だ。少し考えさせてください」

 1週間後、自分の仕事をうまくいかせるために、
 いかに院長との関係を改善するか、
 その戦略をつくることがAさんのコーチングのテーマになりました。
 もちろん、プライドは脇に置いて。

 コーチングは「自責」の立場に立って行われます。
 「自責」とは今の状況は自分がつくりだしているという立場に立つことです。
 自分が悪いという意味ではありません。
 今の状況は自分がつくり出しているのだから、
 その状況は自分で変えていくことが出来るという考え方です。

 「あなたが今できる最善のことは何ですか?」

 この質問は、どんな状況の相手に対しても、
 最もシンプルで強力な質問だといえるでしょう。
234投稿者:「国際コーチ連盟2004年大会に参加して」  投稿日:2004/11/18(木)02:29:32
今年の国際コーチ連盟(ICF)の大会が11月3日から
6日にかけてカナダのケベックシティで行われました。
各国から参加者数が1100人。全米中で行われる各種カンファレンスの
参加者数が減っているといわれる中、これだけの人数が集まったことに
大会運営委員会は手放しの喜びようでした。これもひとえに、
「国際」コーチ連盟の名前どおり、世界各国からの参加者が増えた
こともいえるでしょう。ICFの大会のキーワードは
「コーチングのグローバル・フォーラム」。Internationalという
名前のとおり、国際的な集まりの場であるのですが、本当の意味での
ICFでのグローバリゼーションは始まったばかりだと感じます。
私がICFの大会に行き始めたのは、5年前。その頃のコーチたちと
いえば、アメリカ人、白人。それが唯一のコーチの姿でした。
3年前初めて参加したICFの理事のミーティングでは、私がいた
せいか、委員長のボベットが「これはインターナショナルメンバー
にとっても・・・」という言葉をよく口にしました。私はそのとき
思わず「あなたは、アメリカのコーチを念頭において話している。
日本のコーチには、必ずしも当てはまるわけではない」
と言ったことを覚えています。そのとき、一瞬会議の雰囲気が
シーンと凍りついたものです。そのことについて、今回集まった
ときにボベットはこう言いました。
235投稿者:「国際コーチ連盟2004年大会に参加して」  投稿日:2004/11/18(木)02:31:43
「3年前のケイコのあの言葉は私のターニングポイントになった。
私は自分の基準でしかものを見ていなかった」委員長を退いた
ボベットは、今、ICFのグローバルコミッティの主催者として
活躍しています。会場では「チョイス」というコーチ専門雑誌の
編集長とも話をしました。「記事にインターナショナルな内容も
組み込みたい・・・」と。そのときも、「あの、あの国ではこう、
この国ではこう、というストーリーはあまり興味ないの。
興味あるのは、どういうコーチがいて、どういうコーチングが
行われているのか、そのモデルの多様性なのよ」と伝えていました。
インターナショナルを意識するというのは、区別化することではなく、
多様性を発見することなんだなあ、と話しながらしみじみ感じました。
そんなことに気づくことができるのも、ICFという
プラットフォームにいるからと、来年のことを楽しみに思いました。
今年は、十数名の日本からの参加者がいらっしゃいました。
来年は、日本から発信するコーチングのモデルを紹介する年に
したいと思っています。来年の大会は11月9日〜12日に
カルフォルニア州サンホゼで開催されます。
カレンダーにチェックしてぜひ、参加しましょう。
236投稿者:「可能性を拓く」  投稿日:2004/11/25(木)01:53:20
11月の初旬にカナダのケベックで開催されたICFの大会で、
とても素晴らしい講演に出会いました。普段から様々な人の
講演を聴きますが、これまで聴いた中で間違いなくベスト3に
入る講演でした。講演者の名前はベン・ザンダー。
ボストンフィルハーモニーの指揮者です。テーマはリーダーシップ。
彼はフィルハーモニーの指揮者を務める傍ら、音楽学校も
経営しています。フィルハーモニーの演奏には、いつも50席程、
音楽学校の生徒を招けるように席を用意しています。ある時、
フィルハーモニーのコンサートにヨーロッパからゲストピアニストを
呼びました。前評判は非常に高く、チケットはあっという間に完売。
当日は演奏前から会場は大変な熱気に包まれていました。
いよいよこれから開始という時に、高揚した気持ちでザンダーが
観客席を見上げると、音楽学校の生徒がいるはずの席が半分ほどしか
埋まっていません。多少気になりながらもザンダーは指揮を始めました。
大成功で終わった演奏後、ザンダーはスタッフに聞きました。
「うちの生徒はどうしたんだ?」帰ってきた答えは
「どうもショッピングモールに遊びにいったらしいです。」
ザンダーは、頭に一気に血が駆け上るのを感じました。
チケットを手に入れたくても手に入れらない人がたくさんいる中で、
せっかく空けてあるシートを無駄にして、ショッピングセンター。
237投稿者:「可能性を拓(ひら)く」  投稿日:2004/11/25(木)01:58:30
彼は収まりきらない気持ちを抱えたまま家に帰りました。
家で奥さんにそのことを話すと、コーチでもある彼女は
言ったそうです。「リーダーには常に3つの選択肢があるのよ。
相手に妥協すること、相手にフラストレーションを感じて怒りを
投げつけること、そして相手の可能性を拓くこと。あなたは
どれを選択するの?」ザンダーは考えました。明日生徒に
何と言ったらいいのだろうかと。そして、次の日。
コンサートをすっぽかした生徒を前にして彼はいいました。
「君たちは昨日コンサートに来ずにショッピングモールに行く
ことを選んだ。でもそれは全くもって私の責任であって、
君たちの責任ではないんだ。今回のコンサートがいかに
君たちのキャリアにとって意義深く大事なことであるかを、
私は伝え切れなかったのだから。許してほしい。本当に
申し訳ないことをした。」それ以降、その生徒たちは、
かつてないほど熱心に音楽の習得に努めたということです。
もちろんコンサートをサボることは二度とありませんでした。
相手の可能性を拓くということの可能性について、
深く考えさせられた講演でした。
238投稿者:「もしも、ウサギにコーチがいたら」  投稿日:2004/12/01(水)22:29:20
『もしもウサギにコーチがいたら』という拙著に
こんなフレーズがあります。「もしも私がコーチなら、
ウサギ君の苦手な泳ぎを教えて、弱みの克復なんかさせない。
それよりは、彼の高速90度ターンに磨きをかける」。
ここは、自分でも好きなフレーズです。
今年のオリンピックの前に、オリンピック強化選手に
話を聞く機会がありました。そのとき、私が一番
知りたかったのは、オリンピックの選手と、県大会に
出る選手とでは何が一番違うのか、という点です。
それについて、一人の選手がこう話してくれました。。
「自分も、ついこの間までオリンピックなんて考えても
いませんでした。でも、チャンスがあって、ヨーロッパ遠征
に出かけたときに、世界クラスの選手と一緒に泳ぐ機会があって、
そのとき、『手が届くんだ』と思ったんです。オリンピックが
見えたんです。」県大会で活躍する選手も、オリンピックの選手も
実は、体格や体力にそう違いはないのかもしれません。
しかし「視点」が変わったとたん、練習の質も、目標も、
泳ぎの質も変わりました。世界を見るようになってから、
全部変わったと思います。
239投稿者:「もしも、ウサギにコーチがいたら」  投稿日:2004/12/01(水)22:29:52
今度、ウサギをコーチすることがあったら、世界に
視点を向けられるようなコーチングをしたいものです。
気をつけていなければならないのは、コーチが無意識に、
自分のサイズにクライアントを合わせてしまおうとする
ことだと思います。
240投稿者:1対1面談  投稿日:2004/12/05(日)13:03:51
目標管理制度の中で、上司と部下が一緒になって一年を見つめ直し、
来年の目標を立てる面談の時間はとても大切で次への成果も期待できる。
定期的に時間を作ることが難しい会社でも年に一度くらいは個人面談を
設定して欲しい。面談を設定し、上司と部下が向かう段階となった時、
どんなことに注意をしたらよいのか?今回は、そんな時のヒントを
紹介したい。
《場所の設定》
皆さんが個人面談を設定する時、どの場所を選ぶだろうか。
場所の設定は面談の成果に直結する大切な要素のひとつであり、
その選定は慎重に行って欲しい。社長室、上司の部屋、応接室、
会議室、休憩所や喫茶店などがその候補に上がる。先ず確認して欲しい。
設定した場所は、上司と部下とどちらのテリトリーとなっているだろうか。
もし、上司のテリトリーで面談を行うとしたら、部下がどこまで自分を
開放して話しをしてくれるか少々疑問が残る。上司のテリトリーに
一歩足を踏み入れた部下は、体が緊張し、敵陣に突入する部隊のように
防衛本能が働いた話しになる可能性が高い。来年の目標を話し会い、
社が前に進むため、上司と部下が膝を割って話し合うことができる様、
今年は部下のテリトリーに上司が出向いて面談して欲しい。
241投稿者:1対1面談  投稿日:2004/12/05(日)13:04:38
《座る位置》さあ、部下のテリトリーに上司が出向きました。そこは、
会議室か喫茶か、部下の机なのかもしれない。その時、上司である
あなたはどのような配置で座るのだろうか。正面に向かいあう、
斜め横に座る、同じ方向に向かって真横に座るなどが考えられる。
正面に向かい合う位置を『敵対位置』と呼んでいる。正面に相対して
話しをしている場面を想像すると労使交渉を思い出してしまう。
交渉、そう、自分の考えを相手に認めさせようとお互いが自分を
押し通している姿だ。これに対して、斜め横や真横の位置を
『友好位置』と呼んでいる。恋人同士がカウンターで話をしている姿、
横顔を見たり、視線を外に外したり、話の進み具合に応じて自然に
自由な動きができる。上司との会話には、斜め位置をお勧めしたい。
場所や位置だけをとっても面談の成果が左右されることがある。
242投稿者:『エニアグラム』  投稿日:2004/12/05(日)13:05:19
エニアグラムの起源は、2千年前といわれています。エニアグラムは、
人が持つ「動機」よって9つのタイプに分ける性格類型論です。自分と
向き合い、自分を理解して、はじめて他人を理解することができます。
セミナーでは自分のタイプを知るとともに、タイプ別の特徴を理解します。
特徴を知ることで、他の方が起こす行動の源を理解し、より良い
コミュニケーションを実現するキッカケを提供致します。エニアグラムは、
企業の中で、研修・教育や採用に、コーチングや研修講師に、家庭や
社会などの様々な場面で役に立ちます。講師の言葉を借りると、
【自分の「無意識に表れる言動や動機」を知っていることで、より
ニュートラルでいらることに役立つ】【相手のもつ「価値観」や陥りがちな
「囚われ」を把握しやすい】【個人の特性というより、タイプの特性と
捉えることで、自分と異なる他人を受け入れやすくなる】など、学ぶ
ことのメリットがあります。
243投稿者:1対1の面談  投稿日:2004/12/05(日)23:19:33
 今月も、一対一の面談のヒントをお届けしたい。
部下のテリトリーに出向いて、友好位置に座るところ
まではできたのだが・・それだけでは部下の本当の声を
聞きだすまでは至らない。上司から掛ける言葉によって
せっかくのセットアップも無に帰してしまう。
《なぜ》・・今年の成果を振り返るときに「なぜ」と
質問する上司がいる。「なぜ売り上げ目標の80%しか
届かなかったのか」「なぜ、○○社とのコンペに負けたのか」
一見質問のようだが、失敗を責められているように聞こえる。
質問の形をした詰問になっているところに注目して欲しい。
これでは、部下は前向きな発言をせず、ひたすら言い訳に走る
ことになる。その理由は、自分に向けられた責任を他に転嫁
したい、自分が犯人でないことを証明したいのだ。エネルギーを
言い訳作りに注ぐのを、上司のサポートで取り除いて欲しい。
《なに》・・エネルギーを前向きなものに注ぐためにも「なに」
ということばをお勧めする。「なにがあったら100%が達成
できたと思う」「コンペに勝つにはなにが必要だったのだろうか」
部下はいろいろなアイデアを話し始めるに違いない。部下が本当の
声を話すことから、新しい目標と行動が生まれてくる。「なに」が
使い難い場合「どうしたら」も同じ効果があるのでお試しいただきたい。
244投稿者:「3分間で話を伝えるエキスパートたち」  投稿日:2004/12/20(月)21:47:07
前回、ケベックシティで行われた国際コーチ連盟の大会の様子を
お伝えしましたが、今日はその続報です。1300人のコーチが
世界各国から集まる大会ですから、素晴らしいコーチに数多く
出会うまたとない機会です。私たちはいつも、宿泊するホテルの
部屋にコーチを招待し、ミニ・プログラムをしてもらったり、
情報交換のためのパーティを開催したります。
余談ですが、パーティで日本酒を振舞うと、とても喜ばれます。
さて、今年は、スィートルームを一室押さえました。そして、
日本からテレビクルーよろしくビデオカメラを担いで行きました。
実は、コーチ・トゥエンティワンでは毎年、電話会議システムを使って
海外のコーチによるプログラム「ゲスト・コーチシリーズ」を
行っています。「日本にいながら海外留学」ではないですが、
海外の一流コーチを電話会議に招待して、通訳つきで話を聞くのです。
豊富な経験を聞くのはとても刺激的です。2005年は、この
シリーズを毎月開催する予定で、その講師となる人たちの
「プロモーション・ビデオ」を撮影することを企画しました。
そして、会場で「何時何分に集合」と声をかけました。
この撮影にかかる時間はひとり3分ほどなのですが、向こうの
コーチたちの言葉を簡易にまとめる能力の高さには、脱帽します。
245投稿者:「3分間で話を伝えるエキスパートたち」  投稿日:2004/12/20(月)21:48:31
ぶっつけ本番にもかかわらず、言いたいことをクリアに言い切る。
使う言葉も明快で、コミュニケーションのプロであることを
感じさせます。ほとんど1回でオーケーです。

・専門家をコーチする方法
・コーチの認定を取得するための戦略
・コーチとしての必要なスキル

をはじめ、シリーズとして来年スタートしますので、
楽しみにお待ちください。

さて、実はこの撮影にはあるエピソードがあります。
撮影用の照明を借りたいと、ホテルのコンシェルジュに
依頼しました。そのコンシェルジュは担当者にすぐ電話して
相談してくれたのですが、(フランス語で)何かもぞもぞ話して
いる模様。どうやら「そんなこと聞けないわよ」と言っている
ようです。ちょっと躊躇した後に、彼女は申し訳なさそうにこう
聞いてきました。「その撮影の目的は何ですか?」
後でわかったことですが、どうやら、ポルノグラフィーではない
ことを確認したかったとのこと。それは確かに言いにくいですよね。
246投稿者:「ピアノのコーチ」  投稿日:2004/12/23(木)05:32:37
11月に37歳になりました。誕生日を記念して、何か新しいことを
スタートしたいと思い、ピアノを始めることに決めました。
「コーチ」は弊社に契約社員として勤めているSさんに
お願いすることにしました。Sさんは音大卒で、普段は何人かの
生徒さんにピアノを教えながら、日中は弊社で働いてくれています。
どちらかと言えばもの静かに淡々と仕事をこなすタイプです。
ピアノの「コーチ」としてもきっとどこまでも清楚に可憐に教えて
くれるのだろうと思っていました。ところがレッスンを始めてすぐに
その予想が全く外れたことがわかりました。「コーチ」としての彼女は
どこまでもアクティブで、躍動感があって、そして楽しそうなのです。
教え方もまさに「コーチング」でした。第一回目のセッション。
彼女はまず、全てこちらに選ばせました。「何を弾きたいですか?」
「ねこふんじゃった」みたいな基本曲からやるのかと思っていた私は、
少し驚いて「何でもいいんですか?」「はい!弾きたいものを
おっしゃってください!」結局「冬のソナタ」の挿入曲「My Memory」
を選びました。譜面を見ていると、「どこから弾きたいですか?」
「えっ、最初からじゃないんですか?」「そんなことないですよ。
弾きたいところからやりましょう!」前奏ではなく、いきなり
さびの部分から始めました。まずはちょっと退屈な基礎、それから
応用と思っていたわけですが、いきなりクライマックスがやってきました。
247投稿者:「ピアノのコーチ」  投稿日:2004/12/23(木)05:37:32
もう気分はペ・ヨンジュン。どんどん自分のモチベーションが高まって
いくのがわかります。譜面の読み方などでわからないところがあって
質問すると、本当に楽しそうに、にこにこしながら、「なんでそう
書いてあるんだと思いますか?」決して答えてはくれません。「ん〜。」
答えられないでいると、「じゃあ3択にしますね!」最後の最後まで
こちらに探り当てさせます。それがゲームをしているようでとても楽しい。
答えがあっていたり、ちょっとでも弾けると「素敵!」彼女のほめ言葉の
バリエーションはこれだけです。もう頻繁に「素敵!」本当に楽しそうに
全身を使って「素敵!」照れくさいような、嬉しいような。でも繰り返し
聞いていると、がんばってまたその言葉を聞きたいという気持ちが
自分の中に生まれてくるから不思議です。「これ難しい!」とこちらが
言えば、満面の笑みで間髪入れずに「簡単です!」「時間がかかるね
これ。」といえば「すぐですよ!」ネガティブな発言はことごとく
ポジティブな表現に変換されていきます。セッションが終わったときには、
「今日は楽しかったです!」を本当に楽しそうに連発してくれました。
それを聞くとこちらの楽しさもさらに増幅されます。30分間のピアノの
レッスンは本当にとても楽しいものでした。
248投稿者:「ピアノのコーチ」  投稿日:2004/12/23(木)05:38:08
私の年代の女性は小さい頃にピアノを習っていたという人がとても
多いわけですが、「ピアノ?小さい頃習ったけど辞めたわ。
友達もみんなそうだった。弾けないと怒るのよねピアノの先生。
楽しくないのよ。それでだいたいいやになってやめちゃうのよ。」
Sさんみたいな先生がもっとたくさんいたら、今頃日本には
ピアノの演奏者があふれていたかもしれません。
249投稿者:「信頼はトレーニング」  投稿日:2005/01/07(金)01:20:18
私が学生の頃は、よく忠犬ハチ公の前で人と待ち合わせをしました。
ほかには東京駅の銀の鈴とか、銀座のソニービルの前。待ち合わせと
いうのは今思えば結構ドキドキするものでした。私は時間にうるさい方
でしたから5分ぐらい前に行って待つ方なのですが、待っている間
というのは、いろいろなことを思うものです。時間になっても相手が
来なかったりすると5分ぐらいはいいのですが10分15分となると
いたたまれなくなります。やがて申し訳なさそうな顔をしてやってくる
友達をつい怒ってしまうのは、心配して心が固まったのがとけて甘えたい
ような気持ちだったんでしょうか?最近は待ち合わせに遅れたって大丈夫
です。携帯電話がありますから。「ごめんごめん、あと5分でつくからね」「今どこ?」「渋谷だよ」なんてね。携帯電話ができて、とても便利に
なりました。ほとんどの人が持っていて、今やメールまで使えるように
なりました。でもですね、携帯電話のせいかどうかはわかりませんが、
待ち合わせで相手は本当に来るんだろうかと気をもみながらも「きっと
来るに違いない」という相手を「信じる」気持ちは失われたように思います。
人を信用するのは能力です。相手が信用できる人間かどうかを見分けるのも
能力なら、来ると信じるのも能力なんです。だまされないことは大事ですが
信じるのも大事です。確かに期待を裏切られることが多く、夢も色あせる
毎日です。しかし、人を信じる練習をしなければ、人とチームを組んで
何かを実現するという醍醐味を味わうこともないでしょう。
250投稿者:「気分よく、ご機嫌に、快適に」  投稿日:2005/01/13(木)02:28:28
私の義理の父は、伊豆高原の永住型別荘地に一軒家を構え、夫婦二人で
悠々自適の生活を送っています。官庁勤めだった父は官舎に生活する
傍らで、貸し別荘として伊豆高原に家を建て、綿密な人生設計の基に
定年とともに移り住みました。芝生の庭、柴犬、家庭菜園、遠くに
海を見ることのできるお風呂はもちろん温泉、というすばらしい
セカンドライフをすごしています。父の送る生活は、私にとって、
とても分りやすい理想の老後でした。ところが、定住を始めてしばらく
のうちはよかったのですが、2年経ち、3年経ち・・・と時間の経過
とともに少しずつ気難しい感じが増しているのです。ちょっとした
ことで怒りだしたり、些細なことで不機嫌になってしまう。セカンド
ライフを楽しんでいるようにはあまり見えません。私の自宅の隣には
叔父が住んでいます。叔父と義理の父は二人とも66歳。同じ歳です。
叔父はプラスチックの精密接着という特殊技術を持ついわば職人です。
自宅に小さな工場を持ち、いまだに現役で働いています。収入はそれ程
多いわけではありません。その上、見た目には変化のあまりありそうに
ない精密接着という地味な仕事を中学卒業以来、50年間も続けている
のです。「仕事が好きなわけじゃないけど、お金が無いからやめられない」
「頼まれるからしかたない」と口では愚痴りながらも、にこにこしながら
溌剌と暮らしています。細かい作業やルーティンワークの苦手な私にとって
叔父の仕事やライフスタイルはとうていモデルとはいえません。しかし、
251投稿者:「気分よく、ご機嫌に、快適に」  投稿日:2005/01/13(木)02:28:50
愚痴をいいながらも毎日を楽しそうに生活しているその姿はどこか心
魅かれるものがあるのです。父と叔父との差はいったい何なのだろうか?
気分よく、ご機嫌に、快適に生きるためには何が必要なのか?
これまで私は、義理の父のような生活にずっとあこがれていました。
ところが父の不機嫌さを目の当たりにして、自分にとってはいったい
何が大切なのかを考えさせられる年末年始となったのです。義理の父は
完全にリタイアしています。叔父は細々ながらも仕事を続けている。
どうもこの辺がポイントのような気がしてなりません。私は今年で
47歳になります。あっという間に、自分の老後がちらちらと頭を
かすめるような歳になりました。コーチ・トレーニング・プログラムの
参加者の中には、リタイア後の第二、第三の仕事としてコーチという
仕事を選び、活躍している方が大勢います。これまでのキャリアや
人生経験をそのまま活かすことができる。自分のペースで仕事をする
ことができる。頭が働いて会話ができれば何歳になってもできる。
人に対して貢献できる。というような特徴を持つコーチという仕事は、
リタイア後の仕事としてうってつけです。私には、義理の父のような
綿密な人生設計はありませんし、叔父のような特殊技能を持っている
わけでもありません。しかし、幸いにして私はコーチという仕事を
選んでいます。自分の将来を考えたとき、コーチという仕事にいち早く
出会えたことは、本当に恵まれていることだ思うのです。
252投稿者:「どこにでも飛び込んでくるコーチたち」  投稿日:2005/01/24(月)01:31:50
昨年、ケベックで行われた国際コーチ連盟の大会に来ているコーチたちを
部屋に呼び、プロモーションビデオの撮影をしたことをお伝えしましたが、
いよいよその「ゲストコーチシリーズ」が2月からスタートします。
このプロジェクトを進めるにあたって、パム・リシャードさん(国際
コーチ連盟の2005年度の副代表)が大いに力を貸してくれました。
パムは、アメリカコーチ・ユニバーシティの設立時からのメンバーで
副社長も務めた人です。彼女に「来年ゲストコーチとして、日本の
コーチたちに75分間のオンラインクラスをやってくれる人を
集めてほしい」と伝えたところ、ヒラヒラとドレープのある服を
なびかせながら会場を巡り、(彼女はそういう服が好きなのです)、
次の日には5人集めて、撮影会場に連れてきてくれました。
また、大会が終わった後も声をかけ続けてくれ、8人のコーチによる
プログラムが決定しました。(今後も増える予定です)
彼らと仕事するととても面白いのは、メールの使い方。このような
プロジェクトができると、彼女はお互い知ってる人も知らない人も
かまわず、一緒に同報メールで情報を送ってしまうのです。
253投稿者:「どこにでも飛び込んでくるコーチたち」  投稿日:2005/01/24(月)01:32:14
「日本で、こういう感じのトピックで75分の内容でやりたいのですが、
協力してください。詳しくはKeikoに聞いて!」こういうノリです。
もちろん、パムに対する信頼度が高い、という前提があるのでしょうが、
こちらからアプローチすると、一人一人実に誠実に対応してくれます。
私としては、会ったこともない人たちなのですが、最初から「Hi,Keiko!」
とまるで、古くからの知り合いのよう。クラス運営に必要な資料や写真
などを送ってくれるようにリクエストすると、すばやく送ってくれます。
この経験は、7年前の、コーチ・トゥエンティワンの設立時のことを
思い出させます。ご存知、デービッド・ゴールドスミス氏と弊社の社長の
伊藤守が「コーチングって何?」とメールでやりとりをしたとき、
お互いのことをほとんど知らないにもかかわらず、「日本に来て
コーチングの研修をやってくれないか」とリクエストしたところ、
すぐに「飛行機の切符をとりました」という返事をもらって、仰天
したことを思い出します。使い古されている言葉ですが、「パイオニア
精神」というものを感じます。彼らは、いつでも自分が必要とされれば
飛び込んでいく。それが絶大なる信頼感を得るのだな、ということを
実感します。
254投稿者:「2つの育成手法」  投稿日:2005/01/29(土)01:05:16
育成手法の一つの大別の仕方は、それが「弱み克服型」であるか
「強み伸長型」であるかです。企業の管理職にコーチングの研修を
していると、受ける質問のほとんどは、「うちの部下が○○ができない
んだけれどもどうしたらいいでしょうか?」という類の質問です。
彼、彼女の弱みを克服させたいということですね。
「うちの部下は○○がいいところなんですが、 どうやったら
もっと伸ばしてあげられるでしょう?」という質問を受けることは
滅多にありません。どちらの手法が優れているということでは
ありませんが、日本では、学校でも、職場でも、家庭でも、
弱み克服型のスタンスが取られることが多いようです。
先日、私の知人と話していたときのことです。彼の家では、
アメリカ東部の中学校に息子さんを入れることにし、家族でそこに
移り住むことにしました。どんな学校なのかと聞くと、なんでも
好きなこと得意なことしかやらせない学校だと言います。
カリキュラムも一切なくて、子どもがやりたいと言ったことだけを
支援し、教育する。やりたいことこそがその子の強みであり、
それしかやらせない。それを謳う学校は多いけれど、そこはそれが
徹底しているんだ、と。彼は高揚した面持ちで続けました。
「実は先月、親の面接があってアメリカまで行ったんだけど、聞かれた
質問はひとつだけなんだよ。『息子さんのことを信頼してますか?』
255投稿者:「2つの育成手法」  投稿日:2005/01/29(土)01:05:35
って聞くんだ。『もちろん!』って答えたら、今度は『あなたは完全に
息子さんを信頼していますか?』って聞くわけ。『完全にっていうのは
どういうことだ?』って尋ねたら、こんな話をしてくれたんだ」
・・・・・あるとき、一人の生徒がいた。彼は釣りが好きで、釣り
ばっかりやっていた。入学して1年、毎日釣りをやり続けた。
それでも両親は子どもを信頼しようと、何も言わなかった。
2年目になっても、相変わらず釣りしかしない。さすがに両親も
心配になって、学校の先生に尋ねた。「うちの子は大丈夫でしょうか?」
先生は答えた。「完全に信頼しているって言いましたよね」3年目。
やはり来る日も来る日も釣りは続いた。両親はもう彼の教育については、
半ば諦めていた。4年目に入ったある日、その子は何の前触れもなく
ぱたっと釣りをやめた。そして写真に興味を持ち始めた。学校は彼のために
予算を取って、立派な暗室を校内につくった。さらに、写真を本当に
極めるには数学の知識が必要になるため、学校は彼に数学の個人
チューターをつけた。数年後、彼は大変著名な写真家として、世界を
股に駆けて活動するようになった。・・・・・
この学校は、スポーツ、芸術、ビジネス、医療、各界に著名人を
輩出しているとのことです。一概に全ての場合に、こうした手法が
いいと言えるわけではないと思いますが、弱み克服型の育成スタンス
に慣れた日本人にはなかなか刺激的な話でした。
256投稿者:「銀色のコーチ」  投稿日:2005/02/04(金)06:31:53
カナダのトロントに住んでいる、私のコーチの年齢は73歳。
彼はとてもエネルギッシュで、コーチングに情熱を傾けています。
私とのコーチングセッションで、毎回のように「君と話すのは
とても楽しい」と言ってくれます。彼に一度、コーチとしての
資質についてたずねたことがあります。彼は即座に「経験」と
答えました。彼は最初ボートのローイングのコーチをしていました。
そして、次に企業のマネージャークラスのコーチになりました。
彼は、マネージャークラスへのコーチングと、エグゼクティブへの
コーチングはまるで違うと言います。マネージャーに対しては
コーチが教育する部分が多くある。しかしエグゼクティブになると、
エグゼクティブ自身の話す時間が多くなる。どちらもコーチングでは
ありますがやはりエグゼクティブのコーチをするようになるためには
充分な知識、経験が必要だと言います。彼はすでにビジネスコーチ
として20年近いキャリアをもっています。充分な経験を持ちながら
も、知識欲は旺盛で、私のコーチングについても興味をもって
いろいろ質問をしてきます。また、読書量も豊富で、毎回のように、
私にも本を紹介してくれます。彼から紹介された本を読むのも、
コーチングを受ける楽しみのひとつです。
257投稿者:「銀色のコーチ」  投稿日:2005/02/04(金)06:33:06
さて、私は今、シルバーエイジ(何歳からそう呼ぶのか定かでは
ありません。たぶん50歳以上)の方にコーチングを学んでもらう
プロジェクトに着手しています。これまで蓄積された経験や知識を
整理し、それを後進の成長に役立てる。後進をコーチする能力を
身につけ、若い人たちの成長に役立ちたいと思っている人たちに
向けてのプログラムをつくっている最中です。彼らがもっている
知識や経験が埋もれてしまうのはとても惜しいことです。ともすると
若い人たちはシルバーエイジの方々を敬遠しがちですが、それは、
コミュニケーションの機会がうまくもてないだけなのではない
でしょうか。コーチ・トゥエンティワンのコーチ・トレーニング・
プログラムには、50歳以上の方の参加が毎年増えており、この
機会に、彼らと一緒に、どうしたら後進に対して貢献できるか?
ということについて、研究したいと考えています。また、シルバー
エイジのコーチのネットワークを広げて、それそのものも楽しみたい。
貢献できる場や機会があることは、素敵なことだと思います
258投稿者:「花を咲かせる」  投稿日:2005/02/10(木)03:44:41
私はお酒が大好きで、20才を過ぎて父親と晩酌をするように
なってからこの歳までの20数年間、殆ど毎日お酒を飲んでいます。
10年ほど前から、定期的に人間ドックに行くようになりました。
そのたびにお医者さんから言われることは決まっています。
「太りすぎ、脂肪肝、血圧高め」「体重を落としなさい」
「休肝日をもうけなさい」その場では神妙に、はいはい、
わかりました、とは答えます。内心は今のままではまずいとは
わかっているのですが、かといって実際にダイエットするとか、
禁酒するとかいうように実際の行動に移したことはありませんでした。
昨年末の人間ドックでも血圧が高いことを指摘され、看護師さんから
詳しい説明を受けました。看護師さんは50歳半ばぐらいのきびきび
した女性です。私は机と椅子二つがやっと入るくらいの小さな個室に
通されました。「毎日日本酒を2合、10年間飲み続けると、血圧が
上昇することは医学的に証明されています。もしこのまま飲み続けると
高血圧の治療が必要になるのは確実だし、脳溢血や心筋梗塞などの
リスクも高まります。体重を落として、お酒は減らしましょう。」
ふんふんそうですか、わかってます。私は心の中で思いました。
そのセリフは毎回言われてますから。看護師さんは一息ついて、
それまで下を向いて話していた顔を上げて、今度は私の目を見ながら、
ぐっとこちらに迫ってくくるようなトーンで話しはじめました。
259投稿者:「花を咲かせる」  投稿日:2005/02/10(木)03:45:15
「桜井さん、これからじゃないですか。いままでも十分活躍してきたと
おもうけれど、40歳後半から50代。仕事がおもしろくなって本当に
活躍するのはこれからですよ。やりがいはこれからですよ。いままでは
種まき。やっとこれから桜井さんにとって本当の花が咲いて実になる
んじゃないですか。これからが楽しいんですよ。だから最高の
健康状態をつくって、毎日気分よく働かなきゃ!」今まで、
お医者さんや看護師さんから、このまま行くといかにひどい目に
あうか、という話は嫌というほど聞きましたが、楽しい未来に
ついて言われたのは初めてのことだったと思います。多少お説教
じみて聞こえはしましたが、看護師さんとの短いやりとりの間に、
いきいきと楽しそうに人生を過ごしている自分自身の映像が
目の前にパーッと広がりました。そのビジョンは、私の行動を
確実に変えました。今年に入ってから、体重と血圧のコントロールに
励んでいます。やっていることは、起床時、就寝時に体重と血圧を
計って記録すること。そして、20年以上続けていた晩酌をやめました。
体重は1ヶ月で約4キロ、血圧は5〜10mhg近く下がってきています。
どうも、私にとっての行動の源は、ネガティブな脅迫ではなく、
明るいビジョンの広がりにあるようです。
260投稿者:「ケイコーゥ、プリーズ」  投稿日:2005/02/18(金)12:44:12
昨年から今年にかけて、コーチ・トゥエンティワンのオフィスでよく、
こんな風にスタッフから声かけられます。「平野さーん、”ケイコーゥ、
プリーズ”という電話が来ています。代わっていいですかー」と。
この1年間で顕著な傾向として、外国の人からの問合せが増えたことが
上げられます。先日は、私が理事を務めていた国際コーチ連盟(ICF)の
副理事クリスティーンの紹介で、という男性から電話を受けました。
その人は関西に在住し、コーチとコンサルタントをやっているとのこと。
コーチ・トゥエンティワンとコラボレートして仕事ができないかという
オファーでした。その後、丁寧に英語と日本語で書かれた事業計画書が
送られてきました。次の日は外国に本部がある教育機関の人が尋ねて
きました。コーチングについてのカリキュラムについて相談。
コーチングを学ぶ場を広げたいので、コーチングのパイオニアと組んで
何かできないか模索したいというものでした。また、アメリカ商工会議所
が出している刊行書のライターから、コーチングのトレーニングスクールに
関する取材も受けました。個人からの問合せでも、コンサルタントの
ご主人と一緒に来日した人(本人も元コンサルタント)が、コーチングを
本格的に勉強したい、日本で英語によるコーチングの教育機関はないか、
と訪ねてきました。
261投稿者:「ケイコーゥ、プリーズ」  投稿日:2005/02/18(金)12:44:47
紹介で私のことを聞いてくる人は別として、いったいどこで、
私の名前を知ったのかと聞くと、国際コーチ連盟(ICF)の
コーチ照会サービスを利用しているとのこと。これは、国際コーチ連盟の
メンバーになると登録することができ、私は8年前から利用していますが、
こんなにも多くの人の問合せを受けるのは、最近になってからです。
ICFでは、何年も前から「グローバル化」というキーワードを掲げつつ
もこれまでは、実のところアメリカ国内のコーチたちの集団でした。
しかし最近、本当の意味でのグローバル化が進んでいるのだ
ということを実感します。今年もサンホセで第10回目の国際コーチ連盟
の大会(11/9〜11/12)が行なわれます。どうやら今年は歴史的に最大級の
ものになる予感。2000人集まることが予測されており、今から
盛り上がっています。さて、今朝もまた外国から電話が一本。
それも、朝ミーティングを予定していたイローナからです。「ケイコー、
ごめんなさい。今日の電話ミーティングはキャンセルさせてください。
今カナダは大雪で、サーバが全部ダウンしたの。この電話もかろうじて
つながっているの・・・ブツッ」昨年のトルネードのケース
(2004.10.6配信号)でもそうでしたが、海外がぐっと身近に感じられる
毎日です。
262投稿者:「敗戦の将」  投稿日:2005/02/23(水)20:37:16
企業の営業会議のオブザーブをさせていただくことがあります。
肯定的な雰囲気、活発な議論、迅速な決定、、より生産的な
会議にするためにどんな点が改善できるのかを知るためです。
オブザーブをしていて気がつくのは、明らかに2つのタイプの
営業会議があるということです。ひとつはそこに参加している
メンバーが萎縮し、発言を控え、互いにあまり関心を示さない会議。
もうひとつは、メンバーがリラックスしていて、果敢に意見を言い、
お互いをサポー トしあっている会議。営業会議に関していうと、
中間というのをあまり見たことがありません。どちらかです。
何がこの違いを生み出しているのか。幾つか要因はありますが、
最近ある企業の会議を見ていて、「ああこういうことか」と思った
ことがあります。要するに「盛り上がらない営業会議」というのは
「敗戦の将」を責めているわけです。「大阪は今月なんでこんな
数字だったんだ!」「なんで言われた通りにキャンペーンを実施
できなかったんだ!」参加者の目線は下へ下へと落ちていく。
それに対して「盛り上がる営業会議」では、「敗戦の将」を決して
責めずに、新たな目標設定を、その場で促している。
「3月のキャンペーン、どんな風に成功させようと思っている?」
「いつまでに、どれくらい新人のスキルを伸ばそうと考えている?」
263投稿者:「敗戦の将」  投稿日:2005/02/23(水)20:37:33
これはこれで厳しいアプローチだと思いますが、参加者は決して
下を向きません。「盛り上がる営業会議」をリードしていたある
複写機メーカーの支社長に、いつもこんな風に会議を運営している
のかと聞きました。支社長曰く「過去は変えられませんけど、
未来は変えられますから。だから部下に聞くのは徹底してこれから
どうするのかということだけです。過去は数字を見ればわかるわけ
ですし。」「仮に誰かをつるしあげたとしますよね。その人間は
必ず営業所に帰って自分の部下をつるし上げます。つるし上げの
連鎖が起こるわけです。そうすればあっという間に支社の雰囲気は
悪くなります。」この支社は現在全国9支社の中で、断トツで
トップの成績を上げています。塩野七生さんの「ローマ人の物語」
(新潮文庫)によると、ローマ帝国が比類なき大帝国を築き上げ
られたひとつの理由は、戦いに敗れた指揮官を決して責めなかった
ことにあるようです。責めれば軍が萎縮する。萎縮は自由な発想と
勇気を戦士たちから奪う。あなたの会社では「敗戦の将」を
どのように扱っているでしょうか?
264投稿者:「マッチさせる。そして似合う」  投稿日:2005/03/03(木)13:04:41
ご存知のようにアメリカの経営者は業種をまたいで就任します。
昨日まで、清涼飲料水の社長だった人が、次の日には
コンピューター会社の社長になる。コンサルタントが、
家電メーカーの社長になる。こうしてみると、社長には
社長として求められるコンピタンシーのあることがわかります。
在籍する会社における経験や業績によって決定されるわけではなく
社長としての能力で、評価され、判断されます。それは、
マネージャーも同じです。経験、業績と、マネジメントの
能力はまた別のものです。コーチの仕事の一つは、
社長やマネージャーのコンピタンシーを明らかにし、
その役割にいち早くマッチさせることにあります。
また、個々の特性を明確にし、役割を身につけるプロセスを
見つける、つまり、オーダーメードで役割を身につけられる
ようにします。たとえ、そこにコンピタンシーリストがあっても、
生身の人間が袖を通し、フィットさせることができなければ意味が
ありません。最終的には、オーダーメードの役割を着て、それが
似合う必要があります。
265投稿者:「マッチさせる。そして似合う」  投稿日:2005/03/03(木)13:05:33
コーチングは、クライアントと共にリストを作り、それを身に
つけたときの状態をビジュアライズし、それによってもたらされる
もの、失うかもしれないものを予測します。また、身につけた後、
その機能性について、振り返る時間ももちます。最終的に、役割を
装着自由な状態にして、コーチングセッションは終わります。通常、
ひとつの役割、たとえばマネージャーの役割をこなせるようになるのに
1年半以上かかると報告されています。(ハーバード大学における調査)
それを短縮させること。また、役割をより自由にこなすことが
できるようにすること。これらはコーチングのテーマとして、
しばしば扱われるものです。
266投稿者:「コーチング・アップ」  投稿日:2005/03/14(月)05:02:58
10年近く前のことです。私は今とは別の会社で横浜支社長という
立場で働いていました。あるとき、東京の本社から25歳の女性
スタッフが転勤してきました。彼女は明るく前向きでとても優秀、
一緒に仕事をするのが楽しみになるようなすばらしいスタッフでした。
私は彼女を多くのプロジェクトに参加させました。彼女もその期待に
応えてのびのびと仕事をこなしているように見えました。一緒に
働くようになって3ヶ月程経ったころ、夕方のオフィスで、彼女から
唐突に声をかけられました。
「桜井さん、話したいことがあるんですが、ちょっといいですか?」
二人きりで話すために、オフィスからエレベーターホールに出ました。
立ったままで向かい合うと、彼女はぽつぽつと話し始めました。
「桜井さんは、最初は一緒に盛り上げてくれるけど、あとは
ほったらかしで冷たい。最後は全部私に押し付けて、ずるいです。」
私にとっては、うまくいっていると思っていた部下から
思いもかけぬ話をされて、その瞬間はショックで何を言われている
のかよくわかりませんでした。しかし、それがきっかけとなって、
私と彼女とのコミュニケーションの量は飛躍的に増えていきました。
私たちは、お互いが理解するまでとことん話すようになり、
それとともに彼女はより多くの仕事をこなすようになっていったのです。
267投稿者:「コーチング・アップ」  投稿日:2005/03/14(月)05:03:55
彼女は、自ら私に働きかけることで、自分の働きやすい環境を
作り出したのです。後日、部下から上司に対するこのような働きかけを
コーチング・アップと呼ぶことを知りました。キャリア・アップして
いく人は、少なからずコーチング・アップを行っているものです。
能力の高い人は、仕事ができるだけではなく、コーチングアップも
うまいのだと思うのです。つい先日のことです。部下の一人から、
メールが来ました。メールのタイトルは、「今思っていること」
なんだろうと思って、少しどきどきしながら、メールを開きました。
そのメールには、私の仕事の指示の仕方などについての
フィードバックとリクエストが書かれていました。メールの最後は
次のような言葉で締めくくられていました。「私は、桜井さんに
適当にぞんざいに扱われている感じがします。」ガーン!
268投稿者:「コーチング・アップ」  投稿日:2005/03/14(月)05:04:20
10年前以上のショックです。部下の顔が思い浮かびました。
どんな気持ちでこのメールを書いたのだろうか?毎日どんな
気持ちで仕事をしているのだろうか?自分にとっては、
最も良い関係で働いていると思っている部下だったのですが、
あらためて、これまでのコミュニケーションについて
見なおすことになりました。頭の中で考えがぐるぐると回り、
その夜はあまり眠れませんでした。翌朝にかけて、私は二つの
ことを決めていました。まずは、時間を取ってこの部下と
とことん話すこと。部下が気持ちよく、より高い生産性を
あげられるような状態を作り出そうと思いました。そして、
自分のトレーニングのために「マネジメント・プログラム」の
コーチを受けること。私は、昔も今も、コーチング・アップの
うまい部下に囲まれているようです。
269投稿者:「リタイアメント・コーチ」  投稿日:2005/03/17(木)11:35:36
毎年、コーチングの仕事で来日する旧友コーチの家を訪問するため、
今サンタフェに来ているのですが、アメリカに来る飛行機の機内誌に
コーチについての興味深い記事が載っていたので
今回はそれを紹介します。

