コーチングの勉強
1投稿者:まりや  投稿日:2003/03/09(日)23:09:31
コーチへの道
338投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:34:16
人が会社を辞めてしまうのには幾つか理由があるようですが、
中でも大きいのは「上司や会社が自分の将来や、ビジョンに
関心を示してくれない」ということのようです。2、3の
アンケートがそれを示していました。平たく言ってしまえば
「ここでどんなことをしてみたいんだ?」と上司が聞いて
くれないわけです。上司の気持ちも分かります。非常に速い
スピードでの業績向上が求められる中、安易に部下のやりたい
ことなど聞いてしまったら、期限までにゴールを達成できない
かもしれない。プロジェクトが収拾のつかない状態になって
しまうかもしれない。そんな風に思ってしまう。だから、できれば
パンドラの箱は開けたくない。手をつけずに、そのままに
しておきたい。しかし、開けないからといって、消えてなくなる
わけではありません。確かに箱の中にはその想いが眠っています。
周りがその中味に関心を寄せてくれなければ寄せてくれないほど、
本人はパンドラの中味が気になります。誰かに思いっきりそれを
伝えてみたくなる。そんな時ですね、他の会社も覗いてみよう
かなと思うのは。採用のコストをかけ、教育のコストをかけ、
ようやくこれからという時に社員が辞めてしまうというのは、
やはり会社にとっては損失です。上司はパンドラの箱を前にして、
どのように振舞えばよいでしょうか?
339投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:35:19
ある企業の5年目の社員の方にビジョンメイキング研修をしていた時、
研究部門の参加者の一人がこんな話をしてくれました。
彼はアメリカの大学で博士号を取った後に
この会社に入りました。期待に胸を膨らませて入った会社でしたが、
配属された部署はそれまでの自分の研究領域とは畑の違う部署でした。
自分の経験や知識が使えない部署で、彼のモチベーションは一気に
低下しました。来る日も来る日も、彼の頭の中には「テロップ」が
流れ続けました。「こんなはずじゃなかった・・・」彼が幸運だったのは
彼の上司が「入社1年目なんだから、なんでもまずやってみろ!」などと
頭ごなしに言わなかったことです。上司は彼に尋ねました。
どうも苦しんでいるようだけれども、そもそもどんな仕事がしたくて
この会社に入ったんだ?」彼はそれまで言えずに溜めていた想いを
一気に上司にぶつけました。上司は真剣に彼の目を見て、じっくり
話を聞いた後、彼にリクエストを出しました。「いいか、君の
配属部署自体は、3年はおそらく変わらないだろう。ただ、その間に
君がやりたい仕事を企画書の形で出してくれたら、俺が直接役員に
掛け合ってやろう。うまく行けばプロジェクト化されるかもしれないぞ」
彼は目の色を変えて、企画書作成に取り掛かりました。もちろん、
与えられた仕事も一切手を抜かず懸命にやりました。彼が作成した
2つ目の企画書は、上司の推薦もあり、副社長の目に留まりました。
340投稿者:『パンドラの箱の開け方』  投稿日:2005/11/17(木)00:35:35
そして、副社長直轄のプロジェクトとして、彼の企画書は動き出す
ことになったのです。毎回必ずうまくいくというわけではありませんが、
パンドラの箱への対処方法は、
1) とにかく、まずは勇気をもって開けてみる
2) 今の状況の中で、変えられないことと、
    変えられることを切り分ける
3) 変えられないことを受け入れるよう部下に伝える
4) 変えられることを部下自身の責任で変えるように部下を励ます
5) 変えられることが変わるように上司として援助する
パンドラの箱を持っている部下を前にしたときのレシピとして、
ぜひ試してみてください。突然の「実は・・・」を避けるために。
341投稿者:『e-ラーニングとコーチ』  投稿日:2005/11/18(金)04:37:59
近年急速に広まった e-ラーニングですが、27%の企業がすでに
活用しており、さらに46.3%の企業が、その価値を評価
しています。効率性、有用性、柔軟性の点で、e-ラーニングは、
集合研修、ビデオ、DVD等よりも評価されているのです。
しかし、実際には、学習する側の70%近くが集合研修を
評価しています。ここに、それに関連する興味深い報告が
あります。e-ラーニング単体の場合、最後までe-ラーニングを
やり終えるのは全体の70%以下であり、受講者の30%は、
最後までe-ラーニングを使わないというのです。英語学習の
ために、英語のカセットテープを買ったことのある人は少なく
ないと思います。私も学生時代に買いましたが、最初の数本を聞いて
後には、立派な入れ物とマニュアルが残りました。そうかといって、
英語のクラスに申し込んでも最後まで通わなかったので、テープに
だけ問題があったとは思いません。つまり、どんなにすばらしい
環境、ツールが揃っていても、学習の持続には、モチベーションの
維持が不可欠な要素に違いないということだと思います。
342投稿者:『e-ラーニングとコーチ』  投稿日:2005/11/18(金)04:39:55
モチベーションの維持には、1対1の関係が重要な役割を
果たします。e-ラーニングの受講者にコーチがつくと、最後まで
学習する人の人数は飛躍的に伸びることがわかっています。
少なくとも、コーチ・トゥエンティワンの e-ラーニングによる
コーチング学習は、コーチがつくことで、100%の人が履修を
完了しています。おそらく、e-ラーニングにコーチがつくことで、
受講者は単に学習対象を学習するだけではなく、それを将来の
ビジョンと照らし合わせ、今学習していることが自分にどのような
成長をもたらすかについて、検討する時間を持つことができるの
でしょう。また、新しいことを試みるときに生じる抵抗が
どのようなものかをはっきりさせることによって学習の障害を
取り除くなど、コーチとの会話を通して、受講者は、学習に対する
意欲を持つようになります。また、受講者自身が自分で
コントロールできる領域をはっきりと知ることができるようになると、
受講者は意欲を持つようになります。五里霧中で、つかみどころが
ない、何もコントロールできないと感じているとき、人は無力感の
ベールに包まれてしまうものです。
343投稿者:『e-ラーニングとコーチ』  投稿日:2005/11/18(金)04:41:03
一度物事がはっきりし、
具体的になり、自分でコントロールできることを知ると、
人は意欲的になります。学習効率を上げるためには、単に
学習方法を工夫したり、優れた教材をそろえたりするだけではなく、
学習者の学習意欲を上げる働きかけが必要です。また、学習者に
本当にフィットした学習方法が発見されなければなりません。
コーチングは、クライアントの学習の効率を上げるためのものです。
故に「私があなたをコーチする」というスタンスではうまく
いきません。コーチは、コーチングを通して、クライアントが、
自分で自分をコーチできるようにすることを目的としているのです。
344投稿者:『私とコーチ』  投稿日:2005/12/01(木)00:00:42
私は、1996年からずっとコーチをつけています。もちろん今も
コーチがついています。今の私のコーチは、カナダ、
トロント在住のダグ・クラーク氏です。年齢は70歳過ぎ。
もともとはボートのコーチで、オリンピックの強化選手や大学の
選抜選手をトレーニングしていました。現在は、トロントの銀行や
金融に関する企業のエグゼクティブを中心にコーチをしています。
私は彼にコーチングを受け始めて、今年で3年めになります。
