- 1投稿者:まりや 投稿日:2003/03/09(日)23:09:31
- コーチへの道
- 301投稿者:システムエンジニアNさん 投稿日:2005/06/02(木)11:14:25
- 「二人そこにいると、ボールがそこにきたとき、どんな状況に
なっている?ボールをもらえるのは、一人だよね。ディフェンスも
そこに集まってるよね。他の場所はどんな状況?」
「そうだな、私がディフェンスを一人引き寄せると、状況がよくなる
かもしれない!」「それはすごく助かるよ!」こんな風に今の状況を
認めてくれた上で、さらに役立つプレーをするにはどうしたら
いいのかをひきだしてくれ、ボールに触らなくても、チームに貢献
できるということを気づかせてくれるのです。それからわたしは
こんな質問を自分に投げかけながらプレーしています。
「自分らしく役立つには今何をしようか?]そんな彼は、
ネイティブコーチだな、と私は思っています。
- 302投稿者:「約束するということ」 投稿日:2005/06/10(金)03:07:03
- 私は、28歳のときに中学校の教員を辞め、コミュニケーションに
関する研修を行う会社に転職しました。入社して初めて、大きな研修を
一人で担当することになったときのことです。その研修の初日には、
「約束」と「目標」が大きなテーマとして扱われることになって
いました。「約束とは何か?」 「目標とは何か?」約束しても
破られることがある。目標を決めても達成しないことがある。
レクチャーの原稿を書こうとして机に向かったものの、それまで
わかったつもりでいたのに、いざ書こうとしてもまったく筆が
進みません。考えれば考えるほど混乱していきます。私は、
考えあぐねた末に、私のファシリテーションの先生でもあった
上司に相談しました。「約束するとはどういうことなんでしょう。
目標とはどのように違うのですか?」「単に頭でわかりたいの?
それともその違いを体験的に知りたいの?」「もちろん、
体験的に知りたいです」すると、上司は言いました。「だったら、
今、この場で僕と約束しよう」今日から1週間以内に3件の研修の
契約を取るという約束をする。約束が守られなければ、今回の
研修講師は降りる。「そんな約束はできません。1週間以内に
3件の契約をとるなんて、できるかどうか、わかりません」「ほら、
目標と約束はぜんぜん違うものだろう。理解した?」「なるほど、、、
そうですね。よくわかりました。ありがとうございました」
- 303投稿者:「約束するということ」 投稿日:2005/06/10(金)03:07:22
- 私は、少しほっとしてその場を立ち去ろうとしました。「ところで
桜井くん、約束を体験したいんだろう? 今の約束、僕としようよ」
「え? そんな約束は無理です」「約束には二種類あるんだ。
自分との約束と人との約束。自分との約束を守れるようになると
人生で多くのことが実現する。でも、自分との約束を守るのは
なかなか難しいから、最初は人との約束から始めるんだよ。僕と
約束しよう。」「約束して、できなかったらどうするんですか?」
「それは最初から約束じゃなかっていうことだね。約束は果たす
ものだよ」「簡単にハイとはいえません。少し考えさせてください」
そして1時間後、私は決断し、上司と約束をしました。そして
1週間後、私は約束を果たしました。その1週間は、とても気分が
よかったことを、今でも鮮明に覚えています。もちろん、ときどき
不安がよぎるのですが、その度ごとに、もう一度自分の中で約束を
しなおすのです。そのときに感じるのは、プレッシャーではなく、
約束を果たしたときの気持ちのよさや晴れやかさ。それは約束を
したその瞬間に自分の内側に起こるものだということを知りました。
その1週間は、私の「約束」に対する捉え方を変えました。約束は
それがどんなに小さな約束であったとしても、人生を豊かにするのだ
と思います。今日、誰かに約束をしてみませんか?
- 304投稿者:「肯定質問を創りだす」 投稿日:2005/06/23(木)10:55:28
- 「ラ・ボエム」というイタリアンのお店があります。
チェーン展開していて、青山、白金など都内各所にお店があります。
最近はテレビなどで紹介されることもよくありますが、
有名になる前からよくパスタを食べに行っていました。
行き始めたのは10年ぐらい前でしょうか。このお店の特徴は、
とにかく店員さんが、お客様を楽しませようという気持ちに
溢れているというところにあります。カルボナーラを注文すれば、
運んできたときに「今日は気持ちを込めて黒胡椒をふって
おきましたから。」カクテルを注文すれば、「このカクテルを
飲むと、情熱的になりますよ。」それを皮切りに会話が弾むわけです。
当時から研修の仕事をしていましたから、人材育成には興味が
ありました。それで、仲良くなったひとりの店員さんに聞きました。
「みなさん、すごくサービスいいですよね。会話がすごくうまいし。
なんか研修とかしてるんですか?」答えはこうでした。「いえ、
研修は特にないんです。ただ、お客様のテーブルに行ったら、必ず
なんでもいいから、お客様に楽しんでいただけるような話を
してきなさいとは言われてます。だから考えるんですよね。
どうすれば、楽しい会話ができるかなって。」一方、先日ある
スーパーマーケットの管理職の方と話していたらこんな話が出ました。
- 305投稿者:「肯定質問を創りだす」 投稿日:2005/06/23(木)10:56:29
- 「とにかく命令調で怒鳴っちゃう店長がいるんですよ。
『元気に挨拶しろ!』って。そうすると、店員は怖いから、
だれにもかれにも大きい声で挨拶しちゃう。でも違うと思うんですよ。
下を向いてとぼとぼ歩いているおばあちゃんには、小さく語りける
ように挨拶した方がいいかもしれないし、赤ちゃんや幼児に対しては
にっこり微笑みかけるように挨拶した方がいいかもしれない。そういう
臨機応変な接客ができなくなるんですよね。」人の行動を生み出す
要因は様々ありますが、中でも大きいのは、内側で自分自身に
どんな問いかけをしているかです。朝会社に来るときに、重い
トーンで「今日の会議は何時間続くんだろう?」「今日は上司に
何言われちゃうんだろう?」という質問を自分に投げかけている人
と、快活な響きで「どうやったら今日は効率よく楽しく仕事が
できるだろう?」「今日周りの人たちに自分が与えられる影響は
どんなものだろう?」と語りかけている人とでは、自ずと生まれる
行動は違います。ですから、上司、親、先生など、人を指導育成する
立場にある人に課せられる一つの役割は、いかに肯定的な問いかけを
相手の中に内在化させるかということになります。
- 306投稿者:「肯定質問を創りだす」 投稿日:2005/06/23(木)10:57:00
- スーパーの店長さんのように、強く指示命令を与えてしまうと、
おそらくそれを聞いた店員さんの内側には、
「大きな声を出さなかったら店長に
なんて言われてしまうんだろう?」という否定的な質問が生まれて
しまうでしょう。結果として、画一的な、どこか張り詰めた
マニュアル対応を誘発することになります。一方「ラ・ボエム」の
ような環境にいると、「もっとどうすればお客様を楽しませることが
できるだろう?」「どんな会話をお客様は望んでいるだろう?」
という肯定的な問いかけが店員さんの中に生まれる可能性が高い。
創造的で、場に応じた接客がそこには誕生します。自分は相手の中に
否定質問を創りだす存在か、肯定質問を作り出す存在か、
どちらでしょうか?