アメリカでは、「リタイアメント(退職)」というものは、
日本における定年退職とはまた一味違った「お祝い」「新しい
人生の出発点」として、特別な意味合いを持っています。
特に裕福な層にとっては夫婦で旅行三昧、ヨットで世界一周など
まさにこれからがハッピーな人生の始まりというニュアンスで
語られることも多いのです。しかし、バリバリのビジネスピープル
にとって、仕事を離れるのは、今までの地位、仕事、同僚、友達、
アイデンティティ、日常的な慣習のすべてを後に残し、新たな出発を
するということ。リタイアメント後、ぽっかり空いた穴を埋めるのは、
そう簡単なことではないようです。そこで、今「リタイアメント・
コーチ」の存在が注目されています。リタイアメント・コーチは別名
「アダルト・メンター」と呼ばれ、これからの人生を再デザインする
メンターとして捉えられているようです。
270投稿者:「リタイアメント・コーチ」  投稿日:2005/03/17(木)11:36:18
記事の中には、自分が経営
していたIT企業を大手に売り、バラ色のリタイアメントを送る
つもりが、四苦八苦・・・というケースで次のようなコメントが
紹介されていました。「コーチは、様々な課題を提供してくれる
ことで私がもともと持っていた情熱を再認識し、人生を再プラン
する際の大きな手助けになった。コーチはボランティア活動、家族
との新たなかかわり、趣味など私のゴールを明確にし、それに沿った
活動をデザインさせたのです。また、ビジネスの経験を活かし、
かつての同僚のメンターとしての仕事も始めることもできました。
自分ひとりでも同じことはできたと思いますが、おそらく3年
かかったと思います。コーチのおかげで半年でこれを実現する
ことができました。」

現在、日本でも退職後に仕事や人生の先輩として、「コーチ」
として活躍している人は増えていますが退職後の人をコーチする
というマーケットも、今後日本で大きく発展するだろうということを
期待させられる記事でした。リタイアメントコーチ・・・まさに、
人生再出発のスピードアップに大きな役割を果たすだろうと思います。
271投稿者:「一部上場企業社長の不満」  投稿日:2005/03/23(水)21:04:16
ある一部上場企業の社長のコーチングを始めました。一部上場企業の
社長のコーチングをするのは私にとって初めての経験です。いつもと
違った気負いを自分に感じながら最初のセッションに臨みました。
社長は話し始めました。「とにかくさ、うちの社員は人に感謝しよう
という気持ちが足りないんだよ!管理職も部下を育成しようと
気概に欠けるし!」50半ばのその社長は、社員に対する不満を
突然ぶちまけ始めました。正直に言って、これには面食らいました。
一流私立大学卒の一部上場企業の社長。知的な雰囲気を漂わせる
その面持ち。タイムマネジメント、ビジョンの構築といった
「前向きなテーマ」がまず口をつくのだろうと予想していたからです。
しばらく社長の話を聞いた後、切りかえしました。「でも、会社で
起こることの全ての責任は、なんだかんだいって社長にありますよね。
もし、あえて、全ては自分が引き起こした、という立場に立てば
どんな風に考えられますか?」一般的にインテリの社長はこの類の
質問を受けると、ふと我に返り冷静に状況を分析し始める、、、
はずでした。ところが、「俺のせいじゃなでしょ!だめなやつは
だめなんだよ!やるだけやってだめならいい人間を他から連れてくる。
それだけだよ!違う?」こちらも思わず反応してしまいました。
272投稿者:「一部上場企業社長の不満」  投稿日:2005/03/23(水)21:06:24
「よく、そんなことで上場企業の社長やってられますね!」それからの
30分は、なんとか「自責」にしようとする私と、「他責」に逃れようと
する社長との押し問答でした。出口が見つからないまま、後味の悪さを
残して、そのセッションは終わりました。セッション後、コーチング
導入の窓口をしてくださった執行役員に電話をかけました。そして、
社長がどんなバックグラウンドを経て、今日に至ったのかを聞きました。
社長の直属の部下だったこともある執行役員は昔を懐かしむかのように
話してくれました。かつて社内の不正が公けのものとなったときに、
社長は当時部長でありながら自ら矢面にたって、事件の解決に
あたったこと。社内のどろどろとした派閥争いを、一役員として
大変な想いをして収めたこと。会社が買収されそうになったときに、
一人で奔走し、何とか防波堤でその動きを食い止めたこと。
孤軍奮闘する社長の姿がありありと目の前に浮かびました。
2回目のセッション。全て聞く。何をどう社長が言っても、全て聞く。
社長のこれまでの「戦い」に敬意を表して全て聞く。
そう決めてセッションに臨みました。社長は1回目と同じように、
社員に対する不満を話し始めました。10分、20分、30分、
予定の終了時刻を過ぎても、全く意に介さないといった風に、
社長は話し続けました。40分、50分、、私の方が、セッションを
終えないと、次のアポイントに間に合わないという時間になりました。
273投稿者:「一部上場企業社長の不満」  投稿日:2005/03/23(水)21:06:57
しかしここは止めるわけにはいきません。許可をいただき一瞬退出し、
次のアポイントをキャンセルしました。結局2時間、社長は社員に
対する不平不満をぶちまけ続けました。そして、最後の最後に一言
こういいました。少し照れたような表情で。「やっぱり、悪いのは俺かな。」
それから、この社長とは10回以上のセッションを行っていますが、
ただの一度も社員の悪口を言っているのを聞いたことがありません。
一部上場企業のトップは、常に批判の矢面に立っています。先ごろの
退任された某電器メーカーの会長をはじめ。とことん彼らの側の
言い分を聞いてくれる人がそばにいたら、ひょっとしたら日経平均
株価はあと100円ぐらいは上がるのかもしれません。
274投稿者:「レッテルをはがす」  投稿日:2005/03/31(木)16:41:17
以前、ここで、ハーレン・アンダーソン(ナラティブセラピー
の第一人者)について紹介したことがあります。
彼女の口癖は「あなたってどんな人?」誰にでもこれを聞きます。
また、同じ人に何度でも聞きます。「あなたってどんな人?」
そう聞かれると、とりあえず通り一遍の答えをします。しかし、
また聞かれると用意がないのでちょっと苦しい感じがあります。
それでも、また次の日に「あなたってどんな人?」そう聞かれると、
自分がどんな人間なのか、思いをめぐらせてみたい気持ちになります。
また、「あなたってどんな人?」そう聞かれるたびに、自分に対する
興味を向けられている、関心をもってもらっていることが、嬉しく
思えるようになります。もうすぐ4月。新学期が始まります。
新入生、そして、クラス替え。クラス替えがあると、クラスの
新しい仲間はどんな人たちなのか、最初はみんな、様子見をします。
やがて、すこしずつ言葉を交わすようになり、やがてお互いが
どんなタイプの人間なのかを学習します。この友だちは「こういう人」
あの友だちは「こういう人」いくつかのレッテルを貼って、次からは
それを基に対応するようになります。そして、そのレッテルを基に、
お互いの距離を測るようになります。会社においても同じです。
275投稿者:「レッテルをはがす」  投稿日:2005/03/31(木)16:41:47
仕事ができる、できない。気が利く、利かない。お互いに、
さまざまなレッテルを貼ります。上司も部下に、部下も上司に
レッテルを貼ります。不思議な話ですが、一度レッテルを貼って
しまうと、事実よりもレッテルの方が、価値ある情報になって
しまいます。また、私たちは時間が経っても、同じレッテルを
貼り続けるものです。レッテルを貼るということは、その人に
ついて「わかっている」ことを意味します。つまり、一度
レッテルを貼ってしまえば、それ以上知る理由がないのです。
ですから、すでに知っている範囲で対応するでしょうし、すでに
「わかっている」のですから、改めてコミュニケーションを交わし、
自分の部下がどんな人なのかを知る必要がありません。それは、
人に対する興味を失わせ、相手の知るための努力やコミュニケーションを
低下させることになります。確かに頭では、部下についてすべて知って
いるわけではないと理解しながらも、人に対する興味は失せていく
のです。エグゼクティブやマネージャーとのコーチングセッションで、
部下について何を知っているか質問をすることがよくあります。
276投稿者:「レッテルをはがす」  投稿日:2005/03/31(木)16:43:39
また、次のような宿題を出すこともあります。部下の、

・強みはなんですか
・どんな価値観を持っていますか
・コミュニケーション能力はどうですか
・健康状態はどうですか
・睡眠は足りていますか
・今どんな気がかりをもっていますか
・どんなビジョンをもっていますか
・どんなときに嬉しいと感じるのでしょうか
・会社では発揮する機会はないが、
 他で発揮している能力はありませんか
etc
これらの質問に答えていく過程で、彼らは部下とコミュニケーション
を交わし、部下について具体的に知る機会を得ます。
277投稿者:「レッテルをはがす」  投稿日:2005/03/31(木)16:43:53
レッテルではなく、生身の部下は、どのようなことを考え、感じ、
行動しているのかを知り、人に対する興味を喚起するのです。
コミュニケーションとは、その場、その場で創り上げるものですが、
同時に、コミュニケーションは、それを交わす以前に、どのような
質問を自分の内側に持つかによって決定されるものでもあります。
頭の中にデータベースをもち、そこに新鮮な部下のデータを入れる。
そして、入れ替える。この作業が、人に対する興味、そして、
コミュニケーションの原動力となります。最初は、何を
知っていていて、何を知らないのかも知らないわけです。
職場だけではなく、家族や友人関係でも同じです。ぜひあなたも、
まわりの人について上に書いた質問に答えることから始めてみてください。
278投稿者:「今日一日が楽しみだ!」  投稿日:2005/04/12(火)13:51:50
「今日一日が楽しみだ!」毎朝そう感じられるような人生を
送りたいと思っています。確かに子どもの頃はやりたいことが
たくさんあって、毎日わくわく過ごしていたように思います。
ところが、いつ頃からか、その感覚はどんどん薄れていった感じがする。
今や、一日が楽しみに思えるのは、ゴルフに行くときだけ。
ところが行ってみたら行ってみたで、ラウンドしながらも
たくさんのやらなければいけないことが頭をかすめてしまうわけで、
人生のご機嫌度がどんどん低下しているよう感じてなりません。
先日、このコラムを一緒に書いている鈴木義幸さんと久しぶりに
話す機会がありました。「調子はどう?」「最高!」私たちの
会話はいつもこんなふうに始まります。「桜井さんの調子はどう?」
「最低!」「どうしたの?」「いやー。将来のビジョンがはっきり
もてないんだよね。鈴木さん、クイックコーチしてくれない?!」
「OK! じゃあね、桜井さん、とってもコーチっぽい質問しても
いいですか?」「もちろん!」「一切制限がないとして、桜井さんが
今もっているリソースを自由につかえるとしたら、何をしたいですか?
どんなことしたいですか?」その質問から始まったコーチングは
時間にすればたったの5分でしたが、私の霧を吹き飛ばすには十分でした。
279投稿者:「今日一日が楽しみだ!」  投稿日:2005/04/12(火)13:52:34
考えてみれば、コーチ・トゥエンティワンを立ち上げた当初は、
やりたいことがたくさんありました。当時は、日本にコーチングという
概念そのものがありませんでしたから、私たちの最初のミッションは、
コーチングそのものを多くの人に知ってもらうことでした。
「コーチ・トゥエンティワンの桜井です。コーチングについてご紹介
させてください」「コーチの桜井さんですね。それでは○日の○時に
お待ちしています」実際に会ってみると、担当者が「高知の桜井さん」
というメモを持っていたこともありましたし、バッグメーカーの
COACHに間違えられることもしょっちゅうでした。しかし、
そのたびに思うのです。次はこうしてみよう、ああしてみよう。
こんな人に会ってみたい。毎日がチャレンジの連続でした。
それから7年。現在、コーチ・トレーニング・プログラムの参加者は
4000人に近づいています。日産自動車や警視庁などの多くの企業、
公官庁がコーチングを取り入れています。コーチングは明らかに次の
段階に進もうとしています。ところが、この1、2年の私自身に
ついて振り返ってみると、一言でいえば守りに入っていたように
思います。つまり、「やりたいこと」ではなくたくさんの
「やらなければならないこと」に埋もれてしまっていたわけで、
ご機嫌なはずがありません。もう一度原点に立ち返って、日本に
コーチングを広めたい。マネージャーや経営者はもちろんのこと、
もっと多くの人にコーチングを知って欲しい。私には中学2年生と
小学校2年生の二人の娘がいますが、娘の担任の先生はコーチングを
知っていて欲しい。私が通っている、かかりつけのお医者さんにも
コーチングを知って欲しい。まだまだこれからです。マネジメント
だけではなく、教育にも、医療にもコーチングを広めたい。
コーチングとは相手の目標を達成させる、つまり相手をうまくいかせる
コミュニケーションのあり方です。どうも最近、自分さえよければよい
という風潮が日本社会の首を絞めているような気がしてなりません。
相手をうまくいかせるという考え方がベースにあるコーチングは
日本を変える可能性を持っていると思うのです。コーチングで日本を
変えたい。さて、今日は誰に話しに行こうかな。
280投稿者:「コーチは言葉のプロフェッショナル」  投稿日:2005/04/19(火)14:45:27
今から8年前、アメリカのコーチ養成講座のテキストの翻訳に
携わったとき、圧倒されたものがあります。それは、
「コーチング用語辞典(人生をより豊かにするための言葉集)」
というものでした。そこには、約350種類もの言葉の使い分けの
リストがあり、例えば、
「達成vs.結果」
達成は自分が生み出したことの結果。結果は単に行ったことの顛末。

「マネジメントするvs.コントロールする」
マネジメントの対象は人の行動や資質です。
コントロールの対象は相手そのものです。

というように、似た言葉の使い分け方についての記述が、
59ページも続き、驚いたものです。その年の12月にアメリカで
行われたコーチ養成のプログラムに参加したとき、初めてプロの
コーチと組んでコーチングを行う演習がありました。
281投稿者:「コーチは言葉のプロフェッショナル」  投稿日:2005/04/19(火)14:48:18
彼女と組んだときも、その言葉づかいの適切さに関心しました。
「あなたは困っているというけど、それは、
解決する方法を知らなくて、それを探しているのか、
知っていてそれを実行することができないのか、どっち?」