しかし、3年経った今でも私たちのコーチングのテーマは、常に
ヴィジョンメーキングに戻ります。「伊藤、3年後、5年後に
ついてヴィジョンをもて。最初はそれがはっきりしなくても、
自分の心に一枚の絵をもつんだ」そのためにたくさんの宿題も
出ます。彼からの宿題の量は半端ではなく、とても1週間で
やりきれるようなものではありません。それに、どの質問も
考え始めると時間がかかります。結局これまでは、それを億劫に
思い、どこかに放り投げてきたのだと思います。ヴィジョンを
創るためには、ずいぶんと時間や労力が必要だと感じました。
345投稿者:『私とコーチ』  投稿日:2005/12/01(木)00:01:36
もしかしたら今の若者たちは、ヴィジョンをもつために充分な
時間を取っていない、あるいは、それをリードするコーチに
代わる人が、いないのかもしれません。
ところで、私は宿題をやらないまま、コーチングセッションに
入ることも、ときどきありました。コーチングで大切なのは
コーチングセッションだけではなく、セッションの間で取り組む
宿題やアセスメント、課題図書を読むこと、また、セッションの
内容を実践してみる時間なのだと思います。コーチングセッション
から新しい視点や気づきを得るためにも、セッション間の取り組みは
とても大事だと思います。日々のルーチン化した生活に、学習の
時間を組み込むことが、違いを創り出す源になります。
さて、ダグは3年経った今でも、「3年後のヴィジョンを話そう」
と言います。もちろん現状の棚卸もします。しかし、すぐに
ヴィジョンのほうに話がいきます。あるとき、私は彼に聞きました。
346投稿者:『私とコーチ』  投稿日:2005/12/01(木)00:02:00
「ヴィジョンは、もう何回もつくったと思うんだけど」「そうだね」
「それでもまたつくるの?」「そうだ。なぜなら、3年後の
ヴィジョンをつくって1週間経ったら、そのヴィジョンは、2年と
11ヶ月3週間後のヴィジョンになってしまう。だから
つくり直さないといけない。それに、ヴィジョンをもっとくっきり
はっきりさせるんだ。そして、そのヴィジョンをベースにして、
そのヴィジョンを実現させたら、 次に何をするか、そして、
そのヴィジョンを実現させたら、いったい何が手に入るのか。
それについても話したい」 「それはどうして?」
「オリンピックで金メダルをとった選手に、そうしてきた。
彼らの中でヴィジョンがはっきりし、本当に手にしたいものが
ハッキリすると、彼らは自分から動き出し、そして、金メダルを
取って当然というところへ行く。また、そうした選手だけが
金メダルをとった。」「そうなんだ」「伊藤、君も金メダルをとれ。」 「え、金メダル?」「そうだ!」その瞬間、ヴィジョンは
くっきりはっきり、明るく見えました。
347投稿者:『部下に未来を描かせる』  投稿日:2005/12/08(木)02:12:11
「上場企業に就職した新卒の3割が3年以内に辞めている」
「一般企業の3割から4割の労働者の労働意欲が低下している」
「将来のことを尋ねる項目に否定的な反応を示した生徒の成績が
 平均点を下回っている」最近の新聞記事です。
いずれも、原因は自分の将来が見通せない、ヴィジョンを持てない
ところにあるようです。ヴィジョンがなければ意欲は持てません。
ヴィジョンが明確でないところに、いくら頑張れと言っても
それは無理な話なのだと思います。組織に属していれば、必ず
何らかの目標を持っているわけですが、それが必ずしもヴィジョン
として描かれているわけではありません。年間の売上目標は1億円。
でも、それを達成したときの「絵」を持っている人はなかなか
いないわけです。ある食品販社の話です。スタッフのほとんどは
パートタイムの主婦。一人一人が自分の売上目標を持っています。
マネージャーとしては、当然、目標数値を上げたいのですが、
部下はそこそこの数字で満足してしまう。欲がない。その中でも
売上を伸ばしているマネージャーがいるといいます。
348投稿者:『部下に未来を描かせる』  投稿日:2005/12/08(木)02:27:37
そのマネージャーは、決して「頑張って!」とか、
「もっと」とか言わない。部下に具体的な未来を話させるのが
うまいのです。「○○さんは、もし収入が1万円増えたら、
何に使うの?」「今は、運動会とか発表会とかのイベントの後に
子どもたちをファミレスに連れて行ってるけど、もし1万円増えたら
子どもたちが大好きな焼肉を食べさせてあげたい!」本人にとっての
具体的な「絵」を引き出すことができると、部下は実際に売上を
伸ばすそうです。先日、社内で会社の未来を語るブレーン
ストーミングを行いました。会社の売上が2倍になったら自分は
どうなるか?3倍になったら自分はどうなるか?制限なく自由に話す。
349投稿者:『部下に未来を描かせる』  投稿日:2005/12/08(木)02:27:58
ベンツを買う。家を建てる。毎週エステに行く・・・
ある部下が言いました。「デパ地下で300円の高級牛乳を買う!」
周りのスタッフは爆笑です。しかし、本人は至って真面目。
この部下は、32歳の男性、既婚、子どもが3人。会社の帰りに
ときどきデパ地下に行く。その時に300円の高級牛乳が目に留まる。
どんな味がするのかな、と思いつつ、いつも素通りしている。
給料が増えたら、気兼ねすることなくその牛乳を買える。
周りから見れば、些細なことですが、何といっても本人の
ヴィジョンが大切なのです。この話をしているときの彼は、
少し頬が紅潮し、周りにエネルギーを発散していました。
ヴィジョンは、頭の中に置いておくことができません。
ヴィジョンは、描いているその瞬間にしか存在しない。
目の前の業務に追われていれば、頭の中はその業務のことで
いっぱいになります。その瞬間、ヴィジョンは失われている。
マネージャーの仕事は、部下に未来を描かせることです。
しかも、毎日。「牛乳はいつ頃買うの?」
350投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」  投稿日:2005/12/22(木)01:48:33
ものすごく単純化してしまうと、人の行動パターンは2つに
分けられます。「プラスの追求」か、「マイナスの回避」か。
どちらかしかないといっても過言ではありません。
例えば、家で掃除をするときのことを考えてみてください。
隅々まで掃除をして、素敵な花をテーブルに飾って、そこで
香り高いコーヒーを飲むんだ、とイメージして掃除にとりかかるのが
前者の行動パターン。これ以上掃除をしないとカビが生えるかも
しれない、ダニが湧くかもしれない、匂いがたつかもしれない。
それは嫌だから掃除をする、というのが後者のパターン。
一人の人がいつもどちらかのパターンで行動しているわけではなく、
プライベートでは「プラス追求型」中心だけれども、仕事は
「マイナス回避型」中心というように、場面によってパターンは
変わります。ただ、いずれにしても、未来に対するスタンスは
「期待」か「不安」か、そのどちらかです。そして、一般的には、
「期待」で動いているときの方が、より高いパフォーマンスを
発揮することができるようです。僅差の勝負になったり、
追い詰められた状況になればなるほど、「期待」は「不安」を
上回ると言われています。そんなことが、先日の女子のフィギュア
スケートを見ていて、頭に去来しました。
351投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」  投稿日:2005/12/22(木)01:57:01
安藤美姫さんの演技前の堅い表情、ジャンプを失敗しての3回もの
転倒、そして演技後のインタビュー。その全てが、おそらく安藤さんが
「マイナスの回避」で動いていたであろうことを示唆していました。