- 307投稿者:「優れたコーチは日夜それを考える」 投稿日:2005/07/07(木)01:34:32
- 1ヶ月ほど前から、週に2〜3回、自宅のそばの区営プールで
泳いでいます。目的はダイエット。ビールを飲む代わりに、夜の
8時ごろから1時間ほど、泳ぎに行くことにしたのです。
とはいうものの、最初は出かけていくのが億劫で、重い腰を
あげるのにかなりの「努力」が必要でした。ところが最近では、
「泳ぎに行きたい」と思うようになっているのです。それには
いくつかの要因があります。体重が少しずつ減っている。泳いだ
次の日の朝は、確実に何グラムかは減っています。この1ヶ月で
2Kgほど体重が落ちました。少しずつ長く、楽に泳げるように
なっている。泳ぎ始めたときは、25mプールを往復するだけで、
ぜーぜーはーはー、一呼吸置かなければならないような状態でした。
それが、少しずつ距離が伸び、楽に泳げるようになってきています。
- 308投稿者:[優れたコーチは日夜それを考える」 投稿日:2005/07/07(木)01:34:52
- なおかつ、泳ぎ終わったあとのちょっとハイな爽快感は、ビールを
飲むよりも魅力的。こうなってくると、「今日も泳ぎたい!」という
気持ちになってくるわけなのです。以前、NHKの特集番組で
プロ野球の「王選手」について取り上げている番組を見たことが
あります。一本足打法で有名な王選手。真剣での素振りで畳が
すり減った、などの逸話が物語るように、王選手といえば「努力、
精進」というイメージが強いのですが、どうも最初からそうでは
なかったらしい。ピッチャーからバッターに転向した王選手は、
バッティングフォームに独特の癖があって、いくら練習をしても、
結果につながらず、だんだんと練習嫌いになっていったというのです。
そのころの王選手についたあだ名は「なまけもの」。その後、
荒川コーチの指導のもとで、バッティングフォームの改良を重ねて
いくことになります。少しずつ一本足打法に近づいていくのですが、
その過程を王選手は「練習すると、それだけ打てるようになる、
結果が出る。だからまた練習したくなるんです」と話していました。
私たちは相手に対して、ついつい努力や頑張りを強いてしまいがち
です。目の前にいる相手がどうやったら最初の小さな成功を収める
ことが出来るのか?優れたコーチは日夜それを考えているのだと思います。
- 309投稿者:「無限の組み合わせで学習する」 投稿日:2005/07/15(金)16:04:19
- 先月の WEEKLY COACH で、アメリカの人材育成のカンファレンスでの
体験をお伝えしました。自分の学習スタイルを明確にする学習支援ツールが
いくつもあり、アメリカの研修の現場では、学習スタイル別に研修を
行うと聞いて驚いたのですが、それ以降、自分はどんな学習スタイルを
持っているのか、というのを模索するのが日常的なテーマになっています。
コーチ・トゥエンティワンで行っているコーチ・トレーニング・プログラム
(CTP)は、電話会議システムを使って20人が集い、「クラスコーチ」
という講師のリーディングのもと55分の授業を行っています。
電話会議ですから、たくさんの人と同時に話をすることができます。
つまり、耳で参加する会議のようなものです。私はクラスコーチを
やっていますが、毎回、脂汗がでるほど必死になります。
まず、 参加者がご自身の名前を言っても覚えられない。発言された
ことを理解し、覚えておくために血眼でメモを取る。でも、メモは後で
読み返してもよくわからない。周りでちょっとでも音がすると気が散って
動転する・・・など。同じクラスコーチでも、メモひとつとらず、
相手の発言を完璧にリピートすることができる人がいて、どうすれば
自分がその領域に達するのだろうかと思っていました。しかし、
学習スタイルのテストをやってみて、自分の「聴覚」のスコアが著しく
低いのを発見し、納得がいきました。耳から聞いた指示は覚えていないけど
メールでもらったのは忘れない、など思い当たることがたくさんありました。
- 310投稿者:「無限の組み合わせで学習する」 投稿日:2005/07/15(金)16:06:23
- 逆に私のスコアが高いのが「触覚系」。物事を学習する際に体験して
身につける傾向がある、というのを知り、自分がとにかくやってみないと、
後先がわからない、と思っていることが、ここから来ていることが
わかりました。周りの人たちにも学習スタイルについて聞くと、
聴覚系の人は「一番自分が勉強できたのは、ラジオ英語会話を
聴いたとき」であるとか(私にはありえない話!)
「試験勉強は語呂合わせで覚えるのが好きだった」(言語感覚系)
「ノートはとにかく図解して残していた」(視覚系)など、
それぞれ得意なやり方が違っていて、それはその人の学習スタイルと
マッチしていた、というのを知り驚いています。一番面白いのは、
それぞれのスタイルを「だから他の人もそうあるはずだ」と自動的に
思い込んでいることでした。ここに「Learning and teaching styles
in Engineering Education(技術系の教育における学習と教育スタイル)*」
という論文があります。そこにはこうあります。
「学生はいろんな方法で学びます。 見る、聞く、反復する、
理論的に理解する、暗記する、視覚化する、 例えに置き換える、
数学的モデルに置き換える、などを通じて・・・。
- 311投稿者:[ 投稿日:2005/07/15(金)16:06:40
- 教師はいろんな方法で教えます。講義で、ディスカッションで、
論理を教えることで、応用を教えることで、 暗記させることで、
考えさせることで・・・。 学生がいかに学べるかは、
学生の潜在的な学習スタイルと教師のティーチングスタイルの
組み合わせによって決定づけられる」学び方と教え方の組み合わせで
何通りもの学習方法があることを思うと、それだけでワクワクします。
「学ぶ」ということの面白さを、50歳近くなって初めて知ることに
なったような想いです。コーチも「その人特有の学習のスタイル」を
見つけることから始めてみることなのだと実感しています。
- 312投稿者:「若手にビジョンを語らせる」 投稿日:2005/07/21(木)01:32:05
- 今朝(7月20付け)の日経新聞読まれましたか?1面に
『会社とは何か』という特集記事があります。その中に、大卒者の
3割が入社3年で離職するという数値が記載されています。
多大なコストをかけ採用した新人を、いかに社に定着させるかは、
今、多くの企業にとって緊急に解決すべき課題となっています。
そんな企業のニーズを反映してでしょうか。昨今弊社には、
3〜5年目の社員に対して、改めて自分のキャリアを見定めるような
研修を実施してほしいという依頼が多く来るようになりました。
先週も、ある企業で、3年目の若手を対象に、「未来のビジョンを
構築する」というワークショップを行いました。受講者と話していると
わかるのは、要するに、彼らは「漠然とした」不安を抱えていると
いうことです。すごく会社が嫌なわけでもないけれど、この会社に
ずっといることが正しい選択であると自信を持っていえるわけでもない。
なんとなく晴れやかでないというような状態が続いているわけです。
このワークショップの一つの「売り」は、2人でペアになり、片方の
人がもう一方の人に対して、30分間、自分のビジョンについて
話し続けるというエクササイズ(実習)です。30分経ったら役割を
交代します。そして、今度はさっき聞き手にまわっていた人が、自分の
ビジョンを30分話し続けます。たいてい、30分ビジョンを話し
続けてくださいというと、「え〜っ!」というどよめきが漏れます。