日本に特有の「気持ちでなんとなく通じる」というのに妥協せず、
会話を通じて明確にさせる。「コーチは言葉のプロフェッショナル
なんだなぁ」と実感したのを覚えています。さて、アメリカでは、
いまだにコーチとセラピストとの違いは何か、という議論があります。
先月国際コーチ連盟から、「コーチの仕事は、医療ではなく
ビジネスであることを理解してもらうために、次の言葉を使いましょう」
というガイドラインが発表されました。これもまた長いリストに
なっています。コーチングについての理解を深めるために、
「使う言葉」という切り口を使うのは、多言語のアメリカらしい
ところですが、非常に具体的で、すぐにでも活用できるという面では、
とても参考になります。コーチとして活動する上において、
言語化することは非常に重要なプロセスだと思います。
282投稿者:次の言葉を使いましょう  投稿日:2005/04/19(火)14:50:38
「コーチの仕事は、医療ではなくビジネスであることを
 理解してもらうために、次の言葉を使いましょう」

1: コーチの仕事を説明するときは、次のような言い方をすること
 × コーチは、あなたを援助、サポートする
 ○ コーチは、自己成長を促すための行動プランを共に作り出す


2:コーチングの成果について
 × コーチングを受けると、充実した人生を送れるようになる
 ○ コーチングを受けることにより前進し実際に行動できるようになる

3:クライアントが主導であることを伝える
〔セラピスト〕表面化させる 治療する 直面 調整する
 援助する 分析する 問題を解決

〔コーチ〕 集中する 優先順位をつける リクエスト 学ぶ
 完了する 責任を持つ 選択する 可能性
283投稿者:「体を張る」  投稿日:2005/04/21(木)02:44:13
先日、ものすごく久しぶりに、テレビを見ていて涙が流れました。
韓国ドラマを見ていたわけではありません。プロ野球の中継です。
巨人対ヤクルト。試合も後半になって、巨人は代打に清水選手を
送りました。清水選手は昨年はレギュラーメンバーとしてチーム一の
173という安打を放っています。(セリーグ全体でも2位)
しかし、今年はキャプラーという高額で獲得したメジャーリーガーの
控えに回り、ここまで6回代打に立っていますが、まだヒットは
一本も出ていません。解説者も、「清水もつらいでしょうね。
試合に出たいでしょうね。でもきっとその内、また彼が先発復帰
できる日が来ますよ。」しきりに清水選手の心情を察したような
発言をしています。その打席、清水はあわやセンターに抜けようか
という強いゴロを放ちました。しかしかろうじてセカンドが追いつき
ファーストに送球。きわどいタイミングでしたが、見た目には
明らかにセーフでした。しかし判定はアウト。解説者でさえ、
「今のは絶対セーフですよ!」と言い切っています。判定を受けて
一塁のコーチャーズボックスにいた広田さんというコーチが、
烈火の勢いで審判に挑みかかりました。大柄な野球選手に混ざって、
小柄な、本当にどこにでもいるようなおじさんに見える広田コーチが
「親の敵!」といわんばかりの激しい形相で激しく審判に抗議を始め
ました。
284投稿者:「体を張る」  投稿日:2005/04/21(木)02:48:05
解説者が「いや〜珍しいですね。あの温厚な広田さんが
怒っているのはじめてみましたよ。抗議して判定が覆る
ことがないのは広田さんが一番わかってるでしょう。
でも敢えてああやって抗議する。清水は救われますよ。」
下から突き刺すように審判を見上げ、大きく腕を上下させ、
大きな声をあげながら広田コーチは繰り返し繰り返し審判に
向かっていきます。周りの選手たちに制止されても、
彼はそれをふりほどいて、審判に食って掛かって行きます。
とめられてもとめられても、彼は抗議を止めません。
画面からは何を言っているのかはわかりませんでしたが、
「お前、今の一本が清水にとってどれだけ大切なものか
わかっているのか!」「一本のヒットがどれだけ清水を楽に
するのかわからないのか!!」「清水がどんな想いでこの間
すごしてきたのか知ってるのか!!」そんな言葉が口をついて
いるように見えました。怒鳴り続ける広田コーチと、その姿を
横で見ている清水選手を見ていたら、自然と涙が出てきました。
285投稿者:「体を張る」  投稿日:2005/04/21(木)02:48:22
その日はある企業での、1泊2日のコーチングトレーニングの
1日目でした。トレーニングが終わって施設の部屋に戻って、
たまたまつけたテレビに映し出されたのが巨人ヤクルト戦
だったのです。次の日、朝トレーニングルームに行って、
受講者に聞いてみました。昨日の広田コーチの抗議を見ません
でしたかと。三分の一ぐらいの人がそのシーンを見ていました。
一人の部長がいいました。「部下と信頼関係を築くのに大事
なのは小難しい理論じゃないんだよね。いざというときに
部下のためにどれだけ体を張ってやれるかっていうのが
やっぱり大事なんだろうな。」もう一人の部長がいいました。
「うちの役員にも見て欲しかったな。本当に、よくはしご外す
からな、あの人たち。」本気とも冗談ともつかないその発言に
会場はどっと笑いました。部下のために、子どものために、
クライアントのために、どれだけいざという時に体を張る
準備ができているか。私もふと想いを馳せました。
286投稿者:「イメージスコア」  投稿日:2005/04/27(水)21:07:22
『イメージスコアによる間接的相互依存の進化』
(※執筆者については下記を参照)という論文があります。
人間関係を損得だけで考えるなら、いつでも誰からも協力
してもらうだけの人が一番得をするはずです。しかし、
実際の人間関係は、単に1対1の関係で成り立っている
わけではありません。周囲には常に、その1対1の関係を
観察している第三者がいるわけです。その人たちは、人に
対して協力を惜しまない人を見て、心の中でそのポイント
を下げます。そのポイントを「イメージスコア」というのです。
彼らは、協力だけしてもらう人、または、誰かに協力を
しない人を見ると、心の中でそのポイントを下げてしまいます。
つまり「マイナスのイメージスコア」をつけているという
わけです。上記の論文は、コンピューターを100台以上つなげて
擬似の人間関係をつくりだす実験を行い、その結果をもとに
書かれたものです。会社の中、友達との関係、地域の
コミュニティーにおいて、自分のイメージスコアのポイントが
いくつくらいかを考えることは、なかなか興味深いものです。
もちろん、イメージスコアがすべてを叶えてくれるわけでは
ありません。当然、自ら他の人からの協力を仰ぐことも必要です。
また、自分の利益を優先させるべき状況もあります。
287投稿者:「イメージスコア」  投稿日:2005/04/27(水)21:17:06
ただ、その瞬間に自分のイメージスコアが下がることも
自覚していなければなりません。マイナスになったのであれば、
どこかでプラスにしておく必要もあるわけです。以前、
ソーシャルキャピタルについて、この WEEKLY COACH
で書いたことがあります。高い「ソーシャルキャピタル」は、
高い「イメージスコア」によって維持されます。また、
リーダーやマネージャーとしての資格に「イメージスコア」は
大切な要因になります。イメージスコアという概念がなかった
ときは、イメージスコアの低い人を、「利己的、自分勝手」と
いう言葉で非難してきましたが、イメージスコアという概念を
持ち込めば、イメージスコアの高低で評価することができます。
最後に大切なことは、たとえ今イメージスコアの値が低くても、
高くしていくことが可能だということです。
【 要約 】『 イメージスコアによる間接的相互依存の進化 』
執筆者:マーティン・A.・ノワク(イギリス、
オックスフォード大学、動物学科)
カリ・シグムンド(オーストリア、ヴィエナ大学、数学科)
協力行為は、大抵、自分に協力してくれた人に協力をお返しする
という直接的相互依存で成り立っている。しかしここでは、
間接的相互依存という協力体制についての考察を述べる。
288投稿者:「イメージスコア」  投稿日:2005/04/27(水)21:17:38
間接的相互依存とは、「見返りを期待しないで、ある人に協力を
しておくと、それを見ていた第三者に、後ほど協力をしてもらえる」
という構造である。つまり人は、「他人に対して協力した実績を
持つ人に対して協力する」という性質がある。人は、自分のイメージ
や地位を、人に協力することによって上げていくという政治活動を
行っており、そのイメージスコアは人間関係を築いていくうえで
非常に重要なものである。その間接的相互依存のメカニズムを
理解するために、単純化したモデルを使用したコンピューター
シミュレーションの結果を数パターン紹介する。基本形は、協力を
提供する提供者と、協力を受ける受け手がランダムに
ピックアップされ、協力行為のやり取りがされるというものである。
パターンによって、「決して協力をしない拒否者」と、
「人を見て判断する、つまり前回協力してイメージスコアが
1ポイントアップした人にだけ協力する偏見者」、「誰にでも
無条件に協力する者」に分けることができる。また、ピックアップ
された提供者と受け手のやり取りを観察して、提供者のイメージ
スコアを独自にもつ観察者を導入することによって、より現実社会
と近い状態にしてのシミュレーションも行われている。
間接的相互依存を基盤にした協力行為では、提供者になる者は、
他人を助けるために、ある特定のコストを受け入れるか、その
コストを避けるのかを、選ぶことができる。簡単に言うと、
コストを避けることは、高い見返りを避けることにもなる。
一方、利他的行為は提供者のイメージスコアを上げ、それゆえ
将来的に受け手になったときに出会った人から利益をこうむる
チャンスが増える。また、イメージスコアの低いプレイヤーを
蔑視して助けない偏見者は、自身のスコアを減点するという
報いを受けている。人間社会との関連性でいえば、第三者に
ついての情報は、直接的やり取りを必要としていないが、その人
を観察する、あるいは別の人と話すことにより、間接的に取り
入れることができる。そんな情報伝達という意味での人類の言語の
進化は、間接的相互依存を基盤とした協力行為の発生にとって
確かな助けとなった。
289投稿者:ファシリテーター  投稿日:2005/05/02(月)15:18:28
事前準備を万全にして会議に臨む。会議が始まってからは、
ファシリテーターが参加者全員の時間を預かることになる。
先ず、時間通りに始まり、時間通りに終了すること。
開始が5分遅れたら、参加者数×5分の時間が無駄になる。
終了の遅れは、次の仕事に影響し、遅れることが日常化すると、
大切な仕事を会議の後に設定することが出来なくなる。
決められた時間を効率よく使うために、ファシリテーターが
注意することは『ゴールを明確にする』『発言内容を要約して
伝える』の二点である。『ゴール』・・会議の初めに今日の目的
議題、決定する事項を参加者全員で確認する。この狙いは、
全員の意識をゴール達成の方向に向かせることである。
『要約』・・参加者は時として二つ以上の事柄を一度に、
また、主張したいことがまとまらないまま発言することがある。
ファシリテーターは「ご意見は○○ということですね」など、
発言を短くまとめて確認する。他の意見を聞く時も「Aさんの
○○という意見についてどう考えますか」と要約し質問する。
290投稿者:ファシリテーター  投稿日:2005/05/02(月)15:18:51
今日のGOALから外れた発言には「○○は、議題から
外れているように考えますが如何ですか」と軌道修正の
必要性を確認する。ファシリテーターは、討議が分散
しないように絶えず発言内容を吟味し、会議を進行していく。
会議の終盤には、今日の成果を全員で確認し、次回会議までに
参加者が実行する宿題を確認して、定時前に終了する。
要約する力もコーチングの中で養うことができるので
参考にして頂きたい。
291投稿者:「母と補聴器」  投稿日:2005/05/12(木)10:26:09
私には今年で82歳になる母親がいます。いまだに日本舞踊を教え、
習字を習い、毎月のように温泉旅行に出かけて行きます。
その矍鑠(かくしゃく)とした姿はうれしい限りなのですが、
さすがに老いには勝てずこの数年で耳が遠くなりました。
特にこの1,2年は顕著で、最近では耳元で大きな声で話さないと
確実には伝わらないという状態になってきています。
ところが、本人は、「大丈夫。聞こえは悪くなってはいるけど、
言っていることはわかるから」と言うのです。ときどき取り違えて
聞いていることがあるのですが、気丈な母はそれをなかなか認めません。
しかし、家族が感じているのですから、踊りを教えているときも、
友達との間でも、多少のすれ違いが起こっていることは想像に難く
ないわけです。補聴器をつけるという提案を母はしぶしぶ受け入れ
ました。「試してみて、よかったらつける」ということになり、
この連休中に補聴器を扱っているお店を回ることになりました。
最初に行った補聴器専門店。対応してくれたスタッフは、ご自身も
難聴で補聴器をつけています。「耳の聞こえない人の気持ちはよく
わかるんです」という言葉から始まった説明は、さすがに説得力が
ありました。検査の結果で母の聴力は、実際の音声の40%程度
しか聞こえておらず、聞こえていない部分は想像で補っていること
がわかりました。
292投稿者:「母と補聴器」  投稿日:2005/05/12(木)10:28:37
そのスタッフは「おかあさん、本当は聞こえていないんですよ。
想像で補って聞こえたつもりにしてしまう癖がついているんです。
だからときどき取り違えてしまうんです」隣で聞いていた私は
心の中で思わず拍手喝さいです。そのとおり。よくぞ代わりに
言ってくれました。これできっと母も補聴器をつける決断を
するだろう。説明は続きます。「この補聴器をつければ、
音そのものが80%ぐらいまで聞こえるようになりますから、
音そのものを聞くようにがんばってください。」その説明を
聞いた母は強い調子で言い返しました。「私は、いつも聞く
ように頑張ってます。」思わず、横に座っている母の顔を見ると、
うっすら涙を浮かべています。すべての説明が終わって店から
出た母は言いました。「この店では買わない、もうこの店には
こないからね」次の日に行ったのも補聴器の専門店でした。
スタッフは30歳前後の男性でした。補聴器はつけて
いません。前日のお店と同じような検査をし、出た結果も
同じでした。そのスタッフは結果のシートを前にして事務的な
調子で数値の解説をすませたあと、母にこんな話をしたのです。
293投稿者:「母と補聴器」  投稿日:2005/05/12(木)10:28:56
「とても81歳には見えませんね。しかも、現役で踊りを教えている
なんてほんとに素晴らしいです。僕も桜井さんのように歳をとりたいな。
この補聴器をつけると80%ぐらいまで実際の音が聞こえるように
なります。でも、会話が聞き取れるようになる人とならない人がいる
んです。会話の必要性がない人はなかなか聞き取れるようになりません。
その点、桜井さんは今でも踊りを教えたりお習字を習いに行ったり
していますから、必ず会話が聞き取れるようになりますよ。」母は、
このお店で補聴器を買うことに決めました。一方では、良かれと
思ってした激励が母のリセプターを閉じさせ、一方では、
さりげない承認とフューチャーペーシングが母のリセプターを
開きました。どちらのお店の説明もそれは確かに正論です。
しかし、人は正論だけでは動きません。まずは、相手のリセプター
を開くことが何よりも大切なのだと思います。
294投稿者:「課題にはまるか、コンピを上げるか」  投稿日:2005/05/29(日)23:37:09
成果を上げるには2つの方法があります。その課題の中にいきなり
入り込んで解決を図るか、それともその課題を解決するための
コンピテンシー(簡単に言えば必要能力ですね)をまず身につけよう
とするか。例えば、部下があまり業務改善の提案をしてくれない
という課題があるとします。どんな手を打てば部下は提案をして
くれるだろうかと考えるのが前者のスタンスです。一方、自分が
どんなスキルや知識が身につければ、つまり自分がどのように
パワーアップすれば、部下の行動が変わるだろうかと見るのが
後者のスタンスです。どちらも必要なアプローチだとは思うのですが、
採用されがちなのは前者のスタンスのようです。おそらくいち早く
課題をクリアにしたいからですね。後者は遠回りに見えるようです。
しかし、時には後者のアプローチを取る方がより早く成果を手にする
ことにつながることもあります。いや実はその方が多いかも
しれません。野球選手がシーズンオフのキャンプを経て、
大ブレークすることがままあります。昨年首位打者を取った広島の
嶋選手などはその典型です。それまでは鳴かず飛ばずのバッター
だったのが、いきなり「赤ゴジラ」と呼ばれ他球団に恐れられる
までのバッターに変貌する。その一方でシーズン中にいきなり
ブレークする人というのは極めて稀です。悪いシーズンは、最後まで
ずっと悪いシーズンのまま行ってしまうというのが多いようです。
295投稿者:「課題にはまるか、コンピを上げるか」  投稿日:2005/05/29(日)23:48:35
少し前に、社会人野球で鳴らした友人がこう語ってくれました。
「シーズン中は、なんとか打ちたいと思うからね。スランプから
抜け出すのはすごく難しいんだよ。目の前のピッチャーのボール
どうやったら打てるかって考えちゃうからね。そこいくと、オフは
いいわけよ。自分の足りないところを冷静に俯瞰するから。」
エグゼクティブの頭の中はある意味でいつもシーズン中です。
投げられたボールをどう打つかということに意識がいっていて、
自分のどこを伸ばせばボールが打てるかという考えを持つことが
実はなかなかできません。忙しいですし。そこで、コーチの私は
エグゼクティブに尋ねるわけです。「課題に飛び込みたくなるのは
わかります。が、今はエベレストのように見えるその課題が
筑波山ぐらいに見えるようになるためには、まずどんな能力を身に
つける必要があると思いますか?」と。先日、ある会社の社長さんの
コーチングをスタートしました。年齢は80歳を超えられていますが
まだまだ現役です。1000人を超える社員の前で、毎週訓示を
伝えられていると聞きます。彼にどんなテーマでコーチングをすると
いいですかと尋ねたところ次のように答えてくれました。
296投稿者:「課題にはまるか、コンピを上げるか」  投稿日:2005/05/29(日)23:49:13
「社員に毎日楽しんで仕事をしてほしいと思ってるんです。
それには、私がまず自分のことをもっと良く知らないといけないですね。
どういう時にいらいらするのかとか、どういう時に調子がいいのかとか。
少し怖いですが、自分発見をしたいと思いますよ。」優れたリーダーは
幾つになってもコンピタンシーを高めることに意識があるものだなと
思った次第です。みなさんは目の前の課題に飛び込みますか?
それとも課題を乗り越える能力を身につけることをまず考えますか?
297投稿者:「パーソナルゴール」  投稿日:2005/06/02(木)11:10:33
私たちの関心事とは、自分に関わることであり、それ故、自分に
関わりの薄いものに対する関心は、おのずと薄くなります。
企業の経営者が、会社の目標や目的をどんなに力説しても、
社員の関心事は「それで、私はどうなるの?」にあります。
会社のことをないがしろにしているわけではありません。
しかし、社員の関心事は「私の行く末」なのです。有能な
マネジャーは、そのことをよく心得ています。ですから、
目標を設定するときも、決して会社の意向を前面に押し出す
のではなく、本人の意思を確かめます。「今月の売上目標は?」
「300万円」平均的なマネジャーは、ここで「よし、
がんばれよ」で終わります。しかし、いいマネジャーは続けて
質問します。「それを達成すると、君にとってどんないいことが
ある?」それから「その目標を達成した、その先には何がある?」
いいマネジャーは、最初に部下の「私はどうなるの?」に応えます。
それをハッキリさせるために時間をつかうのです。組織には組織の
ゴールがあります。そして、組織に働く人にはすべてパーソナルな
ゴールがあります。100人の社員がいれば、100のゴールが、
1000人の社員がいれば、1000のゴールがあるのです。
298投稿者:「パーソナルゴール」  投稿日:2005/06/02(木)11:10:54
組織のゴールは、社員ひとりひとりのパーソナルゴールが達成
されることで初めて達成が可能になります。だからこそ、組織の
マネジャーやトップは、社員ひとりひとりのパーソナルゴールを
理解し、その達成をサポートすることを求められます。
トロント在住の私のコーチは、ある日、大企業の社長との
コーチングセッションのとき、彼の秘書を部屋に呼んでもらい、
彼に聞きました「彼女がどんなゴールをもっているか知って
いますか?」クライアントは、「知らない」と答えました。
そこで彼は、クライアントに対して、「彼女が自分のパーソナル
ゴールを達成することをあなたがサポートしなければ、彼女が
あなたの本当のゴールを理解し、その達成をサポートしてくれる
ことはない」そう伝えたそうです。それがどんな目標であっても、
それを達成する必要を個人が感じ取らなければなりません。
単にコミットメントを要求するだけでは充分ではありません。
その目標が、まさに自分の目標であり、それを達成するために、
個人が情熱を傾けようとしなければ、より高い目標を達成する
ことはできないのです。マネジャーやトップに求められる能力とは、
単にコミットメントを上げるだけではなく、個人の情熱を引き出す力
なのかもしれません。
299投稿者:システムエンジニアNさん  投稿日:2005/06/02(木)11:14:07
私の周りにネイティブコーチかな?という友人がいます。
休日にその友人とサッカーをすることがあるのですが、
私は結構下手なので、彼がよくアドバイスをくれます。
そのアドバイスの仕方が、コーチ的だな、と最近気づきました。
プレー中に、うろうろしている私に、いろんな人が、こうした
ほうがいい、ああしたほうがいいと指示をくれます。
たとえば、私がボールをもらおうとうろうろしていると、
よく他の選手と同じ位置に行ってしまいます。
そんなときに、「かぶっちゃだめ、もっとうまく動け!」と
言われても、なんとも困ってしまいます。
はじめからうまく動こうと思ってその場所にいるわけですから。
一方、その友人はそんなときに、こんな風に聞いてくれるのです。
300投稿者: 投稿日:
301投稿者:システムエンジニアNさん  投稿日:2005/06/02(木)11:14:25
「二人そこにいると、ボールがそこにきたとき、どんな状況に
なっている?ボールをもらえるのは、一人だよね。ディフェンスも
そこに集まってるよね。他の場所はどんな状況?」
「そうだな、私がディフェンスを一人引き寄せると、状況がよくなる
かもしれない!」「それはすごく助かるよ!」こんな風に今の状況を
認めてくれた上で、さらに役立つプレーをするにはどうしたら
いいのかをひきだしてくれ、ボールに触らなくても、チームに貢献
できるということを気づかせてくれるのです。それからわたしは
こんな質問を自分に投げかけながらプレーしています。
「自分らしく役立つには今何をしようか?]そんな彼は、
ネイティブコーチだな、と私は思っています。
302投稿者:「約束するということ」  投稿日:2005/06/10(金)03:07:03
私は、28歳のときに中学校の教員を辞め、コミュニケーションに
関する研修を行う会社に転職しました。入社して初めて、大きな研修を
一人で担当することになったときのことです。その研修の初日には、
「約束」と「目標」が大きなテーマとして扱われることになって
いました。「約束とは何か?」 「目標とは何か?」約束しても
破られることがある。目標を決めても達成しないことがある。
レクチャーの原稿を書こうとして机に向かったものの、それまで
わかったつもりでいたのに、いざ書こうとしてもまったく筆が
進みません。考えれば考えるほど混乱していきます。私は、
考えあぐねた末に、私のファシリテーションの先生でもあった
上司に相談しました。「約束するとはどういうことなんでしょう。
目標とはどのように違うのですか?」「単に頭でわかりたいの?
それともその違いを体験的に知りたいの?」「もちろん、
体験的に知りたいです」すると、上司は言いました。「だったら、
今、この場で僕と約束しよう」今日から1週間以内に3件の研修の
契約を取るという約束をする。約束が守られなければ、今回の
研修講師は降りる。「そんな約束はできません。1週間以内に
3件の契約をとるなんて、できるかどうか、わかりません」「ほら、
目標と約束はぜんぜん違うものだろう。理解した?」「なるほど、、、
そうですね。よくわかりました。ありがとうございました」
303投稿者:「約束するということ」  投稿日:2005/06/10(金)03:07:22
私は、少しほっとしてその場を立ち去ろうとしました。「ところで
桜井くん、約束を体験したいんだろう? 今の約束、僕としようよ」
「え? そんな約束は無理です」「約束には二種類あるんだ。
自分との約束と人との約束。自分との約束を守れるようになると
人生で多くのことが実現する。でも、自分との約束を守るのは
なかなか難しいから、最初は人との約束から始めるんだよ。僕と
約束しよう。」「約束して、できなかったらどうするんですか?」
「それは最初から約束じゃなかっていうことだね。約束は果たす
ものだよ」「簡単にハイとはいえません。少し考えさせてください」
そして1時間後、私は決断し、上司と約束をしました。そして
1週間後、私は約束を果たしました。その1週間は、とても気分が
よかったことを、今でも鮮明に覚えています。もちろん、ときどき
不安がよぎるのですが、その度ごとに、もう一度自分の中で約束を
しなおすのです。そのときに感じるのは、プレッシャーではなく、
約束を果たしたときの気持ちのよさや晴れやかさ。それは約束を
したその瞬間に自分の内側に起こるものだということを知りました。
その1週間は、私の「約束」に対する捉え方を変えました。約束は
それがどんなに小さな約束であったとしても、人生を豊かにするのだ
と思います。今日、誰かに約束をしてみませんか?
304投稿者:「肯定質問を創りだす」  投稿日:2005/06/23(木)10:55:28
「ラ・ボエム」というイタリアンのお店があります。
チェーン展開していて、青山、白金など都内各所にお店があります。
最近はテレビなどで紹介されることもよくありますが、
有名になる前からよくパスタを食べに行っていました。
行き始めたのは10年ぐらい前でしょうか。このお店の特徴は、
とにかく店員さんが、お客様を楽しませようという気持ちに
溢れているというところにあります。カルボナーラを注文すれば、
運んできたときに「今日は気持ちを込めて黒胡椒をふって
おきましたから。」カクテルを注文すれば、「このカクテルを
飲むと、情熱的になりますよ。」それを皮切りに会話が弾むわけです。
当時から研修の仕事をしていましたから、人材育成には興味が
ありました。それで、仲良くなったひとりの店員さんに聞きました。
「みなさん、すごくサービスいいですよね。会話がすごくうまいし。
なんか研修とかしてるんですか?」答えはこうでした。「いえ、
研修は特にないんです。ただ、お客様のテーブルに行ったら、必ず
なんでもいいから、お客様に楽しんでいただけるような話を
してきなさいとは言われてます。だから考えるんですよね。
どうすれば、楽しい会話ができるかなって。」一方、先日ある
スーパーマーケットの管理職の方と話していたらこんな話が出ました。
305投稿者:「肯定質問を創りだす」  投稿日:2005/06/23(木)10:56:29
「とにかく命令調で怒鳴っちゃう店長がいるんですよ。
『元気に挨拶しろ!』って。そうすると、店員は怖いから、
だれにもかれにも大きい声で挨拶しちゃう。でも違うと思うんですよ。
下を向いてとぼとぼ歩いているおばあちゃんには、小さく語りける
ように挨拶した方がいいかもしれないし、赤ちゃんや幼児に対しては
にっこり微笑みかけるように挨拶した方がいいかもしれない。そういう
臨機応変な接客ができなくなるんですよね。」人の行動を生み出す
要因は様々ありますが、中でも大きいのは、内側で自分自身に
どんな問いかけをしているかです。朝会社に来るときに、重い
トーンで「今日の会議は何時間続くんだろう?」「今日は上司に
何言われちゃうんだろう?」という質問を自分に投げかけている人
と、快活な響きで「どうやったら今日は効率よく楽しく仕事が
できるだろう?」「今日周りの人たちに自分が与えられる影響は
どんなものだろう?」と語りかけている人とでは、自ずと生まれる
行動は違います。ですから、上司、親、先生など、人を指導育成する
立場にある人に課せられる一つの役割は、いかに肯定的な問いかけを
相手の中に内在化させるかということになります。
306投稿者:「肯定質問を創りだす」  投稿日:2005/06/23(木)10:57:00
スーパーの店長さんのように、強く指示命令を与えてしまうと、
おそらくそれを聞いた店員さんの内側には、
「大きな声を出さなかったら店長に
なんて言われてしまうんだろう?」という否定的な質問が生まれて
しまうでしょう。結果として、画一的な、どこか張り詰めた
マニュアル対応を誘発することになります。一方「ラ・ボエム」の
ような環境にいると、「もっとどうすればお客様を楽しませることが
できるだろう?」「どんな会話をお客様は望んでいるだろう?」
という肯定的な問いかけが店員さんの中に生まれる可能性が高い。
創造的で、場に応じた接客がそこには誕生します。自分は相手の中に
否定質問を創りだす存在か、肯定質問を作り出す存在か、
どちらでしょうか?
307投稿者:「優れたコーチは日夜それを考える」  投稿日:2005/07/07(木)01:34:32
1ヶ月ほど前から、週に2〜3回、自宅のそばの区営プールで
泳いでいます。目的はダイエット。ビールを飲む代わりに、夜の
8時ごろから1時間ほど、泳ぎに行くことにしたのです。
とはいうものの、最初は出かけていくのが億劫で、重い腰を
あげるのにかなりの「努力」が必要でした。ところが最近では、
「泳ぎに行きたい」と思うようになっているのです。それには
いくつかの要因があります。体重が少しずつ減っている。泳いだ
次の日の朝は、確実に何グラムかは減っています。この1ヶ月で
2Kgほど体重が落ちました。少しずつ長く、楽に泳げるように
なっている。泳ぎ始めたときは、25mプールを往復するだけで、
ぜーぜーはーはー、一呼吸置かなければならないような状態でした。
それが、少しずつ距離が伸び、楽に泳げるようになってきています。
308投稿者:[優れたコーチは日夜それを考える」  投稿日:2005/07/07(木)01:34:52
なおかつ、泳ぎ終わったあとのちょっとハイな爽快感は、ビールを
飲むよりも魅力的。こうなってくると、「今日も泳ぎたい!」という
気持ちになってくるわけなのです。以前、NHKの特集番組で
プロ野球の「王選手」について取り上げている番組を見たことが
あります。一本足打法で有名な王選手。真剣での素振りで畳が
すり減った、などの逸話が物語るように、王選手といえば「努力、
精進」というイメージが強いのですが、どうも最初からそうでは
なかったらしい。ピッチャーからバッターに転向した王選手は、
バッティングフォームに独特の癖があって、いくら練習をしても、
結果につながらず、だんだんと練習嫌いになっていったというのです。
そのころの王選手についたあだ名は「なまけもの」。その後、
荒川コーチの指導のもとで、バッティングフォームの改良を重ねて
いくことになります。少しずつ一本足打法に近づいていくのですが、
その過程を王選手は「練習すると、それだけ打てるようになる、
結果が出る。だからまた練習したくなるんです」と話していました。
私たちは相手に対して、ついつい努力や頑張りを強いてしまいがち
です。目の前にいる相手がどうやったら最初の小さな成功を収める
ことが出来るのか?優れたコーチは日夜それを考えているのだと思います。
309投稿者:「無限の組み合わせで学習する」  投稿日:2005/07/15(金)16:04:19
先月の WEEKLY COACH で、アメリカの人材育成のカンファレンスでの
体験をお伝えしました。自分の学習スタイルを明確にする学習支援ツールが
いくつもあり、アメリカの研修の現場では、学習スタイル別に研修を
行うと聞いて驚いたのですが、それ以降、自分はどんな学習スタイルを
持っているのか、というのを模索するのが日常的なテーマになっています。
コーチ・トゥエンティワンで行っているコーチ・トレーニング・プログラム
(CTP)は、電話会議システムを使って20人が集い、「クラスコーチ」
という講師のリーディングのもと55分の授業を行っています。
電話会議ですから、たくさんの人と同時に話をすることができます。
つまり、耳で参加する会議のようなものです。私はクラスコーチを
やっていますが、毎回、脂汗がでるほど必死になります。
まず、 参加者がご自身の名前を言っても覚えられない。発言された
ことを理解し、覚えておくために血眼でメモを取る。でも、メモは後で
読み返してもよくわからない。周りでちょっとでも音がすると気が散って
動転する・・・など。同じクラスコーチでも、メモひとつとらず、
相手の発言を完璧にリピートすることができる人がいて、どうすれば
自分がその領域に達するのだろうかと思っていました。しかし、
学習スタイルのテストをやってみて、自分の「聴覚」のスコアが著しく
低いのを発見し、納得がいきました。耳から聞いた指示は覚えていないけど
メールでもらったのは忘れない、など思い当たることがたくさんありました。
310投稿者:「無限の組み合わせで学習する」  投稿日:2005/07/15(金)16:06:23
逆に私のスコアが高いのが「触覚系」。物事を学習する際に体験して
身につける傾向がある、というのを知り、自分がとにかくやってみないと、
後先がわからない、と思っていることが、ここから来ていることが
わかりました。周りの人たちにも学習スタイルについて聞くと、
聴覚系の人は「一番自分が勉強できたのは、ラジオ英語会話を
聴いたとき」であるとか(私にはありえない話!)
「試験勉強は語呂合わせで覚えるのが好きだった」(言語感覚系)
「ノートはとにかく図解して残していた」(視覚系)など、
それぞれ得意なやり方が違っていて、それはその人の学習スタイルと
マッチしていた、というのを知り驚いています。一番面白いのは、
それぞれのスタイルを「だから他の人もそうあるはずだ」と自動的に
思い込んでいることでした。ここに「Learning and teaching styles
in Engineering Education(技術系の教育における学習と教育スタイル)*」
という論文があります。そこにはこうあります。
「学生はいろんな方法で学びます。 見る、聞く、反復する、
理論的に理解する、暗記する、視覚化する、 例えに置き換える、
数学的モデルに置き換える、などを通じて・・・。
311投稿者:[  投稿日:2005/07/15(金)16:06:40
 教師はいろんな方法で教えます。講義で、ディスカッションで、
論理を教えることで、応用を教えることで、 暗記させることで、
考えさせることで・・・。 学生がいかに学べるかは、
 学生の潜在的な学習スタイルと教師のティーチングスタイルの
 組み合わせによって決定づけられる」学び方と教え方の組み合わせで
何通りもの学習方法があることを思うと、それだけでワクワクします。
「学ぶ」ということの面白さを、50歳近くなって初めて知ることに
なったような想いです。コーチも「その人特有の学習のスタイル」を
見つけることから始めてみることなのだと実感しています。
312投稿者:「若手にビジョンを語らせる」  投稿日:2005/07/21(木)01:32:05
今朝(7月20付け)の日経新聞読まれましたか?1面に
『会社とは何か』という特集記事があります。その中に、大卒者の
3割が入社3年で離職するという数値が記載されています。
多大なコストをかけ採用した新人を、いかに社に定着させるかは、
今、多くの企業にとって緊急に解決すべき課題となっています。
そんな企業のニーズを反映してでしょうか。昨今弊社には、
3〜5年目の社員に対して、改めて自分のキャリアを見定めるような
研修を実施してほしいという依頼が多く来るようになりました。
先週も、ある企業で、3年目の若手を対象に、「未来のビジョンを
構築する」というワークショップを行いました。受講者と話していると
わかるのは、要するに、彼らは「漠然とした」不安を抱えていると
いうことです。すごく会社が嫌なわけでもないけれど、この会社に
ずっといることが正しい選択であると自信を持っていえるわけでもない。
なんとなく晴れやかでないというような状態が続いているわけです。
このワークショップの一つの「売り」は、2人でペアになり、片方の
人がもう一方の人に対して、30分間、自分のビジョンについて
話し続けるというエクササイズ(実習)です。30分経ったら役割を
交代します。そして、今度はさっき聞き手にまわっていた人が、自分の
ビジョンを30分話し続けます。たいてい、30分ビジョンを話し
続けてくださいというと、「え〜っ!」というどよめきが漏れます。
313投稿者:「若手にビジョンを語らせる」  投稿日:2005/07/21(木)01:33:04
先週もそうでした。「30分も話すことないですよ。」
これに対してモチベーションをかけるのが私たちの仕事です。
先週はこんな風に言いました。「話したいことがあるから話すのでは
なくて、話しているうちに話したいことが湧き出てくる。そんな
スタンスで話してみてください。」「大事なのは止めないことです。
例え、ああもう出ないなと思っても、決して雑談を始めるようなことは
しないでください。」「同じことを繰り返し話しても構いません。
話しているうちに芋づる式に内側に眠る言葉が引き出されて
いきますから。」実際、本田宗一郎さんも、アインシュタインも、
およそクリエイティブといわれる人は、誰かに自分の考えている
ことをしゃべりながら未来を描いていったという人が多いようです。
マン島のレースで優勝したバイクも、相対性理論も、孤独な思索の
果てに生まれたものではなく、周囲に想いを話す過程でだんだんと
形になっていったらしいのです。つまり、人は思っていることを
話す以上に、話している内に思っていることに気が付く。そんな
側面が多分にあるわけです。ワークショップの受講者に、30分の
ビジョントーキングの後、感想を聞きました。多くの参加者が
上気した顔で、次のように語ってくれました。
「もう一度真剣に仕事と向き合ってみようと思いました」
314投稿者:「若手にビジョンを語らせる」  投稿日:2005/07/21(木)01:34:20
「この会社の中ではもうやりたいことなんかないと思っていたの
だけれど、それがあることに気が付きました」「そもそも
なんでこの会社を選んだのか久しぶりに思い出しました」
企業の若手に、上司に対する不満は何かというリサーチを行うと、
一番はたいてい「自分の将来に対する想いを上司は聞いてくれない」
というものです。だから彼らの内側のもやもやはそこに停滞した
ままとなる。一方、若手の離職率が高くなればなるほど、上司は
彼らの将来に耳を傾けるのは「パンドラの箱」を開けるようなものだ
と思ってしまいますから、余計に彼らの将来に向き合うことを
避けてしまう。悪循環ですね。しかし、実際には、このワーク
ショップでやっているように、思い切って彼らに話す機会を与えて
しまえば、彼らは自分自身でその会社の選択理由を見出す可能性が
高いようです。もちろん、話す中で、他社を選んでしまうかも
しれません。ですが、それでも、平均離職率は30%より下がると
思うのですが。思い切って若手の話を聞いてみませんか。
手遅れになる前に。
315投稿者:「コーチは努力させない」  投稿日:2005/07/28(木)00:24:50
「努力が足りない」という言葉は、「お前は人としての価値に乏しい」
という意味とイコールなのかもしれません。何か事を成すことが
できないのは、努力が足りないから、または、怠けているからという
ことになるのでしょうか。親や先生、上司やコーチの仕事は、
子どもや部下に努力させることではありません。彼らを観察していて、
彼らのできていることに目を向ける。そして、できていることが、
どこへ向かっているのか、どこから来ているのかについて話します。
要するに、できていることを話題にするのです。得意や強みに特に
こだわる必要もありません。今できていることを「話題」にする。
そして、彼らがもっとうまくやってみようという気になるのを待つ。
やがて、少しでも違いを生み出したら、また、それを「話題」に
する。話題にすることによって、それまで何気なくやっていたことを
意識するようになります。私の現在のコーチは、以前はローイング
(ボート)のコーチでした。カナダのオリンピックチームをコーチ
していた経験があります。彼が、金メダルをとる選手と銀メダルを
とる選手の違いについて話してくれたことがあります。
316投稿者:「コーチは努力させない」  投稿日:2005/07/28(木)00:25:38
「金メダルをとる選手は、コーチに言われるまでもなく、毎日確実に
練習メニューをこなします。だからといって、決して練習をしすぎて
しまうこともない。彼らは、自分のペースで目標に向けて、確実に
練習をこなすのです。一方、銀メダルになる選手は、コーチから
見ると、ちょっと練習が足りないと思うときがある。また、逆に
練習しすぎて疲れてしまうこともあるのです」「努力できない」と
思う背景には、自分には何もコントロールすることができないという
思いがあります。勉強、仕事、なんであれ、少しでも自分の意志で
コントロールできるようになると、それは自信になり、より大きな
チャレンジと努力につながります。努力は、強要するのものではなく、
まず最初に、コントロールできるようにするのです。その最初の
ステップは、コントロールする対象を意識させることにあります。
意識することで、コントロールできる部分が見つけやすくなるからです。
誰にでも、努力する能力はあります。それを狭い範囲で限定してしまう
のではなく、努力する楽しさや、面白さを実感できるところへ運ぶのが、
コーチの仕事です。その場合、本人は努力しているとは思わないの
かもしれません。
317投稿者:「デビルズ・アドボケイト(悪魔の提唱)」  投稿日:2005/08/26(金)00:36:51
管理職向けのコーチング研修を始めて、かれこれ7年になります。
この間、一体何日ぐらい研修をしたのだろうかとふと気になり、
過去の手帳を引っ張り出して、数えてみました。(夏休みでしたので。)
全部でざっと1000日。ほぼ3年間毎日やった計算になります。
さて、1000日もやっていると、研修のリーディングの仕方も
ずいぶん変わってきます。研修の時に「良い上司とはどんな上司だと
思いますか?」という質問を受講者にすることがあります。
始めて間もない頃は、アクシデントが怖いわけですね。こちらの
筋書きに沿ったことをなるべく受講者に言って欲しい。ですから、
温厚そうな、前かがみで座っている、よくうなづいてくれる人を
わざわざ見つけて、聞くわけです。そうすると「やはり、よく
部下の話を聞く上司じゃないでしょうか。」なんて、こちらの
予想通りのことを言ってくれて、「よし、よし順調。」などと
心の中でVサインを出していました。ところが、こちらの主旨に
沿った意見ばかりが出るようにコントロールしていくと、研修も半ば
過ぎた頃になって、「でもこの忙しい中、どうやって部下の話を
聞く時間を取るんですか。俺は納得できないな。」などという、
反発心丸出しの意見が飛び出したりします。自分にとっては全くの
不測事態。心の中で十字架を切ります。それをきっかけに、収拾の
しようのない大騒ぎになることも時としてありました。
318投稿者:「デビルズ・アドボケイト(悪魔の提唱)」  投稿日:2005/08/26(金)00:47:02
しかし、回数を重ねるに従って、そのようなリードはしなくなりました。
例えば、一人の受講者が「部下の話を聞くことはとても大事だと
思います。」と言ったとします。そうすると、「本当にそう
思われますか? 部下の話を聞いたりなんかしたら、それこそ
時間がかかって大変じゃないですか?」「部下の話を聞かずに
業績を上げているマネジャーもたくさんいますよね。それに
ついてはどう考えますか?」あえて反論を投げかけます。
問い詰めるようにではなく、「少し一緒に探求しましょうよ。」
というトーンで。受講者は意表をつかれるわけですが、そこで
はたと考え始めます。「本当はどちらがいいんだろうか」という
ことについて。日本では、管理職といえども講師の意図を汲んだ
意見を言ってしまう人がわりと多いようです。ですから、発言者が
本当に心から信じて言っている場合でなければ、こちらの「確かに
そうですよね」などという同意はあまり意味を持ちません。表面的な
ボールが往復するだけですから。つまり、安易な受け入れは、発言者の
考える機会を奪うことにもなりかねません。それに、20人受講者が
いれば必ずいる2〜3人の批判分子を勢いづけることにもなりますし。
相手の意見にあえて反論を投げかけることを、英語では、Devil's
Advocate(悪魔の提唱)といいます。2つの正反対の意見を内側で
吟味するというプロセスを通して、「なんとなくそういうものだろう」
319投稿者:[デビルズ・アドボケイト(悪魔の提唱)」  投稿日:2005/08/26(金)00:47:25
というところから「確かにそれだ」というところに移行する可能性が
高まります。コーチの役割は相手に考えさせることにありますから、
最終的に相手がどちらを選ぶかは実はそれほど重要ではないと
思っています。なんとなく最近のトレンドに乗って選んでしまう
のではなく、他の可能性もじっくり吟味してもらう。その上で、
「やっぱり指示命令だ!」と決めるのであれば、それはそれで力が
あるでしょう。(実際には「聞く」と「聞かない」を冷静に吟味して
いただくと、「聞く」という結論に到達するマネジャーが多いのも
事実ですが。)いつでもこの方法が使えるわけではないと思いますが、
良いコーチは「安易に同意しない」というオプションも持っています。
相手の「内なる対話」を誘発させるために。