安藤さんのインタビュー。「(朝の)公式練習で体が動きすぎて、
足が軽くなっちゃって…。ジャンプを降りるときに右足が
踏ん張れなくて…」転倒は避けたい、失敗は避けたい、
4位転落は避けたい、そんな想いがパフォーマンスを下げて
しまったのかもしれません。一方で、ミラクル真央ちゃん。
あの躍動感のある動き、活き活きとした表情、きらきら輝く眼。
自由自在にリンクの上を舞いたい、見る人をあっと言わせたい、
どこまでも軽やかな演技を披露したい。少なくとも、今回の大会は、
彼女は「プラスの追求」で動いていたように見えました。
おそらく安藤さんも、4回転のジャンプを成功させたときは
「プラスの追求」で動いていたでしょう。もっと跳びたい、
周りをあっと言わせたい、空中をできる限り高く舞いたい。
しかし、一旦大きな成功を手にすると、モードは「期待」
ではなく、それを失いたくない「不安」になりやすいものです。
それが、「マイナスの回避」へと行動の源泉を移していきます。
そうなったときこそが、本当の意味でコーチの出番なのかもしれません。
352投稿者:「プラスの追求」と「マイナスの回避」  投稿日:2005/12/22(木)01:59:46
もう一度「プラスの追求」でその人に動いてもらうために。
では、マイナス回避型で動いている人をプラス追求型で動くように
するためにはどうすればいいでしょうか。ヒントとなるようなことを、
あるクライアントの方から聞きました。彼は大手の複写機メーカーの
支社長で、これまで行く部署行く部署、全ての所で飛躍的に業績を
高めてきました。彼に聞きました。「『売れないんじゃないか、
ゴールを達成できないんじゃないか』と不安に思い続けている部下には、
どのようなアプローチをするのですか?」彼は即答してくれました。
「言い続けるんですよ。『いけるよ』『やれるよ』『大丈夫だよ』
って。相手がそれを信じるまで、何度も何度も何度も。そうすれば
きっと心が変わるから。」「それだけですか?」「僕の役割はね。
あっ、でもあれですよ、なるべく自然に言うのが大事ですよ。
力を込めると相手はやらなければいけないとプレッシャーを感じるから。
それに、力を入れると、こっちも何度もは言えないでしょ。
あくまでも軽くね。」安藤美姫さんのコーチは、これから何を、
どのように彼女に伝えるでしょうか。
353投稿者:『コーチングケーススタディ』  投稿日:2006/01/22(日)17:09:33
今月私が担当しているコーチ・トレーニング・プログラム(CTP)の
スペシャルクラス、「ケーススタディ」の中で取り上げられた事例を、
ご本人のご了承のもとに、ご紹介したいと思います。
【 事例 】 …………………
クライアントは、40歳の女性、婦人服の営業職。新しい店長と
うまが合わないことがきっかけで、1対1のコーチングを
受けはじめる。1年半後の現在、店長とのコミュニケーションは
飛躍的に改善され、営業成績は全国の営業職600人中の300位
から20位へと躍進。昨年末、その店長の転勤の際に「君と一緒に
仕事ができたことは人生の宝」とまで言わしめた。  ……………………………………
このクライアントをコーチしたのは、群馬県在住のKさんです。
Kさんは、50代の男性。2003年9月からCTPに参加
しています。 現在は、学習塾を共同経営する傍ら、プロの
ビジネスコーチとして活躍されています。Kさんに、この
コーチングのポイントをお聞きしました。
「コーチングをはじめた当初、30分のコーチングセッション中、
クライアントはずっと愚痴ばかり話していました。変化があったのは
3ヶ月目ぐらいからです。まず、愚痴を言わなくなりました。」
きっかけは何だったのですか?
354投稿者:『コーチングケーススタディ』  投稿日:2006/01/22(日)17:14:38
「彼女は、上司に対する不満から、会社を辞めて独立したい、と
言い続けていました。ところが、コーチングを続けていくと、独立
したいという気持ちは、単なる不満からではなく、自分自身の
もともとの価値観に基づくことがはっきりしていったのです。
そして、彼女は、2年後に独立をするという現実的な目標を
決めました。自分はもともと経営者になりたいと思っていた、と
再認識したことが、今の仕事に対する視点を大きく変えたのです。
そこからの彼女の行動の変化は目覚しいものでした。」
どのように行動が変化していったのですか?
「実は、その店長に代わってからお店自体の業績は少しずつ
伸びていました。うまが合わないとはいえ、自分が将来は
経営者になるという視点で店長を見れば、当然学べるところ
があるわけです。
 ・業績主義を徹底させている
 ・ほんの少しでも数字があがれば声をかけてくれる
 ・従業員に対して公平である、など
355投稿者:『コーチングケーススタディ』  投稿日:2006/01/22(日)17:15:21
学べることをリストアップすると、ノートがいっぱいになりました。
次に、彼女は、この一つひとつを部下から上司への承認として
店長に伝えていきました。それが二人の関係を変えていく
きっかけとなったのです。 彼女は自分が本当にしたいと
思っていることに改めて気づきました。それが、彼女の仕事への
取り組みを全てにおいて変えました。自分の人生は自分が選ぶと
いう立場に大きく変わったのです。」
自己認識が高まることによって、行動の選択肢は広がります。 
自分が何を思っているのか、何をしているのか。自分のことを
知れば知るほど、自分にできることが見えてくるのです。
今の自分のあるがままの姿をはっきりと見ることができれば、
次にとることができる選択肢は自ずと広がります。
コーチングは、クライアントの真の姿を映す鏡です。
鏡に映った自分自身を見て、そこに新たな可能性を発見する。
それが、コーチをつける意味なのだと思います。
356投稿者:『もしも26歳のときにコーチがいたら』  投稿日:2006/01/22(日)17:26:29
講演会で、新任のエグゼクティブが新しい役割や職場に慣れるのに
どのぐらい時間がかかると思うかを、参加者の方々に質問するときが
あります。さすがに、1〜2ヶ月で慣れると思われる方はいません。
たいていの方は、3〜6ヶ月くらい。1年以上はかからないだろう
と思っているようです。 ハーバード大学の調査では、マネジャーが、
配置転換して職場に慣れるのにかかる日数は、およそ15〜18ヶ月
であると報告されています。新しい職場や役割に慣れるには、時間が
必要なのです。エグゼクティブも、もちろん同じです。大方の人は
3〜6ヶ月と思っているわけですが、実際には、新しい職場や役割に
慣れるのに1ヶ月以上も時間がかかります。その間は、
エグゼクティブとして十分にその能力を発揮することはできません。
職場と役割に慣れるために、多くのエネルギーを費やしているのが
実態でしょう。場に慣れるのには時間が必要ですが、コーチングを
通して、その時間を短縮していくことは可能です。最近、私はよく
思います。もし、自分で会社を始めた26歳の頃にコーチがいたら、
どんなに効率よく、そして効果的に会社を運営することができた
だろうかと。早くから自分のヴィジョンに気づき、戦略をもって
経営できたように思います。当時を振り返ると、本当に情熱だけで
走っているようなところがあって、計画性に乏しい、行き当たり
ばったりの経営をしていたように思います。
357投稿者:『もしも26歳のときにコーチがいたら』  投稿日:2006/01/22(日)17:28:10
今も、多分にその傾向はありますが・・・。今、私は自分にコーチを
つけています。毎週火曜日の朝8時から1時間のコーチングセッション。
セッションが終わる度に、新しい視点を手にしていることに気が
つきます。同時に、仕事に向かう自分がワクワクしているのを感じます。