- 313投稿者:「若手にビジョンを語らせる」 投稿日:2005/07/21(木)01:33:04
- 先週もそうでした。「30分も話すことないですよ。」
これに対してモチベーションをかけるのが私たちの仕事です。
先週はこんな風に言いました。「話したいことがあるから話すのでは
なくて、話しているうちに話したいことが湧き出てくる。そんな
スタンスで話してみてください。」「大事なのは止めないことです。
例え、ああもう出ないなと思っても、決して雑談を始めるようなことは
しないでください。」「同じことを繰り返し話しても構いません。
話しているうちに芋づる式に内側に眠る言葉が引き出されて
いきますから。」実際、本田宗一郎さんも、アインシュタインも、
およそクリエイティブといわれる人は、誰かに自分の考えている
ことをしゃべりながら未来を描いていったという人が多いようです。
マン島のレースで優勝したバイクも、相対性理論も、孤独な思索の
果てに生まれたものではなく、周囲に想いを話す過程でだんだんと
形になっていったらしいのです。つまり、人は思っていることを
話す以上に、話している内に思っていることに気が付く。そんな
側面が多分にあるわけです。ワークショップの受講者に、30分の
ビジョントーキングの後、感想を聞きました。多くの参加者が
上気した顔で、次のように語ってくれました。
「もう一度真剣に仕事と向き合ってみようと思いました」
- 314投稿者:「若手にビジョンを語らせる」 投稿日:2005/07/21(木)01:34:20
- 「この会社の中ではもうやりたいことなんかないと思っていたの
だけれど、それがあることに気が付きました」「そもそも
なんでこの会社を選んだのか久しぶりに思い出しました」
企業の若手に、上司に対する不満は何かというリサーチを行うと、
一番はたいてい「自分の将来に対する想いを上司は聞いてくれない」
というものです。だから彼らの内側のもやもやはそこに停滞した
ままとなる。一方、若手の離職率が高くなればなるほど、上司は
彼らの将来に耳を傾けるのは「パンドラの箱」を開けるようなものだ
と思ってしまいますから、余計に彼らの将来に向き合うことを
避けてしまう。悪循環ですね。しかし、実際には、このワーク
ショップでやっているように、思い切って彼らに話す機会を与えて
しまえば、彼らは自分自身でその会社の選択理由を見出す可能性が
高いようです。もちろん、話す中で、他社を選んでしまうかも
しれません。ですが、それでも、平均離職率は30%より下がると
思うのですが。思い切って若手の話を聞いてみませんか。
手遅れになる前に。
- 315投稿者:「コーチは努力させない」 投稿日:2005/07/28(木)00:24:50
- 「努力が足りない」という言葉は、「お前は人としての価値に乏しい」
という意味とイコールなのかもしれません。何か事を成すことが
できないのは、努力が足りないから、または、怠けているからという
ことになるのでしょうか。親や先生、上司やコーチの仕事は、
子どもや部下に努力させることではありません。彼らを観察していて、
彼らのできていることに目を向ける。そして、できていることが、
どこへ向かっているのか、どこから来ているのかについて話します。
要するに、できていることを話題にするのです。得意や強みに特に
こだわる必要もありません。今できていることを「話題」にする。
そして、彼らがもっとうまくやってみようという気になるのを待つ。
やがて、少しでも違いを生み出したら、また、それを「話題」に
する。話題にすることによって、それまで何気なくやっていたことを
意識するようになります。私の現在のコーチは、以前はローイング
(ボート)のコーチでした。カナダのオリンピックチームをコーチ
していた経験があります。彼が、金メダルをとる選手と銀メダルを
とる選手の違いについて話してくれたことがあります。
- 316投稿者:「コーチは努力させない」 投稿日:2005/07/28(木)00:25:38
- 「金メダルをとる選手は、コーチに言われるまでもなく、毎日確実に
練習メニューをこなします。だからといって、決して練習をしすぎて
しまうこともない。彼らは、自分のペースで目標に向けて、確実に
練習をこなすのです。一方、銀メダルになる選手は、コーチから
見ると、ちょっと練習が足りないと思うときがある。また、逆に
練習しすぎて疲れてしまうこともあるのです」「努力できない」と
思う背景には、自分には何もコントロールすることができないという
思いがあります。勉強、仕事、なんであれ、少しでも自分の意志で
コントロールできるようになると、それは自信になり、より大きな
チャレンジと努力につながります。努力は、強要するのものではなく、
まず最初に、コントロールできるようにするのです。その最初の
ステップは、コントロールする対象を意識させることにあります。
意識することで、コントロールできる部分が見つけやすくなるからです。
誰にでも、努力する能力はあります。それを狭い範囲で限定してしまう
のではなく、努力する楽しさや、面白さを実感できるところへ運ぶのが、
コーチの仕事です。その場合、本人は努力しているとは思わないの
かもしれません。
- 317投稿者:「デビルズ・アドボケイト(悪魔の提唱)」 投稿日:2005/08/26(金)00:36:51
- 管理職向けのコーチング研修を始めて、かれこれ7年になります。
この間、一体何日ぐらい研修をしたのだろうかとふと気になり、
過去の手帳を引っ張り出して、数えてみました。(夏休みでしたので。)
全部でざっと1000日。ほぼ3年間毎日やった計算になります。
さて、1000日もやっていると、研修のリーディングの仕方も
ずいぶん変わってきます。研修の時に「良い上司とはどんな上司だと
思いますか?」という質問を受講者にすることがあります。
始めて間もない頃は、アクシデントが怖いわけですね。こちらの
筋書きに沿ったことをなるべく受講者に言って欲しい。ですから、
温厚そうな、前かがみで座っている、よくうなづいてくれる人を
わざわざ見つけて、聞くわけです。そうすると「やはり、よく
部下の話を聞く上司じゃないでしょうか。」なんて、こちらの
予想通りのことを言ってくれて、「よし、よし順調。」などと
心の中でVサインを出していました。ところが、こちらの主旨に
沿った意見ばかりが出るようにコントロールしていくと、研修も半ば
過ぎた頃になって、「でもこの忙しい中、どうやって部下の話を
聞く時間を取るんですか。俺は納得できないな。」などという、
反発心丸出しの意見が飛び出したりします。自分にとっては全くの
不測事態。心の中で十字架を切ります。それをきっかけに、収拾の
しようのない大騒ぎになることも時としてありました。
- 318投稿者:「デビルズ・アドボケイト(悪魔の提唱)」 投稿日:2005/08/26(金)00:47:02
- しかし、回数を重ねるに従って、そのようなリードはしなくなりました。
例えば、一人の受講者が「部下の話を聞くことはとても大事だと
思います。」と言ったとします。そうすると、「本当にそう
思われますか? 部下の話を聞いたりなんかしたら、それこそ
時間がかかって大変じゃないですか?」「部下の話を聞かずに
業績を上げているマネジャーもたくさんいますよね。それに
ついてはどう考えますか?」あえて反論を投げかけます。
問い詰めるようにではなく、「少し一緒に探求しましょうよ。」
というトーンで。受講者は意表をつかれるわけですが、そこで
はたと考え始めます。「本当はどちらがいいんだろうか」という
ことについて。日本では、管理職といえども講師の意図を汲んだ
意見を言ってしまう人がわりと多いようです。ですから、発言者が