デビルとはいいますが、本当はエンジェルの主張だと思っています。

320投稿者:「部下を知っていますか」  投稿日:2005/09/02(金)02:55:46
人を評価するとき、「好きか、嫌いか」で判断する場合が少なく
ありません。または、「損か、得か」「敵か、味方か」。
一度「好きか、嫌いか」のように二極化して結論を出して
しまうと、それ以上に相手を知る必要がなくなってしまいます。
「だって、嫌いなんだから」。私はつい最近、この言葉を十代の
若者ではなく、五十代の会社経営者から聞きました。
さて、部下とうまく行かない上司、上司と馬が合わない部下、
どんな組織にも、またどんなチームにも、対立の問題は
起こっています。何度となく、この問題をテーマに話す
機会がありました。そこで、対立している相手のどの部分が
受け入れられないのかについて訊ねるのですが、理由は
たいてい曖昧です。その実、嫌っている相手について知っているか
という質問に対しては、偏った答えしか返ってきません。
もちろん通り一遍の趣味や、家族関係、職歴などなどについては
知っています。また、仕事における能力については、それなりに
理解しているようです。しかし、それ以上のこととなると、
ほとんど気がついていないのです。たとえば、未来に向けて
どんなビジョンを持っているのか?どんな価値観をもっているのか?
強みは何か?仕事にどんな意味を見出しているのか?
チームに何を期待しているのか?
321投稿者:[  投稿日:2005/09/02(金)02:56:02
「部下について知っていますか?」と質問すると、上司は
「知っている」と答えますが、実のところ、部下の性格分析や
仕事の能力については話せても、部下が今どういう状態にいるのか、
どんな助けを必要としているのか、何を学ぶ必要があるのか、と
いったことについて知っているケースは稀です。「部下と話す時間を
持ってください」と言うと、「何を話したらいいかわからない」
という答えがよく返ってきます。しかし、部下について自分が
知りたいと思っていることだけではなく、部下が上司に知って
おいて欲しいと思うことについても、聞く必要があるでしょうし、
それだけの価値があると思います。
322投稿者:「本当に優秀なコーチとは」  投稿日:2005/09/07(水)23:57:44
多くの経営者やマネージャーは、「自分が」やらなければならないと
思っています。自分が業績をあげなければいけない、自分が影響して
部下を動かさなければならない、と思っているわけです。確かにそれが
なければマネージャーとしての存在価値を疑われてしまうかも知れません。
約一年前から歯科医師のコーチングをしています。最初に取り組んだのは
収益を増すために、患者さんをランクに分け、各ランクに応じたサービスを
行うこと。より綿密なサービスを行うことで紹介が生まれ新しい患者さんが
増える。彼はある経営セミナーでその手法を学び、実行してみようと思った
のです。彼はミーティングでそのことをスタッフに伝えました。ところが、
スタッフの反応はいまいちでした。次に取り組んだのは、キャンセル率を
下げること。データーを見るとキャンセル率がびっくりするほど高い。
どうやったらキャンセル率を下げられるか、彼はアイデアを考え、それを
スタッフに伝えました。ところが、スタッフの反応は今度もいまいちです。
その後も、ことごとく彼の出すアイデアはスタッフに伝わりません。
私は彼に質問しました。「今の医院に必要なことは何?」「もっと、
スタッフに任せること。責任を持たせて自由にやらせること。最終的には
スタッフ一人ひとりの魅力で患者さんがくるような医院にしたい。
自分がいなくても回るような医院にしたい。」彼はアイデアをスタッフに
考えさせ、自分は口出しをせずに、自由にやらせてみることにしました。
彼はコーチになったのです。
323投稿者:「本当に優秀なコーチとは」  投稿日:2005/09/08(木)00:01:24
最初の成果はキャンセル率の劇的な減少に現れました。今までは、
受付で次回の予約をとっていたものを、診療が終わったらその場で
歯科衛生士が直接次の予約をとるように変えたのです。患者さんは
直接歯科衛生士と予約をしていますから心情的にキャンセルしにくく
なります。患者さんと歯科衛生士のコミュニケーションも必然的に
増えていきます。それをきっかけにして、それぞれの歯科衛生士に
患者さんがつくようになっていきました。スタッフの魅力で患者が来る。
自分がいなくても医院がまわる。彼の思ったことが実現しはじめたのです。
先日のコーチングセッションです。「去年よりかなり収益がアップして
います。年間の目標はもうちょっと頑張れば達成できそうなところまで
来ています。」「それは素晴らしいですね。うまくいっている要因は
何だと思いますか?」「自分が、口出ししないことにつきますね。」
医院の経営は順調です。しかも、スタッフは、自分たちがうまく行かせて
いるという実感をもっていますからますますやる気になっている。すべて
彼の思い通りに進んでいるのです。「先日、一番信頼しているスタッフ
からショックなこと言われちゃったんですよ」「何を言われたんですか?」
「この一年間、スタッフは本当に成長したと思う。いろいろアイデアを
考えて、工夫もしてみんな頑張ってとっても良い医院にしてきたと思う。
でも院長は何もしてないじゃないですか。」本当に優秀なコーチは、
コーチのおかげですなどとは露とも思わせないものなのです。
324投稿者:『脳を飽きさせない』  投稿日:2005/09/22(木)00:56:38
一説によると、一分間に平均的な日本人が話す単語数は150単語ぐらい
だそうです。それに対して、平均的な日本人が一分間に脳で解析できる
単語数は約600単語。つまり脳の解析スピードの方が話すスピード
よりもずっと早いわけです。これは何を意味するのかというと・・・。
簡単に言えば、脳の回転の方が速いために、人の話を聞いていて
「飽きる」ということが頻繁に起きます。脳はしょっちゅう
「お散歩」に行ってしまうわけです。目の前の人の話を聞いていた
つもりが、気がつくと違うことを考えている。そんな経験はありませんか?
特に男性の脳はそうです。ご結婚されている方は、一度や二度ではない
はずです。奥様から「あなた聞いてるの!」と叱咤された経験は。
これはもう脳の構造上しょうがない。そういうものです。だから、
聞くことが「受動的」なものであると思ってしまったら、これは辛い。
「聞くことは、じっとしていなければいけなくて、忍耐が必要で、
我慢が必要で、絶えなければいけなものだ」などと思ってしまったら、
ものすごく苦しいでしょう。外を歩き回りたくてしょうがない子どもを
家にとどめるようなものですから相当に大変です。とすると、お散歩
しやすい脳を「引きとめよう」と思えば、やはり「能動的」に相手の
話を聞く必要があります。受身ではなく、一歩前に出るような感じで
聞く。刑事コロンボが聞き込みをするかのように聞く必要があります。
325投稿者:『脳を飽きさせない』  投稿日:2005/09/22(木)01:07:02
そして、能動的に聞くためには、当たり前ですが、相手に対して
興味関心を抱かなければなりません。興味関心があるからこそ、能動的な
リスニングができます。ということは、おわかりだと思いますが、
初対面の人の話を聞くのは実はそう難しくない。お客様の話を聞くのも、
ましてやコーチングのクライアントの話を聞くのもそう難しくはない。
利害関係もありますし、相手に興味も持ちやすいですから。
難しいのは、「いつも一緒にいる人」の話を今日も新鮮な関心を
もって聞くことです。これが難しい。いつも一緒に仕事をしている
部下の話を、今日も新鮮な想いで聞けるか。20年連れ添った妻、
夫の話を今日も新しく聞けるか。ここが最もリスニング能力が試される
瞬間です。だいたいちょっと一緒にいれば、その相手に対して
多少なりともレッテルを貼ります。この人はこういう人。こういう話を
する人。貼ったレッテルが大きければ大きいほど、新鮮な興味は
持ちにくいですから、相手の話が聞けなくなります。では、いつも
一緒にいる人に興味を持ち続けるにはどうしたらいいでしょうか。
一つの解は、「何を知らないかについて予め知ること」です。
326投稿者:『脳を飽きさせない』  投稿日:2005/09/22(木)01:10:06
行く部署行く部署で業績を一気に上げてしまう、ある企業の
マネジャーさんがこんな風に語ってくれました。「僕は、部下について
自分が何をまだ知らないのかを把握しようと努めています。そうでないと
『こいつは企画書作りが得意なやつ、こいつは不得意なやつ』と
非常に相手を『粗く』見てしまうからです。粗く見てしまうと、話も
粗くしか聞けなくなってしまいます。」だから、彼は、「予め」
知らないことを知ろうとします。「この部下を動機付けるために
最適な言葉はなんだろう?」「一発で彼のモチベーションを下げて
しまう言葉は?」「なぜ彼はこの会社を選んだのだろうか?」
「どんなことを将来実現させたいと思っているのか?」「彼にとっての
成功とは一体なんだろう?」こうした部下に対する質問を予め
50近く用意し、「知らないことを知る」ことによって、比較的長い間
相手に興味を持つ続けることができるといいます。知らないことを
知ることで、相手に興味を持つことができ、結果として能動的に話を
聞くことができる。脳のお散歩を食い止めるためにも、何を
知らないのかをまずは知ってみませんか。
327投稿者:『役割にマッチさせる』  投稿日:2005/09/29(木)10:22:18
コーチングは人を役割にマッチさせるプロセスである。これが
コーチングの目的のひとつです。例えば、新任のマネージャーが
新しい職場に着任し、どのぐらいの期間でその職場に慣れるかについて
2004年にハーバード大学で調査した結果、15〜18ヶ月かかると報告
されています。私たちは、より高度な役割、また能力を身につけること
によって、目的や目標を達成しています。目標達成のために必要なのは、
どのような役割を持つのか、どのようなスキルが必要とされているのか、
それらを棚卸しし、それをリスト化し、速やかに身につけることに
あります。新しい役割を身につける過程で興味深い点があります。
それは、それまでの役割では発揮されなかった能力が、新しい役割を
担うことで表出することがある点です。たとえば選手時代には鳴かず
飛ばずであっても、コーチになってその才能を発揮する人もいます。
328投稿者:『役割にマッチさせる』  投稿日:2005/09/29(木)10:22:37
同じように、マネージャーになって初めて能力を発揮する人もいると
いうことです。コーチングセッションでは、役割にマッチさせる過程で、
これまで使われてこなかった、隠れた才能や能力に焦点を当てます。
一般に、人は変化を求めますが、いざ自分が変化する段になると、抵抗を
示す傾向があります。しかし、新しい役割を担うことによって開かれる
可能性に目を向けることは、自ら変化しようとする動機づけになります。
仕事がうまくできない理由に、自分の役割が何であるか理解できていない、
また、その役割に自分をうまくマッチさせることができないことが
考えられます。コーチは、その目に見えない役割にリアリティーを
もたせ、役割にマッチするためのプロセスを、コーチするのです。
329投稿者:『部下の独立』  投稿日:2005/10/05(水)23:06:56
クライアントは35歳男性、貿易会社の経営者。スタッフは50名。
3年後に300人の会社にするというゴールで、コーチングを開始
しました。会社の急成長にともない、社員数が急増していました。
コーチングを開始して2ヶ月後、一人の部下に焦点が当たりました。
創業時のメンバーの一人。営業職でスペシャリティーを持っています。
ところが頻繁に取引先に対して特例を与えて契約してしまう。今までは
一人でやっていたセクションだったので問題にはなりませんでしたが、
チームで行うようになって、彼のスタンドプレーが社内でのトラブルに
発展するようになってしまったのです。「桜井さん、例の彼、また
トラブルを起こしたんだよ。今回は今までになく厳しく叱ったので、
彼も落ち込んでいるけど、また繰り返すと思う。彼独特の営業スタイル
なんだよ。彼のことを考えると胃が痛くて眠れないよ。」
「社長としてはこの先どうしたら良いと思っているんですか?」
「彼は影響力があるんですよ。本当は頑張って会社を引っ張って
いって欲しい。少なくとも会社全体を考えて行動して欲しいと
思ってるんですよ。」「でも、何度言ってもだめなんですよね?
この先、スタンドプレーをやめて、社長の思うようなリーダーになる
可能性はあるんですか?」「今まで、その可能性にかけて、長い目で
見てきたつもりだけど。だめなのかも知れないな」「だとしたら、
この先にはどういう選択肢があるんですか?」しばらく沈黙が続きました。
330投稿者:『部下の独立』  投稿日:2005/10/05(水)23:07:39
「この会社で一緒にやっていくのは無理なのかも知れないな。能力は
あるんだから、独立してもやっていけるだろうし…」「彼はどう
思っているんでしょう?」「それは聞いたことがないな。彼が独立する
なんていうのは今まで僕の選択肢になかったからね。考えてみれば、
彼も苦しいのかもしれないね。立場上、会社を辞めたいとは言い出し
にくいだろうし。腹を割って話してみるか。でも、残る社員に悪い
影響がないように、彼自身も前向きに、そういうレールを敷くのは
大変なことだな。」もちろん、自分が採用して育てた部下ですから
社長にとっては愛情があるわけです。会社を辞めてもらうなんていう
ことは考えもしなかった。かといって、このままでは会社にとって
問題がある。周囲の部下にも示しがつかない。もちろん無理やり
辞めさせる訳にはいかないし、少しでもそのようなニュアンスが
伝わってしまえば、社内は険悪なムードになる。それは会社にとっては
一番困るわけです。この時点で、部下の育成をテーマにスタートした
コーチングが、部下の独立のためのコーチングに発展していきました。
そして3ヵ月後、この部下は円満退職、独立を果たしました。
「彼はとても前向きに独立していきました。本当によかった。
コーチングがなかったら、今でも彼はこの会社の中で、
悶々と苦しんでいたかもしれない。しかも、残った社員は、
今まで以上にのびのび働くことができている。もし、自分一人だけで
考えていたら、こういうビジョンは持てなかったし、こんなに早い
スピードで達成することはできなかったと思います。」
331投稿者:『コーチの叱り方』  投稿日:2005/10/20(木)01:18:39
企業研修で、「『しかり上手』だと思う人は手を挙げてください。」
というと、20人の参加者のうち、多くても3人ぐらいしか手が
挙がりません。1人も手を上げないなどということもままあります。
「『ほめ上手』だと思う人?」と聞いたときには、半分近くが手を
挙げますから、叱るという行為に対して、いかに管理職が苦手意識
を持っているかがわかります。「叱れない理由はなんですか?」と
聞くと、「関係を壊すのが怖い」「部下のモチベーションを下げて
しまうのではと心配」「叱りはじめると自分の感情をコントロール
できないのではないかと不安」など、幾つかの理由が挙がってきます。
いずれにしても、ほとんどの人は「叱る=声を荒げること」だと
捉えています。果たしてそうでしょうか。ある本によれば、叱るとは
「挽回への励まし」と定義されるそうです。つまり、結果として
相手が、「よし挽回しよう!」と思うのであれば、それはどんな
言葉を使ったとしても、叱ったことになると。少し言い方を変えれば、
叱るとは「理性的対応」であり、「感情的反応」である怒るとは違う
わけです。相手の言動に対して反応し、ただただ強い言葉を浴びせ
かけるのは、必ずしも挽回への励ましではありません。
332投稿者:『コーチの叱り方』  投稿日:2005/10/20(木)01:20:02
ある企業の社長のコーチングをしていたときのことです。
珍しくセッション以外の時に社長から電話がありました。
聞くと・・・北海道にいる自分の部下が新規事業に絡んだ案件で、
1億円近い損失を出した。本来ならば頭から怒鳴りつけるところ
だが、今回は少し冷静になって、事の顛末を振り返ってみた。
「もちろん部下にも責任はあるけれども、準備が万端でない
ところで、『早くしろ早くしろ』と先を急がせた自分にも責任の
一端があると思う。だから、今回は彼を責めることは一切せず、
自分から北海道まで出向き部下を励ましてこようと思うが、
それは正しい選択だろうか。きつい言葉も残した方がいいだろうか。
コーチとしてどう思うか聞かせてほしい」とのことでした。
私は前述の叱るということの定義について、社長に話しました。
社長は電話の向こうで深く大きくあいづちを打ちました。そして
彼は北海道へと向かいました。朴訥な社長ですから、部下と会っても
多くは語らず、ただ、じっと部下の目を見て、そして強く一言
言ったそうです。「気を落とすな。頑張れ。」社長が東京に戻って
から間もなくのことでした。その部下からメールが来たのは。
333投稿者: 投稿日:
334投稿者:『コーチの叱り方』  投稿日:2005/10/20(木)01:20:19
そこには・・・「社長の言葉に勇気づけられました。絶対に、
何があってもこの損失を取り戻したいと思います。」そう書かれて
いました。社長の「挽回への励まし」は成功しました。
人は自分の価値観と合わない、他人の行動を見ると「反応」を
起こします。「俺が新人の頃はそうはしなかった。」
「どうしてこの状況でそういう動きをするんだ。」いらつきが
体を支配します。しかし、いらつきから言葉を出してしまえば、
「挽回への励まし」とは程遠いものになる可能性が高いですし、
相手もそれを拒絶することでしょう。自分の中に反応を感じたら、
一瞬止まって、できれば、場所を変えるなど、ほんのちょっと
クールダウンさせ、どんな言葉が相手にとって「挽回への励まし」
となるのか、考えてみてはどうでしょうか。目的は、自分の
いらつきを収めることではないはずですから。
335投稿者:『教育現場にコーチングを』  投稿日:2005/11/05(土)02:39:30
この半年、自分のミッションについてよく考えています。
自分の人生のミッションはいったい何なのか?
私が中学校2年生の時のことでした。3時間目の授業が終わり、
4時間目の社会科の授業を受けるために数人の友達と視聴覚教室へ
向かっていました。そのとき、階段で社会科の先生とすれ違ったのです。
先生は機嫌が良さそうでした。「お、次は君たちのクラスだな」
「はい、よろしくお願いします」「ちょっと、遅れていくから、
少し自習しててくれ」「はーい!」私は明るい調子で答えました。
その答え方が先生の気に障ったのでしょうか。その後のやりとりは
あまりよく覚えていませんが、しばらくして、先生は顔を真っ赤
にして烈火のごとく怒りだしてしまったのです。
「なんだ。自習の方がいいのか!だったらお前たちのクラスには
もう行かないからな!」私は担任の先生にこの出来事を伝えました。
「私は桜井君は悪くないと思う、でもここはひとつ折れて先生に
謝りなさい」今でもそのときの悔しさ、不条理をよく憶えています。
中学校3年生のときの進路指導の時のことです。当時の私は幸いにも
そこそこの成績をとっており、模試でも志望高校はほぼ確実という
結果を出していました。担任の先生は「桜井君、内申の点数からみても、
模試の結果から見ても、志望高校は確実に受かるよ。
336投稿者:『教育現場にコーチングを』  投稿日:2005/11/05(土)02:41:18
でもな、桜井君。高校に行かないで就職する選択だってあるんだぞ。
高校、大学に行ってもいい、今から働いてもいい、君ならどこに行っても
十分やっていけるよ」この言葉は、今でも私を勇気づけます。教師の一言は
生徒に対して想像以上の影響力を持っています。生徒をやる気にさせるか
否かは教師次第なのです。近年、多くの教育現場でコーチングが取り入れ
始められています。コーチングの基本はラーニング・コーチです。
「生徒自身が自発的に学んでいくことを促進する」ことができれば、
教師も生徒もこれ以上の幸せはありません。つい先日、三重県の小学校で
コーチングを授業に応用するという研究が始まりました。 その準備に
立ち会うことができたのですが、そこで中心になっている先生は、独学で
コーチングを学び、独自の授業をつくろうとしていることを知りました。
翌日行われた県の教育委員会によるコーチング研修には、同じ小学校の
教頭先生が参加していました。これまで私の出会った多くの先生たちは、
どうやったらいい授業ができるのか、どうやったら生徒を成長させられる
のか、その情熱に燃えています。教育という志に燃えているのです。
私は今、コーチ・トゥエンティワンの副社長という立場にいますが、
将来マネジメントを退いたときにはビジネスコーチングを続ける傍ら、
週の半分は全国津々浦々の小学校や中学校を回りたい。一人でも多くの
先生にコーチングを紹介したいと思っているのです。その光景を
思い浮かべると、ちょっと嬉しい。
337投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:33:21
お読みになった方も多いと思いますが、先日日経新聞に、
一部上場企業に入社した新卒の30%が3年以内に離職するという
記事が載っていました。 転職が特別のことでなくなったとはいえ、
この数字にはやはり驚きました。そこまですぐに辞めてしまうのかと。
もちろん、新卒だけではありません。昔とは比べものにならないくらい、
人はあっさり会社を離れるようです。改めて、一体どんな背景が
あるのだろうと厚生労働省や転職支援会社などのホームページを
つらつらと見てみました。そこで分かったのは・・・
338投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:34:16
人が会社を辞めてしまうのには幾つか理由があるようですが、
中でも大きいのは「上司や会社が自分の将来や、ビジョンに
関心を示してくれない」ということのようです。2、3の
アンケートがそれを示していました。平たく言ってしまえば
「ここでどんなことをしてみたいんだ?」と上司が聞いて
くれないわけです。上司の気持ちも分かります。非常に速い
スピードでの業績向上が求められる中、安易に部下のやりたい
ことなど聞いてしまったら、期限までにゴールを達成できない
かもしれない。プロジェクトが収拾のつかない状態になって
しまうかもしれない。そんな風に思ってしまう。だから、できれば
パンドラの箱は開けたくない。手をつけずに、そのままに
しておきたい。しかし、開けないからといって、消えてなくなる
わけではありません。確かに箱の中にはその想いが眠っています。
周りがその中味に関心を寄せてくれなければ寄せてくれないほど、
本人はパンドラの中味が気になります。誰かに思いっきりそれを
伝えてみたくなる。そんな時ですね、他の会社も覗いてみよう
かなと思うのは。採用のコストをかけ、教育のコストをかけ、
ようやくこれからという時に社員が辞めてしまうというのは、
やはり会社にとっては損失です。上司はパンドラの箱を前にして、
どのように振舞えばよいでしょうか?
339投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:35:19
ある企業の5年目の社員の方にビジョンメイキング研修をしていた時、
研究部門の参加者の一人がこんな話をしてくれました。
彼はアメリカの大学で博士号を取った後に
この会社に入りました。期待に胸を膨らませて入った会社でしたが、
配属された部署はそれまでの自分の研究領域とは畑の違う部署でした。
自分の経験や知識が使えない部署で、彼のモチベーションは一気に
低下しました。来る日も来る日も、彼の頭の中には「テロップ」が
流れ続けました。「こんなはずじゃなかった・・・」彼が幸運だったのは
彼の上司が「入社1年目なんだから、なんでもまずやってみろ!」などと
頭ごなしに言わなかったことです。上司は彼に尋ねました。
どうも苦しんでいるようだけれども、そもそもどんな仕事がしたくて
この会社に入ったんだ?」彼はそれまで言えずに溜めていた想いを
一気に上司にぶつけました。上司は真剣に彼の目を見て、じっくり
話を聞いた後、彼にリクエストを出しました。「いいか、君の
配属部署自体は、3年はおそらく変わらないだろう。ただ、その間に
君がやりたい仕事を企画書の形で出してくれたら、俺が直接役員に
掛け合ってやろう。うまく行けばプロジェクト化されるかもしれないぞ」
彼は目の色を変えて、企画書作成に取り掛かりました。もちろん、
与えられた仕事も一切手を抜かず懸命にやりました。彼が作成した
2つ目の企画書は、上司の推薦もあり、副社長の目に留まりました。
340投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:35:35
そして、副社長直轄のプロジェクトとして、彼の企画書は動き出す
ことになったのです。毎回必ずうまくいくというわけではありませんが、
パンドラの箱への対処方法は、
1) とにかく、まずは勇気をもって開けてみる
2) 今の状況の中で、変えられないことと、
    変えられることを切り分ける
3) 変えられないことを受け入れるよう部下に伝える
4) 変えられることを部下自身の責任で変えるように部下を励ます
5) 変えられることが変わるように上司として援助する
パンドラの箱を持っている部下を前にしたときのレシピとして、
ぜひ試してみてください。突然の「実は・・・」を避けるために。
341投稿者:『e-ラーニングとコーチ』  投稿日:2005/11/18(金)04:37:59
近年急速に広まった e-ラーニングですが、27%の企業がすでに
活用しており、さらに46.3%の企業が、その価値を評価
しています。効率性、有用性、柔軟性の点で、e-ラーニングは、
集合研修、ビデオ、DVD等よりも評価されているのです。
しかし、実際には、学習する側の70%近くが集合研修を
評価しています。ここに、それに関連する興味深い報告が
あります。e-ラーニング単体の場合、最後までe-ラーニングを
やり終えるのは全体の70%以下であり、受講者の30%は、
最後までe-ラーニングを使わないというのです。英語学習の
ために、英語のカセットテープを買ったことのある人は少なく
ないと思います。私も学生時代に買いましたが、最初の数本を聞いて
後には、立派な入れ物とマニュアルが残りました。そうかといって、
英語のクラスに申し込んでも最後まで通わなかったので、テープに
だけ問題があったとは思いません。つまり、どんなにすばらしい
環境、ツールが揃っていても、学習の持続には、モチベーションの
維持が不可欠な要素に違いないということだと思います。
342投稿者:『e-ラーニングとコーチ』  投稿日:2005/11/18(金)04:39:55
モチベーションの維持には、1対1の関係が重要な役割を
果たします。e-ラーニングの受講者にコーチがつくと、最後まで
学習する人の人数は飛躍的に伸びることがわかっています。
少なくとも、コーチ・トゥエンティワンの e-ラーニングによる
コーチング学習は、コーチがつくことで、100%の人が履修を
完了しています。おそらく、e-ラーニングにコーチがつくことで、
受講者は単に学習対象を学習するだけではなく、それを将来の
ビジョンと照らし合わせ、今学習していることが自分にどのような
成長をもたらすかについて、検討する時間を持つことができるの
でしょう。また、新しいことを試みるときに生じる抵抗が
どのようなものかをはっきりさせることによって学習の障害を
取り除くなど、コーチとの会話を通して、受講者は、学習に対する
意欲を持つようになります。また、受講者自身が自分で
コントロールできる領域をはっきりと知ることができるようになると、
受講者は意欲を持つようになります。五里霧中で、つかみどころが
ない、何もコントロールできないと感じているとき、人は無力感の
ベールに包まれてしまうものです。
343投稿者:『e-ラーニングとコーチ』  投稿日:2005/11/18(金)04:41:03
一度物事がはっきりし、
具体的になり、自分でコントロールできることを知ると、
人は意欲的になります。学習効率を上げるためには、単に
学習方法を工夫したり、優れた教材をそろえたりするだけではなく、
学習者の学習意欲を上げる働きかけが必要です。また、学習者に
本当にフィットした学習方法が発見されなければなりません。
コーチングは、クライアントの学習の効率を上げるためのものです。
故に「私があなたをコーチする」というスタンスではうまく
いきません。コーチは、コーチングを通して、クライアントが、
自分で自分をコーチできるようにすることを目的としているのです。
344投稿者:『私とコーチ』  投稿日:2005/12/01(木)00:00:42
私は、1996年からずっとコーチをつけています。もちろん今も
コーチがついています。今の私のコーチは、カナダ、
トロント在住のダグ・クラーク氏です。年齢は70歳過ぎ。
もともとはボートのコーチで、オリンピックの強化選手や大学の
選抜選手をトレーニングしていました。現在は、トロントの銀行や
金融に関する企業のエグゼクティブを中心にコーチをしています。
私は彼にコーチングを受け始めて、今年で3年めになります。
しかし、3年経った今でも私たちのコーチングのテーマは、常に
ヴィジョンメーキングに戻ります。「伊藤、3年後、5年後に
ついてヴィジョンをもて。最初はそれがはっきりしなくても、
自分の心に一枚の絵をもつんだ」そのためにたくさんの宿題も
出ます。彼からの宿題の量は半端ではなく、とても1週間で
やりきれるようなものではありません。それに、どの質問も
考え始めると時間がかかります。結局これまでは、それを億劫に
思い、どこかに放り投げてきたのだと思います。ヴィジョンを
創るためには、ずいぶんと時間や労力が必要だと感じました。
345投稿者:『私とコーチ』  投稿日:2005/12/01(木)00:01:36
もしかしたら今の若者たちは、ヴィジョンをもつために充分な
時間を取っていない、あるいは、それをリードするコーチに
代わる人が、いないのかもしれません。
ところで、私は宿題をやらないまま、コーチングセッションに
入ることも、ときどきありました。コーチングで大切なのは
コーチングセッションだけではなく、セッションの間で取り組む
宿題やアセスメント、課題図書を読むこと、また、セッションの
内容を実践してみる時間なのだと思います。コーチングセッション
から新しい視点や気づきを得るためにも、セッション間の取り組みは
とても大事だと思います。日々のルーチン化した生活に、学習の
時間を組み込むことが、違いを創り出す源になります。
さて、ダグは3年経った今でも、「3年後のヴィジョンを話そう」
と言います。もちろん現状の棚卸もします。しかし、すぐに
ヴィジョンのほうに話がいきます。あるとき、私は彼に聞きました。
346投稿者:『私とコーチ』  投稿日:2005/12/01(木)00:02:00
「ヴィジョンは、もう何回もつくったと思うんだけど」「そうだね」
「それでもまたつくるの?」「そうだ。なぜなら、3年後の
ヴィジョンをつくって1週間経ったら、そのヴィジョンは、2年と
11ヶ月3週間後のヴィジョンになってしまう。だから
つくり直さないといけない。それに、ヴィジョンをもっとくっきり
はっきりさせるんだ。そして、そのヴィジョンをベースにして、
そのヴィジョンを実現させたら、 次に何をするか、そして、
そのヴィジョンを実現させたら、いったい何が手に入るのか。
それについても話したい」 「それはどうして?」
「オリンピックで金メダルをとった選手に、そうしてきた。
彼らの中でヴィジョンがはっきりし、本当に手にしたいものが
ハッキリすると、彼らは自分から動き出し、そして、金メダルを
取って当然というところへ行く。また、そうした選手だけが
金メダルをとった。」「そうなんだ」「伊藤、君も金メダルをとれ。」 「え、金メダル?」「そうだ!」その瞬間、ヴィジョンは
くっきりはっきり、明るく見えました。
347投稿者:『部下に未来を描かせる』  投稿日:2005/12/08(木)02:12:11
「上場企業に就職した新卒の3割が3年以内に辞めている」
「一般企業の3割から4割の労働者の労働意欲が低下している」
「将来のことを尋ねる項目に否定的な反応を示した生徒の成績が
 平均点を下回っている」最近の新聞記事です。
いずれも、原因は自分の将来が見通せない、ヴィジョンを持てない
ところにあるようです。ヴィジョンがなければ意欲は持てません。
ヴィジョンが明確でないところに、いくら頑張れと言っても
それは無理な話なのだと思います。組織に属していれば、必ず
何らかの目標を持っているわけですが、それが必ずしもヴィジョン
として描かれているわけではありません。年間の売上目標は1億円。
でも、それを達成したときの「絵」を持っている人はなかなか
いないわけです。ある食品販社の話です。スタッフのほとんどは
パートタイムの主婦。一人一人が自分の売上目標を持っています。
マネージャーとしては、当然、目標数値を上げたいのですが、
部下はそこそこの数字で満足してしまう。欲がない。その中でも
売上を伸ばしているマネージャーがいるといいます。
348投稿者:『部下に未来を描かせる』  投稿日:2005/12/08(木)02:27:37
そのマネージャーは、決して「頑張って!」とか、
「もっと」とか言わない。部下に具体的な未来を話させるのが
うまいのです。「○○さんは、もし収入が1万円増えたら、
何に使うの?」「今は、運動会とか発表会とかのイベントの後に
子どもたちをファミレスに連れて行ってるけど、もし1万円増えたら
子どもたちが大好きな焼肉を食べさせてあげたい!」本人にとっての
具体的な「絵」を引き出すことができると、部下は実際に売上を
伸ばすそうです。先日、社内で会社の未来を語るブレーン
ストーミングを行いました。会社の売上が2倍になったら自分は
どうなるか?3倍になったら自分はどうなるか?制限なく自由に話す。
349投稿者:『部下に未来を描かせる』  投稿日:2005/12/08(木)02:27:58
ベンツを買う。家を建てる。毎週エステに行く・・・
ある部下が言いました。「デパ地下で300円の高級牛乳を買う!」
周りのスタッフは爆笑です。しかし、本人は至って真面目。
この部下は、32歳の男性、既婚、子どもが3人。会社の帰りに
ときどきデパ地下に行く。その時に300円の高級牛乳が目に留まる。
どんな味がするのかな、と思いつつ、いつも素通りしている。
給料が増えたら、気兼ねすることなくその牛乳を買える。
周りから見れば、些細なことですが、何といっても本人の
ヴィジョンが大切なのです。この話をしているときの彼は、
少し頬が紅潮し、周りにエネルギーを発散していました。
ヴィジョンは、頭の中に置いておくことができません。
ヴィジョンは、描いているその瞬間にしか存在しない。
目の前の業務に追われていれば、頭の中はその業務のことで