コーチは常に、これまでのプロセスを反芻し、ポイントをリマインド
してくれます。また、わかったつもりになっていることでも、
丁寧にリピートしてくれます。そして2年後3年後の視点に立って、
今の自分を見る機会をもつこと、ヴィジョンを構築すること、日々の
仕事を棚卸しすること、自分自身の成長など、コーチをつけることで、
確実に可能性を広げていることを実感しています。これまで、
あまりにも計画的になりすぎたり、準備に時間をかけすぎたりすると、
仕事に対する勢いが弱くなるような危惧もありました。でも、
私のコーチは言います。「伊藤、仕事にコミットメントを要求
しているのではない、仕事に情熱を持ち込むために、
コーチはいるんだ」もし、26歳のときの私にコーチがいたら、
もっと熱い情熱と、それにベクトルをもたせることが
できたのではないかと思います。今だって同じです。
358投稿者:『期待と現実』  投稿日:2006/02/02(木)03:58:38
上司に対して部下はどう思っているのか。どんなリクエストが
あるのか。コーチング研修で事前にアンケートをとることが
あります。そのアンケートを受け取った瞬間の上司の
みなさんの表情は、なんとも様々です。
「おお、結構いいじゃん!」満面の笑みを浮かべて喜ぶ方。
「誰だよこれ書いたの!」いきなり犯人探しをされる方。
「。。。」暗くうつむいてしまう方。 どちらかといえば、
あまりハッピーではない方が多いでしょうか。いずれにしても
上司はその瞬間知るわけです。部下が自分に対してどんな
「期待」を抱いているのかを。ご存知のように、人に対する
信頼は、その人に向けた「期待」と、実際にその人が起こす
「現実」とのバランスによって上がり下がりします。
「期待」=「現実」であれば、信頼は醸成され、
「期待」>「現実」であれば、信頼は下がり、
「期待」<「現実」となれば、信頼はぐっと高まります。
一ついえるのは、「うまくいっている上司」は、「部下の
自分に対する期待」が「自分が部下に見せている現実」と
沿っているかどうかを強く意識しているということです。
359投稿者:『期待と現実』  投稿日:2006/02/02(木)03:59:51
「部下は何を期待しているんだろう?」「どんな言葉を
かけてほしいんだろう?」と。一方「うまくいっていない上司」は、
「自分が部下に対してもっている期待」が「部下が自分に見せて
いる現実」とイコールになるかどうかばかりに気を取られています。
「部下は思った通りに動いているのか?」「なんで動かないんだ?」
だからアンケートを見て愕然とするわけです。
「そんな風に思っていたのか。。」
コーチングをさせていただいている、あるメーカーの
執行役員の方が言いました。史上最年少で執行役員になった方で、
部下の「期待」を察することにとても優れています。
「僕は部長達に口を酸っぱくして言ってるんですよ。
『君達は営業が優秀だから部長になった。営業と部下の育成は
全く同じだ。優秀な営業マンは、お客様のニーズを見つけるの
がうまい。そして、そのニーズに合った提案ができる。同じように
優秀な上司は部下一人ひとりのニーズをまず見つけ出す。
部下がどうして欲しいのかということをまず知ろうとする。
指示をするのはそれからだ。』ってね。」
「でも、鈴木さん、本当に優秀な上司はニーズに答えるだけ
じゃないんだよ。何をするか知ってる?」 突然の質問に、
「ん〜、何でしょう??」。答えが浮かびませんでした。
360投稿者:『期待と現実』  投稿日:2006/02/02(木)04:00:42
「ダメだよ、コーチングの先生なんだから、答えられなきゃ(笑)。
本当に優秀な上司はさ、小さなサプライズを部下に起こすんだな。」
「小さなサプライズ?」「そう、部下の予測よりもちょっと
上回ることをしてあげる。日報にちょっと多目にコメントを
書いて返すとか。ちょっと高い寿司屋に連れて行って自腹で
おごってやるとか。こっちが正直に謝るとか。
サプライズは部下の中に残るからね。お説教はあんまり
残らないけど(笑)。」 人の「期待」を掴み、それを上回る
「現実」を提示して小さなサプライズを起こす。
人心掌握の基本なのかもしれません。
361投稿者:『ほめるとねぎらう』  投稿日:2006/03/03(金)06:03:12
先日講演に行った帰り道同行したアシスタントから突然切り出されました。
「鈴木さんは、まったく私のことをほめてくれない。」軽い晴天の霹靂
でした。 正直、何を言われているのかわかりませんでした。
「ほめてない? うそ? ほめてるでしょ?」「いいえ、全然
ほめてません。」「だって、メールは最優先で返信してるし、
しょっちゅう“ありがとう”ってねぎらいの言葉もかけてるでしょ。」
「確かに“ありがとう”とは言ってくれますけど、ほめてはくれません。
ほめられないから、何が良くて何が悪いのかちっともわからない。
『ほめる技術』の著者とは思えませんね。」あまりにもストレートな
フィードバックに、後頭部を殴られたような想いでした。
そう言われてみると、確かに「ねぎらい」はいっぱいしていますが、
「ほめる」ことはあまりしていません。彼女からすると、すべての
自分の行為に同じ「ねぎらい」がくるので、どの行為が良くて、
どの行為が改善すべきかの区別がつかないというわけです。
それでは、自分が成長している実感が持てないではないか、と。
彼女はさらに続けました。「鈴木さんはきっと基準が高いんですね。
基準に満たないものはほめない。でも、承認は必要だと思っているから、
基準以下のものにはすべて“ありがとう”を伝える。それだと
基準に到達しない限り、どこを認められていて、どこを認められて
いないのかわかりませんよね。」「なるほど。。」
362投稿者:『ほめるとねぎらう』  投稿日:2006/03/03(金)06:03:53
頭の半分は相変わらずショックで、ぼ〜っとしているのですが、
残りの半分は冷静に彼女の話を追っていて、思わず納得して
しまいました。研修では日々伝えているわけです。
「ほめるというのは、前進への促しです」と。ほめるという行為を
通して、相手に今現在の立ち位置を確認させることができる。
今動いている方向にそのまま進めばいいのか、それとも軌道修正
すべきなのか。つまり、ほめるというのは、育成される側の人の行動に
「GO」か「CHANGE」かのマークをつける営みでもあると。
そして、それは自分では当然できていることだと思っていたのですが、
どうも自分の基準に到達しない行動は、「粗く」見ていたようです。
おそらく、彼女にこのことを言われていなければ、その自分の
パターンにはなかなか気づけなかったでしょう。上司である自分に
ストレートにものを言うのは、きっとリスクがあったと思います。
それを押して伝えてくれた彼女には、とても感謝しています。
余談ですが、彼女と別れ一人電車に乗ったとき、昔大学の友人から
聞いた話がなぜか、ふと頭をよぎりました。友人曰く、
「この前さ、彼女に振られたんだよ。で、そんときにさ、彼女が
『あなたはいつもニコニコしていてわからない』って。一体
なんなんだよな!」
どうも、今も昔もメリハリのきかない男はだめなようです。
363投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:07:03
数年前のことです。私は、福岡を中心に美容室をチェーン
展開している経営者のコーチをしていました。テーマは
ずばり経営の拡大。コーチングを開始してから半年間、
2店舗の新規出店というゴールを達成し、コーチングは無事に
終了しました。その最後のセッションで「次は、社員を
コーチして欲しい」という申し出を受けました。店長はじめ、
主要なスタイリストをコーチして欲しい。彼らの
コミュニケーション力を磨いて、接客力を高めることで、