本当に心から信じて言っている場合でなければ、こちらの「確かに
そうですよね」などという同意はあまり意味を持ちません。表面的な
ボールが往復するだけですから。つまり、安易な受け入れは、発言者の
考える機会を奪うことにもなりかねません。それに、20人受講者が
いれば必ずいる2〜3人の批判分子を勢いづけることにもなりますし。
相手の意見にあえて反論を投げかけることを、英語では、Devil's
Advocate(悪魔の提唱)といいます。2つの正反対の意見を内側で
吟味するというプロセスを通して、「なんとなくそういうものだろう」
- 319投稿者:[デビルズ・アドボケイト(悪魔の提唱)」 投稿日:2005/08/26(金)00:47:25
- というところから「確かにそれだ」というところに移行する可能性が
高まります。コーチの役割は相手に考えさせることにありますから、
最終的に相手がどちらを選ぶかは実はそれほど重要ではないと
思っています。なんとなく最近のトレンドに乗って選んでしまう
のではなく、他の可能性もじっくり吟味してもらう。その上で、
「やっぱり指示命令だ!」と決めるのであれば、それはそれで力が
あるでしょう。(実際には「聞く」と「聞かない」を冷静に吟味して
いただくと、「聞く」という結論に到達するマネジャーが多いのも
事実ですが。)いつでもこの方法が使えるわけではないと思いますが、
良いコーチは「安易に同意しない」というオプションも持っています。
相手の「内なる対話」を誘発させるために。
デビルとはいいますが、本当はエンジェルの主張だと思っています。
- 320投稿者:「部下を知っていますか」 投稿日:2005/09/02(金)02:55:46
- 人を評価するとき、「好きか、嫌いか」で判断する場合が少なく
ありません。または、「損か、得か」「敵か、味方か」。
一度「好きか、嫌いか」のように二極化して結論を出して
しまうと、それ以上に相手を知る必要がなくなってしまいます。
「だって、嫌いなんだから」。私はつい最近、この言葉を十代の
若者ではなく、五十代の会社経営者から聞きました。
さて、部下とうまく行かない上司、上司と馬が合わない部下、
どんな組織にも、またどんなチームにも、対立の問題は
起こっています。何度となく、この問題をテーマに話す
機会がありました。そこで、対立している相手のどの部分が
受け入れられないのかについて訊ねるのですが、理由は
たいてい曖昧です。その実、嫌っている相手について知っているか
という質問に対しては、偏った答えしか返ってきません。
もちろん通り一遍の趣味や、家族関係、職歴などなどについては
知っています。また、仕事における能力については、それなりに
理解しているようです。しかし、それ以上のこととなると、
ほとんど気がついていないのです。たとえば、未来に向けて
どんなビジョンを持っているのか?どんな価値観をもっているのか?
強みは何か?仕事にどんな意味を見出しているのか?
チームに何を期待しているのか?
- 321投稿者:[ 投稿日:2005/09/02(金)02:56:02
- 「部下について知っていますか?」と質問すると、上司は
「知っている」と答えますが、実のところ、部下の性格分析や
仕事の能力については話せても、部下が今どういう状態にいるのか、
どんな助けを必要としているのか、何を学ぶ必要があるのか、と
いったことについて知っているケースは稀です。「部下と話す時間を
持ってください」と言うと、「何を話したらいいかわからない」
という答えがよく返ってきます。しかし、部下について自分が
知りたいと思っていることだけではなく、部下が上司に知って
おいて欲しいと思うことについても、聞く必要があるでしょうし、
それだけの価値があると思います。
- 322投稿者:「本当に優秀なコーチとは」 投稿日:2005/09/07(水)23:57:44
- 多くの経営者やマネージャーは、「自分が」やらなければならないと
思っています。自分が業績をあげなければいけない、自分が影響して
部下を動かさなければならない、と思っているわけです。確かにそれが
なければマネージャーとしての存在価値を疑われてしまうかも知れません。
約一年前から歯科医師のコーチングをしています。最初に取り組んだのは
収益を増すために、患者さんをランクに分け、各ランクに応じたサービスを
行うこと。より綿密なサービスを行うことで紹介が生まれ新しい患者さんが
増える。彼はある経営セミナーでその手法を学び、実行してみようと思った
のです。彼はミーティングでそのことをスタッフに伝えました。ところが、
スタッフの反応はいまいちでした。次に取り組んだのは、キャンセル率を
下げること。データーを見るとキャンセル率がびっくりするほど高い。
どうやったらキャンセル率を下げられるか、彼はアイデアを考え、それを
スタッフに伝えました。ところが、スタッフの反応は今度もいまいちです。
その後も、ことごとく彼の出すアイデアはスタッフに伝わりません。
私は彼に質問しました。「今の医院に必要なことは何?」「もっと、
スタッフに任せること。責任を持たせて自由にやらせること。最終的には
スタッフ一人ひとりの魅力で患者さんがくるような医院にしたい。
自分がいなくても回るような医院にしたい。」彼はアイデアをスタッフに
考えさせ、自分は口出しをせずに、自由にやらせてみることにしました。
彼はコーチになったのです。
- 323投稿者:「本当に優秀なコーチとは」 投稿日:2005/09/08(木)00:01:24
- 最初の成果はキャンセル率の劇的な減少に現れました。今までは、
受付で次回の予約をとっていたものを、診療が終わったらその場で
歯科衛生士が直接次の予約をとるように変えたのです。患者さんは
直接歯科衛生士と予約をしていますから心情的にキャンセルしにくく
なります。患者さんと歯科衛生士のコミュニケーションも必然的に
増えていきます。それをきっかけにして、それぞれの歯科衛生士に
患者さんがつくようになっていきました。スタッフの魅力で患者が来る。
自分がいなくても医院がまわる。彼の思ったことが実現しはじめたのです。
先日のコーチングセッションです。「去年よりかなり収益がアップして
います。年間の目標はもうちょっと頑張れば達成できそうなところまで
来ています。」「それは素晴らしいですね。うまくいっている要因は
何だと思いますか?」「自分が、口出ししないことにつきますね。」
医院の経営は順調です。しかも、スタッフは、自分たちがうまく行かせて
いるという実感をもっていますからますますやる気になっている。すべて
彼の思い通りに進んでいるのです。「先日、一番信頼しているスタッフ
からショックなこと言われちゃったんですよ」「何を言われたんですか?」
「この一年間、スタッフは本当に成長したと思う。いろいろアイデアを
考えて、工夫もしてみんな頑張ってとっても良い医院にしてきたと思う。
でも院長は何もしてないじゃないですか。」本当に優秀なコーチは、
コーチのおかげですなどとは露とも思わせないものなのです。
- 324投稿者:『脳を飽きさせない』 投稿日:2005/09/22(木)00:56:38
- 一説によると、一分間に平均的な日本人が話す単語数は150単語ぐらい
だそうです。それに対して、平均的な日本人が一分間に脳で解析できる
単語数は約600単語。つまり脳の解析スピードの方が話すスピード
よりもずっと早いわけです。これは何を意味するのかというと・・・。
簡単に言えば、脳の回転の方が速いために、人の話を聞いていて
「飽きる」ということが頻繁に起きます。脳はしょっちゅう
「お散歩」に行ってしまうわけです。目の前の人の話を聞いていた
つもりが、気がつくと違うことを考えている。そんな経験はありませんか?