いっぱいになります。その瞬間、ヴィジョンは失われている。
マネージャーの仕事は、部下に未来を描かせることです。
しかも、毎日。「牛乳はいつ頃買うの?」
350投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」  投稿日:2005/12/22(木)01:48:33
ものすごく単純化してしまうと、人の行動パターンは2つに
分けられます。「プラスの追求」か、「マイナスの回避」か。
どちらかしかないといっても過言ではありません。
例えば、家で掃除をするときのことを考えてみてください。
隅々まで掃除をして、素敵な花をテーブルに飾って、そこで
香り高いコーヒーを飲むんだ、とイメージして掃除にとりかかるのが
前者の行動パターン。これ以上掃除をしないとカビが生えるかも
しれない、ダニが湧くかもしれない、匂いがたつかもしれない。
それは嫌だから掃除をする、というのが後者のパターン。
一人の人がいつもどちらかのパターンで行動しているわけではなく、
プライベートでは「プラス追求型」中心だけれども、仕事は
「マイナス回避型」中心というように、場面によってパターンは
変わります。ただ、いずれにしても、未来に対するスタンスは
「期待」か「不安」か、そのどちらかです。そして、一般的には、
「期待」で動いているときの方が、より高いパフォーマンスを
発揮することができるようです。僅差の勝負になったり、
追い詰められた状況になればなるほど、「期待」は「不安」を
上回ると言われています。そんなことが、先日の女子のフィギュア
スケートを見ていて、頭に去来しました。
351投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」  投稿日:2005/12/22(木)01:57:01
安藤美姫さんの演技前の堅い表情、ジャンプを失敗しての3回もの
転倒、そして演技後のインタビュー。その全てが、おそらく安藤さんが
「マイナスの回避」で動いていたであろうことを示唆していました。
安藤さんのインタビュー。「(朝の)公式練習で体が動きすぎて、
足が軽くなっちゃって…。ジャンプを降りるときに右足が
踏ん張れなくて…」転倒は避けたい、失敗は避けたい、
4位転落は避けたい、そんな想いがパフォーマンスを下げて
しまったのかもしれません。一方で、ミラクル真央ちゃん。
あの躍動感のある動き、活き活きとした表情、きらきら輝く眼。
自由自在にリンクの上を舞いたい、見る人をあっと言わせたい、
どこまでも軽やかな演技を披露したい。少なくとも、今回の大会は、
彼女は「プラスの追求」で動いていたように見えました。
おそらく安藤さんも、4回転のジャンプを成功させたときは
「プラスの追求」で動いていたでしょう。もっと跳びたい、
周りをあっと言わせたい、空中をできる限り高く舞いたい。
しかし、一旦大きな成功を手にすると、モードは「期待」
ではなく、それを失いたくない「不安」になりやすいものです。
それが、「マイナスの回避」へと行動の源泉を移していきます。
そうなったときこそが、本当の意味でコーチの出番なのかもしれません。
352投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」  投稿日:2005/12/22(木)01:59:46
もう一度「プラスの追求」でその人に動いてもらうために。
では、マイナス回避型で動いている人をプラス追求型で動くように
するためにはどうすればいいでしょうか。ヒントとなるようなことを、
あるクライアントの方から聞きました。彼は大手の複写機メーカーの
支社長で、これまで行く部署行く部署、全ての所で飛躍的に業績を
高めてきました。彼に聞きました。「『売れないんじゃないか、
ゴールを達成できないんじゃないか』と不安に思い続けている部下には、
どのようなアプローチをするのですか?」彼は即答してくれました。
「言い続けるんですよ。『いけるよ』『やれるよ』『大丈夫だよ』
って。相手がそれを信じるまで、何度も何度も何度も。そうすれば
きっと心が変わるから。」「それだけですか?」「僕の役割はね。
あっ、でもあれですよ、なるべく自然に言うのが大事ですよ。
力を込めると相手はやらなければいけないとプレッシャーを感じるから。
それに、力を入れると、こっちも何度もは言えないでしょ。
あくまでも軽くね。」安藤美姫さんのコーチは、これから何を、
どのように彼女に伝えるでしょうか。
353投稿者:『コーチングケーススタディ』  投稿日:2006/01/22(日)17:09:33
今月私が担当しているコーチ・トレーニング・プログラム(CTP)の
スペシャルクラス、「ケーススタディ」の中で取り上げられた事例を、
ご本人のご了承のもとに、ご紹介したいと思います。
【 事例 】 …………………
クライアントは、40歳の女性、婦人服の営業職。新しい店長と
うまが合わないことがきっかけで、1対1のコーチングを
受けはじめる。1年半後の現在、店長とのコミュニケーションは
飛躍的に改善され、営業成績は全国の営業職600人中の300位
から20位へと躍進。昨年末、その店長の転勤の際に「君と一緒に
仕事ができたことは人生の宝」とまで言わしめた。  ……………………………………
このクライアントをコーチしたのは、群馬県在住のKさんです。
Kさんは、50代の男性。2003年9月からCTPに参加
しています。 現在は、学習塾を共同経営する傍ら、プロの
ビジネスコーチとして活躍されています。Kさんに、この
コーチングのポイントをお聞きしました。
「コーチングをはじめた当初、30分のコーチングセッション中、
クライアントはずっと愚痴ばかり話していました。変化があったのは
3ヶ月目ぐらいからです。まず、愚痴を言わなくなりました。」
きっかけは何だったのですか?
354投稿者:『コーチングケーススタディ』  投稿日:2006/01/22(日)17:14:38
「彼女は、上司に対する不満から、会社を辞めて独立したい、と
言い続けていました。ところが、コーチングを続けていくと、独立
したいという気持ちは、単なる不満からではなく、自分自身の
もともとの価値観に基づくことがはっきりしていったのです。
そして、彼女は、2年後に独立をするという現実的な目標を
決めました。自分はもともと経営者になりたいと思っていた、と
再認識したことが、今の仕事に対する視点を大きく変えたのです。
そこからの彼女の行動の変化は目覚しいものでした。」
どのように行動が変化していったのですか?
「実は、その店長に代わってからお店自体の業績は少しずつ
伸びていました。うまが合わないとはいえ、自分が将来は
経営者になるという視点で店長を見れば、当然学べるところ
があるわけです。
 ・業績主義を徹底させている
 ・ほんの少しでも数字があがれば声をかけてくれる
 ・従業員に対して公平である、など
355投稿者:『コーチングケーススタディ』  投稿日:2006/01/22(日)17:15:21
学べることをリストアップすると、ノートがいっぱいになりました。
次に、彼女は、この一つひとつを部下から上司への承認として
店長に伝えていきました。それが二人の関係を変えていく
きっかけとなったのです。 彼女は自分が本当にしたいと
思っていることに改めて気づきました。それが、彼女の仕事への
取り組みを全てにおいて変えました。自分の人生は自分が選ぶと
いう立場に大きく変わったのです。」
自己認識が高まることによって、行動の選択肢は広がります。 
自分が何を思っているのか、何をしているのか。自分のことを
知れば知るほど、自分にできることが見えてくるのです。
今の自分のあるがままの姿をはっきりと見ることができれば、
次にとることができる選択肢は自ずと広がります。
コーチングは、クライアントの真の姿を映す鏡です。
鏡に映った自分自身を見て、そこに新たな可能性を発見する。
それが、コーチをつける意味なのだと思います。
356投稿者:『もしも26歳のときにコーチがいたら』  投稿日:2006/01/22(日)17:26:29
講演会で、新任のエグゼクティブが新しい役割や職場に慣れるのに
どのぐらい時間がかかると思うかを、参加者の方々に質問するときが
あります。さすがに、1〜2ヶ月で慣れると思われる方はいません。
たいていの方は、3〜6ヶ月くらい。1年以上はかからないだろう
と思っているようです。 ハーバード大学の調査では、マネジャーが、
配置転換して職場に慣れるのにかかる日数は、およそ15〜18ヶ月
であると報告されています。新しい職場や役割に慣れるには、時間が
必要なのです。エグゼクティブも、もちろん同じです。大方の人は
3〜6ヶ月と思っているわけですが、実際には、新しい職場や役割に
慣れるのに1ヶ月以上も時間がかかります。その間は、
エグゼクティブとして十分にその能力を発揮することはできません。
職場と役割に慣れるために、多くのエネルギーを費やしているのが
実態でしょう。場に慣れるのには時間が必要ですが、コーチングを
通して、その時間を短縮していくことは可能です。最近、私はよく
思います。もし、自分で会社を始めた26歳の頃にコーチがいたら、
どんなに効率よく、そして効果的に会社を運営することができた
だろうかと。早くから自分のヴィジョンに気づき、戦略をもって
経営できたように思います。当時を振り返ると、本当に情熱だけで
走っているようなところがあって、計画性に乏しい、行き当たり
ばったりの経営をしていたように思います。
357投稿者:『もしも26歳のときにコーチがいたら』  投稿日:2006/01/22(日)17:28:10
今も、多分にその傾向はありますが・・・。今、私は自分にコーチを
つけています。毎週火曜日の朝8時から1時間のコーチングセッション。
セッションが終わる度に、新しい視点を手にしていることに気が
つきます。同時に、仕事に向かう自分がワクワクしているのを感じます。
コーチは常に、これまでのプロセスを反芻し、ポイントをリマインド
してくれます。また、わかったつもりになっていることでも、
丁寧にリピートしてくれます。そして2年後3年後の視点に立って、
今の自分を見る機会をもつこと、ヴィジョンを構築すること、日々の
仕事を棚卸しすること、自分自身の成長など、コーチをつけることで、
確実に可能性を広げていることを実感しています。これまで、
あまりにも計画的になりすぎたり、準備に時間をかけすぎたりすると、
仕事に対する勢いが弱くなるような危惧もありました。でも、
私のコーチは言います。「伊藤、仕事にコミットメントを要求
しているのではない、仕事に情熱を持ち込むために、
コーチはいるんだ」もし、26歳のときの私にコーチがいたら、
もっと熱い情熱と、それにベクトルをもたせることが
できたのではないかと思います。今だって同じです。
358投稿者:『期待と現実』  投稿日:2006/02/02(木)03:58:38
上司に対して部下はどう思っているのか。どんなリクエストが
あるのか。コーチング研修で事前にアンケートをとることが
あります。そのアンケートを受け取った瞬間の上司の
みなさんの表情は、なんとも様々です。
「おお、結構いいじゃん!」満面の笑みを浮かべて喜ぶ方。
「誰だよこれ書いたの!」いきなり犯人探しをされる方。
「。。。」暗くうつむいてしまう方。 どちらかといえば、
あまりハッピーではない方が多いでしょうか。いずれにしても
上司はその瞬間知るわけです。部下が自分に対してどんな
「期待」を抱いているのかを。ご存知のように、人に対する
信頼は、その人に向けた「期待」と、実際にその人が起こす
「現実」とのバランスによって上がり下がりします。
「期待」=「現実」であれば、信頼は醸成され、
「期待」>「現実」であれば、信頼は下がり、
「期待」<「現実」となれば、信頼はぐっと高まります。
一ついえるのは、「うまくいっている上司」は、「部下の
自分に対する期待」が「自分が部下に見せている現実」と
沿っているかどうかを強く意識しているということです。
359投稿者:『期待と現実』  投稿日:2006/02/02(木)03:59:51
「部下は何を期待しているんだろう?」「どんな言葉を
かけてほしいんだろう?」と。一方「うまくいっていない上司」は、
「自分が部下に対してもっている期待」が「部下が自分に見せて
いる現実」とイコールになるかどうかばかりに気を取られています。
「部下は思った通りに動いているのか?」「なんで動かないんだ?」
だからアンケートを見て愕然とするわけです。
「そんな風に思っていたのか。。」
コーチングをさせていただいている、あるメーカーの
執行役員の方が言いました。史上最年少で執行役員になった方で、
部下の「期待」を察することにとても優れています。
「僕は部長達に口を酸っぱくして言ってるんですよ。
『君達は営業が優秀だから部長になった。営業と部下の育成は
全く同じだ。優秀な営業マンは、お客様のニーズを見つけるの
がうまい。そして、そのニーズに合った提案ができる。同じように
優秀な上司は部下一人ひとりのニーズをまず見つけ出す。
部下がどうして欲しいのかということをまず知ろうとする。
指示をするのはそれからだ。』ってね。」
「でも、鈴木さん、本当に優秀な上司はニーズに答えるだけ
じゃないんだよ。何をするか知ってる?」 突然の質問に、
「ん〜、何でしょう??」。答えが浮かびませんでした。
360投稿者:『期待と現実』  投稿日:2006/02/02(木)04:00:42
「ダメだよ、コーチングの先生なんだから、答えられなきゃ(笑)。
本当に優秀な上司はさ、小さなサプライズを部下に起こすんだな。」
「小さなサプライズ?」「そう、部下の予測よりもちょっと
上回ることをしてあげる。日報にちょっと多目にコメントを
書いて返すとか。ちょっと高い寿司屋に連れて行って自腹で
おごってやるとか。こっちが正直に謝るとか。
サプライズは部下の中に残るからね。お説教はあんまり
残らないけど(笑)。」 人の「期待」を掴み、それを上回る
「現実」を提示して小さなサプライズを起こす。
人心掌握の基本なのかもしれません。
361投稿者:『ほめるとねぎらう』  投稿日:2006/03/03(金)06:03:12
先日講演に行った帰り道同行したアシスタントから突然切り出されました。
「鈴木さんは、まったく私のことをほめてくれない。」軽い晴天の霹靂
でした。 正直、何を言われているのかわかりませんでした。
「ほめてない? うそ? ほめてるでしょ?」「いいえ、全然
ほめてません。」「だって、メールは最優先で返信してるし、
しょっちゅう“ありがとう”ってねぎらいの言葉もかけてるでしょ。」
「確かに“ありがとう”とは言ってくれますけど、ほめてはくれません。
ほめられないから、何が良くて何が悪いのかちっともわからない。
『ほめる技術』の著者とは思えませんね。」あまりにもストレートな
フィードバックに、後頭部を殴られたような想いでした。
そう言われてみると、確かに「ねぎらい」はいっぱいしていますが、
「ほめる」ことはあまりしていません。彼女からすると、すべての
自分の行為に同じ「ねぎらい」がくるので、どの行為が良くて、
どの行為が改善すべきかの区別がつかないというわけです。
それでは、自分が成長している実感が持てないではないか、と。
彼女はさらに続けました。「鈴木さんはきっと基準が高いんですね。
基準に満たないものはほめない。でも、承認は必要だと思っているから、
基準以下のものにはすべて“ありがとう”を伝える。それだと
基準に到達しない限り、どこを認められていて、どこを認められて
いないのかわかりませんよね。」「なるほど。。」
362投稿者:『ほめるとねぎらう』  投稿日:2006/03/03(金)06:03:53
頭の半分は相変わらずショックで、ぼ〜っとしているのですが、
残りの半分は冷静に彼女の話を追っていて、思わず納得して
しまいました。研修では日々伝えているわけです。
「ほめるというのは、前進への促しです」と。ほめるという行為を
通して、相手に今現在の立ち位置を確認させることができる。
今動いている方向にそのまま進めばいいのか、それとも軌道修正
すべきなのか。つまり、ほめるというのは、育成される側の人の行動に
「GO」か「CHANGE」かのマークをつける営みでもあると。
そして、それは自分では当然できていることだと思っていたのですが、
どうも自分の基準に到達しない行動は、「粗く」見ていたようです。
おそらく、彼女にこのことを言われていなければ、その自分の
パターンにはなかなか気づけなかったでしょう。上司である自分に
ストレートにものを言うのは、きっとリスクがあったと思います。
それを押して伝えてくれた彼女には、とても感謝しています。
余談ですが、彼女と別れ一人電車に乗ったとき、昔大学の友人から
聞いた話がなぜか、ふと頭をよぎりました。友人曰く、
「この前さ、彼女に振られたんだよ。で、そんときにさ、彼女が
『あなたはいつもニコニコしていてわからない』って。一体
なんなんだよな!」
どうも、今も昔もメリハリのきかない男はだめなようです。
363投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:07:03
数年前のことです。私は、福岡を中心に美容室をチェーン
展開している経営者のコーチをしていました。テーマは
ずばり経営の拡大。コーチングを開始してから半年間、
2店舗の新規出店というゴールを達成し、コーチングは無事に
終了しました。その最後のセッションで「次は、社員を
コーチして欲しい」という申し出を受けました。店長はじめ、
主要なスタイリストをコーチして欲しい。彼らの
コミュニケーション力を磨いて、接客力を高めることで、
「店販」を増やしたい。来店したお客さんに、トリートメントを
追加してもらったり、シャンプーを買ってもらったりする。
このことを美容業界では「店販」と呼びます。つまり、「店販」を
増やすことで、顧客単価をアップさせたいというのです。
「店販」は、スタイリストのコミュニケーション能力で大きく
左右されるといいます。たとえば、ここ数年はカラーリングが
大きなブームでした。あるお客さんが「ピンクアッシュに染めて
ほしい」と言ったとします。普通のスタイリストであれば、その
希望を聞いてピンクアッシュに染めるだけで終わってしまいます。
しかし、スタイリストのコミュニケーション能力が高ければ、店販の
可能性はもっと広がります。「ピンクアッシュに染めてください」
364投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:10:25
「はい、わかりました。ピンクアッシュですね。どうして
ピンクアッシュに染めようと思われたんですか?」「小顔に見える
って雑誌に書いてあったんです」「なるほど、そうなんですね。
お客さんの顔立ちだったら、少しパーマをかけて、顔まわりに
レイヤーを入れてあげると、もっと小顔に見えると思いますよ」
「そうなんですか? じゃあ、パーマもかけてください」
このようにお客さんの真意を引き出すことができれば、お客さんも
喜び、さらに「店販」にもつながります。相手から引き出す
コミュニケーションは、コーチングが最も得意とする領域です。
私はきっと店販の拡大にコーチングが役立つだろうと思いました。
そして、十数人のスタイリストをコーチして欲しいという、
破格の申し出に、私は心が躍る思いでした。私は、すぐに社内で
チームを組みました。そして、売り上げの良い店舗を選んで、
好成績のポイントは何なのかを知るために現地リサーチを行いました。
実際にお店に行ってみると、どのお店も繁盛している。
お客さんが待っている。スタイリストはとても忙しそうに
働いている。閉店後、スタイリストにインタビューをしました。
「忙しくて、一人のお客さんとゆっくり話している暇がない」
「うちは競合よりも少し価格を抑えているわけだから、
 一人あたりの単価を上げるよりも、数をこなすのが大切」
365投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:11:54
そして、どのスタイリストも口を揃えて言うのです。「店販を
拡大したいという社長の考えはわかりますが、お客さんが
待っているのにそれは難しいと思います」リサーチの結果を
その経営者に報告しました。「でもね、桜井さん、コーチをつければ
なんとかなるんじゃない?コーチをしてもらって売り上げを
伸ばしたいんだよ。」「確かにコーチをすれば、彼らの
コミュニケーション力は伸びるだろうし、お店の雰囲気もさらに
良くなると思いますよ。それは保証します。でも、コーチングを
行っても、今の営業形態では売り上げの向上に反映されるとは
限らないと思うんです」「それじゃあ困るよ。コーチしてもらって
売り上げが伸びないんじゃ意味がない。2ヵ月後に、店販拡大の
キャンペーンをやる予定だから。それまでになんとかしてよ、
桜井さん。」どこまで行っても平行線です。
366投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:12:13
おそらくこの
コーチングを引き受けたとしても社長が考えるような売り上げを
あげることは望めないのではないか。実際にコーチを受ける人たちに
その意欲がなければ、うまくいくはずがありません。もちろん、
コーチを受ければ何らかの形でプラスにはなるでしょう。しかし、
この経営者の望む成果を出すのは難しい。社内のチームで意見を
出し合い、検討に検討を重ねました。そして、最終的には、
その仕事を断ることに決めました。できることとできないことを
はっきりさせることはコーチとしての信頼を得るためにも、
コーチ業界全体の発展のためにも、大切なことだと思うのです。
367投稿者:『質問のもつ力』  投稿日:2006/03/28(火)18:41:40
コーチは効果的な質問を創り出す。クライアントはその質問に答える。
その過程で、世界の見え方が変わる。そこにコーチングの価値があります。
数学は、問題を解くよりも問題をつくる方が難しい、という話を
聞いたことがあります。素数、完全数、虚数、友愛数。こういうものを
見つけ出した人は、数式や数字について、長い間問われてきたこと、
また、自分で疑問に思っていたこと、その答えを探している過程で
発見したり、 思いついたりしたのかもしれません。 この瞬間も、
答えを探している人たちがいるんでしょうね。何も数学に限った
ことではなく、日々の仕事、コミュニケーションの取り方、
自分自身について、すでにあたりまえのように思っている事柄も、
もし視点を変え、世界を違ったところから見ることができれば、
そこに変化や改善の可能性が広がります。たとえば
コミュニケーションですが、私たちは、コミュニケーションが
交わされているという前提でコミュニケーションを問題にする
傾向があります。しかし、本当にコミュニケーションは
交わされているのでしょうか?実はコミュニケーションと
言いながら、家庭でも会社でも、力のある人が一方的に指示命令を
しているだけで、そこには双方向性がない場合もあるわけです。
368投稿者:『質問のもつ力』  投稿日:2006/03/28(火)18:42:44
当然の前提に対しても、質問されることで初めてそこに目が向き、
そこから、解決の糸口が見つかることはよくあります。おそらく
問題が問題なのは、「何が問題なのか、それに気がついていないこと」
にあります。「知らないことを知らない」のですから、知りようが
ありません。 質問されて初めて、それを知らないと自覚でき、
自覚して初めて、行動の変化を試みるようになります。
自覚がなければ、行動は変わらない。得てして、自分の態度や行動、
コミュニケーションが周囲にどのような影響を与えているか、
あまり自覚がないものなのです。人が自分のもてる能力に気づき、
それを発揮できるようになるのは、ひとつの問題を、いろいろな
角度から観察することができるようになるときです。 すでに
わかっているつもりになっているようなことであっても、
新たな視点から見ることができるようになると、そこには、
新たな発見があるものです。しかし、自分の意志だけで、
自由に視点を動かすことができるのかというと、それは
なかなか難しい。それができる人もいるのかもしれません。
しかし、そこにコーチの視点をもち込むことによって、少なくとも
複数の視点で、ひとつの問題を観察できるようになります。
369投稿者:『質問のもつ力』  投稿日:2006/03/28(火)18:43:13
問題を解決するのではありません。そこに質問をもち込み、
それに答えようとするときに、初めてこれまでと違うものの
見方を経験するのです。違った視点をもつことは、
行動を起こし、行動を変える起因となります。
地面ばかりを見ていては、星を見ることはできない。
たとえ、空に星があっても、そこに目を向けなければ、
星はないに等しい。金貨が落ちていても、そこに目を
向けなければ、それを拾えない。
 「一番最後に星を見たのはいつですか?」
 「あなたの隣の席の人は、昨日どんな服装でしたか?」
 「今、何が見えていますか?」
私がコーチングをしていてする質問は、いまこの瞬間に見えているもの、
聞こえていること、考えていること、思っていること。
今、何が起こっているかに焦点を当てた質問をします。
そうすることで、ものごとを具体的にとらえられるようになります。
370投稿者:『頭vs直感』  投稿日:2006/04/01(土)03:04:12
私たちの会社には、毎月、中途で新しいコーチが入社します。
さまざまな分野での経験をもって入ってきますが、コーチとしての
経験はゼロ。コーチとして、いちから育てることになります。
先日、入社して3ヶ月になる新人コーチから質問を受けました。
 「コーチとして一番大事なことはなんですか?」
 唐突な質問に一瞬戸惑いましたが、5秒ほど思考し答えました。
 「直感を信頼することでしょう。」「直感ですか??」
 新人コーチの顔には、たくさんの?マークが浮かびました。
 そこで、彼に『第1感』(マルコム・グラッドウェル著、光文社)
 という本に載っていたエピソードを紹介しました。
 *************
 1983年9月、ベッチーナと名乗る男がカリフォルニアの
ゲッティ美術館を訪れました。紀元前6世紀のギリシアの立像を
見つけたので1000万ドルで買い取って欲しい、と彼は美術館に
リクエストしました。ゲッティ美術館では、14ヶ月の時間をかけ、
ありとあらゆる最新の解析機器を使って立像の真贋を検討し、
最終的にこれが本物であるとの結論を出しました。ゲッティ美術館が
立像を購入してしばらくして、ある古代ギリシア彫刻の専門家が、
その立像を目にしました。彼はその立像を一目、たった一目
見て言いました。「これは偽物だ。」判断に要した時間はわずか1秒。
371投稿者:『頭vs直感』  投稿日:2006/04/01(土)03:08:03
その後、その立像が本物であることに疑いをなげかける証拠が次々と
見つかりました。最終的にこの立像は贋作であることが証明された
のです。人の直感的判断は最新鋭の技術に勝りました。
*************
脳科学者の茂木健一郎さんも、近著『脳の中の人生』(中公新書)
の中で、「直感」の重要性について述べています。神経学者
ダマシオ博士の研究を引き合いに出し、人は大脳皮質で理性的に
判断することに加えて、[内臓感覚」といわれる情動系の反応を
判断材料としている、と。特に、正解を見つけることが難しい
問題などは、「よくわからないけれどもこれが正しい」
という直感が、大きく事態を発展させることにつながる、と。
先ほどの新人コーチは、直感が大事であるとの私の言葉に対して、
「自分はどのぐらい直感があるかないかわかりません。」と
いいました。ちょうど営業同行した後だったので彼に聞きました。
「今日お会いした部長、会った瞬間どんな人だと思った?」
「会った瞬間ですか、、う〜ん、、すきがない人だなと」
372投稿者:『頭vs直感』  投稿日:2006/04/01(土)03:10:23
「他には?」「う〜ん、、、失敗するのがすごく嫌いで、部下に
1から10まで自分のやり方を指示するタイプにも見えました。」
「部下は部長のことをどう思っていると思う?」「いざというときに
責任を取ってくれる人ではあるけれど、一方で話しかけにくい人と
思っているんじゃないでしょうか。」「他にはどんな強みがあると
感じた?」「決して最後まで諦めない人だなと。」
「ほら、直感はあるでしょ。」「そうですね。」直感というのは、
決して誰かに与えられた特別な能力ではありません。問題は、
あるかないかではなくて、それに気づくか気づかないかです。
私たちの「内臓」はアンテナとなって、何かを常に感じています。
それを観ることに意識を向けさえすれば、それを感受することは
可能です。ただ、意識は一回に一箇所しかいかないという特性が
ありますから、頭で分析し始めれば、感じているものが感じられなく
なります。もちろん経験のある人が、その領域において生み出す直感は、
経験のない人よりも質の高いものとなるでしょう。美術を知らない人
よりも知っている人が美術品に対して生み出す直感の方が、信憑性が
高いのは当然です。ただ、対象が人の場合、ほとんどの人は直感を
生み出すのに必要な経験はもっていると思います。あとはそれに
気づくか気づかないか。ぜひ目の前の人を見て、改めて見て、
自分の中にどんな直感が生まれるかを観てみてください。
373投稿者:『見えている会話、見えない会話』  投稿日:2006/04/01(土)03:20:49
以前、心臓内科の先生と一緒にリサーチをしたことがあります。
心臓発作を起こしながらも一命を取りとめた人たち5名に、
どういう理由で九死に一生を得たのか、彼らの考え方や行動様式に
関するインタビューを行いました。こちらが期待するような共通した
答えは特になくて、彼らはそれぞれに違った考え方と行動様式を
もっていました。その中の、ひとりの会社の経営者が話してくれた
ことは、とても強く私の印象に残りました。「集中治療室から
一般の病棟に移された日にね、まだ目を開けることもできなくて、
眠っているような起きているような状態のときなんだけど、
ベッドの周りで話し声がするんだよ。それは、家内や子どもたちで、
内容は覚えていないんだけど、たわいもないことを、ずっと話して
いるんだよね。」「それはどんな感じだったんですか?」
「声を聞いていると、だんだん目の前が明るくなってくるような、
気分がとてもよくなってね」「そうですか」「その声を聞いていたら、
自分は生きているんだなーって思って、、、。それから、生きていて
よかったなって思った。そして、これからも生きていたいって
思ったんだ」「そうなんですか」
374投稿者:『見えている会話、見えない会話』  投稿日:2006/04/01(土)03:23:57
「うん、今だってあのときの声が聞こえるような気がする」
アメリカで、交通事故で救急治療室に運ばれた子どもの生存率に
関する調査があって、アングロサクソン系とラテン系では、
ラテン系の子どもが生き残る確率が高いそうです。どうも、
ラテン系は大家族で病院におしかけて、子どもの周りであれこれ
話したり、聖書を読んだり、子どもに触ったりするらしい。
アングロサクソン系はその反対で、小家族ですから、ラテン系の
ようなわけにはいかない。声を聞いたり、見たり、触ったりすると、
なにか安心します。おとなも子どもも安心していたいわけです。
コーチングのスキルが知りたいという声をよく耳にします。
もちろん、それは効果的です。しかし、それ以前に人と話していて、
自分が安心できること、相手を安心させること。コーチングのスキルは、
その上に初めてのるものだと思います。そこにどのような関わりを
作り出しているかによって、コーチングの効果の現れ方は違ってきます。
表面的な会話がどれだけスマートであっても、見えない会話、そこに
築かれている信頼や信用がなければ、少なくとも行動に変化は現れない
ものです。
375投稿者:『自分の成長に気づく』  投稿日:2006/04/01(土)13:41:25
日曜日の午後、何の気なしにテレビをつけると、ラグビー中継を
やっていました。早稲田対トヨタ。試合終了まで目が釘付けに
なるほどの好ゲームでした。特に、ロスタイムに入ってからの
トヨタの猛攻と、それを防いだ早稲田全員一丸となっての
連続タックルは感動的でした。それにしても、18年ぶりに
学生が社会人を相手に勝利するという、最高のパフォーマンスを
発揮させた清宮監督は、素晴らしいと思います。 コーチングの
研修をしていると、部下のパフォーマンスを高めるためには、
どのようなときに誉めて、どのようなときに叱ればいいのか、
という質問をされることがあります。なかなか答えにくい質問です。
三菱総研の調査では、「おおむね誉めて育てたほうが部下の
パフォーマンスはよいが、モチベーションの高い部下に対しては、
時には厳しく叱る上司であるほうが、主体性やリーダーシップの
高い部下が育つ。叱るというのは、感情的に怒るのではなく
相手に気づかせる、というスタンスである。つまり、気づきが
モチベーションを高める」というデータが発表されています。
確かにそうかもしれません。とはいえ、それはケースバイケース
ですから、そのときにはこうすればよい、というようには答え
にくいわけなのです。
376投稿者:『自分の成長に気づく』  投稿日:2006/04/01(土)13:44:33
2年ほど前に、清宮さんとお会いしたことがあります。清宮さんは、
学生に対する指導方法について、「データに基づいて指導する」、
ということを力説されていました。「選手にとっては、少しでも
いいからできなかったことができるようになる、というのが大切
なんですよ。チーム全体はもちろん、一人ひとりの詳しいデータを
もっていれば、何が成長したかを実感できる。僕はほとんど
誉めませんけど、データを見れば変化は一目両全ですから。
実際に、みんなやる気になってますよ。」データに基づいて、
選手自身がまだ気づいていないことを選手に知らせる。誉めるか
叱るはケースバイケース、それよりも大切なのは、本人が自分の
成長に気づくこと。客観的なデータは、もっとも効果的な
フィードバックだというわけです。さまざまな要素が複雑に
絡み合うビジネス現場では、一人ひとりの詳細なデータを取るのは
難しいかもしれません。それでも、マネジャーが部下に意識を向けて、
今何に取り組んでいるのか、何について成長したのか、本人もまだ
気づいていないような、その微細な変化をフィードバックしていく
ことができれば、部下のパフォーマンスはきっと上がるに違いありません。
377投稿者:『コミュニケーションの価値』  投稿日:2006/04/06(木)01:07:21
「いかに人を動かすか」というのは、古来から人間にとって
大きなテーマです。そして、誰しも、そのためには
コミュニケーションが必要だということを知っています。
それにも関わらず、これまで多くの場合、人を動かすための
コミュニケーションとは、指示命令型で一方通行な
コミュニケーションがほとんどでした。これは、ひとつには、
私たちのコミュニケーションに対する誤解から生じているのだと
思います。コミュニケーションに対して、多くの人は次のように
認識しています。