「店販」を増やしたい。来店したお客さんに、トリートメントを
追加してもらったり、シャンプーを買ってもらったりする。
このことを美容業界では「店販」と呼びます。つまり、「店販」を
増やすことで、顧客単価をアップさせたいというのです。
「店販」は、スタイリストのコミュニケーション能力で大きく
左右されるといいます。たとえば、ここ数年はカラーリングが
大きなブームでした。あるお客さんが「ピンクアッシュに染めて
ほしい」と言ったとします。普通のスタイリストであれば、その
希望を聞いてピンクアッシュに染めるだけで終わってしまいます。
しかし、スタイリストのコミュニケーション能力が高ければ、店販の
可能性はもっと広がります。「ピンクアッシュに染めてください」
364投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:10:25
「はい、わかりました。ピンクアッシュですね。どうして
ピンクアッシュに染めようと思われたんですか?」「小顔に見える
って雑誌に書いてあったんです」「なるほど、そうなんですね。
お客さんの顔立ちだったら、少しパーマをかけて、顔まわりに
レイヤーを入れてあげると、もっと小顔に見えると思いますよ」
「そうなんですか? じゃあ、パーマもかけてください」
このようにお客さんの真意を引き出すことができれば、お客さんも
喜び、さらに「店販」にもつながります。相手から引き出す
コミュニケーションは、コーチングが最も得意とする領域です。
私はきっと店販の拡大にコーチングが役立つだろうと思いました。
そして、十数人のスタイリストをコーチして欲しいという、
破格の申し出に、私は心が躍る思いでした。私は、すぐに社内で
チームを組みました。そして、売り上げの良い店舗を選んで、
好成績のポイントは何なのかを知るために現地リサーチを行いました。
実際にお店に行ってみると、どのお店も繁盛している。
お客さんが待っている。スタイリストはとても忙しそうに
働いている。閉店後、スタイリストにインタビューをしました。
「忙しくて、一人のお客さんとゆっくり話している暇がない」
「うちは競合よりも少し価格を抑えているわけだから、
 一人あたりの単価を上げるよりも、数をこなすのが大切」
365投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:11:54
そして、どのスタイリストも口を揃えて言うのです。「店販を
拡大したいという社長の考えはわかりますが、お客さんが
待っているのにそれは難しいと思います」リサーチの結果を
その経営者に報告しました。「でもね、桜井さん、コーチをつければ
なんとかなるんじゃない?コーチをしてもらって売り上げを
伸ばしたいんだよ。」「確かにコーチをすれば、彼らの
コミュニケーション力は伸びるだろうし、お店の雰囲気もさらに
良くなると思いますよ。それは保証します。でも、コーチングを
行っても、今の営業形態では売り上げの向上に反映されるとは
限らないと思うんです」「それじゃあ困るよ。コーチしてもらって
売り上げが伸びないんじゃ意味がない。2ヵ月後に、店販拡大の
キャンペーンをやる予定だから。それまでになんとかしてよ、
桜井さん。」どこまで行っても平行線です。
366投稿者:『コーチングを断る』  投稿日:2006/03/15(水)23:12:13
おそらくこの
コーチングを引き受けたとしても社長が考えるような売り上げを
あげることは望めないのではないか。実際にコーチを受ける人たちに
その意欲がなければ、うまくいくはずがありません。もちろん、
コーチを受ければ何らかの形でプラスにはなるでしょう。しかし、
この経営者の望む成果を出すのは難しい。社内のチームで意見を
出し合い、検討に検討を重ねました。そして、最終的には、
その仕事を断ることに決めました。できることとできないことを
はっきりさせることはコーチとしての信頼を得るためにも、
コーチ業界全体の発展のためにも、大切なことだと思うのです。
367投稿者:『質問のもつ力』  投稿日:2006/03/28(火)18:41:40
コーチは効果的な質問を創り出す。クライアントはその質問に答える。
その過程で、世界の見え方が変わる。そこにコーチングの価値があります。
数学は、問題を解くよりも問題をつくる方が難しい、という話を
聞いたことがあります。素数、完全数、虚数、友愛数。こういうものを
見つけ出した人は、数式や数字について、長い間問われてきたこと、
また、自分で疑問に思っていたこと、その答えを探している過程で
発見したり、 思いついたりしたのかもしれません。 この瞬間も、
答えを探している人たちがいるんでしょうね。何も数学に限った
ことではなく、日々の仕事、コミュニケーションの取り方、
自分自身について、すでにあたりまえのように思っている事柄も、
もし視点を変え、世界を違ったところから見ることができれば、
そこに変化や改善の可能性が広がります。たとえば
コミュニケーションですが、私たちは、コミュニケーションが
交わされているという前提でコミュニケーションを問題にする
傾向があります。しかし、本当にコミュニケーションは
交わされているのでしょうか?実はコミュニケーションと
言いながら、家庭でも会社でも、力のある人が一方的に指示命令を
しているだけで、そこには双方向性がない場合もあるわけです。
368投稿者:『質問のもつ力』  投稿日:2006/03/28(火)18:42:44
当然の前提に対しても、質問されることで初めてそこに目が向き、
そこから、解決の糸口が見つかることはよくあります。おそらく
問題が問題なのは、「何が問題なのか、それに気がついていないこと」
にあります。「知らないことを知らない」のですから、知りようが
ありません。 質問されて初めて、それを知らないと自覚でき、
自覚して初めて、行動の変化を試みるようになります。
自覚がなければ、行動は変わらない。得てして、自分の態度や行動、
コミュニケーションが周囲にどのような影響を与えているか、
あまり自覚がないものなのです。人が自分のもてる能力に気づき、
それを発揮できるようになるのは、ひとつの問題を、いろいろな
角度から観察することができるようになるときです。 すでに
わかっているつもりになっているようなことであっても、
新たな視点から見ることができるようになると、そこには、
新たな発見があるものです。しかし、自分の意志だけで、
自由に視点を動かすことができるのかというと、それは
なかなか難しい。それができる人もいるのかもしれません。
しかし、そこにコーチの視点をもち込むことによって、少なくとも
複数の視点で、ひとつの問題を観察できるようになります。
369投稿者:『質問のもつ力』  投稿日:2006/03/28(火)18:43:13
問題を解決するのではありません。そこに質問をもち込み、
それに答えようとするときに、初めてこれまでと違うものの
見方を経験するのです。違った視点をもつことは、
行動を起こし、行動を変える起因となります。
地面ばかりを見ていては、星を見ることはできない。
たとえ、空に星があっても、そこに目を向けなければ、
星はないに等しい。金貨が落ちていても、そこに目を
向けなければ、それを拾えない。
 「一番最後に星を見たのはいつですか?」
 「あなたの隣の席の人は、昨日どんな服装でしたか?」
 「今、何が見えていますか?」
私がコーチングをしていてする質問は、いまこの瞬間に見えているもの、
聞こえていること、考えていること、思っていること。
今、何が起こっているかに焦点を当てた質問をします。
そうすることで、ものごとを具体的にとらえられるようになります。
370投稿者:『頭vs直感』  投稿日:2006/04/01(土)03:04:12