特に男性の脳はそうです。ご結婚されている方は、一度や二度ではない
はずです。奥様から「あなた聞いてるの!」と叱咤された経験は。
これはもう脳の構造上しょうがない。そういうものです。だから、
聞くことが「受動的」なものであると思ってしまったら、これは辛い。
「聞くことは、じっとしていなければいけなくて、忍耐が必要で、
我慢が必要で、絶えなければいけなものだ」などと思ってしまったら、
ものすごく苦しいでしょう。外を歩き回りたくてしょうがない子どもを
家にとどめるようなものですから相当に大変です。とすると、お散歩
しやすい脳を「引きとめよう」と思えば、やはり「能動的」に相手の
話を聞く必要があります。受身ではなく、一歩前に出るような感じで
聞く。刑事コロンボが聞き込みをするかのように聞く必要があります。
- 325投稿者:『脳を飽きさせない』 投稿日:2005/09/22(木)01:07:02
- そして、能動的に聞くためには、当たり前ですが、相手に対して
興味関心を抱かなければなりません。興味関心があるからこそ、能動的な
リスニングができます。ということは、おわかりだと思いますが、
初対面の人の話を聞くのは実はそう難しくない。お客様の話を聞くのも、
ましてやコーチングのクライアントの話を聞くのもそう難しくはない。
利害関係もありますし、相手に興味も持ちやすいですから。
難しいのは、「いつも一緒にいる人」の話を今日も新鮮な関心を
もって聞くことです。これが難しい。いつも一緒に仕事をしている
部下の話を、今日も新鮮な想いで聞けるか。20年連れ添った妻、
夫の話を今日も新しく聞けるか。ここが最もリスニング能力が試される
瞬間です。だいたいちょっと一緒にいれば、その相手に対して
多少なりともレッテルを貼ります。この人はこういう人。こういう話を
する人。貼ったレッテルが大きければ大きいほど、新鮮な興味は
持ちにくいですから、相手の話が聞けなくなります。では、いつも
一緒にいる人に興味を持ち続けるにはどうしたらいいでしょうか。
一つの解は、「何を知らないかについて予め知ること」です。
- 326投稿者:『脳を飽きさせない』 投稿日:2005/09/22(木)01:10:06
- 行く部署行く部署で業績を一気に上げてしまう、ある企業の
マネジャーさんがこんな風に語ってくれました。「僕は、部下について
自分が何をまだ知らないのかを把握しようと努めています。そうでないと
『こいつは企画書作りが得意なやつ、こいつは不得意なやつ』と
非常に相手を『粗く』見てしまうからです。粗く見てしまうと、話も
粗くしか聞けなくなってしまいます。」だから、彼は、「予め」
知らないことを知ろうとします。「この部下を動機付けるために
最適な言葉はなんだろう?」「一発で彼のモチベーションを下げて
しまう言葉は?」「なぜ彼はこの会社を選んだのだろうか?」
「どんなことを将来実現させたいと思っているのか?」「彼にとっての
成功とは一体なんだろう?」こうした部下に対する質問を予め
50近く用意し、「知らないことを知る」ことによって、比較的長い間
相手に興味を持つ続けることができるといいます。知らないことを
知ることで、相手に興味を持つことができ、結果として能動的に話を
聞くことができる。脳のお散歩を食い止めるためにも、何を
知らないのかをまずは知ってみませんか。
- 327投稿者:『役割にマッチさせる』 投稿日:2005/09/29(木)10:22:18
- コーチングは人を役割にマッチさせるプロセスである。これが
コーチングの目的のひとつです。例えば、新任のマネージャーが
新しい職場に着任し、どのぐらいの期間でその職場に慣れるかについて
2004年にハーバード大学で調査した結果、15〜18ヶ月かかると報告
されています。私たちは、より高度な役割、また能力を身につけること
によって、目的や目標を達成しています。目標達成のために必要なのは、
どのような役割を持つのか、どのようなスキルが必要とされているのか、
それらを棚卸しし、それをリスト化し、速やかに身につけることに
あります。新しい役割を身につける過程で興味深い点があります。
それは、それまでの役割では発揮されなかった能力が、新しい役割を
担うことで表出することがある点です。たとえば選手時代には鳴かず
飛ばずであっても、コーチになってその才能を発揮する人もいます。
- 328投稿者:『役割にマッチさせる』 投稿日:2005/09/29(木)10:22:37
- 同じように、マネージャーになって初めて能力を発揮する人もいると
いうことです。コーチングセッションでは、役割にマッチさせる過程で、
これまで使われてこなかった、隠れた才能や能力に焦点を当てます。
一般に、人は変化を求めますが、いざ自分が変化する段になると、抵抗を
示す傾向があります。しかし、新しい役割を担うことによって開かれる
可能性に目を向けることは、自ら変化しようとする動機づけになります。
仕事がうまくできない理由に、自分の役割が何であるか理解できていない、
また、その役割に自分をうまくマッチさせることができないことが
考えられます。コーチは、その目に見えない役割にリアリティーを
もたせ、役割にマッチするためのプロセスを、コーチするのです。
- 329投稿者:『部下の独立』 投稿日:2005/10/05(水)23:06:56
- クライアントは35歳男性、貿易会社の経営者。スタッフは50名。
3年後に300人の会社にするというゴールで、コーチングを開始
しました。会社の急成長にともない、社員数が急増していました。
コーチングを開始して2ヶ月後、一人の部下に焦点が当たりました。
創業時のメンバーの一人。営業職でスペシャリティーを持っています。
ところが頻繁に取引先に対して特例を与えて契約してしまう。今までは
一人でやっていたセクションだったので問題にはなりませんでしたが、
チームで行うようになって、彼のスタンドプレーが社内でのトラブルに
発展するようになってしまったのです。「桜井さん、例の彼、また
トラブルを起こしたんだよ。今回は今までになく厳しく叱ったので、
彼も落ち込んでいるけど、また繰り返すと思う。彼独特の営業スタイル
なんだよ。彼のことを考えると胃が痛くて眠れないよ。」
「社長としてはこの先どうしたら良いと思っているんですか?」
「彼は影響力があるんですよ。本当は頑張って会社を引っ張って
いって欲しい。少なくとも会社全体を考えて行動して欲しいと
思ってるんですよ。」「でも、何度言ってもだめなんですよね?