□ コミュニケーションは空気のようなものですでにわかりきっている
□ 組織においてコミュニケーションはソフトな問題で優先順位が低い
□ コミュニケーションは個人の問題であり、組織の問題ではない
□ コミュニケーションと生産性は特に関係はない
□ コミュニケーションは組織のスピードを遅くする
□ コミュニケーションは組織を混乱させる。またときに浪費を生じさせる
□ コミュニケーションよりは、規則、予測、費用対効果、効率、
  ハイパフォーマンス、モチベーション、確実な収益、投資の回収、
  プラン、役割、経験、スキル、リーダーシップ、これらが優先する
378投稿者:『コミュニケーションの価値』  投稿日:2006/04/06(木)01:17:33
コミュニケーションのもつ本当の価値に多くの人は気づいていません。
価値を見出していないにも関わらず、毎日の生活は
コミュニケーションなしには成り立たないという矛盾の中で、
私たちは仕事をし、生活をしているのです。
コミュニケーションの価値を理解していない二人が
コミュニケーションを交わしても、なかなか実を結びません。
しかし、コミュニケーションがどんな価値をもたらすかを
理解した二人がコミュニケーションを交わせば、それは本当に
創造的なものになります。コミュニケーションとはこういうものだ、
こういうルールがある、といった定義は、いまだ、実は
はっきりしているわけではありません。しかし、コミュニケーション
を交わす二人の間で、最低いくつかのルールが守られているだけで、
そのコミュニケーションは飛躍的に変わります。たとえば、
コミュニケーションのルールとは次のようなものです。
379投稿者:『コミュニケーションの価値』  投稿日:2006/04/06(木)01:23:33
 ○ 相手が話しているときには、口を挟まない
 ○ 相手の言っていることを理解する
    それは相手の言っていることが正しいと認めることとは違う
 ○ 自分の考えを相手に理解してもらう、
    不安なときには、その瞬間に自分から相手に確認する
 ○ 自分の考え(My View)と相手の考え(Your View)があり、
    それは一致していなくてもかまわない
 ○ 相手の考えが自分にはどう伝わっているかを相手に伝える
 ○ 自分の考えが相手にはどう伝わっているかを聞く