私たちの会社には、毎月、中途で新しいコーチが入社します。
さまざまな分野での経験をもって入ってきますが、コーチとしての
経験はゼロ。コーチとして、いちから育てることになります。
先日、入社して3ヶ月になる新人コーチから質問を受けました。
 「コーチとして一番大事なことはなんですか?」
 唐突な質問に一瞬戸惑いましたが、5秒ほど思考し答えました。
 「直感を信頼することでしょう。」「直感ですか??」
 新人コーチの顔には、たくさんの?マークが浮かびました。
 そこで、彼に『第1感』(マルコム・グラッドウェル著、光文社)
 という本に載っていたエピソードを紹介しました。
 *************
 1983年9月、ベッチーナと名乗る男がカリフォルニアの
ゲッティ美術館を訪れました。紀元前6世紀のギリシアの立像を
見つけたので1000万ドルで買い取って欲しい、と彼は美術館に
リクエストしました。ゲッティ美術館では、14ヶ月の時間をかけ、
ありとあらゆる最新の解析機器を使って立像の真贋を検討し、
最終的にこれが本物であるとの結論を出しました。ゲッティ美術館が
立像を購入してしばらくして、ある古代ギリシア彫刻の専門家が、
その立像を目にしました。彼はその立像を一目、たった一目
見て言いました。「これは偽物だ。」判断に要した時間はわずか1秒。
371投稿者:『頭vs直感』  投稿日:2006/04/01(土)03:08:03
その後、その立像が本物であることに疑いをなげかける証拠が次々と
見つかりました。最終的にこの立像は贋作であることが証明された
のです。人の直感的判断は最新鋭の技術に勝りました。
*************
脳科学者の茂木健一郎さんも、近著『脳の中の人生』(中公新書)
の中で、「直感」の重要性について述べています。神経学者
ダマシオ博士の研究を引き合いに出し、人は大脳皮質で理性的に
判断することに加えて、[内臓感覚」といわれる情動系の反応を
判断材料としている、と。特に、正解を見つけることが難しい
問題などは、「よくわからないけれどもこれが正しい」
という直感が、大きく事態を発展させることにつながる、と。
先ほどの新人コーチは、直感が大事であるとの私の言葉に対して、
「自分はどのぐらい直感があるかないかわかりません。」と
いいました。ちょうど営業同行した後だったので彼に聞きました。
「今日お会いした部長、会った瞬間どんな人だと思った?」
「会った瞬間ですか、、う〜ん、、すきがない人だなと」
372投稿者:『頭vs直感』  投稿日:2006/04/01(土)03:10:23
「他には?」「う〜ん、、、失敗するのがすごく嫌いで、部下に
1から10まで自分のやり方を指示するタイプにも見えました。」
「部下は部長のことをどう思っていると思う?」「いざというときに
責任を取ってくれる人ではあるけれど、一方で話しかけにくい人と
思っているんじゃないでしょうか。」「他にはどんな強みがあると
感じた?」「決して最後まで諦めない人だなと。」
「ほら、直感はあるでしょ。」「そうですね。」直感というのは、
決して誰かに与えられた特別な能力ではありません。問題は、
あるかないかではなくて、それに気づくか気づかないかです。
私たちの「内臓」はアンテナとなって、何かを常に感じています。
それを観ることに意識を向けさえすれば、それを感受することは
可能です。ただ、意識は一回に一箇所しかいかないという特性が
ありますから、頭で分析し始めれば、感じているものが感じられなく
なります。もちろん経験のある人が、その領域において生み出す直感は、
経験のない人よりも質の高いものとなるでしょう。美術を知らない人
よりも知っている人が美術品に対して生み出す直感の方が、信憑性が
高いのは当然です。ただ、対象が人の場合、ほとんどの人は直感を
生み出すのに必要な経験はもっていると思います。あとはそれに
気づくか気づかないか。ぜひ目の前の人を見て、改めて見て、
自分の中にどんな直感が生まれるかを観てみてください。
373投稿者:『見えている会話、見えない会話』  投稿日:2006/04/01(土)03:20:49
以前、心臓内科の先生と一緒にリサーチをしたことがあります。
心臓発作を起こしながらも一命を取りとめた人たち5名に、
どういう理由で九死に一生を得たのか、彼らの考え方や行動様式に
関するインタビューを行いました。こちらが期待するような共通した
答えは特になくて、彼らはそれぞれに違った考え方と行動様式を
もっていました。その中の、ひとりの会社の経営者が話してくれた
ことは、とても強く私の印象に残りました。「集中治療室から
一般の病棟に移された日にね、まだ目を開けることもできなくて、
眠っているような起きているような状態のときなんだけど、
ベッドの周りで話し声がするんだよ。それは、家内や子どもたちで、
内容は覚えていないんだけど、たわいもないことを、ずっと話して
いるんだよね。」「それはどんな感じだったんですか?」
「声を聞いていると、だんだん目の前が明るくなってくるような、
気分がとてもよくなってね」「そうですか」「その声を聞いていたら、
自分は生きているんだなーって思って、、、。それから、生きていて
よかったなって思った。そして、これからも生きていたいって
思ったんだ」「そうなんですか」
374投稿者:『見えている会話、見えない会話』  投稿日:2006/04/01(土)03:23:57
「うん、今だってあのときの声が聞こえるような気がする」
アメリカで、交通事故で救急治療室に運ばれた子どもの生存率に
関する調査があって、アングロサクソン系とラテン系では、
ラテン系の子どもが生き残る確率が高いそうです。どうも、
ラテン系は大家族で病院におしかけて、子どもの周りであれこれ
話したり、聖書を読んだり、子どもに触ったりするらしい。
アングロサクソン系はその反対で、小家族ですから、ラテン系の
ようなわけにはいかない。声を聞いたり、見たり、触ったりすると、
なにか安心します。おとなも子どもも安心していたいわけです。
コーチングのスキルが知りたいという声をよく耳にします。
もちろん、それは効果的です。しかし、それ以前に人と話していて、
自分が安心できること、相手を安心させること。コーチングのスキルは、
その上に初めてのるものだと思います。そこにどのような関わりを
作り出しているかによって、コーチングの効果の現れ方は違ってきます。
表面的な会話がどれだけスマートであっても、見えない会話、そこに
築かれている信頼や信用がなければ、少なくとも行動に変化は現れない
ものです。
375投稿者:『自分の成長に気づく』  投稿日:2006/04/01(土)13:41:25
日曜日の午後、何の気なしにテレビをつけると、ラグビー中継を
やっていました。早稲田対トヨタ。試合終了まで目が釘付けに
なるほどの好ゲームでした。特に、ロスタイムに入ってからの
トヨタの猛攻と、それを防いだ早稲田全員一丸となっての
連続タックルは感動的でした。それにしても、18年ぶりに
学生が社会人を相手に勝利するという、最高のパフォーマンスを
発揮させた清宮監督は、素晴らしいと思います。 コーチングの
研修をしていると、部下のパフォーマンスを高めるためには、
どのようなときに誉めて、どのようなときに叱ればいいのか、
という質問をされることがあります。なかなか答えにくい質問です。
三菱総研の調査では、「おおむね誉めて育てたほうが部下の
パフォーマンスはよいが、モチベーションの高い部下に対しては、
時には厳しく叱る上司であるほうが、主体性やリーダーシップの
高い部下が育つ。叱るというのは、感情的に怒るのではなく
相手に気づかせる、というスタンスである。つまり、気づきが
モチベーションを高める」というデータが発表されています。