この先、スタンドプレーをやめて、社長の思うようなリーダーになる
可能性はあるんですか?」「今まで、その可能性にかけて、長い目で
見てきたつもりだけど。だめなのかも知れないな」「だとしたら、
この先にはどういう選択肢があるんですか?」しばらく沈黙が続きました。
- 330投稿者:『部下の独立』 投稿日:2005/10/05(水)23:07:39
- 「この会社で一緒にやっていくのは無理なのかも知れないな。能力は
あるんだから、独立してもやっていけるだろうし…」「彼はどう
思っているんでしょう?」「それは聞いたことがないな。彼が独立する
なんていうのは今まで僕の選択肢になかったからね。考えてみれば、
彼も苦しいのかもしれないね。立場上、会社を辞めたいとは言い出し
にくいだろうし。腹を割って話してみるか。でも、残る社員に悪い
影響がないように、彼自身も前向きに、そういうレールを敷くのは
大変なことだな。」もちろん、自分が採用して育てた部下ですから
社長にとっては愛情があるわけです。会社を辞めてもらうなんていう
ことは考えもしなかった。かといって、このままでは会社にとって
問題がある。周囲の部下にも示しがつかない。もちろん無理やり
辞めさせる訳にはいかないし、少しでもそのようなニュアンスが
伝わってしまえば、社内は険悪なムードになる。それは会社にとっては
一番困るわけです。この時点で、部下の育成をテーマにスタートした
コーチングが、部下の独立のためのコーチングに発展していきました。
そして3ヵ月後、この部下は円満退職、独立を果たしました。
「彼はとても前向きに独立していきました。本当によかった。
コーチングがなかったら、今でも彼はこの会社の中で、
悶々と苦しんでいたかもしれない。しかも、残った社員は、
今まで以上にのびのび働くことができている。もし、自分一人だけで
考えていたら、こういうビジョンは持てなかったし、こんなに早い
スピードで達成することはできなかったと思います。」
- 331投稿者:『コーチの叱り方』 投稿日:2005/10/20(木)01:18:39
- 企業研修で、「『しかり上手』だと思う人は手を挙げてください。」
というと、20人の参加者のうち、多くても3人ぐらいしか手が
挙がりません。1人も手を上げないなどということもままあります。
「『ほめ上手』だと思う人?」と聞いたときには、半分近くが手を
挙げますから、叱るという行為に対して、いかに管理職が苦手意識
を持っているかがわかります。「叱れない理由はなんですか?」と
聞くと、「関係を壊すのが怖い」「部下のモチベーションを下げて
しまうのではと心配」「叱りはじめると自分の感情をコントロール
できないのではないかと不安」など、幾つかの理由が挙がってきます。
いずれにしても、ほとんどの人は「叱る=声を荒げること」だと
捉えています。果たしてそうでしょうか。ある本によれば、叱るとは
「挽回への励まし」と定義されるそうです。つまり、結果として
相手が、「よし挽回しよう!」と思うのであれば、それはどんな
言葉を使ったとしても、叱ったことになると。少し言い方を変えれば、
叱るとは「理性的対応」であり、「感情的反応」である怒るとは違う
わけです。相手の言動に対して反応し、ただただ強い言葉を浴びせ
かけるのは、必ずしも挽回への励ましではありません。
- 332投稿者:『コーチの叱り方』 投稿日:2005/10/20(木)01:20:02
- ある企業の社長のコーチングをしていたときのことです。
珍しくセッション以外の時に社長から電話がありました。
聞くと・・・北海道にいる自分の部下が新規事業に絡んだ案件で、
1億円近い損失を出した。本来ならば頭から怒鳴りつけるところ
だが、今回は少し冷静になって、事の顛末を振り返ってみた。
「もちろん部下にも責任はあるけれども、準備が万端でない
ところで、『早くしろ早くしろ』と先を急がせた自分にも責任の
一端があると思う。だから、今回は彼を責めることは一切せず、
自分から北海道まで出向き部下を励ましてこようと思うが、
それは正しい選択だろうか。きつい言葉も残した方がいいだろうか。
コーチとしてどう思うか聞かせてほしい」とのことでした。
私は前述の叱るということの定義について、社長に話しました。
社長は電話の向こうで深く大きくあいづちを打ちました。そして
彼は北海道へと向かいました。朴訥な社長ですから、部下と会っても
多くは語らず、ただ、じっと部下の目を見て、そして強く一言
言ったそうです。「気を落とすな。頑張れ。」社長が東京に戻って
から間もなくのことでした。その部下からメールが来たのは。
- 333投稿者:
投稿日:
- 334投稿者:『コーチの叱り方』 投稿日:2005/10/20(木)01:20:19
- そこには・・・「社長の言葉に勇気づけられました。絶対に、
何があってもこの損失を取り戻したいと思います。」そう書かれて
いました。社長の「挽回への励まし」は成功しました。
人は自分の価値観と合わない、他人の行動を見ると「反応」を
起こします。「俺が新人の頃はそうはしなかった。」
「どうしてこの状況でそういう動きをするんだ。」いらつきが
体を支配します。しかし、いらつきから言葉を出してしまえば、
「挽回への励まし」とは程遠いものになる可能性が高いですし、
相手もそれを拒絶することでしょう。自分の中に反応を感じたら、
一瞬止まって、できれば、場所を変えるなど、ほんのちょっと
クールダウンさせ、どんな言葉が相手にとって「挽回への励まし」
となるのか、考えてみてはどうでしょうか。目的は、自分の
いらつきを収めることではないはずですから。
- 335投稿者:『教育現場にコーチングを』 投稿日:2005/11/05(土)02:39:30
- この半年、自分のミッションについてよく考えています。
自分の人生のミッションはいったい何なのか?
私が中学校2年生の時のことでした。3時間目の授業が終わり、
4時間目の社会科の授業を受けるために数人の友達と視聴覚教室へ
向かっていました。そのとき、階段で社会科の先生とすれ違ったのです。
先生は機嫌が良さそうでした。「お、次は君たちのクラスだな」
「はい、よろしくお願いします」「ちょっと、遅れていくから、
少し自習しててくれ」「はーい!」私は明るい調子で答えました。
その答え方が先生の気に障ったのでしょうか。その後のやりとりは
あまりよく覚えていませんが、しばらくして、先生は顔を真っ赤
にして烈火のごとく怒りだしてしまったのです。
「なんだ。自習の方がいいのか!だったらお前たちのクラスには
もう行かないからな!」私は担任の先生にこの出来事を伝えました。
「私は桜井君は悪くないと思う、でもここはひとつ折れて先生に
謝りなさい」今でもそのときの悔しさ、不条理をよく憶えています。
中学校3年生のときの進路指導の時のことです。当時の私は幸いにも
そこそこの成績をとっており、模試でも志望高校はほぼ確実という
結果を出していました。担任の先生は「桜井君、内申の点数からみても、
模試の結果から見ても、志望高校は確実に受かるよ。
- 336投稿者:『教育現場にコーチングを』 投稿日:2005/11/05(土)02:41:18
- でもな、桜井君。高校に行かないで就職する選択だってあるんだぞ。
高校、大学に行ってもいい、今から働いてもいい、君ならどこに行っても
十分やっていけるよ」この言葉は、今でも私を勇気づけます。教師の一言は
生徒に対して想像以上の影響力を持っています。生徒をやる気にさせるか
否かは教師次第なのです。近年、多くの教育現場でコーチングが取り入れ
始められています。コーチングの基本はラーニング・コーチです。
「生徒自身が自発的に学んでいくことを促進する」ことができれば、
教師も生徒もこれ以上の幸せはありません。つい先日、三重県の小学校で
コーチングを授業に応用するという研究が始まりました。 その準備に
立ち会うことができたのですが、そこで中心になっている先生は、独学で
コーチングを学び、独自の授業をつくろうとしていることを知りました。
翌日行われた県の教育委員会によるコーチング研修には、同じ小学校の
教頭先生が参加していました。これまで私の出会った多くの先生たちは、
どうやったらいい授業ができるのか、どうやったら生徒を成長させられる
のか、その情熱に燃えています。教育という志に燃えているのです。
私は今、コーチ・トゥエンティワンの副社長という立場にいますが、
将来マネジメントを退いたときにはビジネスコーチングを続ける傍ら、
週の半分は全国津々浦々の小学校や中学校を回りたい。一人でも多くの
先生にコーチングを紹介したいと思っているのです。その光景を
思い浮かべると、ちょっと嬉しい。
- 337投稿者:『パンドラの箱の開け方』 投稿日:2005/11/17(木)00:33:21
- お読みになった方も多いと思いますが、先日日経新聞に、
一部上場企業に入社した新卒の30%が3年以内に離職するという
記事が載っていました。 転職が特別のことでなくなったとはいえ、
この数字にはやはり驚きました。そこまですぐに辞めてしまうのかと。
もちろん、新卒だけではありません。昔とは比べものにならないくらい、
人はあっさり会社を離れるようです。改めて、一体どんな背景が
あるのだろうと厚生労働省や転職支援会社などのホームページを
つらつらと見てみました。そこで分かったのは・・・
- 338投稿者:『パンドラの箱の開け方』 投稿日:2005/11/17(木)00:34:16
- 人が会社を辞めてしまうのには幾つか理由があるようですが、
中でも大きいのは「上司や会社が自分の将来や、ビジョンに
関心を示してくれない」ということのようです。2、3の
アンケートがそれを示していました。平たく言ってしまえば
「ここでどんなことをしてみたいんだ?」と上司が聞いて
くれないわけです。上司の気持ちも分かります。非常に速い
スピードでの業績向上が求められる中、安易に部下のやりたい
ことなど聞いてしまったら、期限までにゴールを達成できない
かもしれない。プロジェクトが収拾のつかない状態になって
しまうかもしれない。そんな風に思ってしまう。だから、できれば
パンドラの箱は開けたくない。手をつけずに、そのままに
しておきたい。しかし、開けないからといって、消えてなくなる
わけではありません。確かに箱の中にはその想いが眠っています。
周りがその中味に関心を寄せてくれなければ寄せてくれないほど、
本人はパンドラの中味が気になります。誰かに思いっきりそれを
伝えてみたくなる。そんな時ですね、他の会社も覗いてみよう
かなと思うのは。採用のコストをかけ、教育のコストをかけ、
ようやくこれからという時に社員が辞めてしまうというのは、
やはり会社にとっては損失です。上司はパンドラの箱を前にして、
どのように振舞えばよいでしょうか?