すなわち、コミュニケーションとは、K-1やプライドのような
格闘技だと思っている人とコミュニケーションは交わせない、
ということです。もし、このようなルールを理解していない相手と
コミュニケーションをとる必要が生じた場合には、まず、
コミュニケーションについてお互いにどう思っているか、
そのことについて話す時間をとることです。そのときも、相手に
ルールを押し付けるのではなく、お互いの間でのコミュニケーション
によって、何が生み出されるかについて話すのです。
アメリカの心理学者であるハーレーン・アンダーソン氏は、
コミュニケーションについて、次のように語っています。
「ダイアローグ(対話)を通じて、あるいは、そのなかで、
意味や理解が持続的に、解釈、再解釈、明確化、改定されている。
意味や理解に新しいものが生じたときには、思考、感情、気もち、
行動などが新しく生まれる可能性がある。言い換えれば、
変化することとは、ダイアローグの中での遺産なのである。
ほんとうのダイアローグとは、創造以外の何物でもない」
380投稿者:『人は解釈の中で生きている』  投稿日:2006/05/15(月)03:13:23
私たちは毎瞬毎瞬事実に直面し、その影響を受けています。何か
出来事があれば、それに影響されるし、人に会えば、その人の影響を
受けるわけです。ところが、よくよく考えてみると、事実や出来事が
直接私たちに影響しているわけではなさそうです。なぜなら、同じ
旅行に行っても楽しいと思う人もいるし、つまらないと思う人も
いるからです。例えば、ディズニーランドは楽しいのか?答えは、
楽しい場所だと思っている人もいるし、疲れる場所だと思っている
人もいる。つまり、ディズニーランドが私たちに直接影響している
わけではなくて、ディズニーランドをどのように捉え、どのように
解釈しているか、それが私たちに影響しているということになります。
先日行った、ある企業の取締役であるAさんとのコーチングの一部
です。「桜井さん、どうも若手の営業マンのやる気がないんだよね。
教育のシステムをつくらなければいけないと思っているんだ。」
「どうしてやる気がないということがわかったんですか?」
Aさんは、少しの沈黙の後、「桜井さん、そういわれてみると
直接確かめたことは無いな。なんとなくそう思っていた。」
「では、実際に確かめるためにはどうしたらよいですか?」
「現場に出て行って直接会って話を聞いてみるのが一番だね。」
381投稿者:『人は解釈の中で生きている』  投稿日:2006/05/15(月)03:13:50
Aさんは次のセッションまでに、実際に自ら現場に出向き、
若手の営業マン数人と話しました。「桜井さん、実際に話して
みたら、確かにやる気の無いやつもいたけど、モチベーションの
高いやつもいた。一番驚いたのは、7人と話して、一人ひとり全部
思っていることが違うってことだ。直接話を聞いてみて
よかったよ。」時に私たちは、事実そのものよりも自分のしている
捉え方や解釈の影響を強く受けているのかも知れません。
もしかすると、毎日会っている同僚や部下に対しても、自分の
仕事に対しても、自分の過去や未来に対しても。コーチは
クライアントがしている捉え方や解釈をはっきりさせ、
クライアントの目を事実に向けさせます。つまり、視点を変える
ことがコーチの大切な仕事のひとつなのだと思います。
382投稿者:『跳び箱のコーチ』  投稿日:2006/05/18(木)03:27:36
小学校三年生の次女は、先月から体育の個人コーチについています。
体育の個人コーチ。跳び箱や逆上がり、二重跳び、かけっこなど、
体育の中でも特に苦手になりやすい種目について、一対一でコーチを
するのです。次女は、少し体育が苦手。半年ほど前から授業で跳び箱が
はじまり、跳べずに悔しい思いをしていました。そんなときに、
体育の個人コーチというものがあることを知り、ものは試し、という
軽い気持ちではじめたのです。1回目のコーチング。娘はいつもの
やり方でチャレンジしますが、案の定、うまく跳べずに跳び箱の上に
尻餅をついてしまいました。コーチは、もう少し早く走る、手を遠く
につく、ついた手をぐっと押すなど、ちょっとしたコツを教えて
くれるのです。娘はまったく跳べなかった跳び箱を、一週間後の
2回目のコーチングで、跳んでしまいました。先日、若手のコーチが、
小学生の男の子に逆上がりの指導をしていました。ところが、男の子の
やる気がどんどん失せていくのが、はた目にも明らかにわかります。
もっと強く蹴って、もっと右足を高くあげて、もっと勢いをつけて。
コツを教えるという点では同じです。私から見てもコーチの言って
いることはもっともです。ところが、男の子のやる気はどんどん
無くなっていくわけです。見るにみかねたのでしょうか、ベテランの
コーチが指導を変わりました。すると5分もしないうちに、男の子の
やる気は見違えるように回復したのです。何が違うのか。
383投稿者:『跳び箱のコーチ』  投稿日:2006/05/18(木)03:28:36
こうすると
うまくいくというコツを教える。それは共通点。決定的に違うのは、
承認です。うまいコーチは、承認する。しかも子供をよく観察して、
事実を承認する。「つま先がここまであがったよ」「さっきより
踏み込みが強くなってるよ」それは、おだてるような言い方では
ありません。本人が気づいていないような微細な進歩を承認という
形でフィードバックしているのです。自分自身で自覚できるような
明らかな成長や進歩があれば、それは何よりも強いモチベーションの
向上につながるでしょう。そうなればもうしめたものです。何も
言わなくても本人が努力をはじめます。ところが、そこにいくまでの
過程で自分自身の進歩を感じることができなければ、やっても
無駄だとあきらめの気持ちが強くなってしまう。それは挫折につながる
こともあるかもしれません。その微細な成長は、なかなか自分自身では
気づけないのです。それがコーチをつけるひとつの意味だと思います。
いいコーチは、本人には自覚できないような微細な成長や進歩を観察し、
伝える。その意味でコーチの存在は、逆上がりのできない小学生に
とっても、世界一を目指すタイガーウッズにとっても同じなのかも
知れません。
384投稿者:『コーチングを実証する』  投稿日:2006/05/25(木)00:38:29
ボストンフィルハーモニー管弦楽団指揮者のベンジャミン・ザンダー氏
彼は指揮者でありながら、「人から可能性を引き出すリーダーシップ」
というタイトルで、大手企業などのビジネスエグゼクティブ向けの
研修、講演活動を勢力的に行っています。ザンダー氏は、
2002年の国際コーチ連盟の大会で基調講演のスピーカーとして登場。
あまりにも好評だったため、2年後には、たった2時間のために
プライベートジェットで飛んでやってきたそうです。「人がふたり以上
集まると、そこにはリーダーシップという概念が生まれる」
「オーケストラで音を出さない唯一の存在は指揮者である。
だから、いかに楽団員から音を引き出すかが求められる」
そう語るザンダー氏は、トークと音楽を交えながら、観客をあっと
いう間に巻き込み、音楽という媒体を通じて、コーチングの効果を
見せてくれます。実際に、音楽家たちは彼の言葉を受けると、
音が変わるのを実感できるのです。このたび、そのザンダー氏を
日本にお招きする運びとなりました。その講演の題名はズバリ
「Experiencing the Art of Possibility〜コーチングを実証する」
音楽というフィールドを通じて、コーチングの手法とその具体的で
即効の成果を目のあたりにするのは、実にエクサイティングな
体験です。多くの方に、ザンダー氏の「可能性を引き出す」
取り組み方を目撃していただきたいと思います。
385投稿者:『質問を創る』  投稿日:2006/06/07(水)23:07:24
コーチングはそのほとんどが質問によって進行されるといっても
過言ではありません。いい質問は、気づきをもたらし、新しい
アイディア、そして、パラダイムシフトをもたらします。
この数年で質問に関する本も数多く出版されました。いつ、
どんなときに、どんな質問が有効かについて紹介している本も
たくさんあります。しかし、ご存知のように、本に書いてある
質問をそのまま「今」に使えるわけではありません。質問が機能
するためには、それだけの条件を必要としています。質問が機能
する「場」が最初に創られなければならないわけです。何の
かかわりもない人に「3年後の自分から今を見たらどう
見えますか?」なんて聞かれたくもない。たとえ、酒席でも
ごめんです。その質問の必然性が了解されている「関係」、
「タイミング」、「適切な環境」、「コンテキスト」、そして
質問を受けることへの「了解」など実は質問をするときには、
これらの条件を揃えることが、何にも増して優先されます。
質問には力があります。思考と行動を変える力があります。
相手が、何かをはっきりさせてみたい、行動を起こすために
見通しのいい状態をつくりたい、と思わない限り、
質問に答える理由はありません。
386投稿者:『質問を創る』  投稿日:2006/06/07(水)23:10:01
誰でも、自分の内側を不用意に覗かせたくもないし、
質問に答えることで、相手に利用されることへの警戒心も
ありますから。「場」が整わないうちは、たいてい、質問を
されても、一般論で答えたり、いい加減な返事をしたり
するものです。また、興味を喚起しない質問にも答える気に
なりません。ペンを手に持って、「What is this?」なんて
聞かれても、答える気になりません。それがたとえ英語の
授業でも、手に持っているものが何であるか見えているのに、
わざわざ「Pen」なんて答えたくもありません。でも、
手を後ろに回して「今、僕は手に何を持っていると思う?」
なんて聞かれれば、それは興味がわきます。いいコーチは、
興味を喚起する質問を創りだしています。質問されると、
わくわくしちゃうんですね。つまり、質問は「なまもの」だと
いうことです。「伊藤、金メダルをとろう。お前にとっての
金メダルは何だ?」なんて聞かれたときはずいぶん興奮しました。
387投稿者:『質問を創る』  投稿日:2006/06/07(水)23:10:25
質問する側の、その人に対する興味、その興味が伝わって、やがて、
質問される側も自分に対する興味がわいてくる。そのサイクルが
生き生きとした会話をつくり出します。「今日はどんな一日に
しますか?」「ほかにどんな選択がありますか?」「もし、
あなたが社長なら、いますぐ何をやりますか?」
「3年後どうなっていたいですか?」世の中には、無数に
有効な質問があります。しかし、どの質問も誰が、どの
タイミングで、どのようなセッティングをするかによって、
機能したり、しなかったりします。効果的な質問をそこに
創りだすことは、コーチにとって永遠のテーマになります。
できれば、まったく同じ質問でも、毎回新鮮にできるように
なりたいと思います。
388投稿者:『ドッジボールvsキャッチボール』  投稿日:2006/06/16(金)01:09:18
私は高校時代、ラグビーをやっていました。ほぼ30年前
のことです。毎日毎日、10人以上のOBが指導に訪れ、
練習は本当に厳しかった。3年生になり、受験のために引退
という最後の練習のときに、初めてOBから、「ナイスダッシュ!」
と誉められて、それがうれしくて涙ぐむ。というような、典型的な
体育会でした。たたき上げる。しごく。どうも私たちの世代は、
そのように育てられたのではないかと思います。だから、この年
になって、部下を育てる側にまわっても自分たちがされたやり方で、
指導する傾向があるように思います。わかっていても、それは
なかなか変えられない。3年前、ある食品メーカーの事業部長が、
コーチング研修に参加しました。コミュニケーションをキャッチ
ボールに例えたデモンストレーションを行ったときのことです。
「桜井さん、僕は部下とキャッチボールはしていないな」
「キャッチボールをしていない?」「うん。していない。毎日が
ドッジボールだよ!」部下をもつようになって20年。
部下めがけて剛速球を一方的に投げまくっている。
部下を育てることに関しては、本当に一生懸命やってきた。
389投稿者:『ドッジボールvsキャッチボール』  投稿日:2006/06/16(金)01:17:15
部下をたたき上げるという信念で、心を鬼にして厳しいボールを
投げてきた。そのやり方で、何人も優秀な部下を育てた自負もある。
と言うのです。そして、「でもね、桜井さん。相手によっては、
強いボールが受け取れず、結果的に自分から離れていった奴も
いるんだよ。これからは、一方的にガンガン部下に言うだけでなく、
部下の話も聞いてみたい、部下とキャッチボールもしてみたいって
思ってるんだよ」彼は、コーチ・トレーニング・プログラム
(CTP)に参加することを決めました。多忙なスケジュールを調整し、
週に2回の電話会議によるトレーニングを開始したのです。
彼は、毎週のトレーニングごとに楽しそうに言っていました。
「コーチの勉強はおもしろいね。すぐに全部はできないけど、
部下とのキャッチボールだけは毎日自分に言い聞かせて、実践する
ようにしてるよ」3ヶ月ほどして、彼から相談を受けました。
390投稿者:『ドッジボールvsキャッチボール』  投稿日:2006/06/16(金)01:17:43
「桜井さん、このところ、部下の間で噂になってるんだ」
「どんな噂ですか?」「最近、部長のようすが変だ。気持ちが悪い
って言うんだよ。どうしたらいいんだろう?」「原因は何だと
思いますか?」「なにしろ部下の話を聞くようにしてるからじゃ
ないかな?」「それはすごい。自分のコミュニケーションを
変えるのはとても勇気がいること。気持ちが悪いと言われるなんて、
それは尊敬に値します。僕も見習いたい。それで、部下の動きに
変化はありますか?」「以前は、月次のレポートを出すように口を
すっぱくして言ってもなかなか出揃わなかったものが、先月は何も
言わなかったのに期日どおりに全部揃った。部下からの提案も
増えている。以前より部下の動きは確実によくなっていると思う。
今は、気持ちが悪いと言っているけど、そのうち慣れるのかな」
彼は現在、CTPのプログラムをすべて終了し、認定コーチの資格を
とって、社内コーチとして活躍しています。自分の
コミュニケーションを変えるためには、継続したトレーニングに
参加すること。そして、少しだけ「勇気」が必要なのだと思います。
391投稿者:『新しい壁』  投稿日:2006/07/04(火)04:28:18
先日、家の近所にある「打ちっぱなし」で、レッスンプロから
こんな話を聞きました。「最近の若いプロゴルファーはみんな
コーチをつけてますよ。でもね、ある程度できるようになると、
自分一人でやろうとする人が多いんだな。もう大丈夫って感じで。
ところが、ゴルフって上達すればしたで、必ず新しい壁がそこに
立ち現れる。そうなったときに、いち早く、改めてコーチの門を
叩けば、短い時間でその壁を乗り越えられるんだけどね。
一度できるようになった選手はなかなかそうしない。
もったいないよね。だけど“本当に”優秀な選手はそこで
コーチを求めるんだな。」この話を聞くと、やはり、
タイガー・ウッズは“本当に”優秀な選手なんだなと思います。
 タイガーはもともと、ブッチー・ハーモンというコーチに
ついていました。しかし強くなり連戦連勝するようになって、
彼は、ブッチーと歩むことを一旦は止めました。しかし、
その後、試合にまったく勝てなくなった時期があり、タイガーは
そこで再びブッチーの門を叩きます。それが再び、彼に
勝利をもたらす大きな足がかりになったと言われています。
企業のエグゼクティブも同じで、役職が上がれば、常に
新しい壁が立ち現れます。部長から執行役員になれば、
当然、これまでとは違う壁を乗り越える必要があります。
392投稿者:『新しい壁』  投稿日:2006/07/04(火)04:29:04
部長の延長線で執行役員をやることは難しい。常務、専務、
副社長、社長。一つポジションが上がれば当然違う課題が
目の前に現れます。本当はそこで、タイガーのように
誰かのサポートを経て、変化を遂げることを目指せば
いいのですが、なかなかそうはいきません。なぜなら、
エグゼクティブというのは基本的に、自分は「成功者」だと
思っているからです。「成功者」は一般的に、おいそれとは
自分の行動を変容させません。今日の自分に導いてくれたやり方が、
明日の自分を保障するはずだと思うからです。その一方で、
米長さんという棋士は、自分の成功体験を脇に置き、行動を
変化させた人として有名です。彼は6回名人戦に挑戦し、
一度も勝つことができなかった。次に負けたらもう名人に
なれないだろうと言われはじめたときに、米長さんは、
自分のそれまでの戦法を一旦全て投げ打ち、若手に弟子入りして、
最先端の将棋戦法を4年かけて学びなおしました。そして、
50歳の時にはじめて名人位を獲得するに至るのです。
(『決断力』羽生善治著より)成功体験をもっている人は、
ややもすると、新しいことにチャレンジして、失敗して
アイデンティティを失うくらいなら、同じやリ方で失敗して、
周囲のせいにした方がいいとさえ思います。
393投稿者:『新しい壁』  投稿日:2006/07/04(火)04:29:23
アイデンティティの喪失というリスクを乗り越えて、
新しい壁超えを目指すには、どうもコーチのような、異なる
視点を投げかけてくれて、励まし、共に歩んでくれる人が
側にいた方が早いようです。先日、コーチングをしている
ある企業の副社長が社長になりました。彼いわく、
「社長になったら、見る世界がまったく変わったよ。十分
力を身につけてきたと思ったけど、想像するのと、実際に
なってみるのとでは、雲泥の差だね。もうしばらく鈴木さんの
サポートが必要だな。」新しい壁を一緒に乗り越えるというのは
なかなかやりがいのある仕事です。
394投稿者:『聞く能力』  投稿日:2006/07/05(水)23:52:11
先週末は、ハーレーン・アンダーソン
(『会話、言語、そして可能性』の著者)のコーチング
を受けました。いつも新鮮なのは、彼女の聞く姿勢です。
私に興味をもち、私を理解し、私を学ぼうとするあり方が
伝わってきます。質問の数はあまり多くありません。
しかし、いくつかの質問は、私の視野を変え、深く考える
機会を与えてくれました。その中のひとつに、
「あなたは、自分の部下が、部下自身の創造性やリソースに
アクセスできるようにするために、何をしていますか?」
というものがありました。結論から言えば、計画的に
やっていることは何もなく、部下が自分の創造性とアクセス
できるようになるために、自分は何ができるんだろうと、
考え込んでしまいました。普段私たちは「知らないことを、
知らない」わけですから、知らないことを知りようも
ないところにいます。よく言われる「わかったつもり」
になっています。しかし、自分は知らないという事実に
遭遇すると、初めて、知ろうとする姿勢、聞いてみよう
という姿勢がうまれるように思います。ハーレーンの質問に
その場では答えられなかったのですが、その後、
スタッフに聞きました。
395投稿者:『聞く能力』  投稿日:2006/07/05(水)23:53:30
「君はどんなときに創造的だと思う?」「どんな条件が揃うと、
創造的になれる?」一つひとつの答えは新鮮で、そして何よりも、
その人への興味が喚起されることに驚きました。人はとりあえず、
自分のわかっている範囲で判断し行動します。しかし、
ときどき自分がわかったつもりになっていることを見直す機会
がないと、現実に不適応を起こしてしまいます。
その最初の兆候は、話を聞いていて「つまらない」と
思うこと、興味がもてないこと。そして、その原因は
相手の話がつまらないからだと決めつけてしまうこと。
そういう一面も確かにあります。しかし、見方、聞き方が
パターン化している自分を意識する機会がないのは、
残念なことだと思います。「わかったつもり」に
なっていましたが、聞き方についてはもう一度、
練習しようと思いました。
396投稿者:『聞く能力』  投稿日:2006/07/05(水)23:54:47
 1.待つこと
 自分の話をするために、部下の話が終わるのを待つのではなく、
 部下が十分に考えて、そして話せるように、待つ。

 2.自分の話はしない
 部下の関心を自分にむけさせない。
 私たちは、自分について話すとき、そのほとんどは、自慢話です。
 部下について知ることが目的であることを、忘れない。

 3.否定的な反応をしない
  聞くのには忍耐がいります。
 「でも」「だけど」「そうはいうけれど」「そうかなー」
 「しかし」、これを使われると、話すのがいやになります。

このところ、わかった気になって、たかをくくって、
痛い目を見ました。わかっていることは確かに大切なこと
ですが、同時に、わかったような気になっていると、
老化が進むと思いました。
397投稿者:『もしも社内にコーチがいたら』  投稿日:2006/07/13(木)22:53:14
もし、あなたの会社に社内コーチがいたらどのような
ビジネスインパクトを生み出すと思いますか?社内コーチとは、
社内にいて必要に応じていつでもコーチングを行う人です。
たとえば、
・営業に出る前に、どのように話すか、何がポイントなのかを
    はっきりさせる
・目標面談を行う前に、話のポイントは何か、部下のタイプは何か、
    落としどころは何かについてはっきりさせる
・たくさん抱えてしまった仕事を整理する
 などなど、、、

実際に、社内コーチの存在は、風土改革はもとより、売上げの向上、
利益率アップ、離職率の低下など、さまざまなビジネス
インパクトを生み出しています。都内で整体マッサージを
チェーン展開している企業が社内コーチを取り入れました。
その店長・Aさんの事例をご紹介します。
398投稿者:『もしも社内にコーチがいたら』  投稿日:2006/07/13(木)22:56:44
Aさんは、10名の部下をもつプレイングマネジャー。
もちろん、個人の売上げはダントツ。その実績をかわれて
店長に抜擢され、約1年が経ちました。
Aさんはこの4月から、店舗の売上げを上げることをテーマに
社内コーチを受けています。
社内コーチ:「お店の売上げを上げるためには
        何が必要だと思いますか?」
Aさん    :「スタッフが、私と同じかそれ以上の
        売上げを上げることですね」
社内コーチ:「それを実現させていくポイントは何ですか?」
Aさん    :「スタッフにもっと自発的に動いてほしいんですよ。
         それがポイントだと思います」
社内コーチ:「なるほど、なぜ自発的に動いてくれないんだろう?」
Aさん    :「若い子たちは、やり方がわからないのかも
        知れません。やる気はあるんです。
        少し教えてあげると、ぜんぜん違いますから」
社内コーチ:「ということは、Aさんがもう少し指導する時間を
          増やせばいいということですか?」
399投稿者:『もしも社内にコーチがいたら』  投稿日:2006/07/13(木)22:56:59
Aさん    :「そういうことになりますね。今話していて、
          自分はお客さんを減らして、若い子を指導する
         時間を増やした方がいいのかなと思いました。
        もっともっと自分の売上げを伸ばさなければいけないと
        思っていたんですが、それよりも若い子を伸ばした方が
       いいに決まってますよね」
社内コーチ:「そのために、Aさんに具体的にできることは何ですか?」
Aさん    :「自分の指名はこれ以上増やさず部下を
         指導する時間を増やすことにします。
       それから、気になっている新人がいるので、
       今日のお昼に誘って話してみます」

Aさんは、1週間に2〜3回、朝5分間の社内コーチを
受け続けています。2ヵ月後、2人のスタッフがAさんの
売上げを上回りました。
お店全体の売上げも約20%アップしています。
もし、あなたの会社に社内コーチがいたら、どのような
ビジネスインパクトをもたらすでしょうか?
400投稿者: 投稿日:
401投稿者:『指揮者、リーダーシップ、そしてコーチ』  投稿日:2006/08/03(木)11:22:53
7月30日に、ベンジャミン・ザンダー氏を招いての講演を
開催しました。ボストン・フィルハーモニーの指揮者である
ザンダー氏は、近年、リーダーシップについての講演をしています。
彼がリーダーシップについての講演を始めたのは、数百人の経営者に
対する講演を依頼されたことがきっかけでした。そのとき、彼は、
自分は音楽が専門でビジネスとは無縁だから、話すことがないと
一度は断ったのですが、「どうしても」ということで、結局その
講演を引き受けました。ところが、彼の講演は思いのほか
好評でした。彼は、何人もの経営者に、自分の会社に来て
講演してほしいという依頼を受けたのです。それ以来、彼は、
指揮者として、リーダーシップの講演者として、そして、
コーチとして活躍するようになりました。
マッキンゼー、フェデックスなど、いろいろな企業で
講演をしています。彼は67歳で、とても快活です。
3時間半の講演の間、スキップをし、声高らかに歌い、
ピアノを弾き、カルテットをコーチします。彼は講演のなかで、
音楽をふんだんに使います。それは、彼の言葉を裏づけて
いきます。ステージの上で演奏するカルテットをコーチし、
その場で、音と表現を変えていきます。それは、単に音楽の
コーチとしてトレーニングしているのではなく、カルテットの
メンバー一人ひとりを、「可能性」のステージへと導く。
402投稿者:『指揮者、リーダーシップ、そしてコーチ』  投稿日:2006/08/03(木)11:23:36
つまり「正しく演奏しよう」、「間違わないように」、
「誰かよりもうまく」、「悪い評価を受けないように」
といった、不自由な世界からシフトして、「可能性」の
世界へと連れて行くのです。一方が、「have to」「need」
「must」だとすると、もう一方は、「want to 〜してみたい」、
または、「他にできること」というスタンスです。
彼は、カルテットをその世界に移動させていきます。
彼はそのことを、「可能性への物語を創る」、その入り口まで
運ぶこと、といいます。そのためには、単に頭で理解するだけ
では充分ではありません。彼は、からだの動き、表情、全部に
働きかけます。それは、人のあり方そのものに働きかける、
コーチ本来のあり方なのでしょう。今回のイベントには
1300人の方々が参加しました。そのうち500人は、
コーチ、または、コーチングを学んでいる人たちでした。
コーチングについては、いろいろな説が出てきています。
私は2年前に、彼の講演をきいたとき、ぜひ日本で、彼に
直接コーチに話してもらいたいと思いました。
403投稿者:『指揮者、リーダーシップ、そしてコーチ』  投稿日:2006/08/03(木)11:24:05
なぜ今コーチングなのか?コーチングとは何か?そして、
コーチとは?コーチそのものの彼に、
話してもらいたいと思いました。そのメッセージは充分に
伝わったように思います。音楽を通して、コーチングが
実証されていくプロセスは、圧巻です。ところで今回、
彼と対談の機会をもちました。その中での彼との会話で
印象に残ったことがあります。私が「時差ぼけはありませんか?」
と聞いたところ、彼は、自分に時差ぼけはないと言い切ります。
そこで、「今日は何時に起きましたか?」と聞くと、「午前2時」
と答えます。「それは立派な時差ぼけじゃないですか」
「どうしてだ。その時間に目が覚めて、そこから仕事をしたり、
音楽を聴いたり、とても素敵な時間を過ごした。
どこが時差ぼけなんだ」「だって、普通は午前2時には
起きないでしょう。僕が時差ぼけでつらいのは、午前2時に
目が覚めてしまうことなんだ」すると、彼は言いました。
「いや、午前2時に目が覚めてしまうことが問題なのではなく、
2時に目が覚めて、その後、焦ることが問題なんだ。時差ぼけで
問題なのは、その焦りだけだ」そう言われてみれば、
そうなのかもしれません。万事彼は、そういうスタンスです。
また、彼はすべての人にコーチが必要だと言います。
音楽の世界で、コーチのいない演奏家はいないと言います。
たとえば声楽家は、自分の声があまりにも自分自身に
近いところから出てくるので、自分で自分の音を
捉えられないときがあります。だから、コーチが必要だと。
また、スポーツ選手、たとえば、アガシ、タイガー・ウッズなど
一流の選手の名前を挙げて「あんなに一流の人たちが
コーチをつけているのに、自分たちのような凡人にコーチが
不必要なわけがない」と言うのです。そして、彼は自分の
コーチについて話し始めました。6時間以上の対談は、
とてもエキサイティングでした。それでいて、まるで疲れを覚えない。
6時間ずっと、疲れないあり方についてコーチされたような、
そんな体験でした。ベンジャミン・ザンダー氏との対談の内容
については、追って、ウェブ上で紹介していきたいと思います。
404投稿者:『何を聞いていいかわからない』  投稿日:2006/08/09(水)20:34:13
先日、社内コーチ育成プログラムを行っていたときのことです。
参加者のAさんは45歳の男性。父は建設業の経営者。
彼は、2代目として将来事業を承継することが決まっています。
今回は6回目のトレーニングでした。テーマは「よい聞き手になる」
日ごろの様子をAさんに聞いてみると、部下とのコミュニケーションは
指示命令型で、かなり一方通行になっているとのこと。
部下の話を聞こうと思っても、何を聞いていいかわからない。
間がもたないといいます。そこで、私の話をAさんが聞く、という
ロールプレイを行うことにしました。題材は趣味。
 Aさん:「桜井さんの趣味は何ですか?」
 桜井 :「ゴルフです」
 Aさん:「ハンデは?」
 桜井 :「正式なものは持ってないんです」
 Aさん:「どのくらいのスコアでまわるんですか?」
 桜井 :「この前は97でした」
 Aさん:「どこのゴルフ場ですか?」
 桜井 :「成田です」
 Aさん:「誰と行くのですか?」
 桜井 :「友達」
405投稿者:『何を聞いていいかわからない』  投稿日:2006/08/09(水)20:39:42
 Aさん:「いつから始めたんですか?」
 桜井 :「10年ぐらい前かな」

 Aさん:「桜井さん、質問のネタがなくなりました。
       何を聞いたらいいかわかりません」
 桜井 :「あれ、もう終わりですか?」
 Aさん:「部下ともこんな感じになっちゃうんですよ」
 桜井 :「Aさんは何に意識を向けて聞こうとしていたんですか?」
 Aさん:「桜井さんの趣味、ゴルフについて聞くことに
       集中していたつもりなんですけど、、、」
 桜井 :「なるほど、ゴルフそのもののことを聞いていくと
       自分の知っている範囲のことしか質問できないから、
       すぐにネタがつきてしまいますよね」