確かにそうかもしれません。とはいえ、それはケースバイケース
ですから、そのときにはこうすればよい、というようには答え
にくいわけなのです。
376投稿者:『自分の成長に気づく』  投稿日:2006/04/01(土)13:44:33
2年ほど前に、清宮さんとお会いしたことがあります。清宮さんは、
学生に対する指導方法について、「データに基づいて指導する」、
ということを力説されていました。「選手にとっては、少しでも
いいからできなかったことができるようになる、というのが大切
なんですよ。チーム全体はもちろん、一人ひとりの詳しいデータを
もっていれば、何が成長したかを実感できる。僕はほとんど
誉めませんけど、データを見れば変化は一目両全ですから。
実際に、みんなやる気になってますよ。」データに基づいて、
選手自身がまだ気づいていないことを選手に知らせる。誉めるか
叱るはケースバイケース、それよりも大切なのは、本人が自分の
成長に気づくこと。客観的なデータは、もっとも効果的な
フィードバックだというわけです。さまざまな要素が複雑に
絡み合うビジネス現場では、一人ひとりの詳細なデータを取るのは
難しいかもしれません。それでも、マネジャーが部下に意識を向けて、
今何に取り組んでいるのか、何について成長したのか、本人もまだ
気づいていないような、その微細な変化をフィードバックしていく
ことができれば、部下のパフォーマンスはきっと上がるに違いありません。
377投稿者:『コミュニケーションの価値』  投稿日:2006/04/06(木)01:07:21
「いかに人を動かすか」というのは、古来から人間にとって
大きなテーマです。そして、誰しも、そのためには
コミュニケーションが必要だということを知っています。
それにも関わらず、これまで多くの場合、人を動かすための
コミュニケーションとは、指示命令型で一方通行な
コミュニケーションがほとんどでした。これは、ひとつには、
私たちのコミュニケーションに対する誤解から生じているのだと
思います。コミュニケーションに対して、多くの人は次のように
認識しています。

□ コミュニケーションは空気のようなものですでにわかりきっている
□ 組織においてコミュニケーションはソフトな問題で優先順位が低い
□ コミュニケーションは個人の問題であり、組織の問題ではない
□ コミュニケーションと生産性は特に関係はない
□ コミュニケーションは組織のスピードを遅くする
□ コミュニケーションは組織を混乱させる。またときに浪費を生じさせる
□ コミュニケーションよりは、規則、予測、費用対効果、効率、
  ハイパフォーマンス、モチベーション、確実な収益、投資の回収、
  プラン、役割、経験、スキル、リーダーシップ、これらが優先する
378投稿者:『コミュニケーションの価値』  投稿日:2006/04/06(木)01:17:33
コミュニケーションのもつ本当の価値に多くの人は気づいていません。
価値を見出していないにも関わらず、毎日の生活は
コミュニケーションなしには成り立たないという矛盾の中で、
私たちは仕事をし、生活をしているのです。
コミュニケーションの価値を理解していない二人が
コミュニケーションを交わしても、なかなか実を結びません。
しかし、コミュニケーションがどんな価値をもたらすかを
理解した二人がコミュニケーションを交わせば、それは本当に
創造的なものになります。コミュニケーションとはこういうものだ、
こういうルールがある、といった定義は、いまだ、実は
はっきりしているわけではありません。しかし、コミュニケーション
を交わす二人の間で、最低いくつかのルールが守られているだけで、
そのコミュニケーションは飛躍的に変わります。たとえば、
コミュニケーションのルールとは次のようなものです。
379投稿者:『コミュニケーションの価値』  投稿日:2006/04/06(木)01:23:33
 ○ 相手が話しているときには、口を挟まない
 ○ 相手の言っていることを理解する
    それは相手の言っていることが正しいと認めることとは違う
 ○ 自分の考えを相手に理解してもらう、
    不安なときには、その瞬間に自分から相手に確認する
 ○ 自分の考え(My View)と相手の考え(Your View)があり、
    それは一致していなくてもかまわない
 ○ 相手の考えが自分にはどう伝わっているかを相手に伝える
 ○ 自分の考えが相手にはどう伝わっているかを聞く

すなわち、コミュニケーションとは、K-1やプライドのような
格闘技だと思っている人とコミュニケーションは交わせない、
ということです。もし、このようなルールを理解していない相手と
コミュニケーションをとる必要が生じた場合には、まず、
コミュニケーションについてお互いにどう思っているか、
そのことについて話す時間をとることです。そのときも、相手に
ルールを押し付けるのではなく、お互いの間でのコミュニケーション
によって、何が生み出されるかについて話すのです。
アメリカの心理学者であるハーレーン・アンダーソン氏は、
コミュニケーションについて、次のように語っています。
「ダイアローグ(対話)を通じて、あるいは、そのなかで、
意味や理解が持続的に、解釈、再解釈、明確化、改定されている。
意味や理解に新しいものが生じたときには、思考、感情、気もち、
行動などが新しく生まれる可能性がある。言い換えれば、
変化することとは、ダイアローグの中での遺産なのである。
ほんとうのダイアローグとは、創造以外の何物でもない」
380投稿者:『人は解釈の中で生きている』  投稿日:2006/05/15(月)03:13:23
私たちは毎瞬毎瞬事実に直面し、その影響を受けています。何か
出来事があれば、それに影響されるし、人に会えば、その人の影響を
受けるわけです。ところが、よくよく考えてみると、事実や出来事が
直接私たちに影響しているわけではなさそうです。なぜなら、同じ
旅行に行っても楽しいと思う人もいるし、つまらないと思う人も
いるからです。例えば、ディズニーランドは楽しいのか?答えは、
楽しい場所だと思っている人もいるし、疲れる場所だと思っている
人もいる。つまり、ディズニーランドが私たちに直接影響している
わけではなくて、ディズニーランドをどのように捉え、どのように
解釈しているか、それが私たちに影響しているということになります。
先日行った、ある企業の取締役であるAさんとのコーチングの一部
です。「桜井さん、どうも若手の営業マンのやる気がないんだよね。
教育のシステムをつくらなければいけないと思っているんだ。」
「どうしてやる気がないということがわかったんですか?」
Aさんは、少しの沈黙の後、「桜井さん、そういわれてみると
直接確かめたことは無いな。なんとなくそう思っていた。」
「では、実際に確かめるためにはどうしたらよいですか?」
「現場に出て行って直接会って話を聞いてみるのが一番だね。」
381投稿者:『人は解釈の中で生きている』  投稿日:2006/05/15(月)03:13:50
Aさんは次のセッションまでに、実際に自ら現場に出向き、
若手の営業マン数人と話しました。「桜井さん、実際に話して
みたら、確かにやる気の無いやつもいたけど、モチベーションの
高いやつもいた。一番驚いたのは、7人と話して、一人ひとり全部
思っていることが違うってことだ。直接話を聞いてみて
よかったよ。」時に私たちは、事実そのものよりも自分のしている
捉え方や解釈の影響を強く受けているのかも知れません。
もしかすると、毎日会っている同僚や部下に対しても、自分の
仕事に対しても、自分の過去や未来に対しても。コーチは
クライアントがしている捉え方や解釈をはっきりさせ、
クライアントの目を事実に向けさせます。つまり、視点を変える
ことがコーチの大切な仕事のひとつなのだと思います。