- 339投稿者:『パンドラの箱の開け方』 投稿日:2005/11/17(木)00:35:19
- ある企業の5年目の社員の方にビジョンメイキング研修をしていた時、
研究部門の参加者の一人がこんな話をしてくれました。
彼はアメリカの大学で博士号を取った後に
この会社に入りました。期待に胸を膨らませて入った会社でしたが、
配属された部署はそれまでの自分の研究領域とは畑の違う部署でした。
自分の経験や知識が使えない部署で、彼のモチベーションは一気に
低下しました。来る日も来る日も、彼の頭の中には「テロップ」が
流れ続けました。「こんなはずじゃなかった・・・」彼が幸運だったのは
彼の上司が「入社1年目なんだから、なんでもまずやってみろ!」などと
頭ごなしに言わなかったことです。上司は彼に尋ねました。
どうも苦しんでいるようだけれども、そもそもどんな仕事がしたくて
この会社に入ったんだ?」彼はそれまで言えずに溜めていた想いを
一気に上司にぶつけました。上司は真剣に彼の目を見て、じっくり
話を聞いた後、彼にリクエストを出しました。「いいか、君の
配属部署自体は、3年はおそらく変わらないだろう。ただ、その間に
君がやりたい仕事を企画書の形で出してくれたら、俺が直接役員に
掛け合ってやろう。うまく行けばプロジェクト化されるかもしれないぞ」
彼は目の色を変えて、企画書作成に取り掛かりました。もちろん、
与えられた仕事も一切手を抜かず懸命にやりました。彼が作成した
2つ目の企画書は、上司の推薦もあり、副社長の目に留まりました。
- 340投稿者:『パンドラの箱の開け方』 投稿日:2005/11/17(木)00:35:35
- そして、副社長直轄のプロジェクトとして、彼の企画書は動き出す
ことになったのです。毎回必ずうまくいくというわけではありませんが、
パンドラの箱への対処方法は、
1) とにかく、まずは勇気をもって開けてみる
2) 今の状況の中で、変えられないことと、
変えられることを切り分ける
3) 変えられないことを受け入れるよう部下に伝える
4) 変えられることを部下自身の責任で変えるように部下を励ます
5) 変えられることが変わるように上司として援助する
パンドラの箱を持っている部下を前にしたときのレシピとして、
ぜひ試してみてください。突然の「実は・・・」を避けるために。
- 341投稿者:『e-ラーニングとコーチ』 投稿日:2005/11/18(金)04:37:59
- 近年急速に広まった e-ラーニングですが、27%の企業がすでに
活用しており、さらに46.3%の企業が、その価値を評価
しています。効率性、有用性、柔軟性の点で、e-ラーニングは、
集合研修、ビデオ、DVD等よりも評価されているのです。
しかし、実際には、学習する側の70%近くが集合研修を
評価しています。ここに、それに関連する興味深い報告が
あります。e-ラーニング単体の場合、最後までe-ラーニングを
やり終えるのは全体の70%以下であり、受講者の30%は、
最後までe-ラーニングを使わないというのです。英語学習の
ために、英語のカセットテープを買ったことのある人は少なく
ないと思います。私も学生時代に買いましたが、最初の数本を聞いて
後には、立派な入れ物とマニュアルが残りました。そうかといって、
英語のクラスに申し込んでも最後まで通わなかったので、テープに
だけ問題があったとは思いません。つまり、どんなにすばらしい
環境、ツールが揃っていても、学習の持続には、モチベーションの
維持が不可欠な要素に違いないということだと思います。
- 342投稿者:『e-ラーニングとコーチ』 投稿日:2005/11/18(金)04:39:55
- モチベーションの維持には、1対1の関係が重要な役割を
果たします。e-ラーニングの受講者にコーチがつくと、最後まで
学習する人の人数は飛躍的に伸びることがわかっています。
少なくとも、コーチ・トゥエンティワンの e-ラーニングによる
コーチング学習は、コーチがつくことで、100%の人が履修を
完了しています。おそらく、e-ラーニングにコーチがつくことで、
受講者は単に学習対象を学習するだけではなく、それを将来の
ビジョンと照らし合わせ、今学習していることが自分にどのような
成長をもたらすかについて、検討する時間を持つことができるの
でしょう。また、新しいことを試みるときに生じる抵抗が
どのようなものかをはっきりさせることによって学習の障害を
取り除くなど、コーチとの会話を通して、受講者は、学習に対する
意欲を持つようになります。また、受講者自身が自分で
コントロールできる領域をはっきりと知ることができるようになると、
受講者は意欲を持つようになります。五里霧中で、つかみどころが
ない、何もコントロールできないと感じているとき、人は無力感の
ベールに包まれてしまうものです。
- 343投稿者:『e-ラーニングとコーチ』 投稿日:2005/11/18(金)04:41:03
- 一度物事がはっきりし、
具体的になり、自分でコントロールできることを知ると、
人は意欲的になります。学習効率を上げるためには、単に
学習方法を工夫したり、優れた教材をそろえたりするだけではなく、
学習者の学習意欲を上げる働きかけが必要です。また、学習者に
本当にフィットした学習方法が発見されなければなりません。
コーチングは、クライアントの学習の効率を上げるためのものです。
故に「私があなたをコーチする」というスタンスではうまく
いきません。コーチは、コーチングを通して、クライアントが、
自分で自分をコーチできるようにすることを目的としているのです。
- 344投稿者:『私とコーチ』 投稿日:2005/12/01(木)00:00:42
- 私は、1996年からずっとコーチをつけています。もちろん今も
コーチがついています。今の私のコーチは、カナダ、
トロント在住のダグ・クラーク氏です。年齢は70歳過ぎ。
もともとはボートのコーチで、オリンピックの強化選手や大学の
選抜選手をトレーニングしていました。現在は、トロントの銀行や
金融に関する企業のエグゼクティブを中心にコーチをしています。
私は彼にコーチングを受け始めて、今年で3年めになります。
しかし、3年経った今でも私たちのコーチングのテーマは、常に
ヴィジョンメーキングに戻ります。「伊藤、3年後、5年後に
ついてヴィジョンをもて。最初はそれがはっきりしなくても、
自分の心に一枚の絵をもつんだ」そのためにたくさんの宿題も
出ます。彼からの宿題の量は半端ではなく、とても1週間で
やりきれるようなものではありません。それに、どの質問も
考え始めると時間がかかります。結局これまでは、それを億劫に
思い、どこかに放り投げてきたのだと思います。ヴィジョンを
創るためには、ずいぶんと時間や労力が必要だと感じました。