コーチになるための最初のトレーニングは「よい聞き手」に
なることです。ところが、実際にロールプレイを行ってみると、
このようなことがよく起こります。「何を聞いていいかわからない」
もし、見えている行動だけではなく、その人自身に興味をもつことが
できたらどうでしょうか。ゴルフそのものではなくて、ゴルフを
切り口にしてその人自身のことについて興味をもつ。
406投稿者:『何を聞いていいかわからない』  投稿日:2006/08/09(水)20:42:05
ゴルフの何に魅力を感じているか?ゴルフをやっていて一番
エキサイトする瞬間はいつか?もっとゴルフを楽しむための
ポイントは何か?どのようなことを考えたり感じながら
ラウンドしているのか?その人自身が感じていることや
考えていること。その人そのものに興味をもつ。部下に対しても
まったく同じです。仕事そのものの話ももちろん大切です。
それに加えて、仕事をやっているその人自身に興味をもつ。
仕事にどのくらい満足しているのか?
仕事の何に楽しさを感じるのか?
やりたいことは何か?
困っていることは何か?
どのような将来を考えているのか?
目の前にいるその人そのものに興味をもつこと 。これが
よい聞き手になるための最初のステップなのだと思います。
407投稿者:『遂行矛盾』  投稿日:2006/08/09(水)20:56:50
コーチとして相手を見るときに、大切な「軸」の一つは、
相手が自責で物事を捉えているか、それとも他責で物事を
捉えているかです。自責も他責も、その人が周りの環境に対して、
どのようなスタンスを有しているかを表現しています。
自責とは、環境がどうであれ、自分から環境に働きかけて
いこうという心の状態です。一方、他責とは、環境から
「働きかけられる」のみで、自分では環境に影響を与えられない
と半ば諦めてしまった心の状態です。コーチはいろいろと
クライアントに質問をしていきますが、最終的には、「で、
どうしますか?」と聞くわけです。つまり、あなたが環境に
働きかけない限り何も変わりませんよ、と。自責で捉えない
限り状況は好転しませんよ、と。さて、あなたは自責、他責
どちらで物事を捉えているでしょうか?コーチングの研修で
受講者の方にこの質問をすると、8割以上の人が自責で捉えて
いると手を挙げます。さすが管理職! 意識が高い、と
思うわけですが、後で、その人たちからこんな意見を聞く
ことが多々あります。「部下が全く自責で捉えられなくて
困っているんですよ。会議の発言を聞いていても、
悪いのは全部周りで、自分は何一つ変える必要がないんですから。
どうして自責で捉えられないんでしょうね。嫌になりますよ」
408投稿者:『遂行矛盾』  投稿日:2006/08/09(水)21:01:07
そんなときはニコニコしながら、思わず聞いてしまいます。
「ということは、その部下が自責で捉えられないことを、
Aさん自身は自責ではなく、他責にしているんですね?
つまり、Aさん自身には変えられないことだ、と」
Aさんは一瞬、何を言われたのかわからないといった風に、
キョトンとした顔になります。Aさんだけでなく、私たちが
一般的にはまりやすいことです。「あの部下は他責でしょうがない」
と言った瞬間に、部下の状態に対して他責になります。ちょうど、
「廊下では大声出すな!」と言った瞬間に大声を出した
当事者になるように。このように、ある一方を否定すると、
自分にその否定自体が戻ってきてしまうことを
「遂行矛盾」と呼びます。
「なんでもっと売上げをあげられないんだ!」
「どうしてもっと自分で考えて自発的に仕事ができないんだ!」
「なんで会議でもっと積極的に発言をしないんだ!」
こう言った瞬間に、その言葉はブーメランのように自分に戻ってきて
「遂行矛盾」を引き起こすわけです。「売上げを上げさせることの
できない上司」「部下の自発性を高められない上司」
「積極的に発言させられない上司」一度「遂行矛盾」を
自分がしてないか、チェックしてみるのもいいかもしれません。
409投稿者:『遂行矛盾』  投稿日:2006/08/09(水)21:02:32
どのぐらい本当に自分次第で周りの環境を変えられると思っているか。
□私は部下に影響を与えられると思っているか
□私は上司に影響を与えられると思っているか
□私は会社に影響を与えられると思っているか
自分次第と思う度合いが高ければ高いほど、きっと人生は楽しいですから。
410投稿者:『リフレーズ』  投稿日:2006/08/31(木)13:10:58
先日、久しぶりにアメリカ人のコーチングを受けました。
東京からテキサスに電話をかけてのセッションです。
そのコーチングで、何よりも良かったのは、私が話すたびに、
彼女が必ず“リフレーズ(言い換え)”してくれたことです。
こちらが言ったことを同じように繰り返すのではなく、
少し言い方を変えて、「こういうことを言いたいのですか?」
と返してくる。(しかも毎回!)また、それが絶妙で、
こちらが「それそれ!」と言いたくなるような表現で
返してくれます。例えば、「身近な人とより強い関係を作りたい」
と言うと、「周りの人はあなたから良い刺激を受けるし、
あなたも周りの人から良い刺激を受ける、そんな関係が築きたい
ということですか?」と断定するのではなく、純粋に
確認をしたいというトーンで問いかけてきます。
英語で受ける久しぶりのコーチングに、最初は少し緊張
して早口になっていましたが、だんだんと
「じっくり考えて、ゆっくり答えて大丈夫だ、それでも
彼女は聞いていてくれる」そんな安心感が自分の中に
広がっていきました。
セッションの終わり、彼女に聞きました。
411投稿者:『リフレーズ』  投稿日:2006/08/31(木)13:17:35
「こういうリフレーズを誰に対しても毎回しているんですか?」
彼女曰く、「私はただ、自分が相手の世界を正確に理解
できているかどうかを確認したいと思っているのよ。だから、
頻繁に、『この理解の仕方で合っている?』と聞くように
しているわ。」リフレーズをされると、自分が言ったことは
間違いなく、相手の「生体」を通過したのだと思うことができます。
相手は確かに一度、こちらの言葉を体の中に取り込んで、
理解しようとしたのだ、というのが伝わってきます。
たとえ、「あっ、それはちょっと違う」という表現が返ってきた
としても、「理解しようとしている」というのは強く
伝わりますから、こちらとしてはさらに話したくなるわけです。
自分の考えが明快で、迷いなく何かを伝えたときには、そのまま
同じ言葉で繰り返されるのもいいものです。自分が選んだ言葉に
後押しを受けるような感じがありますから。しかし、
少し迷いをもって言葉を伝えたときには、同じ言葉で返される
よりも、リフレーズされた方が、自分の内的世界を理解しよう、
サポートしよう、としてくれている相手が感じられて、
より強い好感がもてると感じました。
412投稿者:『リフレーズ』  投稿日:2006/08/31(木)13:17:54
このセッションの翌日の夜、
高校時代の友人と食事をする機会がありました。彼は、自分から
話のイニシアチブをとるタイプではありません。
しかも、じっくり考えてぼそぼそと話します。ですから、沈黙は
たびたび訪れます。最初の沈黙がやってきたとき、
普段の自分であれば、新しい話題を提供するところですが、 
この日は、リフレーズにかけました。「今言ったことは、
こういうことなんだよね?」相手は、かすかな笑みを浮かべて、
相変わらずぼそぼそとですが、また話し始めました。   
次に沈黙がやってきたときも、またリフレーズ。
彼は、一度大きく頷いて、さらに話を続けました。
こうなるともう、リフレーズ、リフレーズ、リフレーズ。
結局一緒にいた2時間、話したのはほとんど彼でした。
おそるべし、リフレーズ。
413投稿者:『コーチの今の状態が伝わる』  投稿日:2006/09/07(木)23:51:11
100歳以上の人(センテナリアン)を対象にインタビューをした
ラジオプロデューサーが書いた本に、こんな話がありました。
人間の脳には、大脳辺縁系という感情を司る部分があり、その回路は
外側に向かって開かれている。つまり、周囲の人の感情は、
大脳辺縁系を通じて自分の感情に影響を与えている。そして、
周囲の人の大脳辺縁系と自分の大脳辺縁系がお互いに響きあい、
共鳴し、感情を共有することを「大脳辺縁系共鳴」といいます。
著者は、センテナリアンのインタビューを繰り返す中で、あるとき、
不思議な安心感や幸福感を感じるという経験をします。それが
何であるか、はじめは理解できなかったのですが、その体験の
理由が知りたくなり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の
トーマス・ルイス博士に会いに行きます。そこで、自分が体験した
不思議な感覚について彼に話します。それは、安心感を感じる瞬間
であると同時に、なにかコントロールを失うような、落ちていくような
感じを味わう体験であったことを話すと、博士は、それがまさに
「大脳辺緑系共鳴」が起こっている瞬間だったといいます。一緒にいて、
話を聞きながら、その感情を共有する。相手をコントロールしようという
気持ちを放棄したときに、こうした体験が起こるそうです。
このような「大脳辺縁系共鳴」は、哺乳類動物だけに見られる、と
博士はいいます。それは、相手の感情状態を察知する内なる能力です。
414投稿者:『コーチの今の状態が伝わる』  投稿日:2006/09/08(金)00:33:48
伝わるのは、安心感や幸福感といったポジティブな感情だけでは
ありません。怒りや不安といった感情ももちろん伝わります。
つまり、不安な人の側にいると、不安は伝わり、幸せな人の側に
いれば、幸せを体験することができます。犬が好きな人は、
犬にはわかり、子どもの好きな人は、子どもには分かるわけです。
私たちは、ストレスや不快な感情をできるだけ避けたいと思うものです。
したがって、どんな人と一緒にいるかはとても大事なポイントに
なります。怒りっぽい人や、悲観的な人、不機嫌な人、こういう人の
傍にいれば当然その影響を受けることになります。機嫌よく、
穏やかで、のびのびしている人の傍にいれば、その影響を受けることが
できます。以心伝心は本当にあり、それは証明されつつあるわけです。
415投稿者:『コーチの今の状態が伝わる』  投稿日:2006/09/08(金)00:34:06
こうしてみると、コーチは、スキルや何を言うかも大切ですが、
それ以上に、今どんな状態でいるかはもっと大切なのだとわかります。
自分自身が快適な状態なのか、安心しているか、ゆとりはあるか、
それらがクライアントに直接伝わってしまうのですから。コーチは
モデルである必要があります。それは人間ですから、多少の波は
ありますが、コーチになるということは、それなりに自分の状態に
責任を持とうとすることだと思います。コーチといると、または、
コーチと話すとそれだけで、いい感じになる。もし、可能であれば
それを目指したいと思います。また、マネジャーが仕事を楽しんで
いて、部下のことを思っていてくれれば、部下はそういう
マネジャーと一緒に仕事をしたいと思うものです。それには、
説明はいりません。以心伝心。説明する前に伝わっているからです。
416投稿者:『すばやい実行を可能にするためのコーチング』  投稿日:2006/10/05(木)01:41:48
コーチの仕事は、クライアントのコントロール力を引き出し、
それを使えるようにすることにあります。コントロールとは、
ものごとをスタートし、チェンジし、そしてストップすることを
意味します。「リーダーシップ」の能力も、それに近いものだと
思います。さて、コーチは、クライアントが自ら行動を起こし、
行動を変え、行動を止められるようにコーチングをします。また、
行動を起こす、変える、止める、そのスピードも、コントロールの
対象となります。たとえば、組織において、さまざまな経営上の
決断をすばやく実行に移せるようになることはコーチングを
導入する確かな目的のひとつになります。新しい戦略の導入や
企業合併の際には、組織全体の改革が必要となります。
多重の構造、システム、文化を、「ひとつ」の統一された構造、
システム、文化に変えなければなりません。それも速やかに。
組織は、そのためにコーチングを導入します。ゆっくりした動きは、
成功の可能性を低くします。老化した組織は、企画、計画に膨大な
時間とコストをかけて、タイミングを逸します。また、
プロジェクトの実施がスタートしてしばらくすると、抵抗勢力が生まれ、
ゆっくり動いていくうちに、その抵抗勢力の力が増し、
サボタージュが始まります。そのことによって予期せぬ事態が
引き起こされ、関わる人たちの熱意が失われます。
417投稿者:『すばやい実行を可能にするためのコーチング』  投稿日:2006/10/05(木)01:49:48
その間、コストは膨らみ、実行のための努力は無に帰すのです。
一方、すばやい実行には、以下のようなメリットがあります。
  ・実行する際に立てた仮説が古くなりすぎることはない
  ・予期せぬ事態が起こりにくい
  ・社内/社外からの抵抗勢力を未然に防ぐことができる
  ・パフォーマンスの溝が早く明らかになるため、
早い修正が可能である
  ・早く動くことによって、ポジティブなフィードバックの
サイクルがつくられる
  ・組織の代謝がよくなる
  ・望ましい業績が増長する
コーチは、スピードをコーチします。すばやく実行に移せるように
なるために必要なツールやシステムをクライアントに備えさせます。
早いことが全ていいわけではありませんが、コーチはクライアントに
可能な限りすばやい実行を要求します。スピードがなければ
実現できないことは、決して少なくありません。また、スピードを
上げるために具体的にやれることもあります。たとえば、
言葉を統一して使うようにしたり、ナレッジを共有するための
システムを導入するなど。それらをベースにしながらコーチングを
することで、さらに効果があがると考えられます。
418投稿者:『あなたが変われば会社が変わる』  投稿日:2006/10/11(水)14:41:06
Tさんは、40歳。10年前に会社を創業しました。現在の社員は
200名、年商15億。会社は順調に業績を伸ばしています。
先日、Tさんがコーチングを受ける場面に同席させていただく
機会がありました。Tさんの了解を得て、そのようすを
ご紹介します。
コーチ:ここまでコーチングをやってきてどのような
変化がありますか?
Tさん:ISOを取得したり、コンプライアンス、
商標権についてなど、多くのものが具体的に進みました。
コーチ:それは素晴らしいですね。では、ここまでやってきて、
    どのような課題を感じていますか?
Tさん:もっと会社を大きくしていくことを考えると、
   自分自身に限界を感じています。今のままではこれ以上
会社は伸びない。自分が変わらないと会社の成長もないと
思うんです。これまでのコーチングでは、マネジャーの育成、
  社内制度の完備、顧客サービスの向上など、さまざまな領域が
テーマとして扱われてきましたが、今回のテーマは社長として
のTさん自身に絞られていきました。会社は社長次第。社長が
変われば会社が変わる。Tさん自身が何かを変えなければ、
会社のこれ以上の成長はない。
419投稿者:『あなたが変われば会社が変わる』  投稿日:2006/10/11(水)15:20:01
コーチ:自分自身のリーダーシップについてどう思いますか?
Tさん:ここまでは、自分が先頭に立って行動することで社員を
引っ張ってきたと思います。ですが、ここにきて感じるのは、
自分のビジョンをうまく伝えられない。
    こうしろああしろと言うのは得意ですが、
    社員からうまく引き出せない。
コーチ:自分の何かを変えるとしたら何を変えますか?
Tさん:漠然と何かを変えなければいけないとは思うのですが、
     具体的にならない。そこがよくわからないんです。
コーチ:そうですか。それでは、しばらくの間、何を変えるのかを
テーマにコーチングを進めましょう。変えるのは一つでOK。
一つが変わればすべてが変わります。すぐには見つからない
かもしれないけど、次回までに考えてきてください。
420投稿者:『あなたが変われば会社が変わる』  投稿日:2006/10/11(水)15:21:20
その3日後、Tさんとゴルフに行きました。Tさんは、いつも吸っている
タバコを一本も吸いません。不思議に思ってそのことを尋ねると
「やめることにしました。まずはタバコです。自分にとっては、
これができれば何でもできる。あとは、130キロある体重を
100キロまで落とすことを決めました。桜井さん、僕が
タバコをやめて、体重が30キロ落ちたら別人になると
思いませんか?人生が変わると思いませんか?」
「それはすごいことだ」「社員にだって僕の変化がはっきり
わかるじゃないですか!そしたら会社も絶対変わりますよ」
コーチングのテーマからは少しずれているような気もしますが、
彼の変わろうとする決意は固いようです。Tさんがタバコをやめて、
しかもスリムになったら、何かが絶対に変わるだろうという
迫力は十分伝わってきます。ゴルフ場から帰る車を運転しながら、
私はいつの間にか、“自分自身が変わるとしたら、まず何を変えるか”
“そしてそれは、会社にどのような影響を与えるだろうか”
ということを考え始めていました、、、
421投稿者:『WIIFM〜コミットメントから情熱へ』  投稿日:2006/11/30(木)03:24:53
かつて私のコーチであったダグはよく言いました。
「どんなときにでも、WIIFM が大事だ」WIIFM とは、
「What's in it for me?」 の頭文字をとった言葉です。
ダグは、言います。「本当のゴールは、一見、目標と思えるようなもの、
その先にある。それを見誤ってはならない。部下と面談すると、彼らは
たいてい会社や組織の求める目標を、まるで自分の意志であるかのように
口にする傾向がある。しかし、その目標は達成されないか、
または、達成されても実感の薄いものになりやすい。必要なのは、
部下個人の目標を見つけさせることなんだ」マネージャーたちは、
そのことを頭において、部下の目標設定をコーチすることが必要です。
さらに、彼らひとりひとりの目標が会社の目標とつながっているか
どうかを確認します。そのためには、部下の一人ひとりに、自分の
目標は何であるかを考えさせることが必要です。そのときに大事なのが、
『WIIFM』。つまり、『これをすることで、私が手にするものは
何か?』ということを部下自身が考えることが求められるのです。
大事なのは、一方的に会社の目標を与えるだけでは、
目標にはなかなか至らないということ。目標を達成するには、
会社の目標を達成することで『WIIFM、自分は何を手に
するのか?』を明確にすることが必要です。
422投稿者:『WIIFM〜コミットメントから情熱へ』  投稿日:2006/11/30(木)03:28:37
目標設定のプロセスに『WIIFM』は不可欠なものだ。ダグはその
ことを強調しました。「『WIIFM』をスキップして、アクション
プランやスケジュールを決めたとしても、目標には至らない。
また、彼らに目標に対するコミットメントを求めることはできたと
しても、彼らが、目標に向けて情熱を持ち込むことはない。
そうすれば、目標は遠いものになってしまうだろう。重要なのは、
スタッフが、頭で考えること(コミットメント)をやめて、心(情熱)
で動くようになることなんだ。それが、目標達成に向けた真の原動力
だからなんだ」ダグは、カナダやアメリカのローイング(ボート)の
オリンピック強化選手のコーチで、何人かの金メダリストを育てました。
現在は金融関係のエグゼクティブコーチとして活躍しています。
彼に聞いたことがあります。「オリンピックの選手にも、やっぱり
『WIIFM』は必要ですか?」「Absolutely! もちろんだよ。
金メダルをとることで、自分が本当に何を手にするのか、何を手に
したいと思っているか、それのはっきりしていない選手で、金メダル
をとった選手はいない。金メダルを取るということは、
『WIIFM』をはっきりさせるプロセスでもあるんだ」
「『WIIFM』のはっきりした選手は、練習に対する姿勢も、
練習の質も変わる。そして、意識が変わる。金メダルをとって当然だ、
というところへシフトする」コーチングは、行動に働きかけます。
同時に、あり方にも働きかけているのです。
423投稿者:『夢を聞く』  投稿日:2006/12/09(土)02:28:56
コーチ・トレーニング・プログラムを開始して、来年で
10周年を迎えます。これまでに、5000人以上の方が
このプログラムに参加されました。先日、福岡で行ったコーチング・
プログラム説明会の中で、参加者のNさんから成果の事例を
お聞きしました。その事例がとても印象的だったので、ご紹介
したいと思います。 Nさんは、熊本県在住の40代の女性。
地方銀行で融資の営業を担当しています。「私にとって営業の
数字をあげることは、それほど難しいことではありません」
Nさんは、コーチ・トレーニング・プログラムに参加し始めてから
現在までの2年間、営業担当地域で成績トップの座を守り続けて
いるといいます。 Nさんに、コーチングをどのように活かして
いるのかを聞きました。
桜井「コーチングを学ぶ前と後では、どのような違いがありますか」
Nさん「コーチングを学ぶ以前は、数字を上げることばかり考えていて、
ストレスが高かったですね。今は、数字のプレッシャーを
感じることはほとんどありません。毎月、楽してトップを
   とっているという感じです」
424投稿者:『夢を聞く』  投稿日:2006/12/09(土)02:38:38
桜井 「具体的に何が違うのですか」
Nさん「一言で言えば、相手の話を聞けるようになりました。
     私の仕事は、担当地域に出向いて融資を取ることです。
     お客様のほとんどは中小企業の社長。以前は、自分の
     担当している商品を売ることで頭がいっぱいでした。
     いかにして自分が話し始めるかばかり考えてましたから、
     相手の話なんかぜんぜん聞いていないわけです。
     今は、社長さんの夢を聞いている。
     毎日、社長さんに会って、その人の夢を聞く。
     話している社長さんもとても楽しそうですし、
     聞いている自分も楽しい。
     夢を聞いているだけで、営業の数字が上がります」
そんなに簡単にいくとは思えません。私は思わず聞きました。
桜井 「本当ですか?夢を聞くだけで、なぜ、数字が上がるのですか」
Nさん「私の担当は住宅ローンなのですが、銀行には人生のあらゆる
    場面に対する商品があります。教育ローンもあるし、
    自動車ローン、個人年金の ローンもある。たくさんの社長の
    夢を聞いていると、どこかでそれが当てはまる。だから
    自然と数字が 上がっていきます。実際に、この2年間、
    コンスタントに数字が上がり続けているんです」
425投稿者:『夢を聞く』  投稿日:2006/12/09(土)02:38:57
桜井 「なるほど、それは素晴らしいですね。コーチングの
    トレーニングが、どのように機能したのか教えてください」
Nさん「聞くスキルを身につけられたこと。何よりも、多くの人との
    ロールプレイを行ったことで、徐々に人の話を聞けるように
    なったのだと思います」
現在、マネジメントだけではなく、教育や医療など、さまざまな
場面でコミュニケーション能力の重要性が問われています。
コミュニケーション能力が仕事の出来を左右するといっても
よいでしょう。そして、コミュニケーション能力を向上させる
もっとも効果的な方法は、ひたすらトレーニングを積むことです。
コーチ・トレーニング・プログラムは、まさにコミュニケーションの
トレーニングを実践する場なのです。
426投稿者:『誰のために質問をするか?』  投稿日:2006/12/09(土)02:51:54
ある新聞社で研修を実施した弊社のスタッフから聞いた話です。
質問についてのセッションをしていたときに、かつては
記者として勤め、現在は管理部門のスタッフをしているという
参加者の方が、レクチャーに突然割って入りました。 そして、
少し挑みかかるように問いを発せられた。 「新聞記者として、
どのように政治家や企業人に質問するか、これまでもいろいろと
考えてきました。あなたがいうオープン・クエスチョンも
クローズド・クエスチョンももちろん知っています。
記者がする質問とコーチがする質問は一体何が違うんですか?」
「新鮮な情報など何もない」「そのことは既に知っている」
そんなことを言いたげなようすが伝わってきたそうです。
スタッフは次のように答えました。「おそらく、記者さんは
『自分のために』質問をしますよね。記事を書くために情報が
欲しいですから当然です。一方コーチは自分のためではなく、
『相手のために』質問をします。それが一番の違いですね」
相手は一瞬目を見開いた後、深く頷いて、そして言ったそうです。
「途中で止めてすみませんでした。次をお願いします」と。
一般的に、人は自分のために相手に質問をする傾向があります。
427投稿者:『誰のために質問をするか?』  投稿日:2006/12/09(土)02:52:36
例えば、学校から帰ってきた小学生の子どもに、「宿題はあるの?」
「今日は先生から連絡何かない?」「手は洗った?」
「テストの点数はよかった?」 これらは、子どものためというよりは、
自分の情報不足を補って自分が安心するための質問です。
では、もし、子どものために質問をしようと思えばどうなるか?
「学校のことで何かお母さんに手伝えることある?」
「今日学校で一番楽しかったことは何?」「宿題を楽しくやるには、
どんな工夫ができると思う?」全く違った質問が生まれる
可能性があります。上司も同じですね。営業報告をしにきた部下に、
「本当に取れそうなのか?」「いつ先方の決済が下りるんだ?」
「見積もりに間違いはないか?」と立て板に水のごとく質問するのは、
上司の不安の解消が主目的となっています。もし部下のために
質問をするというスタンスをとれば、「確実に取るために
僕からサポートできることはあるか?」
「きっと多くの苦労があっただろう。 どんな風にしてここまで
もってきたんだ?」 「最後の詰めで欠かせないことは何だと思う?」
「今回の成功で何を学んだ?」 こんな質問が生まれるかもしれません。
「相手のために質問をしよう」
そう思っただけで、質問は「コーチ色」に染まります。
428投稿者:『11のコンピテンシー』  投稿日:2006/12/14(木)00:57:07
コーチには、次の11のコンピテンシーが求められています。
それぞれ初級者レベルから上級者レベルまでありますが、
今回は、マスターコーチと呼ばれる上級者レベルの特徴を
ご紹介します。

1.プロとしての倫理規定と基準を満たしている
   →コーチの倫理規定について明確に言語化できる

2.コーチングのセッションについてクライアントと同意を作り出す
   →コーチングセッションに、クライアントが何を求め、
     どんな成果を手に入れ、それをどのように測定するかについて
    クライアントとの同意を作り出すことができる

3.クライアントと親密な関係を築いている
   →ただ親しいのではなく、クライアントとパートナーシップを
    組み、クライアントの未知の部分を一緒に探求できる

4.コーチとしてのプレゼンスがある
   →オープンで柔軟で自信に満ちた態度を持つ
429投稿者:『11のコンピテンシー』  投稿日:2006/12/14(木)00:58:12
5.アクティブリスニングができる
   →クライアントが話していることと、言語外にあることの両方に
    耳を傾けており、クライアントが自己表現できるよう援助する

6.強力な質問ができる
   →クライアントに考えさせ、自己開示できる情報を引き出す
    質問をすることができる

7.直接的なコミュニケーションができる
   →クライアントにとって、最もポジティブな影響を与える
    コミュニケーションを起こすことができる
430投稿者:『11のコンピテンシー』  投稿日:2006/12/14(木)00:58:41
8.気づきを促す
   →クライアントが求める成果を達成するために、
    クライアントから得た情報を正確に統合することができる

9.行動を促す
   →クライアントにとっての学習の機会を
    ともにデザインすることができる

10.計画と目標設定
    →クライアントとともに、効果的なコーチングのプランを
     作ることができる

11.進行状況を管理し、責任を持たせる
    →クライアントにとって何が大事かを明確にし、
     行動を起こさせるための責任を自ら取らせることができる
431投稿者:『あなたのタイプは?』  投稿日:2007/02/07(水)14:16:27
「何か美味しいものを食べに行こうか」と私。
 「いいよ。行く、行く!」と答えるのは中学3年の長女。
 「どこに行くの? 何を食べるの?」と質問してくるのは
 小学3年の次女。

 人をタイプに分ける方法はたくさんあります。
 中でも、コミュニケーションのスタイルに焦点を当てたものが、
 コーチングで使う、4つのタイプ分けです。

 自分が「決断」することを重視するコントローラー、
 人に「影響」を与えることに喜びを感じるプロモーター、
 人との「合意」や「協調」を重視するサポーター、
 ものごとの「正確さ」を大切にするアナライザー。

 私からの楽しげな誘いにノリで応じる長女は、たぶんプロモーター。
 店や料理の内容などの具体的な情報求める次女は、
 おそらくアナライザーです。
432投稿者:『あなたのタイプは?』  投稿日:2007/02/07(水)14:19:59
 昨年の夏、東京のお台場で冷凍マンモスの展示をしていました。
 地球温暖化の影響で地表に現れたという、
 愛・地球博で話題になった、あのマンモスです。
 8月のある日、私は、
「お台場にマンモスを見に行こうよ」
 と次女を誘いました。
 ところが次女は、すぐに「うん」とは言いません。
 「そこに何があるの?」
 「どんなところなの?」
 と、次々に質問をし始めます。
 「マンモスってなに?」
 「それ気持悪くないの?」
 などなど。
 私は、娘をどうやって乗せようかと頭を捻り、
 「きっと夏休みの自由研究の材料になるよ」
 と答えました。すると
 「ふーん、じゃあ行こうかな」と彼女は納得。
 実際にマンモス展の会場に足を運ぶと、彼女は驚くほど熱心に
 メモを取り、学芸員からの説明を真剣な眼差しで聞いていました。
 アナライザーが重視するのは「正確さ」や「失敗しないこと」です。
 ですから、何よりも、具体性やデータなどの納得できる根拠を
 求めるのです。
433投稿者:『あなたのタイプは?』  投稿日:2007/02/07(水)14:20:38
 アナライザーの、考えながら何度も理由をたずねたりする態度は、
 ときに「細かすぎる」「いちいちうるさい」と映ることも
 あるかもしれません。
 アナライザーには、「とにかくやってみよう」などと
 ノリで誘うのではなく、具体的で納得できるような言葉を添えると
 比較的スムーズにコミュニケーションが進みます。
 ところで、私は、次女のことを、アナライザーだけではなく、
 自分の判断を大切にするコントローラーの傾向も
 かなり強いと見ています。
 ただ、ゆっくり正確に伝えようとする話し方や、
 上記の例のような決断までのプロセスから、
 ときおりアナライザー的な要素が垣間見えるのです。
 つまり、次女はコントローラー・アナライザー。
 ちなみに、私自身はプロモーター・コントローラー。
 人に影響を与えることに喜びを感じ、
 かつ自分で決断することを好むというわけです。

 コーチングの三原則の一つである「テーラーメイド(個別対応)」。
 その基本は、相手のタイプに合わせてコミュニケーションを
 交わすことです。
 そのためには、まずは自分自身のタイプを知ること、
 そして、タイプ分けの考え方に対する理解を深めること。
 ぜひ、タイプ分けのテストを試してみてください。
434投稿者:「逆上がりとコーチングスキル」  投稿日:2007/08/08(水)19:33:11
小学4年生の次女はあまり運動が得意ではありません。
昨年の春から、週に1回、体育の個人レッスンを受けています。
跳び箱は1ヶ月で跳べるようになりました。次の1ヶ月で
縄跳びの二重跳びもできるようになりました。
しかし、鉄棒の逆上がりがなかなかできない。少しずつ、
確かに進歩はしているのですが、なかなかできるように
ならないのです。それでも娘は根気よく練習にはげみ、
1年後にやっとできるようになりました。不思議なもので、
できてしまうとできなかったことがうそのように、くるくると
回っています。
 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
先日、ある企業でコーチングの研修を行いました。
研修をはじめて1時間ほどしたとき、参加者の一人が、
「あれ、この研修を受けたことがあるような気がする!」と言うのです。
よく聞いてみると、その参加者は1年前に今の会社に転職したのですが、
3年ほど前に、前職でコーチングの研修に参加したというのです。
ところが、その研修の内容をほとんど覚えていない。とてもいい研修
だったという印象は残っているが、日常には活かされていないのです。
435投稿者:「逆上がりとコーチングスキル」  投稿日:2007/08/08(水)19:34:08
・ 相手の話をさえぎらず最後まで聞く
・ 相手の良いところを探してほめる
・ 相手に考えさせたり、相手から引き出すような問いかけをする
・ 相手が受け取りやすいような提案や要望をする
・ 相手の個性やタイプに合わせた関わり方をする

このような代表的なコーチングスキルはマネジャーにとって
必須のものだと考えられます。マネジャーが、この中の一つの
スキルをほんのわずかでも向上させるだけで、職場の雰囲気や、
部下の動き、生産性に大きな影響を与えます。ところが、1日や2日の
研修でコーチングスキルを向上させることは難しい。もちろん、
研修によって得られるコーチングに関する知識や経験は貴重なものです。
しかし、残念ながらコーチングスキルを使いこなせるようになるとは
言えない。コーチングについてはわかるけれど、実践したり
定着するところまではなかなかいかないのが現実です。これは
短期集中型研修の持つ限界なのだと思います。コーチングスキルを
身につけるためには継続的なトレーニングが必要不可欠です。
スキルを学び、学んだスキルを日常の生活で実践する。その成果や
改善点などを振り返り、また実践する。この繰り返しこそが
トレーニングです。そして、コーチングスキルはトレーニングを
すれば必ず上達するのです。ある大手生命保険会社のエリアマネジャーに
対して、3ヶ月間のコーチング・スキル・トレーニングを実施しました。
436投稿者:「逆上がりとコーチングスキル」  投稿日:2007/08/08(水)19:34:36
トレーニング後の売上を前年と比較すると約20%増。このように、
コーチング・スキル・トレーニングの結果として、業績が上がるなどの
成果が多数報告されるようになってきています。コーチングスキルを
持っている人の生産性が高い、という、私たちが経験的に感じていた
仮説は実証されつつあるように思います。小学生は、3年生になったら
逆上がりの練習をする。ビジネスマンは、
マネジャーになったらコーチングの練習をする。
437投稿者:8gゆき  投稿日:2012/01/01(日)15:53:10
歌手人気で勉強をします
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