382投稿者:『跳び箱のコーチ』  投稿日:2006/05/18(木)03:27:36
小学校三年生の次女は、先月から体育の個人コーチについています。
体育の個人コーチ。跳び箱や逆上がり、二重跳び、かけっこなど、
体育の中でも特に苦手になりやすい種目について、一対一でコーチを
するのです。次女は、少し体育が苦手。半年ほど前から授業で跳び箱が
はじまり、跳べずに悔しい思いをしていました。そんなときに、
体育の個人コーチというものがあることを知り、ものは試し、という
軽い気持ちではじめたのです。1回目のコーチング。娘はいつもの
やり方でチャレンジしますが、案の定、うまく跳べずに跳び箱の上に
尻餅をついてしまいました。コーチは、もう少し早く走る、手を遠く
につく、ついた手をぐっと押すなど、ちょっとしたコツを教えて
くれるのです。娘はまったく跳べなかった跳び箱を、一週間後の
2回目のコーチングで、跳んでしまいました。先日、若手のコーチが、
小学生の男の子に逆上がりの指導をしていました。ところが、男の子の
やる気がどんどん失せていくのが、はた目にも明らかにわかります。
もっと強く蹴って、もっと右足を高くあげて、もっと勢いをつけて。
コツを教えるという点では同じです。私から見てもコーチの言って
いることはもっともです。ところが、男の子のやる気はどんどん
無くなっていくわけです。見るにみかねたのでしょうか、ベテランの
コーチが指導を変わりました。すると5分もしないうちに、男の子の
やる気は見違えるように回復したのです。何が違うのか。
383投稿者:『跳び箱のコーチ』  投稿日:2006/05/18(木)03:28:36
こうすると
うまくいくというコツを教える。それは共通点。決定的に違うのは、
承認です。うまいコーチは、承認する。しかも子供をよく観察して、
事実を承認する。「つま先がここまであがったよ」「さっきより
踏み込みが強くなってるよ」それは、おだてるような言い方では
ありません。本人が気づいていないような微細な進歩を承認という
形でフィードバックしているのです。自分自身で自覚できるような
明らかな成長や進歩があれば、それは何よりも強いモチベーションの
向上につながるでしょう。そうなればもうしめたものです。何も
言わなくても本人が努力をはじめます。ところが、そこにいくまでの
過程で自分自身の進歩を感じることができなければ、やっても
無駄だとあきらめの気持ちが強くなってしまう。それは挫折につながる
こともあるかもしれません。その微細な成長は、なかなか自分自身では
気づけないのです。それがコーチをつけるひとつの意味だと思います。
いいコーチは、本人には自覚できないような微細な成長や進歩を観察し、
伝える。その意味でコーチの存在は、逆上がりのできない小学生に
とっても、世界一を目指すタイガーウッズにとっても同じなのかも
知れません。
384投稿者:『コーチングを実証する』  投稿日:2006/05/25(木)00:38:29
ボストンフィルハーモニー管弦楽団指揮者のベンジャミン・ザンダー氏
彼は指揮者でありながら、「人から可能性を引き出すリーダーシップ」
というタイトルで、大手企業などのビジネスエグゼクティブ向けの
研修、講演活動を勢力的に行っています。ザンダー氏は、
2002年の国際コーチ連盟の大会で基調講演のスピーカーとして登場。
あまりにも好評だったため、2年後には、たった2時間のために
プライベートジェットで飛んでやってきたそうです。「人がふたり以上
集まると、そこにはリーダーシップという概念が生まれる」
「オーケストラで音を出さない唯一の存在は指揮者である。
だから、いかに楽団員から音を引き出すかが求められる」
そう語るザンダー氏は、トークと音楽を交えながら、観客をあっと
いう間に巻き込み、音楽という媒体を通じて、コーチングの効果を
見せてくれます。実際に、音楽家たちは彼の言葉を受けると、
音が変わるのを実感できるのです。このたび、そのザンダー氏を
日本にお招きする運びとなりました。その講演の題名はズバリ
「Experiencing the Art of Possibility〜コーチングを実証する」
音楽というフィールドを通じて、コーチングの手法とその具体的で
即効の成果を目のあたりにするのは、実にエクサイティングな
体験です。多くの方に、ザンダー氏の「可能性を引き出す」
取り組み方を目撃していただきたいと思います。
385投稿者:『質問を創る』  投稿日:2006/06/07(水)23:07:24
コーチングはそのほとんどが質問によって進行されるといっても
過言ではありません。いい質問は、気づきをもたらし、新しい
アイディア、そして、パラダイムシフトをもたらします。
この数年で質問に関する本も数多く出版されました。いつ、
どんなときに、どんな質問が有効かについて紹介している本も
たくさんあります。しかし、ご存知のように、本に書いてある
質問をそのまま「今」に使えるわけではありません。質問が機能
するためには、それだけの条件を必要としています。質問が機能
する「場」が最初に創られなければならないわけです。何の
かかわりもない人に「3年後の自分から今を見たらどう
見えますか?」なんて聞かれたくもない。たとえ、酒席でも
ごめんです。その質問の必然性が了解されている「関係」、
「タイミング」、「適切な環境」、「コンテキスト」、そして
質問を受けることへの「了解」など実は質問をするときには、
これらの条件を揃えることが、何にも増して優先されます。
質問には力があります。思考と行動を変える力があります。
相手が、何かをはっきりさせてみたい、行動を起こすために
見通しのいい状態をつくりたい、と思わない限り、
質問に答える理由はありません。
386投稿者:『質問を創る』  投稿日:2006/06/07(水)23:10:01
誰でも、自分の内側を不用意に覗かせたくもないし、
質問に答えることで、相手に利用されることへの警戒心も
ありますから。「場」が整わないうちは、たいてい、質問を
されても、一般論で答えたり、いい加減な返事をしたり
するものです。また、興味を喚起しない質問にも答える気に
なりません。ペンを手に持って、「What is this?」なんて
聞かれても、答える気になりません。それがたとえ英語の
授業でも、手に持っているものが何であるか見えているのに、
わざわざ「Pen」なんて答えたくもありません。でも、
手を後ろに回して「今、僕は手に何を持っていると思う?」
なんて聞かれれば、それは興味がわきます。いいコーチは、
興味を喚起する質問を創りだしています。質問されると、
わくわくしちゃうんですね。つまり、質問は「なまもの」だと
いうことです。「伊藤、金メダルをとろう。お前にとっての
金メダルは何だ?」なんて聞かれたときはずいぶん興奮しました。
387投稿者:『質問を創る』  投稿日:2006/06/07(水)23:10:25
質問する側の、その人に対する興味、その興味が伝わって、やがて、
質問される側も自分に対する興味がわいてくる。そのサイクルが
生き生きとした会話をつくり出します。「今日はどんな一日に
しますか?」「ほかにどんな選択がありますか?」「もし、
あなたが社長なら、いますぐ何をやりますか?」
「3年後どうなっていたいですか?」世の中には、無数に
有効な質問があります。しかし、どの質問も誰が、どの
タイミングで、どのようなセッティングをするかによって、
機能したり、しなかったりします。効果的な質問をそこに
創りだすことは、コーチにとって永遠のテーマになります。
できれば、まったく同じ質問でも、毎回新鮮にできるように
なりたいと思います。
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