- 345投稿者:『私とコーチ』 投稿日:2005/12/01(木)00:01:36
- もしかしたら今の若者たちは、ヴィジョンをもつために充分な
時間を取っていない、あるいは、それをリードするコーチに
代わる人が、いないのかもしれません。
ところで、私は宿題をやらないまま、コーチングセッションに
入ることも、ときどきありました。コーチングで大切なのは
コーチングセッションだけではなく、セッションの間で取り組む
宿題やアセスメント、課題図書を読むこと、また、セッションの
内容を実践してみる時間なのだと思います。コーチングセッション
から新しい視点や気づきを得るためにも、セッション間の取り組みは
とても大事だと思います。日々のルーチン化した生活に、学習の
時間を組み込むことが、違いを創り出す源になります。
さて、ダグは3年経った今でも、「3年後のヴィジョンを話そう」
と言います。もちろん現状の棚卸もします。しかし、すぐに
ヴィジョンのほうに話がいきます。あるとき、私は彼に聞きました。
- 346投稿者:『私とコーチ』 投稿日:2005/12/01(木)00:02:00
- 「ヴィジョンは、もう何回もつくったと思うんだけど」「そうだね」
「それでもまたつくるの?」「そうだ。なぜなら、3年後の
ヴィジョンをつくって1週間経ったら、そのヴィジョンは、2年と
11ヶ月3週間後のヴィジョンになってしまう。だから
つくり直さないといけない。それに、ヴィジョンをもっとくっきり
はっきりさせるんだ。そして、そのヴィジョンをベースにして、
そのヴィジョンを実現させたら、 次に何をするか、そして、
そのヴィジョンを実現させたら、いったい何が手に入るのか。
それについても話したい」 「それはどうして?」
「オリンピックで金メダルをとった選手に、そうしてきた。
彼らの中でヴィジョンがはっきりし、本当に手にしたいものが
ハッキリすると、彼らは自分から動き出し、そして、金メダルを
取って当然というところへ行く。また、そうした選手だけが
金メダルをとった。」「そうなんだ」「伊藤、君も金メダルをとれ。」 「え、金メダル?」「そうだ!」その瞬間、ヴィジョンは
くっきりはっきり、明るく見えました。
- 347投稿者:『部下に未来を描かせる』 投稿日:2005/12/08(木)02:12:11
- 「上場企業に就職した新卒の3割が3年以内に辞めている」
「一般企業の3割から4割の労働者の労働意欲が低下している」
「将来のことを尋ねる項目に否定的な反応を示した生徒の成績が
平均点を下回っている」最近の新聞記事です。
いずれも、原因は自分の将来が見通せない、ヴィジョンを持てない
ところにあるようです。ヴィジョンがなければ意欲は持てません。
ヴィジョンが明確でないところに、いくら頑張れと言っても
それは無理な話なのだと思います。組織に属していれば、必ず
何らかの目標を持っているわけですが、それが必ずしもヴィジョン
として描かれているわけではありません。年間の売上目標は1億円。
でも、それを達成したときの「絵」を持っている人はなかなか
いないわけです。ある食品販社の話です。スタッフのほとんどは
パートタイムの主婦。一人一人が自分の売上目標を持っています。
マネージャーとしては、当然、目標数値を上げたいのですが、
部下はそこそこの数字で満足してしまう。欲がない。その中でも
売上を伸ばしているマネージャーがいるといいます。
- 348投稿者:『部下に未来を描かせる』 投稿日:2005/12/08(木)02:27:37
- そのマネージャーは、決して「頑張って!」とか、
「もっと」とか言わない。部下に具体的な未来を話させるのが
うまいのです。「○○さんは、もし収入が1万円増えたら、
何に使うの?」「今は、運動会とか発表会とかのイベントの後に
子どもたちをファミレスに連れて行ってるけど、もし1万円増えたら
子どもたちが大好きな焼肉を食べさせてあげたい!」本人にとっての
具体的な「絵」を引き出すことができると、部下は実際に売上を
伸ばすそうです。先日、社内で会社の未来を語るブレーン
ストーミングを行いました。会社の売上が2倍になったら自分は
どうなるか?3倍になったら自分はどうなるか?制限なく自由に話す。
- 349投稿者:『部下に未来を描かせる』 投稿日:2005/12/08(木)02:27:58
- ベンツを買う。家を建てる。毎週エステに行く・・・
ある部下が言いました。「デパ地下で300円の高級牛乳を買う!」
周りのスタッフは爆笑です。しかし、本人は至って真面目。
この部下は、32歳の男性、既婚、子どもが3人。会社の帰りに
ときどきデパ地下に行く。その時に300円の高級牛乳が目に留まる。
どんな味がするのかな、と思いつつ、いつも素通りしている。
給料が増えたら、気兼ねすることなくその牛乳を買える。
周りから見れば、些細なことですが、何といっても本人の
ヴィジョンが大切なのです。この話をしているときの彼は、
少し頬が紅潮し、周りにエネルギーを発散していました。
ヴィジョンは、頭の中に置いておくことができません。
ヴィジョンは、描いているその瞬間にしか存在しない。
目の前の業務に追われていれば、頭の中はその業務のことで
いっぱいになります。その瞬間、ヴィジョンは失われている。
マネージャーの仕事は、部下に未来を描かせることです。
しかも、毎日。「牛乳はいつ頃買うの?」
- 350投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」 投稿日:2005/12/22(木)01:48:33
- ものすごく単純化してしまうと、人の行動パターンは2つに
分けられます。「プラスの追求」か、「マイナスの回避」か。
どちらかしかないといっても過言ではありません。
例えば、家で掃除をするときのことを考えてみてください。
隅々まで掃除をして、素敵な花をテーブルに飾って、そこで
香り高いコーヒーを飲むんだ、とイメージして掃除にとりかかるのが
前者の行動パターン。これ以上掃除をしないとカビが生えるかも
しれない、ダニが湧くかもしれない、匂いがたつかもしれない。
それは嫌だから掃除をする、というのが後者のパターン。
一人の人がいつもどちらかのパターンで行動しているわけではなく、
プライベートでは「プラス追求型」中心だけれども、仕事は
「マイナス回避型」中心というように、場面によってパターンは
変わります。ただ、いずれにしても、未来に対するスタンスは
「期待」か「不安」か、そのどちらかです。そして、一般的には、
「期待」で動いているときの方が、より高いパフォーマンスを
発揮することができるようです。僅差の勝負になったり、
追い詰められた状況になればなるほど、「期待」は「不安」を
上回ると言われています。そんなことが、先日の女子のフィギュア
スケートを見ていて、頭に去来しました。